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甘酸っぱくジューシーなパイナップル。「この美味しさを愛犬にもおすそ分けしたい」と思う飼い主さんは多いのではないでしょうか。
結論からいうと、パイナップルは犬に与えても良い果物です。
しかし、与え方や量によっては注意が必要です。
本記事では、犬にパイナップルを与えるメリットや注意点、適切な与え方を詳しく解説します。愛犬にパイナップルを与えたいけれど不安がある方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
犬はパイナップルを食べても大丈夫
パイナップルは犬にとって有害な成分は含まれておらず、与えても問題はありません。
ただし、犬によって反応が異なるため、与える際には注意が必要です。水分補給に役立ったり、消化を助ける酵素が含まれていたりといったメリットがある一方で、糖分や食物繊維が多いため、与えすぎると下痢や肥満の原因になるというデメリットもあります。
メリットを活かし、デメリットを避けるためには、量と与え方を守ることが大切です。
犬は何歳(いつ)からパイナップルを食べられる?
愛犬にパイナップルを与えて良い時期についてですが、消化器の機能が未熟な子犬や、衰えてきている老犬には注意が必要です。
幼犬にもパイナップルを与えることはできます。ただし、幼い時期は消化器官がまだ発達していない状態なので、パイナップルに多く含まれる食物繊維が消化不良を起こしやすく、嘔吐や下痢などの原因になることがあります。
子犬に与えるのは、消化器官が十分に発達し、体がしっかりしてくる生後半年〜1年を過ぎてからにしましょう。
子犬にパイナップルを与える場合は、体重にかかわらず、「少量」にとどめます。
また、シニア犬の場合、腎臓機能が低下していますが、その際にはカリウムを多く含む果物を控えるべきです。積極的に与えるのは避けた方が良いでしょう。
犬への適切なパイナップルの与え方
続いて、愛犬にパイナップルを与える際の、具体的な量や大きさ、与え方について見ていきましょう。
与える量
パイナップルをおやつとして与える場合、1日に必要なカロリーの10%程度にとどめるべきです。この目安から計算すると、適切な量は以下の通りです。
・小型(2~5kg) 35g~69g(小2切~小4切)
・中型(6~15kg) 79g~158g(大3切~大5切)
・大型(20~50kg) 196g~390g(大8切~大16切)
※上記の量はおおよその目安です。犬の体格や運動量に応じて必要量は異なります。
※他のおやつを与える際は、それに応じてパイナップルの量を減らしましょう。
※上記の推奨量であっても、一度に与えずに少しずつ分けて与えるようにしましょう。
与える大きさ
喉に詰まらせないよう小さくカットしてあげると良いです。
犬は食べ物を丸呑みする傾向があるので、パイナップルを与える場合は、できるだけ細かく切って与えましょう。大きな塊は消化管に詰まり、消化不良を引き起こす懸念があります。
消化機能に不安のある犬に与える場合には、ミキサーなどで果汁100%ジュースにするのも良いでしょう。
与え方
パイナップルの葉や皮、芯は犬に与えてはならない部分です。葉や皮が硬く尖っているため、これらを食べると胃腸に詰まるか傷つける可能性が高いです。また、芯の部分も消化が悪いため、与えてはいけません。パイナップルは、よく熟した果肉のみを与えるようにしましょう。
パイナップルの果糖やGI値が気になる場合の与え方
パイナップルは糖分が多く、GI値も高めの果物になります。そのため特に肥満気味の犬や糖尿病の持病がある犬には、与える際に工夫が必要です。
【基準】
高GI値:61以上
低GI値:60以下
パイナップルのGI値:65
ダイエットが必要な場合や、糖尿病の愛犬には、パイナップルを単独で与えるのではなく、食物繊維が豊富な茹でたブロッコリーやキャベツなどを少量混ぜ、糖質の吸収を緩やかにするという工夫も考えられます。血糖値を上げにくい野菜は以下にまとめました。
◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)
さつまいも・きのこ・人参・小松菜・ブロッコリー
いずれも必ず細かくみじん切りし、3~10分茹でて、ゆで汁は捨てましょう。
※「焼く」、「蒸す」、「レンジ」は、NG
糖分や不要な栄養成分が流れ出ているゆで汁を捨てる事が大切です。
ゆで野菜:パイナップルの割合=1:1
専門家である獣医師の指導のもと、食事内容を工夫してみてください。
犬にパイナップルを与える際の注意点

愛犬にパイナップルを与える注意点は以下の通りです。
- 適量を守る
- 葉、皮、芯は取り除く
- 細かく刻んで与える
- 初めて与える際はアレルギーを警戒し、少量から
- 持病や薬を服用中の場合は獣医師に相談する
- 市販のジュースや缶詰は避ける
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
1. 適量を守る
パイナップルは糖分やカロリーが高いため、与えすぎは肥満や下痢の原因になります。おやつとして与える際は、1日の摂取カロリーの10%以内に抑えるのが基本です。
パイナップルをあげた日はその分他のおやつを減らすなど、必ず量を調整してあげましょう。
2. 葉、皮、芯は取り除く
犬に与えていいのは、パイナップルの柔らかい果肉部分のみです。パイナップルの皮や芯、葉は硬くて消化が難しく、喉や消化器官を詰まらせる原因となるため、絶対に与えないでください。
芯を噛み切る際に歯を傷めたり、皮のトゲで口内を傷つけたりする危険もあるため、事前に取り除いておきましょう。
<与えるポイント>
・包丁を使い、皮をきれいに取り除いてから果肉だけをカットする。
・芯も硬いため与えない。
3. 細かく刻んで与える
犬は食べ物を丸呑みする習性があるため、大きな塊のまま与えると、喉に詰まらせるリスクがあります。特に小型犬やシニア犬では、誤飲や窒息の可能性があるため注意が必要です。
愛犬の口の大きさに合わせて、必ず細かく刻むか、すりおろしてから与えるようにしましょう。
<与えるポイント>
・愛犬のサイズに合わせて果肉を細かく刻む。
・可能であればすりつぶすか、軽くミキサーにかけることでより安全に。
4. 初めて与える際はアレルギーを警戒し、少量から
パイナップルに含まれる「ブロメライン」などの酵素や微量のタンパク質が原因で、稀に食物アレルギー反応が起こることがあります。初めて与えるときは、アレルギーが出ないかを確認するために、必ずごく少量からスタートしてください。
小指の先ほどのサイズをひとかけら与え、その後は半日~1日程度、愛犬の様子を注意深く観察しましょう。もし皮膚をかゆがる、下痢や嘔吐をする、元気がなくなるなどの症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、かかりつけの動物病院に相談してください。
<与えるポイント>
・アレルギーの有無を確認するため、少量からスタート。
・異常が見られた場合はすぐに与えるのを中止し、獣医師に相談。
5. 持病や薬を服用中の場合は獣医師に相談する
糖尿病や腎臓疾患、心臓病などの持病ある子や、薬を服用中の子に自己判断で与えるのは危険です。パイナップルに含まれる糖分やカリウムが、病状や薬の効果に影響を与える可能性があります。与える前に、必ずかかりつけの獣医師に確認を取りましょう。
例えば、糖尿病の犬にパイナップルを与えると血糖値が急激に上昇するリスクがあります。また、酵素「ブロメライン」が特定の薬との相互作用を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
<与えるポイント>
・持病や服薬中の場合は、事前に必ず獣医師に相談する。
・与えるべきでない場合もあるので、慎重に判断する。
6. 市販のジュースや缶詰は避ける
市販のパイナップルジュースや缶詰は、シロップ漬けにされていたり、糖分や添加物が加えられていたりするため、与えないでください。糖分の過剰摂取に繋がり、肥満や様々な病気のリスクを高めます。与えるなら、必ず生の新鮮な果肉にしましょう。
<与えるポイント>
・新鮮な生のパイナップルのみを与える。
・ジュースにする場合は、水を加えたり、他の食物繊維が多い野菜(茹でたニンジンなど)を混ぜて薄める。
犬にパイナップルを与えるメリット
愛犬にパイナップルを与えるメリットは以下の通りです。
- 酵素の力で消化のサポート
- ビタミンやミネラルで健康を維持
- 食物繊維で腸内環境を整える
- 水分補給ができる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
1. 酵素の力で消化をサポート
パイナップル特有のタンパク質分解酵素「ブロメライン」は、お肉などを柔らかくすることで知られています。胃液の分泌を活性化し、食べ物の分解を助ける働きがあるため、愛犬の消化機能がスムーズに働くようサポートしてくれます。
消化不良や軽い胃のもたれが見られる愛犬には、食後に少量のパイナップルを与えることで消化を助けることが可能です。ただし、与えすぎると逆効果になる場合もあるため、適量を守りましょう。
2. ビタミンやミネラルで健康を維持
パイナップルには、抗酸化作用のあるビタミンCや、エネルギー代謝を助けるビタミンB群、骨や関節の健康維持に役立つマンガン、そして筋肉や心臓の働きを支えるカリウムといった栄養素が含まれています。これらのビタミンやミネラルが、愛犬の免疫機能の維持や、健康な体づくりを総合的にサポートします。
3. 食物繊維で腸内環境を整える
パイナップルは水溶性と不溶性の両方の食物繊維を豊富に含む果物です。食物繊維は腸内の善玉菌を増やし、腸の動きを活性化することで、排便をスムーズに促します。便秘気味の愛犬には嬉しいメリットです。
排便が滞りがちな愛犬にパイナップルを少量与えることで、便通を良くし、腸内環境を整える効果が期待できます。ただし、消化機能の落ちている幼犬や老犬は、過剰に摂取することで下痢や嘔吐の原因になることもあるので、少量に留めておくほうがよいでしょう。
4. 水分補給ができる
パイナップルは約85%が水分で、非常にジューシーな果物です。水を飲むのが苦手な愛犬にとって、パイナップルは手軽な水分補給の手段となります。暑い夏の日や運動後に、適量のパイナップルを与えることで、脱水症状の予防や熱中症対策にもつながります。
ただし、与える際は冷たすぎない状態にすることが望ましいです。
まとめ
パイナップルは、正しい量と与え方を守れば、犬にとって美味しく、健康にも良い効果が期待できる果物です。
消化を助けたり、水分補給になったりといったメリットがある一方で、与えすぎや、皮・芯などを与えてしまうことには大きなリスクが伴います。
この記事でご紹介した「適量を守る」「果肉だけを小さくカットして与える」といったことを守り、愛犬の体調やアレルギーの有無にも気を配りながら、楽しいおやつ時間の一つとしてパイナップルを取り入れてみてください。

