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空気が乾燥しがちな冬は、エアコンなど暖房器具の使用で室内も乾燥するため、人間と同じく犬も、皮膚及び被毛の乾燥対策が必要になってきます。そんな季節柄、犬がなぜ乾燥肌になってしまうのか、その原因と現れる症状、その対策について解説していきます。
犬は乾燥肌になりやすい
犬が乾燥肌になりやすいのは、皮膚の厚さが関係しています。
人間と犬の皮膚の厚さは、
人間(成人):0.2mm
人間(新生児):0.1mm
犬:0.05mm~0.1mm
犬の皮膚は人間の赤ちゃんの皮膚のように薄くデリケートなため、大変乾燥しやすいと言えます。
犬の乾燥肌の原因
1. 湿度の低下
冬は空気が乾燥して湿度が下がります。さらに、室内では、ストーブ・エアコン等の暖房器具も使用するため、ますます乾燥してしまいます。
加湿器で湿度の調整をする、水分をしっかり摂取するなどの対策をしましょう。
ドライフードの場合は、ウェットフードや水分補給できるトッピングを加えてあげるのも良いでしょう。
2. シャンプーの頻度
犬の皮膚や被毛を清潔に保つためには定期的なシャンプーは必要です。ただしシャンプーのしすぎは皮脂を落としすぎてしまい、皮膚のバリア機能の低下を招きかねません。
基本的には月に1~2回の頻度、老犬など体力が衰えている場合は2ヵ月に1回程度が推奨されます。
また、洗う頻度が高い場合や、乾燥肌の犬には低刺激で肌に優しく、保湿成分が入っているシャンプーを使用すると良いでしょう。乾かす際も、ドライヤーを犬に近づけすぎず、温度を低めにして乾燥しすぎないように気を付けてあげましょう。
また、日常的に犬用の保湿剤を使用すると、さらに効果が期待できます。
3. アレルギー反応
健康な犬の表皮は適度な皮脂で覆われていて細菌やカビ、その他アレルゲンとなる物質から皮膚を保護する役割がありますが、乾燥により皮脂の少なくなった皮膚は表面の角質層という部分に含まれるセラミドが不足しバリア機能が弱く、様々な外部刺激を受けやすくなることでアレルギー症状が現れます。
また、皮膚が乾燥すると逆に皮脂の分泌が過剰になって油っぽい皮膚となり、細菌が増殖しやすい状態になってしまう事もあります。
4. 栄養不足
乾燥肌の原因の一つに栄養不足も考えられます。タンパク質やビタミン、ミネラルがバランスよく含まれた食事を与えることが大切です。特にビタミンAやビタミンE、亜鉛は皮膚の健康に効果的で、脂溶性ビタミンであるビタミンAは、脂質と一緒に摂ると吸収力がアップします。
また、オメガ3系脂肪酸には、皮膚の潤いを保ち炎症を抑える効果がありますので、サプリメントやフードから摂取することで、乾燥肌を和らげる効果が期待できます。
犬の乾燥肌の症状
1. かゆい箇所を引っ掻く
皮脂や角質内の水分が不足すると皮膚は乾燥し、外部からの刺激に過敏に反応して痒みが生じる事があります。後ろ脚で体を掻く仕草だけでなく、皮膚を舐めたり噛んだりする、壁や床に顔や体をこすりつけたりすることにより皮膚に傷ができてしまうと、赤みが出たり出血するなど、さらなる皮膚トラブルにつながってしまうことがあります。
2. 毛が乾燥している
被毛は犬の健康状態と直結していると言われています。皮膚が栄養不足や様々な要因で乾燥しているときは、被毛もパサついて毛切れをおこしたり、毛玉になりやすくなることがあります。
被毛のツヤがない・パサつきが気になる場合は、皮膚も乾燥していないか確認してみると良いでしょう。
3. フケが見られる
皮膚の乾燥がひどくなると、カサついた皮膚が剝がれやすくなりフケも増えます。
犬の皮膚のターンオーバーは約3週間ですが、乾燥することで本来まだ剥がれ落ちなくても良い皮膚まで剥がれてしまうことがあります。
また、肌トラブルにより生じたフケは、サイズが大きかったり脂っぽかったりします。通常時とは異なるフケが目立つ場合は、乾燥など肌トラブルが起きている可能性があります。
犬が乾燥肌になった際の対処法
1. 保湿をする
加湿器を使って室内の湿度を管理するだけでなく、乾燥している皮膚に保湿スプレーやクリームを使って乾燥から皮膚を守ってあげることもおすすめです。
2. シャンプーを変更する
バリア機能の低下した皮膚には低刺激で保湿効果のあるシャンプーを使いましょう。また、細菌感染を起こしている場合は獣医師処方の抗菌シャンプーを用いた治療も有益です。
3. 薬を処方する
赤みや痒みが激しい場合は、症状に応じた投薬も効果的です。動物病院に受診して、獣医師に処方してもらいましょう。
4. 定期的にブラッシングする
ブラッシングをすることで、抜け毛の除去や被毛に絡んだほこりを落とすと、通気が良くなり、血行を促進することが期待できます。また、ブラッシングしながら、皮膚の状態もこまめにチェックすることで早期に異変を見つけ速やかに治療を開始することができます。
5.天然素材の洋服にする
洋服を着せることにより、皮膚と洋服の摩擦により皮膚に刺激を与えたり、乾燥を助長する可能性がありますので、肌に刺激を与えにくい、縫い目が外側で肌に当たらない工夫のものや、素材が人間の赤ちゃんにも使われるような優しい素材のものを選びましょう。
洋服を上手に使えば、外部刺激を防ぎ、皮膚を守って掻き壊しのリスクを軽減することができます。
6.食事療法を活用する
下記に挙げる、オメガ3や良質なたんぱく質、食物繊維等は、犬の乾燥時にも有効です。
犬の乾燥肌を内側からケアする食事療法
以下に、犬の乾燥肌に対する効果的な食事療法のポイントと食材例をご紹介します。
1. 乾燥肌に有効な食材、栄養素
① オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の補給
皮膚のうるおいを保つためには、必須脂肪酸のバランスが不可欠です。
特に**オメガ3(EPA・DHA)とオメガ6(リノール酸・γリノレン酸)**は皮膚の細胞膜を構成し、炎症抑制や保湿機能を支える役割があります。
おすすめ食材:
サーモンオイル(オメガ3)、亜麻仁油、えごま油(オメガ3)
※注意:良い脂とは言え、過剰摂取も要注意です。
② 高品質なたんぱく質で皮膚細胞の再生を促す
乾燥肌の改善には、皮膚そのものの再生力を高めることが重要です。
良質な動物性たんぱく質は、皮膚・被毛の原材料であるアミノ酸の供給源となります。
おすすめ食材:
鹿肉、馬肉、ターキー、白身魚(低アレルゲン・消化が良い)
内臓肉(肝臓など):脂溶性ビタミンや鉄分が豊富
③ ビタミン・ミネラルで皮膚バリアを強化
乾燥肌対策には、皮膚の代謝・修復・保湿に関わるビタミンやミネラルの補給が重要です。
栄養素 働き 食材例
ビタミンA 皮膚と粘膜の健康維持 レバー、にんじん、卵黄
ビタミンE 抗酸化作用、皮膚の保護 アーモンド粉、ひまわり油
ビオチン(B7)毛艶と皮膚修復 卵黄、レバー、魚
亜鉛 皮膚再生、かゆみ軽減 赤身肉、かぼちゃの種
セレン 酸化ダメージ対策 魚類、全卵
④ 腸内環境を整え、内側から皮膚を強くする
皮膚トラブルは腸の状態と密接に関係しています。腸内環境が整うことで、栄養吸収がスムーズになり、免疫バランスも改善します。
おすすめ成分:
乳酸菌・ビフィズス菌(プロバイオティクス)
イヌリン・フラクトオリゴ糖(プレバイオティクス)
GI値の低い野菜(サツマイモ、キノコ類、人参、小松菜、ブロッコリー)
⑤ 水分をしっかり摂らせるメニュー構成にする
乾燥肌の犬は水分摂取量が不足していることが多いです。ドライフードだけでは不十分な場合もあるため、ウェットフードの併用やスープ仕立ての手作り食も有効です。
工夫例:
鹿肉とかぼちゃのスープ煮
ーモンとさつまいもの雑炊
和漢だし入りの煮込みごはん(しょうが・黄耆などを少量使用)
まとめ
犬の皮膚は人間の赤ちゃんのように薄くデリケートで乾燥しがちです。外気の乾燥が進む冬場は室内も暖房器具の使用により乾燥しやすいため、加湿器の使用や適切な水分補給をすることが大切です。
また、シャンプーによる皮脂の落としすぎや、栄養不足等で乾燥肌になると、皮膚のバリア機能が低下して外部刺激を受けやすい状態になり、アレルゲンが侵入するとアレルギー症状が現れます。
犬がしきりに体を痒がる、被毛が乾燥している、フケが多くみられる場合は、室内の加湿に加え、クリーム・スプレーなどで皮膚を保湿する、獣医師に適切なシャンプーや薬剤を処方してもらうなど、状態に合わせた処置を取ると良いでしょう。
■犬は乾燥肌になりやすい
■犬の乾燥肌の原因
1.湿度の低下
2.シャンプーの頻度
3.アレルギー反応
4.栄養不足■犬の乾燥肌の症状
1.かゆい箇所を引っ掻く
2.毛が乾燥している
3.フケが見られる■犬が乾燥肌になった際の対処法
1.保湿をする
2.シャンプーを変更する
3.薬を処方する
4.定期的にブラッシングする
5.天然素材の洋服にする
6.オメガ3や良質なたんぱく質、食物繊維を利用した食事療法は有効