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「血尿」は犬にとっても人間にとっても驚く症状です。血尿の原因は、様々な病気が考えられますが、犬の行動や他の症状も合わせて確認することが重要です。
本記事では、血尿の原因や考えられる病気、対処法についてわかりやすく解説していきます。
犬の血尿とは?
血尿は、尿に血液が混じる状態を指し、泌尿器系のどこかで出血が起きている可能性を示しています。泌尿器系は、腎臓、尿管、膀胱、尿道のことを指します。血尿の色は、出血の場所や程度によって、赤、赤褐色、オレンジ、ピンクなど様々で、正常な尿に血液の筋が入ることもあります。
血尿が見られた場合、軽い症状から重篤な病気まで、様々な可能性があるため、特に、愛犬が頻繁にトイレに行ったり、外陰部に異常が見られたりする場合は、早めに獣医師の診察を受けることが重要です。
血尿と間違えやすい症状
1. 発情期出血
避妊手術をしていないメス犬は、発情期に陰部から出血が起こり、それが尿に混じって血尿と誤認されることがあります。発情期には陰部の腫れや、行動の変化が見られることもありますが、この期間の出血は、通常、治療の必要はありません。避妊手術を受けることで、発情による出血はなくなります。
2. 血色素尿
血尿は、泌尿器系のどこかで出血が起こり、尿に血液が混じっている状態を指します。
対して血色素尿は、赤血球の色素である「ヘモグロビン」が尿に混じっている状態です。これは、大量の赤血球が破壊され、肝臓や脾臓で処理しきれなくなったヘモグロビンが、尿中に排泄されることで起こります。
血色素尿の主な原因には、寄生虫感染症、ネギ中毒、人間薬の誤食による中毒、自己免疫疾患等があります。
犬の血尿で考えられる病気
1. 膀胱炎
犬の膀胱炎は、主に細菌が尿道口から侵入して膀胱内で増殖することで起こり、特にメス犬に多く見られます。主な症状には、血尿、頻尿、排尿時の痛みがあります。
細菌感染が原因の場合、治療は抗生物質の投与となります。
膀胱炎を放置すると、症状が悪化し、重篤な状態になる可能性もあるため、膀胱炎が疑われる場合は、早めに獣医師の診断を受けることが大切です。
2. 尿路結石
尿路結石症は、腎臓から尿道までの尿路に結石ができる病気で、血尿、頻尿、排尿困難などの症状を引き起こします。
原因としては、食事のアンバランス、飲水量の不足、ストレス、細菌感染、肝機能の低下、体質などが考えられます。犬の尿路結石の多くは、ストラバイトや、シュウ酸カルシウムが主成分です。特にストラバイト結石が、やや多い傾向があります。
3. 急性腎不全
急性腎不全は、心臓疾患、薬物や重金属による中毒、尿路結石による尿路の閉塞などが原因で発症し、犬の腎機能が急激に低下する病状です。この状態では、血尿のほかに元気がなくなったり、食欲不振、嘔吐、尿の量が少ない(欠尿)、または全く出ない(無尿)といった症状が現れ、これらの症状には早急な治療が必要です。
また、腎臓に結石ができたり、感染症による炎症が起きたりすることも血尿の原因になります。急性腎不全は、迅速な治療が命を救う鍵となるため、これらの症状が見られる場合は、すぐに獣医師の診断を受けることが大切です。
4. 腫瘍
泌尿器にできた腫瘍で血尿が出ることがあります。特に「移行上皮癌」と呼ばれるタイプは膀胱や尿道に発生しやすく、初期段階では膀胱炎と区別が難しい場合があります。
この腫瘍は、膀胱や尿道の機能を無視して無秩序に増殖し、出血や尿路閉塞を引き起こすことがあります。進行すると、肺や骨、リンパ節に転移するリスクも高まります。
そのため、血尿が見られた場合は、膀胱炎だけでなく腫瘍の可能性も考慮し、すぐに詳しい診断を受けることが大切です。尿路閉塞や急性腎不全に至ることもあり、生命に危険を及ぼす可能性があるため、早期発見と治療が非常に重要です。
5. 外傷
犬の外傷による血尿は、事故やケガによって泌尿器系が直接損傷を受けた場合に発生します。このような外傷は、交通事故、高所からの転落、他の動物との衝突や戦いなど、様々な状況で起こる可能性があります。
6. 何らかの病気
上記以外にも、何らかの病気で血尿が出ることがあります。
例えばオス犬の場合、前立腺肥大や前立腺炎などが考えられます。膀胱の真下に前立腺があるため、肥大した前立腺が尿道を狭くしてしまったり、細菌感染を起こすことで血尿が出ることがあります。
メス犬の場合は、膣炎や子宮蓄膿症、子宮内膜炎などが考えられます。細菌感染を起こすことや、陰部からの出血が尿に混じって血尿と見間違える場合もあります。
これらの生殖器が関係する疾患は、去勢や避妊手術を行うことで、ほぼ100%予防することが可能です。
犬が血尿になった際の対処法
1. たくさんの水を与える
膀胱炎を予防するためには、水分をたくさん摂って、尿として出すことが大切です。いつでも新鮮な水が飲めるように、こまめに水を交換しましょう。水に味付けすると、大量摂取につながり、水中毒のリスクがあるため注意が必要です。
また、清潔で快適なトイレ環境を整えることも大切です。
2. 動物病院を受診する
発情期以外で血尿が見られた場合、たとえ一度きりの出血であっても、その原因を特定することが重要です。安静にしているだけでは根本的な問題が解決せず、膀胱炎や尿路結石、腫瘍など深刻な病気が隠れている可能性もあります。
そのため、血尿が確認されたら、症状が一時的に落ち着いたとしても、獣医師の適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
特に、以下の症状が伴う場合は緊急性が高まります。
・歯茎や舌が青白くなっている
・ぐったりしている
・尿量がかなり少ない
・熱中症と思われる症状で血尿が出ている
これらの症状は、血尿と合わせて重大な健康問題を示している可能性があります。診察の際には、血尿の状態を記録したり、尿の写真を撮影したりしておくと、獣医師が状態を把握しやすくなります。
まとめ
犬の血尿は、発情期のメス犬を除いて、膀胱炎、膀胱腫瘍、急性腎不全など、命に関わる病気が隠れている可能性があります。血尿は重篤な病気の兆候である可能性があるため、疑わしい症状を見つけたらすぐに獣医師の診察を受けることが重要です。
愛犬の健康を守るためには、早期発見と適切な治療が不可欠です。血尿を見逃さず、定期的な健康診断や日常のケアを行うことで、愛犬の健康を維持し、病気のリスクを減らすことが出来ます。
■犬の血尿とは?
血尿は、尿に血液が混じる状態を指す■血尿と間違えやすい症状
1.発情期出血
2.血色素尿■犬の血尿で考えられる病気
1.膀胱炎
2.尿路結石
3.急性腎不全
4.腫瘍
5.外傷
6.何らかの病気■犬が血尿になった際の対処法
1.たくさんの水を与える
2.動物病院を受診する









