仙台プラム・アニマルクリニック院長
梅原孝三先生に聞いてみました。
梅原孝三先生
仙台プラム・アニマルクリニック 院長
ペット薬膳国際協会 常任理事長
国際中獣医学院日本校 校長
国際中医師
調理師

---梅原先生は、どのようなご経歴をお持ちなのでしょうか?
私は、北里大学獣医畜産学部畜産学科に入学し、動物を育てるために必要な栄養学を学んでいました。これは今の獣医師の仕事に活かされています。基礎から応用までみっちりと叩きこまれ(笑)、この時の経験が栄養学のベースとなっています。北里大学を卒業後は、麻布大学獣医学部獣医学科に入りました。
---東洋医学を診察に取り入れていますが、なぜ東洋医学を学ぼうと思われたのですか?
麻布大学の図書館の専門誌で、動物に鍼治療を行う獣医師がいるという記事を見つけ、とても驚きました。その先生が偶然にも麻布大学の先輩だとわかり、幸いなことに、その先生の元で勉強することができました。当時、日本では東洋医学を勉強する場がほとんどなく「獣医東洋医学研究会」がその頃発足したばかりでしたが、当時は現在のように東洋医学で動物の治療ができる時代になると思わなかったので驚いています。
---先生は、調理師免許を持っているそうですね。
学生時代に授業料を稼ぐために飲食店で働いていたのですが、そこで免許を取らないかと声をかけられて取得しました。調理師免許を持っている動物病院の院長はほとんどいないでしょうね(笑)。料理を作ることが好きですし、東洋医学を利用した食事である「薬膳」も作っています。

18年前から飼っていた犬に健康でいて欲しくて、手作りご飯を食べさせていました。栄養学の知識もありましたし、そこに漢方薬の原料なども入れて作っていたんです。当時ドッグフード以外は、人の残飯のイメージがありましたので、手作りご飯を犬に食べさせている方はほとんどいませんでした。私は、犬用に栄養バランスを整えた、味付けをする前の薬膳ご飯を作り、一部を愛犬に、残りに味付けをして自分用に取り分けていました。

ペットと人間が同じ食事をする視点には昔から注目していますし、犬薬膳のレシピもたくさん作りました。今では犬や猫の食事に関する本の監修も多くしています。犬や猫の食事、特に薬膳の世界ではトップレベルの知識と経験を持っていると自負しているので、犬や猫の食事を学びたい人に私が目標となれるように頑張っています。
---先生の動物病院「仙台プラム・アニマルクリニック」の特徴は何ですか?
西洋医学の診療と東洋医学を併用している点です。これを「中西結合獣医療」と呼びます。現在、ペット薬膳国際協会を立ち上げていますが、今では全国の獣医さまから、ペットショップオーナー、手作りご飯に関心がある飼い主さんまで、多くの方に食事療法を指導させていただいております。

食事は奥が深く、肉や野菜の種類や量だけではなく、その子の体質や病気などを考えた食材や調理方法、食べさせ方などで、メリットにもデメリットにもなります。治療には大手メーカーの特別療法食を使う選択肢もありますが、食欲のない子、嗜好性が合わない子には、他の方法を考えなくてはなりません。こんな時は、スーパーで買える食材をうまく組み合わせるだけでも、食いつきUPや体力が付き、快方に向かうことが多々あります。
--- 先生の持っている「国際中医師」とはどのような資格なのですか?
国際中医師は、中国政府の関係機関の「世界中医薬学会連合会」が認定する資格です。中国には西洋医学を専門とする「西洋医師」と中医学、漢方を専門とする「中医師」という国家資格が存在します。もちろん、どちらも人のお医者さんです。中国政府は中医学を世界に普及させることを目的に、規定の学習を修了し、実地を積み、中医師並みの知識と経験を習得した人だけが認定される資格です。

「国際中医師」資格を取得することで、人に対する中医学、漢方も考えられるようになり、さらに調理師免許も持っているので、今は「動物の薬膳」と「人の薬膳」の両方の話ができるようになりました。
---先生の将来のビジョンはありますか?
中医学、漢方を学び始めて30年以上になります。この学問は学べば学ぶほど奥が深いことを痛感しています。しかしこの学問を利用するには一般の方も気軽に取り入れられるようにしなくてはなりません。そこで考えついたのが「食事」であり「薬膳」の世界です。獣医師として納得できる、本当に私が欲しい犬用、猫用のフードを作る、それは私の得意分野である「薬膳」をベースにしたものだとの結論にいたりました。現在、このコンセプトが実現し、さらに日本国内から世界にも発信し、日本発の薬膳の世界観を広げていければと考えております。
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