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老犬が水をよく飲む理由は?原因や病気の可能性、対処法を解説

シニア期の愛犬が水をよく飲む姿を見て、気になる飼い主さんも多いのではないでしょうか?水分補給は健康の基本ですが、飲水量が急に増えた場合には、病気やストレスなどが原因となっている可能性もあります。

本記事では、シニア犬が水をよく飲む原因や考えられる病気、さらに日常で気をつけたい対処法について詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、ぜひこの記事を参考にしてください。

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老犬の水の摂取量

老犬に適した水の摂取量は、体重1kgあたり50~70ccが目安です。例えば、体重3kgの犬では150~210cc、5kgの犬では250~350ccが標準的な範囲となります。この範囲を超えて、体重1kgあたり100cc以上の水を飲み続ける場合、多飲の可能性があります。

多飲は病気のサインである場合もあるため、そのような場合には動物病院を受診しましょう。早めの相談が、老犬の健康を守る第一歩です。

シニア犬が水をよく飲む主な原因

シニア犬が水をよく飲む時に考えられる主な原因は、以下の4つです。

  1. 脱水症状を起こしている
  2. 食事の塩分量が多い
  3. 薬による副作用
  4. ストレスを抱えている

それぞれの原因について、詳しく解説していきます。

1. 脱水症状を起こしている

特に夏場、気温が高い時に多いのが脱水症状による飲水量の増加です。いつもよりたくさん運動したり、長時間外で過ごしたりした場合には水をたくさん飲むようになります。

また、病気によって脱水症状が起きやすくなり、水をたくさん飲む場合もあります。

2. 食事の塩分量が多い

食事の塩分量が多い場合、喉が渇きやすくなるので水をたくさん飲みたがります。

また、手作り食やウェットフードから、ドライフードに変えると、食事から摂取する水分量が少なくなるため、飲水量が増えることがあります。

3. 薬による副作用

ステロイド剤

アトピーや皮膚疾患の他、腫瘍や免疫疾患、炎症性疾患の治療にもよく使用されるお薬です。強力な治療効果がありますが、副反応として多飲多尿を起こす事があります。

利尿剤

心臓病などで、おしっこを出しやすくするために使用されるお薬です。余分な水分を体外へ排出する働きがありますが、行き過ぎると脱水症状に陥って、飲水量が増えることがあります。

4. ストレスを抱えている

引っ越しや留守番が長くなるなどの環境の変化や、大きなストレスを感じている場合にも水を飲む量が増えることがあります。

また、水を欲しがる仕草をして飼い主の関心を集めようとする犬もいます。

シニア犬が水をよく飲む場合に考えられる病気   

シニア犬が水をよく飲む時に考えられる主な病気は、以下の4つです。

  1. 慢性腎臓病
  2. 糖尿病
  3. 子宮蓄膿症
  4. 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

それぞれの病気について、詳しく解説していきます。

1. 慢性腎臓病

初期症状として多飲多尿、進行に伴って食欲不振や嘔吐、脱水、貧血などの症状が現れます。

腎臓の主な機能である尿を作る過程で、体内に必要な水分やミネラルを再吸収する働きがありますが、腎臓病になると、この機能が低下し濃度の薄い尿を大量に排泄します。

その結果として体内の水分が不足するので、多飲が起こります。

慢性腎臓病の犬が必要な水分量を確保できないと、脱水症状になる恐れがあるので、適切な水分補給が必要です。

関連記事:腎臓病の愛犬を長生きさせたい|飼い主ができることや予防方法をご紹介

2. 糖尿病

特にシニア期の犬に多く、初期症状としては多飲多尿、食欲があるのに体重が減少する等の傾向が見られます。

糖尿病になると、インスリンの作用不足により、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が持続的に高くなり、尿中にブドウ糖が排出されます。糖分が多い尿は腎臓での水分の再吸収がうまくいかなくなるため、薄い尿を大量にするようになります。

体に必要な水分まで排泄されてしまうため、失われた水分を補おうとして結果的に多飲となります。

症状が進行すると、血液中にケトン体という有害な物質が増加してケトアシドーシスという状態になり、重症化すると神経障害や昏睡などを起こし、死に至ることもあります。

その他にも糖尿病は白内障や腎疾患、肝疾患、細菌感染による皮膚の疾患など、合併症を引き起こすことも多い疾患です。

3. 子宮蓄膿症

細菌感染により子宮内に膿が溜まってしまう病気です。避妊手術をしておらず、出産経験のないシニア期のメスがかかりやすく、多飲多尿以外に、発熱、食欲の低下や嘔吐、お腹の張り、陰部からの排膿などが見られます。

子宮に溜まった細菌の出す毒素によって、ホルモン異常による多飲多尿が起こり、この毒素が血液によって全身に回ると、短時間で命に関わることもあります。

発情出血後1~2か月で飲水量が増えた場合は、注意が必要です。

進行してしまうと尿毒症や腎不全、子宮の破裂による腹膜炎を起こす危険性があるので、早期発見、早期治療することが大切です。

4. 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎皮質で作られるコルチゾールと呼ばれるホルモンが過剰に産生される病気です。このホルモンは体内の様々な機能に影響を与えており、その中の1つとして多飲多尿があります。

クッシング症候群の他の症状としては、食欲亢進や腹部膨満、脱毛や皮膚トラブル等があります。進行性の病気であることや、長期化することで様々な臓器に影響を与えるため、早期発見と治療が非常に重要です。

シニア犬が水をよく飲む際の対処法

シニア犬が水をよく飲む時に出来る主な対処法は、以下の4つです。

  1. 普段の食事や水分補給量を見直す
  2. 新鮮で十分な量の水を用意する
  3. ストレスの原因を取り除く
  4. 動物病院を受診する

それぞれの対処法について、詳しく解説していきます。

1. 普段の食事や水分補給量を見直す

「愛犬が水をよく飲んでいる」と感じたら、それが目安の量よりも極端に多いのかどうかを判断するためにも、飲水量をこまめに確認しておきましょう。

具体的には、水の量を確かめてから与え、その残量から1日に飲んだ水の量を記録しておくのがおすすめです。

2. 新鮮で十分な量の水を用意する

愛犬が水をよく飲んでいる時、基本的に飲水量は制限しないようにしましょう。

異常な多飲多尿がある場合、多くはたくさんが尿が出ることで、体が水を必要としている状態です。ここで飲水量を制限してしまうと、平時に比べて脱水症状が起きやすくなります。脱水症状を起こさないためにも常に新鮮で十分な量の水を用意してあげましょう。

3. ストレスの原因を取り除く

老犬の多飲がストレスに起因する場合、その原因を取り除くことが重要です。例えば、生活環境の見直しや飼い主とのコミュニケーションを増やすことで、ストレスの軽減が期待できます。また、ストレス源が特定しづらい場合でも、小さな変化を観察しながら対応を続けることが大切です。環境を整えたり、愛犬との触れ合いを増やす努力が、健康維持への効果的な一歩となります。

4. 動物病院を受診する

愛犬の飲水量が目安よりも増え、さらにおしっこの量も増え続ける場合、速やかに動物病院を受診することが必要です。多飲多尿は病気のサインである可能性があり、早期発見が治療の鍵となります。また、飲水量や排尿量だけでなく、元気や食欲の有無、その他の病気の兆候にも注意を払うことが大切です。定期的な観察と迅速な対応が、愛犬の健康を守る重要なポイントとなります。

まとめ

本記事では、シニア犬が水をよく飲む理由について、原因や病気の可能性、対処法を解説しました。水分補給は健康維持に欠かせないものですが、急に飲水量が増える場合、脱水症状や塩分の多い食事、薬の副作用、ストレスなどが原因となっている可能性があります。

また、慢性腎臓病糖尿病子宮蓄膿症クッシング症候群といった病気のサインであることも少なくありません。

対処法としては、日頃の飲水量や食事内容を見直し、ストレスを減らす工夫をすることが重要です。さらに、新鮮な水を十分に用意しつつ、異常が続く場合には動物病院での診察を受けることをおすすめします。愛犬の健康を守るために、日頃から飲水量や体調に注意を払い、健康管理に役立ててください。

■シニア犬の標準的な水の摂取量
標準的な飲水量は、体重1kgあたり50~70ccが目安量となります。

■シニア犬が水をよく飲む主な原因
1.脱水症状を起こしている
2.食事の塩分量が多い
3.薬による副作用
4.ストレスを抱えている

■シニア犬が水をよく飲む場合に考えられる病気
1.腎臓病
2.糖尿病
3.子宮蓄膿症
4.副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

■シニア犬が水をよく飲む際の対処法
1.普段の食事や水分補給量を見直す
2.新鮮で十分な量の水を用意する
3.ストレスの原因を取り除く
4.動物病院を受診する