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「おうちごはんを食べたがる愛犬に、白米を少し分けてあげても大丈夫?」
「手作り食に白米を使いたいけれど、安全なの?」
など、愛犬に白米を与えていいか気になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
白米は人間と同様、犬が食べても問題ない食べ物です。白米は犬にとって有害な成分を含んでおらず、健康維持に役立つタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富です。
ただし、与え方によってはデメリットがあるため、調理方法や与える量に注意が必要です。今回は犬に白米を与えるメリットや注意点について解説します。
愛犬の食事に白米を取り入れても大丈夫!
ただし注意点はあり
犬に白米を与えても問題ありません。白米には、健康な犬に害となる成分は含まれておらず、むしろ健康をサポートする良質なでんぷんやミネラルが豊富です。適切な量と方法で与えれば、愛犬の食事にも取り入れることができるでしょう。
ただし、以下のような犬には注意が必要です。
- 子犬やシニア犬
- 消化器官が弱い犬
- 肥満気味の犬
- アレルギーがある犬
また、白米は糖質を多く含むため、肥満気味の犬や腫瘍がある犬には糖質制限が必要となることがあります。そのため、獣医師に相談の上、与える量を調整しましょう。
犬に与える白米の適量は?
白米の適量は、犬の体格や年齢、健康状態、活動量によって異なります。体重別の目安量は以下のとおりです。
■体重別の1日あたりの白米推奨量(目安)
・超小型犬(~3kg) :13g
・小型犬(3~10kg) :30g
・中型犬(10~25kg):76g
・大型犬(25kg~) :170g
ただし、これらの数値はあくまで一般的な目安にすぎません。愛犬の健康状態や日々の活動レベルによって量の調整が必要です。初めて白米を与える際は、上記の量の1/4程度から始め、徐々に増やしていきましょう。
ドッグフードと一緒に白米を与える場合は、通常の食事量の10~20%を目安にすると良いでしょう。肥満気味の犬や高齢犬は、上記の量よりも少なめに調整し、逆に活発な若い犬や妊娠・授乳中の犬は、やや多めでも問題ない場合があります。いずれにしても、愛犬の体調や便の状態をよく観察しながら、最適な量を見つけていきましょう。
犬の健康に役立つ白米に含まれる栄養素と効果
白米には、以下のような犬の健康維持に役立つ様々な栄養素が含まれています。
- 糖質
- たんぱく質
- 食物繊維
- ビタミン
これらの栄養素がどのように愛犬の健康に役立つのか、詳しく見ていきましょう。
炭水化物(糖質)
白米のおおよそ7割以上を占める「糖質(でんぷん)」は、犬の体内で速やかにエネルギーに変わり、脳や筋肉を動かすための主要なエネルギー源となります。
人間同様、食欲が落ちている犬には、消化しやすいおかゆにして与えることで、手軽にエネルギーを補給することができます。体力が低下している時や、運動量の多い元気な犬にとって、効率の良いエネルギー源となるのです。
ただし、過剰に与えると中性脂肪として体内に蓄えられ、肥満になる心配があるので、与えすぎには注意しましょう。
たんぱく質
白米には、少量ながら良質な植物性たんぱく質が含まれています。100gあたり約6.1gのたんぱく質が含まれており、体内でアミノ酸に分解され、愛犬の筋肉や爪、被毛を作る材料になります。
また、たんぱく質は単に体をつくるだけでなく、ホルモンの生成や免疫機能の維持の働きもあります。成長期の子犬や、高齢犬の筋肉量維持に効果的です。
白米のたんぱく質は消化が良く、胃腸の弱い犬でも負担なく食べられるのがメリットです。白米だけではたんぱく質が少ないため、肉類などと組み合わせることで、より効率よくたんぱく質を摂ることができます。
食物繊維
お米(特に玄米)に多く含まれている「食物繊維」は、腸を刺激して腸の動きを活発にし、便通を促進する効果があります。
また、余分な脂質や糖質を排出する働きもあるため、肥満や糖尿病の予防にも役立つとされています。犬は食物繊維の消化が苦手な動物です。摂りすぎると下痢などに繋がることもあります。愛犬の体調を見ながら、適量を守って与えることが大切です。
ビタミン
白米にはビタミンB1・B2、ビタミンEが含まれます。
■ビタミンB1
体内で糖質を代謝し、エネルギーに変換するサポートをし、神経機能や脳を正常に保つために必要な栄養素。ビタミンB1が不足していると疲れやすくなり、神経機能や脳が上手く働かなくなります。
■ビタミンB2
「発育のビタミン」とも呼ばれ、脂質やタンパク質の代謝を助け、細胞の再生を促進。皮膚や粘膜、被毛の健康を保ちます。
■ビタミンE
抗酸化作用を持つ栄養素。体内で発生する活性酸素に素早く反応し、脂質の酸化を防ぐ働きがあります。
血液の流れをスムーズにし、末梢血管の血行を促進する効果も。ガンや皮膚病の予防だけでなく、動脈硬化や脂質異常症といった生活習慣病の予防にも効果があるとされています。
犬に白米を与えるメリット
ここでは、犬に白米を与えるメリットを紹介します。
糖質からエネルギーを確保できる
白米を犬に与えると、糖質から効率よくエネルギーを得ることができます。白米の約77%は糖質で、これが犬の体内で速やかにエネルギーに変わります。糖質は犬が元気に動くための大切なエネルギー源で、特に活発な犬には欠かせません。
消化も良く、すぐにエネルギーになるので、日常の活動や運動をサポートしてくれます。このため、白米は犬のエネルギー補給にとても効果的です。
食物繊維が腸内環境を整えてくれる
白米に含まれる食物繊維は、犬の腸内環境を整えてくれます。食物繊維は腸の健康を保ち、便通を良くしてくれます。白米を食べることで、犬の腸内環境が整い、消化や吸収がなめらかになります。特に便秘気味の犬やお腹が弱い犬にとって、白米は腸の健康を助けてくれる大切な食べ物です。
このため、白米は犬の腸内環境改善と健康維持に役立ちます。
質の良いたんぱく質が含まれている
白米には質の良いたんぱく質が含まれていて、犬の健康に良い影響を与えます。白米のたんぱく質は「アミノ酸スコア」という評価で点数が高く、必須アミノ酸がバランス良く含まれています。
白米のアミノ酸スコアは93点で、これは犬だけではなく人間にとっても良い評価です。犬にとってもこのたんぱく質は重要で、筋肉や体の成長、修復に役立ちます。そのため、白米を食べることで犬の健康と体力が向上します。
犬に白米を与える注意点
犬に白米を与える注意点は以下の通りです。
- 白米は生のまま与えない
- カロリーが高いので量を与えすぎない
- 味付けをしない
- アレルギーに気をつけて少量から与える
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
白米は生のまま与えない
生の白米を犬に与えることは避けましょう。生の白米は消化が難しく、そのまま食べてしまうと胃腸に負担をかけ、消化不良を引き起こしかねません。炊いて柔らかくして与えましょう。
また、炊いたご飯は血糖値が上がりやすいため、糖尿病や高血糖の犬には注意が必要です。おかゆや雑炊にすることで、さらに消化しやすくなり、体調の悪い時にも適しています。
カロリーが高いので量を与えすぎない
白米は栄養価が高い反面、糖質を多く含む食材です。食べ過ぎるとカロリーオーバーになり、肥満の原因になります。特に室内犬などあまり運動しない犬や肥満気味の犬には、適切な量を守ることが重要です。
白米を与える際は、普段の食事量や他の食事とのバランスを考えて量を調整しましょう。例えば、ドッグフードと組み合わせる場合は、通常の食事量の一部を白米に置き換えたりします。
味付けをしない
人間のご飯に使う調味料は犬には良くありません。塩や醤油などの調味料は、犬の腎臓や肝臓に負担をかけてしまうことがあるため、犬に白米を与える際は、味付けせずにそのまま与えましょう。
とはいえ、犬は人間ほど複雑な味を必要としません。犬は人間ほど味覚が発達していないため、白米本来の香りと風味だけで十分に美味しく感じることができます。
また、ネギ類やニンニク、甲殻類などの食材は絶対に与えないでください。これらの食材は犬にとって有害な成分を含んでおり、中毒症状を引き起こすリスクがあります。
犬が食べてはいけない食材については以下で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
炊き立ては避ける
炊きたての熱いご飯をそのまま与えると、愛犬の口の中や食道、胃を火傷させてしまうことがあります。犬は熱いものを前にすると冷めるのを待たずに食べてしまいがちで、自分で食べ物の温度を判断することが難しいのです。
安全に白米を与えるには、必ず人肌程度まで冷ましてから与えるようにしましょう。手の甲に乗せて熱くないか確認するなど、飼い主さんが責任を持って温度管理をすることが大切です。
アレルギーに気をつけて少量から与える
白米は比較的アレルギーを引き起こしにくい食材ですが、まれに穀物アレルギーを持つ犬もいます。初めて白米を与える際は、必ず少量から始めて様子を見ましょう。アレルギー反応としては、以下のような症状が見られることがあります。
・皮膚の痒みや発赤
・耳を頻繁に掻く
・嘔吐や下痢などの消化器症状
・くしゃみや咳が増える
上記のような症状が見られたら、すぐに白米を与えるのをやめ、獣医師に相談しましょう。
白米のおすすめの与え方
最後に、白米のおすすめの与え方を紹介します。
おかゆにする
おかゆは、炊いたご飯よりも消化がよく、胃腸に優しいので、体調がすぐれないときにぴったりです。水分量で柔らかさを調節できるので、愛犬の食欲が落ちている時や、胃腸の調子が悪い時など、体調が優れない時の食事としておすすめです。
おかゆは水分をたっぷり含んでいるので、脱水予防にもなり、エネルギー補給と水分補給を同時に行うことができます。
作り方はいつもより少し多めの水で、柔らかくなるまでじっくりと炊き上げます。温かいうちは火傷の心配があるので、必ず人肌程度まで冷ましてから与えるようにしましょう。
雑炊にする
雑炊も、炊いた白米を使って簡単に作れます。犬が食べても安全な食材を選んで、細かく刻み、薄い味付けで仕上げるのがポイントです。
雑炊は消化が良いため、エネルギー補給にぴったりですが、これだけでは栄養が偏りがちなので、あくまで補助的な食事として考えましょう。
そのため手作り食同様、ドッグフードのトッピングとして、2割程度にとどめると良いでしょう。できれば、茹でた野菜などを混ぜると、糖質の比率をさげて栄養バランスも良くなるため、ぜひ試してみてください。
白米以外は与えても大丈夫?
犬に白米を与えることが安全とわかったところで、白米以外の米製品についても気になりますよね。ここでは、玄米、お餅、雑穀米など、白米以外の米製品を犬に与えても大丈夫なのかについて解説します。
玄米
玄米は白米より栄養価が高く、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。ただし、白米よりも消化が難しいため、消化器官が弱い犬には負担になる可能性があります。
与える場合は、しっかりと炊いて柔らかくし、少量から様子を見ながら徐々に増やしていきましょう。フードプロセッサーで細かく砕くと、消化しやすくなります。
お餅
お餅は犬に与えるべきではありません。お餅は粘り気が強く、十分に咀嚼せずに飲み込むと喉に詰まる危険性が非常に高いです。また、消化も難しく、胃腸に大きな負担をかけることになります。
誤って食べてしまった場合は、喉に詰まる可能性があるため、すぐに獣医師に相談しましょう。お正月などの時期は特に注意が必要です。
雑穀米
雑穀米には、黒米、赤米、キビ、アワなど様々な穀物が含まれており、栄養価が高いのが特徴です。しかし、これらの穀物は犬にとって消化しにくい食物繊維を多く含んでいます。
与える場合は、十分に柔らかく炊き、白米と混ぜるなどして少量から始めましょう。
米粉
米粉は犬にとって比較的安全な食材です。小麦粉に比べてアレルギーを引き起こす可能性が低く、グルテンフリーなため、穀物アレルギーがある犬でも摂取できる場合があります。
手作りおやつの材料として少量使用するのは問題ありませんが、生の米粉をそのまま与えるのは避けましょう。必ず加熱調理し、消化しやすい状態にしてから与えることが大切です。
おせんべい
人間用のおせんべいには、塩や醤油、砂糖などの調味料が含まれていることが多く、犬の健康に悪影響を与えてしまいます。また、硬すぎるおせんべいは、歯を傷つけたり、のどに詰まらせたりする危険もあります。
犬用のおやつとして販売されている米せんべいであれば安全ですが、人間用のものは避けるようにしましょう。
甘酒
甘酒には「酒粕」を使ったものと「米麹」を使ったものの2種類があります。犬はアルコールを分解することができないため、アルコールを含む酒粕の甘酒は絶対に与えてはいけません。一方、米麹からつくられた甘酒は、アルコールを含まないため、少量であれば与えても問題ありません。
ただし、砂糖が添加されている市販品は避け、純粋な米麹の甘酒を選びましょう。米麹自体には消化を助ける酵素や栄養素が豊富ですが、甘いため与えすぎは肥満のもとになります。
まとめ
白米には良質な「でんぷん、ミネラル、タンパク質、食物繊維」が含まれ、犬の健康維持に役立ちます。食物繊維は腸内環境を整え排便を促し、7割以上を占める糖質は、体内で効率よくエネルギー源になり、タンパク質の代謝にも使われます。
一方で、注意すべきリスクもあります。糖質は血糖値が上がりやすいため、糖尿病やガン、高血糖の犬には適さないことも。また、カロリーが高いため、与えすぎると肥満の原因になりかねません。
生の白米は犬の消化器官に負担をかけるため、必ず柔らかく炊いたものを与えましょう。特に消化が心配な場合は、おかゆや雑炊にするとより安心です。味付けは避け、シンプルに、そして適量を守ることが大切です。愛犬の健康状態に合わせた量と頻度で取り入れてみてください。
■愛犬の食事に白米を取り入れても大丈夫!
ただし、注意点はあり■犬に与える白米の適量は?
体重別の1日あたりの白米推奨量(目安)
・超小型犬(~3kg):13g
・小型犬(3~10kg):30g
・中型犬(10~25kg):76g
・大型犬(25kg~):170g■犬の健康に役立つ白米に含まれる栄養素と効果
・炭水化物(糖質)
・たんぱく質
・食物繊維
・ビタミン■犬に白米を与えるメリット
・糖質からエネルギーを確保できる
・食物繊維が腸内環境を整えてくれる
・質の良いたんぱく質が含まれている■犬に白米を与える注意点
・白米は生のまま与えない
・カロリーが高いので量を与えすぎない
・味付けをしない
・炊き立ては避ける
・アレルギーに気をつけて少量から与える■白米のおすすめの与え方
・おかゆにする
・雑炊にする(茹でた野菜を混ぜるのも有効)■白米以外は与えても大丈夫?
・玄米
・お餅
・雑穀米
・米粉
・おせんべい
・甘酒

