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みかんはビタミンCが豊富な果物で、人間では肌荒れや、風邪の予防としてもよく食べられています。「こたつでみかん」は冬の風物詩ですね。
では、犬の場合はどうでしょうか?ここではみかんを犬に与えるメリットやデメリット、与える場合の適量や注意点をご紹介します。
犬にみかんを与える際は工夫と注意が必要

基本的には犬にみかんを与えてもただちに害を及ぼすものではありません。しかし、みかんに含まれている果糖の糖質で血糖値が上がる可能性や、食物繊維による消化不良の可能性、腎臓病など内臓疾患によっては、カリウム制限をした方が良いケースもあり、時と場合によってはデメリットになるケースもあり、積極的にあげるものではなく、与える量やあげ方に注意が必要です。
ただし食欲がない場合には、みかんの甘みは犬にとっては大好物な子も多く、何も食べてくれない場合に限り、食べないよりはまだマシという意味で、みかんをあげるのは有効です。
犬は何歳(いつ)からみかんを食べられる?

離乳後の子犬や老犬であっても、みかんを与えることは可能です。ただし、みかんには酸味があり、あげすぎると胃を荒らすこともありますので、様子を見ながら与え、量もほんの少しからにしましょう。下痢や嘔吐、軟便が見られたら、みかんを与えるのをやめて、動物病院を受診してください。
犬にみかん(実・薄皮・スジ)を与えるメリット

メリット① みかんの実からは、クエン酸を摂取できる
みかんの実には酸味成分であるクエン酸が含まれます。クエン酸にはエネルギーを補給したり、疲労回復を助けたりする効果があります。
メリット② みかんの薄皮やスジの食物繊維(リモノイド・ヘスペリジン・ペクチン等のファイトケミカル)を摂取できる
みかんの薄皮やスジには、食物繊維を含むヘスペリジンやペクチンが豊富です。食物繊維は、腸の中をゆっくり移動して糖質の吸収を緩やかにする作用や、腸内の善玉菌の餌となり、腸内環境を整える作用があります。
メリット③ カリウムを摂取できる
みかんにはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。カリウムには、浸透圧を調整する作用があり、体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出することで、血圧が高くなるのを防ぎ、神経の伝達や筋肉の収縮にも役立ちます。
ただし、加齢や腎臓病で腎臓の機能が低下していると、余分なカリウムを上手に体外に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」になる心配があります。高カリウム血症は、痙攣や頻脈、不整脈などを引き起こす原因になり、重篤になると命に関わることも。シニア犬や腎臓病のある犬、心機能が低下している犬にみかんを与えるときは注意が必要です。
メリット④ ビタミンCを摂取できる
みかんには100gあたりビタミンCが32㎎と、りんごと比べて4倍以上多く含まれています。
ビタミンCには激しい運動や加齢などによる酸化ストレスに有効な、抗酸化作用があります。さらにコラーゲンの生成にも大きく関わっていることから、皮膚や関節にも効果的な栄養素です。
ただし、犬は自身の体内でビタミンCを生成することができるので、積極的にみかんから摂取する必要がありません。むしろ過剰摂取となると、尿phをアルカリに傾ける可能性が出てきますので、与える量は少量に留めておきましょう。
ミネラルやビタミンは身体を形成する上で大切な成分ではありますが、多く摂れば良いというものではなくバランスがとても大切です。持病があり、特定の栄養素の制限が必要な場合には、みかん単独で与えると持病が悪化するリスクがあるので与えすぎには注意しましょう。
犬への適切なみかんの与え方

与える量
おやつとして与えた場合は、1日に必要なカロリーの10%程度に留めるべきと言われています。このカロリーから計算すると、みかんを与えて良い目安量は以下のようになります。
・小型犬(2~5kg) 38~76g(中1/3個~中2/3個)まで
・中型犬(6~15kg) 88g~174g(中1個~大1個)まで
・大型犬(20~50kg) 216g~430g(中2個~中4個)まで
上記は健康な犬の場合の目安であり、心臓、腎臓、肝臓などの内臓疾患がある場合には、もっと少なくした方が良いでしょう。また、一定以上の量を毎日摂取し続けると、デメリットが蓄積し、犬の負担となるリスクがあります。おやつのひとつとして、たまに少量与えることを心がけると良いでしょう。
大きさ
犬は食べ物を丸呑みしやすい習性があります。みかんは柔らかいので、あまり心配がないものの、小型犬は食道に詰まらせたり窒息を起こさないために、みかんは小さくカットしたり、絞ってジュースにして与えてあげましょう。
与え方
みかんを与える場合は、必ず外皮をむいてあげましょう。外皮は消化が悪く、中毒性の「ソラレン」という物質が含まれているので、下痢や嘔吐の原因となることがあります。
絞ってジュースにしても良いですが、与え過ぎると下痢になることがありますので、注意が必要です。
また、未熟な青いみかんには「アルカロイド」という植物毒が含まれているので、必ず熟したみかんを与えるようにしましょう。
果糖の害を軽減させるために
みかんはGI値の低い果物ではありますが、果糖が含まれています。そのため血糖値が上がる可能性、ブドウ糖に変換されるデメリットがあります。ダイエットが必要な場合や腫瘍、糖尿病がある場合は目安量より少量に留めておくと良いでしょう。
【基準】GI値
GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のこと。
高GI値:61以上
低GI値:60以下
みかんのGI値:33
ダイエットが必要な場合や、糖尿病の愛犬ちゃんには、みかん単独ではなく茹でた野菜と一緒に与えることをおすすめします。
食物繊維で果糖を薄めることができますし、余分な果糖を絡みとり、排出する働きがあるため、より果糖のデメリットを排除できるという点で有効です。ゆでた野菜で食物繊維を作るレシピは以下の通りです。
◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)
さつまいも・きのこ・人参・小松菜・ブロッコリー
いずれも必ず細かくみじん切りし、3~10分茹でて、ゆで汁は捨てましょう。※焼く、蒸す、レンジはNG
糖分や不要な栄養成分が流れ出ているゆで汁を捨てる事が大切です。
・ゆで野菜:みかんの割合=1:1
特にシニア期、太り気味、糖尿病や内臓疾患のある犬猫ちゃんには、この様な工夫をしてあげると無難でしょう。
犬にみかんを与える際の注意点

市販のみかんジュースやみかんの缶詰は糖分を多く含むので注意する
果物のみかんは、これまでお伝えした内容をきちんと守れば犬も食べられます。しかし、みかんを加工した人間用の食品は飲ませない・食べさせないようにしましょう。
例えば「みかんジュース」。一般的なみかんジュースには甘味料や着色料など何らかの添加物が入っているため、そもそも犬に飲ませること自体好ましくありません。
そして「みかんの缶詰」。みかんの缶詰は生のみかんの果肉よりも糖分が高く、ダイエットをしている人や血糖値が気になる人でさえ食べることを避けている食品です。
どうしても与える場合には、お水や茹でた野菜等をミックスし、みかんの糖質を薄めてあげるといいでしょう。
あげすぎは良くないが、意外にも白いスジはメリットになる?!
「みかんは薄皮ごと食べる」という飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。みかんの薄皮に付いた白いスジはリモノイドやヘスペリジン、ペクチンという食物繊維(ファイトケミカル)があり、果糖もなく少量であれば、食物繊維を補給することが出来ます。お腹の調子をみながら、あげても良いでしょう。
まとめ
みかんは栄養的にもビタミンCやクエン酸など、メリットのある栄養素を多く含んだ果物です。しかし、犬にとっては与えすぎると下痢や体調不良の原因になる事があります。ただし、みかんの皮はヘスペリジン、ペクチン、リモノイドというファイトケミカルを含む食物繊維で、便通を良くする、デトックス効果もあります。みかんをあげるときのポイントとしては、
生で与える場合には少量で留める
果糖(糖質)糖のデメリットを中和させるためには、同量のゆで野菜と一緒に摂る
みかんの甘みは犬にとって大好物。何も食べないときにあげるのは、栄養補給としても効果的。
適量を守って、与えすぎには注意しましょう。