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犬も虫歯になることはありますが、これはとても稀なことです。犬と人間とは口の中の環境が異なるため、犬は虫歯よりも歯周病のほうが多いのです。
犬にとっても口腔内環境は健康的な生活を送るために不可欠です。歯や歯茎の問題は、食生活に悪影響を及ぼし、さらには全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
犬は人間に比べて虫歯になりにくい
犬は虫歯になりにくい動物です。これは口腔内の環境が人間と犬とでは異なるためです。
具体的には下記のような違いが挙げられます。
・犬の唾液がアルカリ性(pH8~9)であること
・歯の形が尖っていて食べかすや虫歯菌が付着しにくいこと
・唾液中のアミラーゼが少なく糖が生成されにくいこと
ただし、犬は虫歯になりにくいのですが、歯周病にはなりやすいため、注意が必要です。
犬は歯周病になりやすい
歯周病は、犬に多い疾患で、主に歯肉炎や歯周炎として表れます。
歯肉炎は歯肉のみに限定された炎症で、通常の治療で対応可能です。一方、歯周炎は、目に見えない歯周組織にも炎症が広がり、進行した場合は、全身麻酔下での歯科処置が必要になります。歯周病は、歯石の生成、口臭の悪化、歯のぐらつき、過剰な唾液分泌といった症状によって発見されますが、多くは発見が遅れがちです。
犬は、虫歯になりにくいですが、歯垢が歯石に変わりやすく、細菌の増殖を助けてしまうため、多くの成犬が歯周病を抱えていることが一般的です。早期の発見と適切なケアが重要です。
犬が虫歯になってしまう原因
犬は虫歯になりにくいのですが、それでも稀に虫歯になってしまうことがあります。
1. おやつの食べ過ぎ
犬用であってもの甘味のあるおやつは、虫歯リスクや肥満の原因になる可能性があります。糖分は、虫歯菌の活性化につながるため、愛犬に与える際は注意が必要です。また、肥満防止の観点からも、おやつは適量を心掛け、愛犬の体調や体重管理に配慮して選んであげましょう。健康的なおやつを選ぶことで、愛犬の健康を守ることができます。
2. 人間用の食品の食べ過ぎ
人間用の食品は犬にとって有害です。特に、加工された製品には塩分や糖分が多く含まれており、これが虫歯菌の繁殖を促進することがあります。味付けされていない野菜や果物の糖分は比較的安全ですが、愛犬の健康を考慮し、人間用の食品は控えるよう心がけましょう。安全で健康的な犬用のフードやおやつを選ぶことが大切です。
3. スキンシップにより人間から感染
犬との過剰なスキンシップ、特に顔や口を舐めさせたり、共有した食べ物を与える行為には注意が必要です。飼い主が虫歯に罹患している場合、このような接触を通じて虫歯菌が犬に移る可能性があります。
また、犬の口内は虫歯菌が繁殖しにくい環境ですが、他の雑菌がうつる可能性もあるため、過度の接触は避けるべきです。愛犬の健康を守るためにも、衛生管理に気を付けましょう。
4. 歯周病との併発
犬が虫歯になることは非常に稀ですが、発生する場合は、ほとんどが先行して歯周病を患っていることが多いです。歯周病によって歯茎が痩せ、歯根が露出することで虫歯菌が繁殖しやすい環境を作ります。虫歯にならないためにも、定期的な歯科検診で獣医師によるチェックを受けることが重要です。
犬の歯周病の症状
1.歯が茶色や黒く変色している
犬の歯がもとの白さを失い、黒や茶色に変色している場合、歯垢や歯石の蓄積による汚れがあることを示しています。歯垢や歯石は歯周病が悪化する原因になりますので、早めに獣医師に相談し、適切なケアを行うことが重要です。
2.歯茎が腫れている
本来、健康的な犬の歯茎はピンク色です。
しかし、歯茎が赤く腫れたり、黒みがかった赤に見える場合は、歯肉炎が疑われます。歯肉炎が進行すると、膿がでるようになってきます。このような症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談することが重要です。
3.歯周ポケットが深くなる
歯と歯肉の隙間を歯周ポケットといい、一般的に歯周ポケットの深さは、小型犬で1~2mm、大型犬で3mmくらいまでが正常範囲とされています。この隙間に歯垢が入り込み、細菌が増殖することで歯周ポケットは拡大していきます。
歯周ポケットが深くなると、歯肉が歯を固定する力が弱くなってきますので、定期的なチェックで、愛犬の口内の健康を維持することが重要です。
4.口臭がひどくなる
犬は、本来口臭が少ない動物ですが、口臭が感じられる場合は、歯周病の可能性があります。食べかすから歯垢が作られ、細菌が増殖することで口臭が発生しますが、歯周病の進行によってさらに口臭が酷くなります。
また、口臭の原因として、内臓の病気に由来するものや口腔内の腫瘍も考えられますので、異常を感じたら、早めに獣医師に相談することが大切です。
5. 歯茎や頬から血や膿が出る
歯周病がすすみ、歯肉や歯根で常に炎症が起こると、ちょっとしたことで歯肉から出血するようになります。また、奥歯の歯根に炎症が起こり、膿がたまると、口腔内ではなく顔の皮膚を破って頬や目の下の部分から膿が出てくることがあります。
おもちゃやジャーキーのような固い食べ物に出血の跡が頻繁にある場合には、早めに獣医師に相談することが大切です。
犬が歯周病にならないための予防法
1. 毎日歯磨きを欠かさない
愛犬の歯磨きは、家庭でできる最も重要なデンタルケアです。犬は食後24時間以内に歯垢がたまり始め、それが3~5日で歯石に変化してしまうと言われています。
愛犬専用の歯ブラシを使用し、毎日行うことが理想ですが、最初は口を触られることが苦手な犬がほとんどなので、まずは口の周りを触ることから始め、徐々に口を開ける、指でマッサージする、歯磨きシートを使う、など段階的に慣れさせてあげると良いでしょう。子犬のうちから歯磨きに慣れさせることが最も理想的です。
また、すでに歯周病があり、歯茎が敏感で出血しやすい場合や治療中のデリケートな箇所がある場合は、無理をせずにその状態に合わせて行うことが大切です。
2. デンタルケア用のおやつなどを利用する
とくに歯磨きが苦手な子には、歯磨きガムやロープ遊びなど、愛犬が自然に歯をケアできる環境を提供することも有効です。
噛むことで歯垢の除去を行い、口腔内の健康を保つ効果があると言われています。
3. 定期的に病院で検診する
犬は、虫歯になりにくいですが、歯垢や歯石がたまることで歯周病を発症しやすくなります。定期的に獣医師による歯科検診を受けることで、歯周病の早期発見と予防が可能です。
年に一度は検診を受け、必要に応じてスケーリングを行うことが理想です。
まとめ
犬は、自分で歯磨きを行うことができず、食生活を調節することもできないため、飼い主が積極的に歯を含めた口腔内のケアを行う必要があります。
犬は虫歯になりにくい動物ですが、歯垢や歯石はつきやすく、歯周病のリスクは高いため、日頃からのデンタルケアが非常に重要です。定期的な歯磨きや獣医師によるチェックを通じて、愛犬の口腔環境を守っていきましょう。
■犬は人間に比べて虫歯になりにくい
・犬は歯周病になりやすい■犬が虫歯になってしまう原因
1.おやつの食べ過ぎ
2.人間用フードの食べ過ぎ
3.スキンシップにより人間から感染
4.歯周病との併発■犬の歯周病の症状
1.歯が茶色や黒く変色している
2.歯茎が腫れている
3.歯周ポケットが深くなる
4.口臭がひどくなる
5.歯茎や頬から血や膿が出る■犬が歯周病にならないための予防法
1.毎日歯磨きを欠かさない
2.デンタルケア用のおやつなどを利用する
3.定期的に病院で検診する









