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「畑の肉」とも呼ばれる豆腐は、低カロリーながら豊富なたんぱく質を含む健康食品です。結論から言うと、豆腐は犬に与えても大丈夫な食材です。しかし、与える量や調理法、愛犬の体質によっては、下痢などの不調を引き起こすことも。
本記事では、犬に豆腐を与える際の適量や与え方、成分と効果、注意点などについて解説します。
犬は豆腐を食べても大丈夫
豆腐は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価の高い食材で、その主原料である大豆は犬にとっても安全です。高タンパクでありながら低カロリーという優れた特徴を持ち、犬の食事に取り入れても問題ありません。
ただし、塩や醤油などの調味料、ネギなどの薬味は犬には与えないでください。また、犬種や体調によって向き不向きがある場合もあるので、与え方や適量については以降で詳しく解説していきます。
犬に与えても良い豆腐の量
犬に豆腐を与える場合、おやつやドッグフードのトッピングとして少量与えるのが良い目安です。 おやつの量は、一日に必要なカロリー量の約10%程度で、これはドッグフードをベースに考えるべきです。 豆腐1丁の重さが350gから400gと仮定すると、犬に適切な量は体格に応じて以下の通りです。
| 小型犬(体重10kg以下) | 30~40g 豆腐1丁の1/10程度 |
|---|---|
| 中型犬(体重25kg未満) | 50g 程度 豆腐1丁の1/6から1/8程度 |
| 大型犬(体重25kg以上) | 150g程度 豆腐半丁程度 |
※この分量はおおよその目安であり、実際の犬の体格や運動量によって異なります。豆腐は栄養価が高い食材ですが、過度に与えると栄養バランスが悪化し、犬の体調に悪影響を及ぼす可能性があります。ドッグフードを主食として考え、豆腐はトッピングやおやつとして適量に限定しましょう。
犬への適切な豆腐の与え方|そのまま?加熱は必要?

犬に豆腐を与える際は、いくつかのルールを守ることで、より安全に楽しむことができます。
調味料は使わず、そのままか加熱して与える
犬に豆腐を与える際は、人間用の調味料は一切加えないのが大原則です。冷奴のようにネギや生姜といった薬味を乗せたり、醤油をかけたりするのは絶対にやめましょう。特にネギ類は、犬に深刻な中毒症状を引き起こす危険な食材です。
また、醤油や味噌、だしで味付けされた豆腐(麻婆豆腐や揚げ出し豆腐など)も、塩分や糖分、脂質が過剰なため、与えてはいけません。
豆腐は、パックから出したものをそのまま与えても問題ありませんが、冷蔵庫から出したばかりの冷たい状態だと、お腹がデリケートな犬やシニア犬の胃腸に負担をかけることがあります。
常温に戻すか、電子レンジや湯煎で人肌程度に温めてあげると、より体に優しく、消化しやすくなるためおすすめです。
絹ごし豆腐と木綿豆腐は、健康状態に合わせて使い分ける
スーパーでは主に「絹ごし豆腐」と「木綿豆腐」が売られていますが、どちらを選ぶかは愛犬の健康状態によって使い分けるのが賢い方法です。
絹ごし豆腐がおすすめな犬
絹ごし豆腐は、豆乳ににがりを加えて、そのまま固めて作られるのが絹ごし豆腐です。水分量が多く、滑らかで喉越しが良いのが特徴。カロリーやタンパク質が木綿豆腐より少ないため、ダイエット中の犬、腎臓や肝臓の機能が気になるシニア犬、食が細い犬など、消化に配慮したい場合には、負担の少ない絹ごし豆腐が適しています。
木綿豆腐がおすすめな犬
木綿豆腐は、一度固めた豆腐を崩し、圧力をかけて水分を抜いて作られるのが木綿豆腐です。水分が抜けている分、タンパク質やカルシウム、脂質などの栄養素が凝縮されています。そのため、成長期の犬や、筋肉量を維持したい健康な成犬の栄養補給として、より効率的なのは木綿豆腐と言えるでしょう。
豆腐ハンバーグなど手作りレシピを活用する
豆腐は手作りごはんの材料としても優秀で、様々なレシピに活用できます。特に、鶏ひき肉と混ぜて作る「豆腐ハンバーグ」は肉の量を減らしながらタンパク質を補い、全体のカロリーを抑えることができるため、ダイエット中の犬にも嬉しい人気レシピです。
その他にも、細かく崩した豆腐を、茹でて刻んだ野菜(にんじん、ブロッコリーなど)と和えて「白和え風」にしたり、水分を加えて葛粉などでとろみをつけ、「あんかけ」としてドライフードにかけたりするのも良い方法です。いつもの食事に変化をつけ、愛犬の食の楽しみを広げることができます。
簡単!犬用豆腐ハンバーグレシピ【ダイエットにも】
いつものフードに少し飽きてしまった愛犬や、ダイエットを頑張る愛犬へのご褒美に、手作りの「豆腐ハンバーグ」はいかがでしょうか。豆腐を使うことで、お肉だけのハンバーグよりもカロリーを抑えつつ、良質なタンパク質をしっかり摂取できます。作り方は非常に簡単で、調理時間もかかりません。特別な日や、食欲が落ちている時のスペシャルメニューとして、ぜひ作ってあげてください。
<材料>
- 木綿豆腐:50g
- 鶏ひき肉(皮なし):50g
- にんじん(みじん切り):10g
- ブロッコリー(みじん切り):10g
- 片栗粉:小さじ1/2
<作り方>
- 木綿豆腐はキッチンペーパーに包み、軽く水切りをする。
- ボウルに全ての材料を入れ、粘り気が出るまでよく混ぜる。
- 小さな円形に成形し、油をひかずにテフロン加工のフライパンで、中心まで火が通るように両面をじっくり焼く。
- 人肌程度に冷ましてから与える。
犬に与えるとメリットがある豆腐の成分

豆腐には、犬の健康維持に役立つ以下のような成分が含まれています。
- 植物性タンパク質
- オリゴ糖・食物繊維
- 大豆イソフラボン・リノール酸
- ミネラル
上記の成分が愛犬の体にどのような良い効果をもたらすのかを、具体的に見ていきましょう。
1. 筋肉や皮膚を健康に保つ「植物性タンパク質」
犬に豆腐を与えることで、良質な植物性タンパク質を摂取できます。タンパク質は、筋肉、皮膚、被毛、内臓など、犬の体を作る全ての基本となる不可欠な栄養素。豆腐は、肉類に比べて脂肪分を抑えながら、この重要なタンパク質を消化しやすく、ヘルシーな形で補給することができます。
特に、筋肉量が落ちやすいシニア犬や、ダイエット中の犬の筋肉維持に役立ちます。
2. お腹の調子を整える「オリゴ糖」「食物繊維」
豆腐には、腸内の善玉菌のエサとなる「大豆オリゴ糖」や、便通をサポートする「食物繊維」が含まれています。これらの成分が腸内環境を健やかに保ち、便秘や軟便を予防・改善する効果が期待できます。お腹の調子は全身の免疫力にも直結するため、腸内環境のケアは、愛犬の健康維持に欠かせません。
3. 若々しさをサポートする「大豆イソフラボン」「リノール酸」
豆腐に含まれるポリフェノールの一種「大豆イソフラボン」は、老化の原因となる活性酸素から体を守る、強力な抗酸化作用を持っています。また、犬の体内では作れない必須脂肪酸である「リノール酸」は、皮膚の潤いや美しい毛並みを保つために欠かせません。これらの成分が、愛犬の若々しい体を内側からサポートしてくれます。
4. 骨や体の機能を支える「ミネラル」
豆腐には、骨や歯を丈夫にする「カルシウム」や、神経・筋肉の働きを正常に保つ「マグネシウム」、そして体内の水分バランスを調整する「カリウム」といった、健康維持に不可欠なミネラルも含まれています。これらのミネラルは、互いにバランスを取りながら体の機能を支えています。ただし、過剰摂取は体に負担をかけるため、次の注意点の章で詳しく解説します。
犬に豆腐を与える際の注意点
豆腐は犬にとって多くのメリットがある一方、与え方を間違えたり、体質に合わなかったりすると、かえって健康を損なうリスクもあります。愛犬に豆腐を与える前に、以下の注意点を必ず確認してください。
大豆アレルギーの可能性
犬の食物アレルギーの原因として、牛肉や乳製品、小麦などが有名ですが、大豆もアレルゲンとなることがあります。
初めて豆腐を与える際は、必ずティースプーン1杯程度のごく少量から始め、食後に皮膚を痒がる、下痢や嘔吐をするといったアレルギー症状が出ないか、数日間は注意深く観察しましょう。大豆アレルギーと診断されている犬には、絶対に与えないでください。
ミネラルの過剰摂取と結石のリスク
豆腐に含まれるカルシウムやマグネシウム、カリウムといったミネラルは、健康な犬にとっては有益ですが、特定の病気を持つ犬には注意が必要です。特に、ストラバイト結石やシュウ酸カルシウム結石などの尿路結石の既往歴がある犬の場合、ミネラルの過剰摂取が再発の引き金になる可能性があります。
また、腎臓病や心臓病を患っている犬は、カリウムの排泄がうまくできず、高カリウム血症に陥る危険があるため、自己判断で与えるのは禁物です。
脂質の摂りすぎによる肥満
豆腐はヘルシーなイメージがありますが、水分を除いた固形成分で比較すると、実は鶏のささ身の5倍以上の脂質を含んでいます。
低カロリーな食材ではありますが、与えすぎるとカロリーオーバーとなり、肥満に繋がる可能性があります。あくまで主食ではなく、おやつやトッピングとして、1日に必要な総摂取カロリーの10%以内に留めるようにしましょう。
豆腐のような栄養素を摂取したいならドッグフードもおすすめ
これまで犬に豆腐を与えるメリットや注意点をご紹介しましたが、愛犬の健康を意識するなら和漢みらいのドッグフードもおすすめです。
和漢みらいのドッグフードは、アガリクスやハナビラタケ、霊芝などの有名・人気和漢植物89種を配合した無添加のドッグフードです。
少しでも気になる方は、以下のページで詳細を確認してみてください。
豆腐以外の大豆食品は与えてもいい?
豆腐だけでなく、大豆から作られる食品はいくつかあります。ここでは、豆腐以外の大豆食品を与えても大丈夫なのか、それぞれの特徴とともに見ていきましょう。
枝豆
犬に枝豆を与えることは問題ありません。枝豆は若い大豆の実で、タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富です。ただし、枝豆の皮とさやは消化しにくいため、必ず茹でてさやから出し、塩や調味料は使わないようにしましょう。
量は犬のサイズに合わせて、小型犬なら2〜3粒から始め、消化の様子を見ます。
納豆
納豆は犬に与えても安全な食材です。納豆に含まれる良質なタンパク質や納豆菌は腸内環境を整える効果が期待できます。
しかし、付属のタレや辛子は塩分や刺激物を含むため、必ず取り除いてください。また、粘り気が強いため、小型犬や高齢犬は喉に詰まらせる可能性があります。少量から始め、消化不良や下痢などの症状が出ないか様子を見ながら与えましょう。納豆特有のニオイが苦手な犬もいるので、愛犬の反応を見ながら判断してください。
納豆については、関連記事:「犬や猫に納豆はあげても良いの?」で詳しく紹介しているので、こちらもあわせてチェックしてみてください。
豆乳
豆乳は犬に与えても問題ない大豆製品です。カルシウムやタンパク質を含み、低脂肪なので健康的な飲み物といえます。乳糖を含まないため、牛乳に不耐性のある犬でも消化しやすいのも嬉しいポイントです。
ただし、市販の豆乳には砂糖や添加物が含まれていることがあるため、無調整の豆乳を選ぶようにしましょう。
おから
おからは豆乳を作る際の搾りかすで、豆乳と同じく食べても問題ありません。食物繊維が豊富であり、犬の腸内環境を整え、便通を改善してくれます。低カロリーでタンパク質も含まれているため、ダイエット中の犬に適した食材といえるでしょう。ただし、食物繊維が多すぎると消化不良や下痢のもとになるため、与えすぎに注意しましょう。
味噌
味噌には良質なタンパク質や発酵による善玉菌が含まれていますが、塩分が非常に高いです。塩分を摂りすぎてしまうと、そのため高血圧や腎臓病のもととなります。
そのため、味噌を与えるなら少量程度に留めます。お味噌汁や「ねこまんま」(ご飯にお味噌汁をかけたもの)など、塩分過多になってしまうため、与えないようにしてください。味噌について以下の記事でも詳しく解説しています。
醤油
醤油は犬には与えない方が良いでしょう。醤油は大豆から作られていますが、極めて塩分が高く、犬の体に負担をかけるためです。少量でも塩分過多になりやすく、高血圧や腎臓疾患のリスクを高める可能性があります。
犬用の食事に醤油を加えることは避け、人間の食べ物の調味料として使った食材も与えないよう注意しましょう。
きなこ
きなこは炒った大豆を粉末にした食品で、犬に少量与えても問題ありません。ただし、粉末状なので吸い込むと咳込む可能性があります。与える際は少量を水で湿らせるか、他の食材と混ぜると安全です。甘味料や砂糖などが混ざっていないプレーンなきなこを選び、小さじ1/4程度から様子を見ましょう。
油揚げなど油を多く含む豆腐の加工品
豆腐の加工品として、油揚げや厚揚げ、また豆腐ハンバーグなどもあります。
豆腐自体を調理したものであれば、基本的には与えても問題ありませんが、調味をしたものや、玉葱など犬に禁忌な食べ物が入っているものは与えてはいけません。
また、油で揚げたものはカロリーが高く、油の質によっては犬の身体に悪影響を与えますので、あえて与える必要はありません。どうしても与える場合には、しっかりと湯通しし、油を切ってあげるようにしてください。
卵豆腐やごま豆腐など、「豆腐」と名前のついた加工品もありますが、これらは豆腐とは違うものです。さまざまな材料が添加されている場合、与えないほうが賢明かもしれません。
犬の豆腐に関するよくある質問
ここでは、犬の豆腐に関するよくある質問に回答していきます。
豆腐を犬に与えても大丈夫?
犬に豆腐を与えても大丈夫です。豆腐の主原料である大豆は良質な植物性タンパク質源で、犬にとって有害な成分は含まれていません。ただし、与える際は無調味のものを選び、人間用の薬味や調味料は決して加えないでください。
また、犬の体格や健康状態に合わせた量を守り、初めて与える場合は少量から始めて様子を見るようにしましょう。豆腐は消化に優しい食材ですが、個体差もあるため慎重に与えることが大切です。
高野豆腐を犬に与えてもいい?
高野豆腐は犬に与えても問題ありません。高野豆腐は豆腐を凍結乾燥させた食品で、タンパク質が濃縮されており、通常の豆腐よりも栄養価が高いという特徴があります。
ただし、与える際はしっかりと戻して柔らかくし、小さく切り分けて与えるようにしましょう。硬いままだと喉に詰まる危険性があります。また、市販の味付け高野豆腐には塩分や調味料が含まれているため、必ず無添加・無調味のものを選びましょう。
犬に豆腐を与えるメリットは?
豆腐を犬に与えることで、以下のような健康上のメリットがあります。
- 良質な植物性タンパク質が豊富で、筋肉の維持・修復をサポート
- 低カロリーなので、肥満気味の犬のダイエットに効果的
- カルシウムを含み、骨や歯の健康維持に貢献
- 大豆イソフラボンの抗酸化作用により、老化防止効果が期待できる
- リノール酸が皮膚や被毛の健康をサポート
- オリゴ糖が腸内環境を整え、消化機能の改善に役立つ
- 消化が良く、胃腸が弱い犬や高齢犬にも与えやすい
- 水分含有量が多く、水分補給の補助になる
ただし、メリットがあるからとあげすぎると、逆に栄養バランスが崩れたり、カロリー過多になったりするリスクがあります。犬の体格や健康状態に合わせた適量を守りましょう。
豆腐を食べた後、犬がアレルギー反応を起こした場合はどうすればいいですか?
豆腐を食べた後に犬がアレルギー反応を起こした場合は、すぐに対応することが重要です。アレルギー症状には、皮膚のかゆみや発赤、舐め続ける、耳を掻く、目や口の周りの腫れ、嘔吐、下痢などがあります。
軽度の症状であれば、清潔な水を十分に飲ませてください。症状が落ち着かない場合や、呼吸困難、顔の腫れ、ぐったりするなどの重篤な症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診してください。今後は大豆製品全般を避け、アレルギー検査を受けることも検討しましょう。
まとめ
この記事では、犬に与える際の量や与え方、注意点などを紹介しました。豆腐は、良質な植物性タンパク質や水分を手軽に補給できる、犬にとって優れた食材です。いつものフードにトッピングすれば、食の楽しみを広げてくれるでしょう。
ただし、与えすぎは栄養バランスの乱れや肥満の原因となり、アレルギーや持病(特に腎臓・心臓・結石)がある場合は、かえって症状を悪化させるリスクも伴います。
豆腐のメリットとデメリットの両方を正しく理解し、愛犬の体調や体質に合わせて、あくまで副菜として少量を取り入れてみてください。

