乾燥肌

犬の乾燥肌の原因と症状は?保湿ケア・食事・シャンプーで対策!フケ、かゆみの対処法

「最近、愛犬が体をよく掻いている」「黒い服にフケがついて目立つ…」。

そんなサインは、皮膚の乾燥が原因かもしれません。日々の食事やシャンプー、お部屋の環境など、良かれと思っていた習慣が、実は乾燥を招いていることも。犬の皮膚は非常にデリケートで、放置するとかゆみやフケが悪化してしまいます。

この記事では、犬が乾燥肌になる原因や対策を解説。さらに、ご家庭でできる保湿ケアや食事、シャンプーなども紹介しているので、愛犬に合った解決法を探ってみてください。

犬の皮膚はデリケート!乾燥肌になりやすい

犬が乾燥肌になりやすいのは、人間と比べて皮膚が非常に薄く、繊細だからです。皮膚の表面で水分を保つ「角質層」の暑さには、これだけの差があります。

人間(成人):0.2mm
人間(新生児):0.1mm
犬:0.05mm~0.1mm
 

犬の皮膚は、私たち大人の半分以下の薄さしかなく、まさに人間の赤ちゃんのよう。この薄い皮膚バリアでは水分を保ちにくいため、乾燥しやすく、外部からの刺激にも弱いのです。

犬の乾燥肌の4つの症状

愛犬が乾燥肌かどうか、以下の項目でチェックしてみましょう。当てはまるものがあれば、早めの対策が必要です。

1. かゆい箇所を引っ掻く

皮膚の乾燥は、かゆみを引き起こすサインです。皮膚のバリア機能が低下すると、普段は何でもないホコリや摩擦といったわずかな刺激にも過敏に反応し、かゆみが生じます。

後ろ足で体を掻きむしる、足先を執拗に舐める、家具に体をこすりつけるといった行動が頻繁に見られる場合は注意が必要です。これらの行為は皮膚をさらに傷つけ、炎症を悪化させる悪循環に陥るため、早めのケアが大切になります。

2. 毛が乾燥している

美しい被毛は、健康で潤った皮膚から生まれます。皮膚が乾燥すると、被毛をコーティングしているツヤを与える皮脂の分泌が乱れ、毛の一本一本まで栄養が行き渡らなくなります。

その結果、被毛はパサついて、毛切れを起こし、毛玉もできやすくなるのです。被毛のツヤがない、パサツキが気になる場合は、皮膚が乾燥していないかを疑いましょう。

3. フケが見られる

皮膚の乾燥がひどくなると、ターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、パラパラとした粉のようなフケが増えます。これは、本来まだ剥がれるべきではない未熟な皮膚が、乾燥によって剥がれ落ちているサインです。

さらに注意したいのが、サイズが大きくベタベタとした脂っぽいフケ。これは、皮脂の過剰分泌や皮膚炎の可能性も示唆しています。普段と違うフケが目立つ場合は、皮膚のバリア機能が低下している危険信号と捉えましょう。

4. 皮膚にベタつきや臭いがある

乾燥肌と聞くとカサカサした状態を想像しますが、逆に皮膚が脂っぽくベタついたり、独特の臭いがしたりするのも、実は乾燥が引き金となっている場合があります。これは、皮膚が乾燥しすぎると、潤いを補おうとして皮脂が過剰に分泌されてしまうためです。

この状態は「脂漏症(しろうしょう)」と呼ばれ、マラセチアなどの常在菌が増殖し、さらなる皮膚炎を招く原因にもなります。

犬の乾燥肌になりやすい体の部位

犬の皮膚は全身が乾燥する可能性がありますが、その中でも特に乾燥のサインが現れやすい、注意してチェックすべき部位があります。日々のスキンシップの際に、これらの場所を優しく触って、状態を確認してあげましょう。

背中〜尻尾の付け根

犬の背中、特に尻尾の付け根あたりは、皮脂の分泌が多い反面、フケなどのトラブルも起きやすい部分です。犬自身では舐めたりケアしたりしにくいため、飼い主様がブラッシングなどで清潔を保ち、皮膚の状態をよく見てあげる必要があります。

関節の外側(肘・かかと)

フセをするときなどに、いつも床に当たっている肘やかかとの部分は、摩擦によって皮膚が硬くなり(タコ)、乾燥してひび割れなどを起こしやすい場所です。保湿クリームなどで、こまめにケアしてあげると良いでしょう。

お腹や内股

お腹や内股は、被毛が薄く、デリケートな皮膚が直接外部の刺激に晒されやすい部分です。アレルゲンが付着しやすかったり、乾燥した空気に触れやすかったりするため、赤みやかゆみが出やすい傾向にあります。

耳のふち

耳の先端や縁の部分は、皮膚が薄く、血行も滞りやすいため、乾燥してカサカサになったり、フケが付着したりすることがよくあります。寒い季節には特に乾燥しやすいので、注意が必要です。

犬の乾燥肌の原因

犬の乾燥肌になる原因としては、次のようなものが考えられます。

1. 環境による湿度の低下

人間と同じように、犬の皮膚の潤いは、生活環境の湿度に左右されます。特に、冬場の暖房や夏場の冷房は室内の空気を著しく乾燥させ、皮膚の水分を奪う大きな原因です。

加湿器を設置して室内の湿度を40%〜60%に保ち、エアコンの風が愛犬に直接当たらないよう配慮しましょう。

2.シャンプーやスキンケアの方法

良かれと思って行っているシャンプーが、乾燥肌の原因になっているケースも少なくありません。洗浄力の強いシャンプーや、月2回以上の頻繁すぎるシャンプーは皮膚を守るべき皮脂まで洗い流してしまいます。

シャンプー後に痒がる場合は、製品や頻度が合っていない可能性があります。アミノ酸系などの低刺激な保湿シャンプーを選んであげることが大切です。また、シャンプー後に乾かす際も、ドライヤーは体から十分に離し、同じ場所に熱風が当たり続けないよう、常に動かしながら全体を優しく乾かしてあげましょう。

4. アレルギー反応

健康な犬の皮膚は、皮脂とセラミドに満たされた角質層による「バリア機能」で守られています。しかし、皮膚が乾燥するとこのバリア機能が低下し、花粉などのアレルゲンが侵入しやすくなるため、アレルギー症状が現れやすくなります。

また、乾燥が進みすぎると、体は潤いを補おうと逆に皮脂を過剰に分泌し、ベタベタした脂っぽい皮膚になってしまうことも。この状態は、細菌の温床となり、かえって皮膚トラブルを悪化させる原因になります。

4. 栄養不足や栄養バランスの偏り

健やかで潤いのある皮膚を保つには、食べ物から栄養を摂取する必要があります。栄養バランスが悪くなると、人間と同じように、犬も乾燥などの肌トラブルにつながりやすくなります。

特に、以下の栄養素は健康な皮膚の土台作りに重要です。

  • 良質なタンパク質: 皮膚や被毛そのものの主成分となります。
  • オメガ3脂肪酸: 皮膚の炎症を抑え、潤いを保つ働きがあります。
  • ビタミンA・E、亜鉛: 皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を正常に保ちます。

バランスの取れた食事を基本とし、必要に応じてこれらの栄養素をサプリメントなどで補いましょう。

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5. 加齢による皮膚機能の低下

犬も7歳を過ぎた頃からシニア期に入ると、皮膚の機能が自然と衰え、乾燥しやすくなります。これは、皮膚の水分を保つセラミドなどの保湿成分や、皮膚を守る皮脂の分泌量が、加齢とともに減少するためです。

若い頃と比べてフケが増えたり、皮膚がカサついたりするのは、老化によるバリア機能低下のサイン。より一層の保湿ケアや、消化しやすく皮膚の健康をサポートする栄養が強化された、シニア犬専用フードへの切り替えを検討しましょう。

犬の乾燥肌に気づいたときの対処法と自宅ケア【保湿・シャンプー・食事】

愛犬の乾燥肌に気づいたら、原因に合わせて、体の外側と内側の両方からアプローチすることが大切です。ここでは、ご家庭ですぐに実践できるケアと、動物病院での治療について解説します。

外側からのケア【保湿・清潔・保護】

皮膚に直接行うケアです。皮膚のバリア機能を正常な状態に戻すことを目指します。

保湿を徹底する

お部屋の湿度を快適に保ってあげることと並行して、乾燥が気になる部分には、犬専用の保湿スプレーやクリームを優しく塗り込んであげましょう。セラミドなどの保湿成分が、皮膚のうるおいを守ってくれます。

皮膚に優しいシャンプーを行う

シャンプーは、皮膚の潤いを守るアミノ酸系などの低刺激で保湿成分の入ったものを選んであげてください。洗いすぎは必要な皮脂まで奪ってしまうので、月1〜2回が目安です。

日々のブラッシングを習慣にする

優しくブラッシングしてあげることで、抜け毛やフケを取り除き、皮膚を清潔に保てます。何より、体を触ることで、小さな異常にもすぐに気づいてあげられます。

天然素材の洋服で守ってあげる

お肌が敏感になっている時は、オーガニックコットンなど優しい素材の服が、乾燥や外部の刺激から皮膚を守ってくれます。掻き壊しを防ぐのにも役立ちますよ。

内側からのケア【食事療法】

健やかでうるおいのある皮膚は、毎日の美味しいごはんから作られます。体の内側から、皮膚を元気にしてあげましょう。

必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)を補給する

皮膚の炎症を抑え、うるおいを保つ働きがあるオメガ3脂肪酸は、ぜひ食事にプラスしてあげたい栄養素です。サーモンオイルなどを、いつものごはんに少しだけかけてあげるのがおすすめです。

⚫️おすすめ食材:
サーモンオイル(オメガ3)、亜麻仁油、えごま油(オメガ3)

高品質なタンパク質で皮膚の再生を促す

皮膚や被毛そのものの材料となる、良質なタンパク質は欠かせません。鹿肉やお魚など、消化に優しく、アレルギーの心配が少ない食材を選んであげると良いでしょう。

⚫️おすすめ食材:
鹿肉、馬肉、ターキー、白身魚(低アレルゲン・消化が良い)
内臓肉(肝臓など):脂溶性ビタミンや鉄分が豊富

ビタミン・ミネラルで皮膚バリアを強化する

皮膚の生まれ変わりを助けるビタミンAやビタミンE、亜鉛といった栄養素も大切です。かぼちゃやレバー、赤身肉などを上手に取り入れてみてください。

栄養素

働き 食材例
ビタミンA 皮膚と粘膜の健康維持 レバー、にんじん、卵黄

 

ビタミンE 抗酸化作用、皮膚の保護 アーモンド粉、ひまわり油
ビオチン(B7) 毛艶と皮膚修復 卵黄、レバー、魚
亜鉛 皮膚再生、かゆみ軽減 赤身肉、かぼちゃの種
セレン 酸化ダメージ対策

魚類、全卵

 

専門家によるケア【動物病院での治療】

ご家庭でのケアを続けてもなかなか良くならない、かゆみがとても強そうといった場合は、無理せず動物病院に相談しましょう。

薬を処方する

あまりにもかゆみが強く、愛犬が掻き壊してしまうような場合は、まずお薬の力を借りて、そのつらさを断ち切ってあげることが重要です。動物病院では、症状に応じて抗ヒスタミン剤やステロイドといった飲み薬や塗り薬が処方されます。これらのお薬は、まず激しいかゆみを抑え、かゆみの悪循環を止めるために非常に効果的です。

薬用シャンプーで治療する

皮膚の状態によっては、細菌や真菌の感染を抑えるための特別な「薬用シャンプー」が獣医師から処方されることがあります。これは、ただ汚れを落とすだけでなく、皮膚病の原因に直接アプローチする有効な治療法です。

獣医師の指導のもと、正しい使い方で薬浴を行い、皮膚の状態を改善していきましょう。

犬の乾燥肌に関するよくある質問

最後に、犬の乾燥肌に関するよくある質問に答えていきます。

犬の乾燥肌に人間用の保湿クリームや化粧水を使っても大丈夫ですか?

犬と人間の皮膚は性質が異なり、人間用の製品は刺激が強すぎることがあります。また、香料などの成分がアレルギーの原因になったり、愛犬が舐めてしまうことで体調を崩したりする心配も。

愛犬のデリケートな皮膚を守るためにも、犬のために作られた、舐めても安心な保湿剤を選んであげましょう。

市販の保湿スプレーを選ぶ際のポイントは?

市販のスプレーを選ぶ際は、以下の3つのポイントでチェックするのがおすすめです。

  • 保湿成分: セラミドやヒアルロン酸など、皮膚の潤いを保つ成分が入っているか。
  • 肌への優しさ: 香料やアルコールなどが入っていない、無添加・低刺激のものか。
  • 安全性: 愛犬が舐めてしまうことを考え、「舐めても安全」なものを選ぶと安心です。

乾燥肌の犬にシャンプーは必要ですか?

乾燥肌の犬にもシャンプーは必要です。ただし、洗いすぎないように注意しましょう。シャンプーで、皮膚についたアレルゲンや雑菌を優しく洗い流せば、皮膚を健康に保てます。

洗浄力がマイルドな保湿系シャンプーを選び、月1〜2回の適切な頻度を守ることが大切です。

まとめ

愛犬の皮膚は、私たちが思う以上にデリケートで、乾燥しやすいものです。乾燥肌のケアでは、体の外側からの保湿と「体の内側からの食事」といった両方からアプローチすることが大切です。

日々のスキンシップを兼ねて保湿ケアを習慣にし、皮膚に優しいシャンプーを選び、皮膚の健康を支える栄養バランスの取れた食事を心がけてあげましょう。

こうしたケアを続けても、かゆみやフケが改善しない場合は、背後にアレルギーなどの原因が隠れているサインかもしれません。一人で悩まず、かかりつけの獣医師に相談する必要があります。