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私たち人間が日常的に食しているきのこ。まいたけやしめじ、エリンギなど種類はさまざまですが、犬に与えても大丈夫なのでしょうか?
そこで本記事では、犬にきのこを与えても良いのか、メリットや与え方、注意点を解説します。愛犬にきのこを与えたいと考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
犬はきのこを食べても大丈夫
スーパーマーケットなどで販売されている食用のきのこであれば、犬に与えても問題ありません。
しいたけ、舞茸、しめじ、エリンギ、マッシュルームといった、おなじみのきのこには、犬の中毒の原因となるような有毒成分は含まれていないからです。一方で、散歩中などに見かける野生のきのこは、毒キノコの可能性があり絶対に危険です。
市販のきのこであっても、きちんと加熱調理をするなど、適切な与え方をすれば、安心して愛犬に食べさせることができます。
犬は何歳(いつ)からきのこを食べられる?
犬は、離乳が完了した幼犬の段階からキノコを食べられます。ただし、キノコに含まれる食物繊維の量が多いため、幼犬、老犬、消化器官が敏感な犬がキノコを摂取する場合、消化不良を引き起こすリスクがあります。そのため、キノコを細かく刻んだり、ペースト状にして消化しやすくして与えましょう。
犬に与えてもいいきのこの種類と栄養
私たちが普段スーパーマーケットで購入する食用のきのこは、適切に調理すれば犬の健康に役立つ栄養素を補給できます。ここでは、代表的な7種類のきのこと、それぞれが持つ特徴を見ていきましょう。
1. しいたけ
しいたけは、免疫力の維持をサポートすると言われるβ-グルカンや、骨の健康に役立つビタミンDが豊富です。独特のうまみ成分の香りは、食欲が落ちている子の食事への興味を引くきっかけになることも。与える際は、必ず加熱し細かく刻んでください。
3. 舞茸
舞茸は、きのこ類の中でも特にβ-グルカンの含有量が多いことで知られています。免疫力を正常に保つ働きが期待でき、体の内側から健康をサポートします。ビタミンB群やビタミンDも含まれる、栄養価の高いきのこです。
3. しめじ
スーパーなどで手に入りやすく、クセのない風味で与えやすいきのこです。エネルギー代謝を助けるビタミンB群や、体内の水分バランスを整えるカリウムを手軽に補給できます。ぶなしめじ、本しめじなど様々な種類がありますが、いずれも加熱すれば問題ありません。
4. エリンギ
エリンギは、食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、便通をサポートする効果が期待できます。他のきのこに比べて歯ごたえがあるため、消化不良を防ぐために、特に細かく刻んだり、ペースト状にしたりして与えることが重要です。
5. マッシュルーム
マッシュルームは、低カロリーでありながら、ビタミンB群やカリウム、うまみ成分のグルタミン酸を含んでいます。香りが良く、手作りごはんやスープなどの風味付けにも役立ちます。ブラウン種、ホワイト種どちらも与えて問題ありませんが、必ず加熱してください。
6. えのき
えのきは、疲労回復をサポートすると言われるビタミンB1が、きのこ類の中でも豊富です。食物繊維も多く含まれるため、便通改善が期待できます。細長い形状のため、喉に詰まらせないよう、必ず1cm以下に細かく刻んでから加熱してください。
7. なめこ
なめこ特有のぬめり成分「ムチン」は、胃の粘膜を保護する働きがあると言われています。水分も豊富なため、手作り食のトッピングにも適しています。与える際は、他のきのこと同様に必ず加熱し、細かく刻んであげましょう。
きのこに含まれる栄養素と与えるメリット
きのこに含まれる栄養素と、犬にきのこを与える4つのメリットは以下の通りです。
- ビタミンB群を摂取できる
- ビタミンDを摂取できる
- カリウムを摂取できる
- β–グルカンを摂取できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
1. ビタミンB群を摂取できる
きのこに豊富なビタミンB群は、犬のエネルギー代謝に不可欠な栄養素です。食事から摂った炭水化物やタンパク質を、活動するためのエネルギーに変える働きを助けます。
また、健康な皮膚や粘膜の維持、脳の神経伝達をサポートする役割も担います。特に、活動的な犬や、代謝が落ちてくるシニア犬の健康維持に役立ちます。
2. ビタミンDを摂取できる
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、丈夫な骨や歯を作るために不可欠です。人間と違い、犬は日光浴ではビタミンDをほとんど生成できず、食事から摂取する必要があります。きのこはその貴重なビタミンDを手軽に補給できる食材です。
ただし、ビタミンDの過剰摂取は健康を害するリスクもあるため、あくまで栄養補助として少量に留めましょう。
3. カリウムを摂取できる
きのこに含まれるカリウムは、愛犬の活動的な体を支えるために欠かせないミネラルです。神経の伝達や筋肉の収縮をスムーズにする働きがあるため、日々の散歩や遊びを楽しむための元気な体づくりをサポートします。また、体内の水分バランスを調整し、余分な塩分を排出する役割も担っています。
ただし、このカリウムは腎臓や心臓に疾患がある犬、そしてその機能が衰えがちなシニア犬には注意が必要です。与える前に、必ず獣医師に相談しましょう。
4. β–グルカンを摂取できる
きのこ類に豊富に含まれる食物繊維の一種「β-グルカン」は、愛犬の免疫力を正常に保つ働きで知られている成分です。腸内にある免疫細胞に働きかけることで、体が本来持つ抵抗力を維持し、日々の健康をサポートします。
特に、舞茸やしいたけ、アガリクスといったきのこに多く含まれており、体の内側から病気に負けない体づくりを目指す上で、非常に頼りになる栄養素と言えるでしょう。
犬にきのこを安全に与えるための正しい方法
続いて、愛犬にきのこを安全に与える際の正しい与え方をご紹介します。
与えて良い量を守る
きのこは消化しにくいため、あくまでおやつやトッピングとして、ごく少量に留めます。1日の摂取カロリーの10%以内を目安に、以下の量を超えないようにしましょう。
小型犬・・・30g
中型犬・・・50g
大型犬・・・90g
※上記はあくまでも目安です
※5kgに満たない小型犬や幼犬は、量を減らすなどの調整が必要です
きのこは栄養豊富ですが、与えすぎると消化に負担をかけたり、持病によっては体に悪影響を及ぼしたりする可能性もあります。
そのため、きのこ単体でたくさん与えるのではなく、他の野菜と組み合わせるなど、食事全体のバランスを考えて少量を取り入れるのが良いでしょう。
細かく刻んで与える
犬は、きのこの硬い細胞壁を消化するのが苦手です。そのまま与えても、栄養を十分に吸収できず、便にそのまま出てきてしまうことも。消化不良を防ぎ、きのこが持つ栄養を効率よく吸収させるためにも、必ずみじん切りにするか、ミキサーなどでペースト状にしてから与えるようにしてください。
必ず加熱調理する
生のきのこは、犬にとって消化が悪く、嘔吐や下痢の原因となるだけでなく、食中毒のリスクも伴います。安全に与えるためには、茹でる、蒸すといった方法で、必ず加熱調理をしてください。また、犬が火傷しないように、加熱後は十分に冷ますことが大切です。
犬にきのこを与える際の注意点
犬にきのこを与える際の注意点は以下の通りです。
- 調味料などで味付けはしない
- お腹の具合が不調な犬には与えない
- アレルギーに注意する
それぞれの注意点について、詳しく解説していきます。
調味料などで味付けはしない
犬にきのこを与える際は、茹でるか蒸すなど加熱のみにし、調味料は一切使わないでください。人間用に味付けされたきのこ料理は、犬にとっては塩分や油分が多すぎるだけでなく、香り付けに使われるにんにくや、具材の玉ねぎは、犬にとって深刻な中毒を引き起こす危険な食材です。
愛犬の健康を守るため、味付けはせず、素材そのものを与えましょう。
お腹の具合が不調な犬には与えない
愛犬のお腹の調子が優れない時は、体に良いとされる食材でも、かえって負担になることがあります。きのこは食物繊維が豊富ですが、犬にとっては消化しにくい食材です。下痢や軟便といった不調をさらに悪化させる可能性があるため、お腹の調子が悪い時のきのこはお休みし、体調が万全な時に与えるようにしましょう。
アレルギーに注意する
きのこも他の食材と同様、アレルギーの原因となる可能性があります。初めて与える際は、必ず少量から始め、食後に皮膚を痒がる、嘔吐や下痢をするなどの症状が出ないか、注意深く観察してください。原因を特定しやすくするため、その日は他の新しい食べ物を与えないようにすることも重要なポイントです。
犬が庭や散歩中にきのこを食べてしまったら?
秋の散歩道や、雨上がりの庭の隅に、きのこがひっそりと生えています。地面に近い犬は、私たちが気づく前に、好奇心からそれを口にしてしまうかもしれません。
もし愛犬がきのこを食べてしまったら、そのきのこが安全かどうかを、飼い主様がその場で判断することは不可能です。症状はすぐに出るとは限りません。まずは落ち着いて動物病院に連絡し、食べたきのこの特徴や状況を伝えて、指示を仰いでください。
犬ときのこに関するよくある質問
最後に、犬ときのこに関して、飼い主様から特に多く寄せられる質問に答えていきます。
犬はきのこを消化できますか?
犬はきのこをそのままの形ではうまく消化できません。きのこの細胞壁は「キチン」という硬い成分でできており、犬の消化器官では分解しにくいためです。
生のままや大きい塊で与えると、消化不良や下痢の原因となります。栄養を吸収しやすく、お腹に負担をかけないためにも、必ず加熱し、細かく刻んで細胞壁を壊してから与えましょう。
舞茸は犬の肝臓に良いと聞きましたが、本当ですか?
舞茸に含まれるβ-グルカンには免疫力をサポートする働きがあるため、「健康に良い」と言われることがあります。しかし、舞茸が犬の肝臓病を「治療する」という医学的な効果は証明されていません。
あくまで健康な犬の栄養補助や、免疫維持をサポートする食材の一つとお考えください。もし愛犬が肝臓病を患っている場合は、食事内容が治療に大きく影響するため、きのこを与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
β–グルカンを摂取できる和漢みらいのドッグフード
きのこは食物繊維が豊富ですが、消化しにくいことから、過剰摂取は犬の下痢を引き起こす可能性があります。特に愛犬がお腹の不調を抱えている場合、きのこを含めた食物繊維の多い食品の提供は控えましょう。体調不良時にきのこを与えると、消化器系の不調をさらに悪化させるリスクがあります。
和漢みらいのドッグフードでは、きのこに含まれるβ–グルカンを摂取できるサプリやフードを取り扱っています。きのこの代用としてβ–グルカンを効率良く摂取させたい方は、ぜひ下記のページから詳細をご覧ください。
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まとめ
きのこは、人間用に販売されているものを、必ず加熱し、細かく刻んで少量を与えるというルールを守れば、犬の健康維持に役立つ栄養豊富な食材です。
しかし、その一方で、散歩中に見かける野生のきのこは命に関わる危険な毒物であり、絶対に食べさせてはいけません。また、食物繊維が多いため、与えすぎは消化不良の原因となります。
正しい知識を持ち、メリットとリスクを理解した上で、愛犬の食生活に賢く取り入れてあげましょう。


