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ネギは、昔から人間の食材として親しまれ、ビタミンCやβカロテンを豊富に含む健康的な野菜です。しかし、犬にとっては、中毒を引き起こす恐れのある危険な食べ物です。
本記事では、犬にネギを与えてはいけない理由や、誤って食べてしまった場合の症状や応急処置、さらに、犬に与えてはいけない他の食材についても解説していきます。
犬にネギを与えてはいけない
ネギ類は、犬にとって非常に危険な食べ物です。
含まれている「有機チオ硫酸化合物」(チオスルフィン酸アリシン)という成分が、犬の赤血球を破壊し、貧血などさまざまな症状を引き起こすこともあります。特に、大量に食ベた場合、1~2日以内に症状が現れることもありますが、少量でも数日後に症状が出ることがあるため、注意が必要です。
加熱や料理したネギも与えてはいけない
ネギは加熱調理しても、犬に与えてはいけません。ネギ類に含まれる「有機チオ硫酸化合物」は加熱しても分解されず、煮込んだスープなどの液体にも成分が溶け出します。そのため、ネギ自体が見た目で確認できなくても危険です。人間用に調理したものを犬が誤って食べないように十分に注意しましょう。
犬がネギを食べてしまった時の症状
1. 嘔吐や下痢
犬がネギを食べてしまうと、最初に現れる症状として嘔吐や下痢、軟便が見られることが多いです。これらは中毒の初期症状であり、早急な対応が必要です。
2. 食欲不振
下痢や嘔吐の後、元気がなくなったり、食欲が低下することがあります。これも中毒の症状のひとつで、放置すると更に悪化する可能性があるため注意が必要です。
3. 貧血
ネギ類に含まれる「有機チオ硫酸化合物」(チオスルフィン酸アリシン)という成分は、有犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。
この貧血が進行すると、粘膜や舌が白くなる、呼吸や心拍が速くなるなどの症状が現れ、重症化すると黄疸や、赤色から茶褐色の「血色素尿」がみられるようになります。最悪の場合、命に関わることもあるため、注意が必要です。
犬がネギを食べた際の応急処置
1. ネギを食べた時間・種類・量を記録する
犬がネギ類を食べてしまった場合、食べてからの経過時間、調理方法、どの種類のネギ類をどのくらいの量を食べたかを、できるだけ詳しく記録しておきましょう。これらの情報は、「ネギ中毒」の進行状況を判断し、適切な処置を行うために重要です。
2. 安静な場所で休ませる
犬がネギを食べてしまった場合、自己判断で無理に吐かせようとすることは危険なのでやめましょう。まずは安静にして、落ち着ける場所で休ませましょう。その後、速やかに獣医師に相談しましょう。
3. 獣医師に診てもらう
犬が、ネギ類を食べたことを確認したら、状況を詳しく確認し、食べた量や時間、調理方法などをメモしておきましょう。そのうえで速やかに獣医師に連絡し、診察を受けましょう。状況によっては、薬剤を使用して吐かせる処置(催吐処置)や、全身麻酔下での胃洗浄が必要になる場合もあります。
犬に与えてはいけない食材
1. 玉ねぎ
玉ねぎに含まれる「有機チオ硫酸化合物」は、人間においては血栓症等の病気を予防する効果がある成分ですが、犬はそこから形成されるアリシンを消化する酵素を持っていないため、同様の効果は期待できません。むしろ犬にとっては、少量でも中毒を引き起こす可能性があり、非常に危険です。
2. ニラ
ニラにも玉ねぎと同じく「有機チオ硫酸化合物」が含まれており、中毒を引き起こす可能性があるため、犬が誤って食べてしまわないよう十分注意しましょう。
3. にんにく
にんにくにもネギ類やニラと同様、「有機チオ硫酸化合物」が含まれています。摂取すると「貧血」や「溶血」を引き起こし、嘔吐や下痢の症状が現れることがあります。中毒量は、犬の体重1kgあたり15~30gとされていますが、少量を継続的に摂取しても中毒症状が出る可能性があります。特に、日本犬は、にんにくへの感受性が強く、わずかな量でも中毒を起こす場合があるため、十分な注意が必要です。
4. アボカド
アボカドの未熟な果肉・葉・皮・種子には「ペルシン」という殺菌作用のある物質が含まれており、犬や猫、牛や馬、うさぎ、マウス、鳥などに毒性を示します。摂取すると、嘔吐や下痢、軟便などの中毒症状のほか、脱水症状、痙攣、呼吸困難を引き起こす恐れがあります。
果肉は高脂肪・高カロリーのため、肥満や急性膵炎の原因になる恐れがあります。また、種は消化されず腸閉塞のリスクが高いため注意が必要です。
5. 生肉
人間用としては衛生管理の基準を満たさない食品が、法的規制が緩いことを利用して犬猫用として販売されることがあります。これにより、ウイルスや寄生虫、細菌感染のリスクが危惧されます。また、加工前の動物が持っていた病原菌をそのまま摂取してしまうことにもなるので、非加熱の状態で与えるのは避けた方が安全でしょう。
まとめ
ネギ類は人間には健康的な食材ですが、犬や猫など動物にとっては中毒を引き起こす可能性のある危険な食べ物です。ネギを摂取すると、嘔吐や下痢、食欲不振、貧血などの症状が現れ、重症化すると命に関わることもあります。
また、加熱や調理したネギでも有害成分が残るため、絶対に犬に与えてはいけません。万が一、犬がネギを食べてしまった場合は、食べた時間、ネギの種類、食べた量を記録し、速やかに獣医師に相談しましょう。
さらに、玉ねぎ、ニラ、にんにく、アボカド、生肉なども犬に有害な食材です。人間が食べている食品が犬にとって安全とは限らないため、間違って与えないよう注意が必要です。
■犬にネギを与えてはいけない
ネギ類は犬にとって非常に危険な食材であり、加熱や調理しても有害成分が分解されることはありません。そのため、生のネギはもちろん、料理に使用されたネギや煮汁も犬に与えてはいけません。■犬がネギを食べてしまった時の症状
1.嘔吐や下痢:最初に見られることが多い初期症状です。
2.食欲不振:元気がなくなり、食べ物を受け付けなくなる場合があります。
3.貧血:進行すると溶血性貧血を引き起こし、命に関わることもあります。■犬がネギを食べた際の応急処置
1.ネギを食べた時間・種類・量を記録する
2.安静な場所で休ませる
3.獣医師に診てもらう■犬に与えてはいけない食材
1.玉ねぎ
2.ニラ
3.にんにく
4.アボカド
5.生肉