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シャキシャキとした食感が特徴のセロリ。「うちの子にもおすそ分けしたいけど、大丈夫かな?」「葉っぱも食べられる?」と疑問に思う飼い主様も多いでしょう。セロリは犬にとって有益な栄養素を含みますが、与え方にはいくつかのポイントがあります。
この記事では、犬にセロリを与える際の正しい量、メリット、葉の扱い方や注意点を分かりやすく解説します。
犬はセロリを食べても大丈夫!
セロリは、犬が食べても大丈夫な野菜です。犬に中毒を引き起こすような有毒成分は含まれていませんので、安心しておすそ分けできます。
しかし、どんな食材にも言えることですが、与え方にはポイントがあります。セロリは食物繊維が多いため、一度にたくさん与えると、お腹が緩くなるなど消化器系に負担をかける可能性があります。愛犬の健康のために、セロリを上手に食事に取り入れる方法と注意点を、これから詳しく見ていきましょう。
犬は何歳からセロリを食べられる?
セロリはその食物繊維の豊富さから、犬の消化器系に負担をかける可能性があります。 特に幼犬やシニア犬は、消化機能が未発達だったり、老化による機能低下が考えられたりするため注意が必要です。セロリだけでなく、食物繊維を多く含む食材は、大量に摂取すると便秘や下痢の原因となることもありますので、摂取量には気を付けましょう。
また、セロリの硬い部分や繊維は、犬が食べる際に喉に詰まらせるリスクも考えられるため、セロリを細かく刻んで茹でるなどの工夫をしてから与えることをおすすめします。
犬に与えてもいいセロリの量
セロリはあくまでおやつやトッピングとして、少量に留めるのが基本です。食物繊維が多いため、与えすぎは下痢や嘔吐の原因になります。1日の食事全体の10%以内を目安に、以下の量を超えないようにしましょう。
| 犬の体重 | 1日あたりの最大目安量 |
| 超小型犬(~4kg) | 茎の薄切り2~3枚 または 葉を少量 |
| 小型犬(~10kg) | 茎3~5cm または 葉1~2枚 |
| 中型犬(~25kg) | 茎5~7cm または 葉2~3枚 |
| 大型犬(25kg~) | 茎10cm または 葉3~4枚 |
上記はあくまで健康な犬の最大量の目安です。茎と葉を同時に与える場合は、それぞれ量を減らして調整してください。生のセロリではなく、加熱して細かく刻んだ状態で与えましょう。初めて与える際は、この量のさらに半分以下から始め、便の状態や体調に変化がないか注意深く観察することが重要です。
犬が摂取すると得られるセロリの栄養素・成分
セロリを犬が摂取することで、様々な栄養素や成分が得られます。以下で、セロリの栄養素・成分を見ていきましょう。
1. 食物繊維
食物繊維は、消化酵素で分解されずに大腸まで届く成分で、セロリは食物繊維の含有量が豊富です。食物繊維は大きく分けて水溶性と不溶性の2つに分類され、どちらも重要な働きを持っています。
水溶性食物繊維は、その名の通り水に溶けやすく、糖質や余分なコレステロールの吸収を抑える効果があります。また、善玉菌の増殖を助けることで腸内環境を整える役割も持っています。
一方、不溶性食物繊維は、水に溶けにくく、便を増やす効果があります。これにより、便秘解消や腸の動きをスムーズにする効果があります。
2. カリウム
カリウムは、体の機能を正常に保つために不可欠なミネラルの一種です。筋肉の収縮を助けたり、尿の排泄を促すことで余分なナトリウムを排出し、血圧の調節や心臓の働きを助けたりするなどの役割を担っています。カリウムが不足すると、歩行不全、食欲不振、元気消失などの症状につながります。
3. βカロテン
βカロテンは、緑黄色野菜に多く含まれる色素成分です。犬の体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAにはおもに皮膚や被毛の健康状態を保ち、丈夫な粘膜や歯をつくる作用があります。
4.ビタミンB1・ビタミンB2
セロリにはビタミンB1(チアミン)とビタミンB2(リボフラビン)が含まれており、犬のエネルギー代謝や皮膚、被毛の健康を保つために必要な栄養素です。ビタミンB1は神経や筋肉の正常な働きをサポートし、ビタミンB2は細胞の修復や新陳代謝を助けます。
5. ビタミンC・ビタミンE
セロリに含まれるビタミンCとビタミンEは、抗酸化作用を持ち、犬の免疫力をサポートします。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、骨や関節、皮膚の健康に重要な役割を果たします。ビタミンEは、細胞を保護する抗酸化物質として、老化の予防や体の防御力を高める働きがあります。特にシニア犬にはうれしい栄養素です。
犬にセロリを与える4つの健康メリット
先ほど紹介した栄養素が含まれていることで、犬にセロリを与えると、以下のような嬉しいメリットがあります。愛犬の健康状態やライフスタイルに合わせて、おやつやトッピングとして上手に取り入れてみましょう。
1. 夏場や散歩後の水分補給に
セロリの約95%は水分で構成されているため、美味しい水分補給源になります。特に、あまり水を積極的に飲みたがらない犬や、シニア犬、夏場のお散歩後など、脱水が心配な時の水分補給にぴったりです。食事と一緒に与えることで、無理なく全体の水分摂取量を増やすことができます。
2. お腹の調子を整え、便通をケア
セロリに含まれる水溶性と不溶性の両方の食物繊維が、犬の腸内環境をサポートします。善玉菌を増やし、腸の動きを活発にすることで、便秘気味の犬のスムーズな排便を助けたり、お腹の調子を安定させたりする効果が期待できます。
3. 免疫力を保ち、若々しさを維持
βカロテンから変換されるビタミンAや、ビタミンC・Eが持つ抗酸化作用は、体を外部の敵や内部のダメージから守るのに役立ちます。細胞の健康を維持し、愛犬が本来持っている免疫力を保つことで、病気にかかりにくい、丈夫な体づくりをサポートしてくれるでしょう。
4. 体内の余分な塩分を排出
カリウムが持つ、体内の余分な塩分を排出する働きは、犬の健康的な体の巡りを維持するのに役立ちます。塩分の多いおやつなどを食べがちな犬にとって、カリウムを含むセロリのような野菜は、体内のミネラルバランスを整える上で良いサポートとなります。
犬への正しいセロリの与え方|葉は?生でも平気?
犬にセロリを与える際は、適切な量や大きさ、食べ方を守ることが大切です。ここでは、セロリを安全に与えるための調理・準備のポイントを詳しく見ていきましょう。
細かく刻む
セロリの硬いスジは犬にとって消化しにくく、喉や腸に詰まらせる危険があります。必ずスジを取り除き、消化しやすいように5mm〜1cm角程度に細かく刻んでください。
加熱するのがおすすめ
生でも少量なら問題ありませんが、繊維が硬く消化に負担をかけるため、茹でるか蒸して柔らかくしてあげるのが最も安全で、犬にも優しい与え方です。
葉も与えてもOK
セロリの葉は、茎よりもβカロテンなどの栄養素が豊富です。犬に与えても全く問題ありません。ただし、香りが強いため、犬によっては苦手な場合もあります。細かく刻んで加熱し、少量から試してみてください。
犬にセロリをあげる際の注意点
ここでは、犬にセロリをあげる際の注意点を紹介します。
カリウムの摂取制限を行っている場合には与えない
加齢や腎臓病で腎臓の機能が低下していると、余分なカリウムを上手に体外に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」になる心配があります。
高カリウム血症は、痙攣や頻脈、不整脈などを引き起こす原因となり、重篤になると命に関わることも。シニア犬や腎臓病のある犬、心機能が低下している犬にセロリを与えるときは注意が必要です。
摂取しすぎると消化不良や腸に詰まる恐れがある
セロリの茎にあるスジは非常に繊維質が多く、犬の小さな消化管では完全に消化するのが難しいことがあります。特に大量に摂取した場合、これらのスジが消化管で絡み合って消化不良を起こし、最悪の場合、腸閉塞を引き起こす恐れもあります。
腸閉塞は非常に深刻な状態で、症状としては、下痢や嘔吐、腹痛、食欲不振などが見られます。愛犬にこれらの症状が出た場合には動物病院を受診しましょう。
アレルギーを考慮して初めは少量ずつ与えるようにする
ごく稀ではありますが、セロリにアレルギー反応を示す犬もいます。セロリをはじめて与える場合は、少量から与えるようにしましょう。
また、あげる際には、茹でた方が安全です。アレルギー症状には、口の周囲や目のかゆみ、皮膚の発赤、下痢や嘔吐が挙げられます。このような症状が見られた場合には、すぐにセロリを与えるのを止め、獣医師の診察を受けてください。
新鮮なものを与え、正しく保存する
犬にセロリを与える際は、人間と同じように鮮度が大切です。古くなったセロリは栄養価が落ちるだけでなく、雑菌が繁殖しやすくなり、お腹を壊す原因にもなりかねません。
購入後はなるべく早く与え、保存する場合は、葉と茎を分けて湿らせたキッチンペーパーで包み、冷蔵庫で保管すると長持ちします。ただし、家庭での長期保存は難しいため、常に新鮮なものを与えることを心がけましょう。
セロリ以外のセリ科の野菜は大丈夫?
セロリ以外にも、セリ科に属する野菜は多数ありますが、それらは犬に与えても安全なのでしょうか。ここでは、セリ科の野菜を挙げ、それぞれの特性や注意点を紹介します。
にんじん
セリ科に属するにんじんは、ビタミンAや食物繊維が豊富で、犬にとっても健康的な食材です。視力をサポートしたり、腸内環境を整える効果があります。生のままだと繊維が硬く消化に負担がかかることがあるため、しっかり加熱し、細かく刻んだりすり潰したりして与えましょう。
三つ葉
三つ葉もセリ科に属する野菜で、栄養が豊富です。ビタミンやミネラルが多く含まれており、抗酸化作用もあります。
一方、その強い香りが犬には合わないことがあります。少量であれば問題なく与えることができますが、食べにくい場合もあるため、細かく刻んで少量から与えるようにしましょう。
パセリ
パセリは犬に与えても基本的に安全な食材であり、ビタミンCやβカロテン、カリウムなどの栄養素が豊富です。免疫力の向上や抗酸化作用、心臓の健康維持に寄与します。
また、パセリに含まれるアピオールやピネンには菌の繁殖を抑える効果があり、口臭の予防にも効果が期待できます。ただし、与える際は少量から始め、過剰摂取を避けるようにしましょう。
コリアンダー(パクチー)
コリアンダー(パクチー)は、セリ科の香草として犬にも与えることができますが、過剰摂取には注意が必要です。コリアンダーはビタミンCや抗酸化物質が豊富で、消化促進やデトックス作用があります。
しかし、その強い香りや味が犬によっては苦手な場合もあるため、少量から試して様子を見ながら与えるようにしましょう。
犬とセロリに関するよくある質問
ここでは、犬とセロリに関するよくある質問に答えていきます。
犬にセロリを与えても大丈夫ですか?
犬にセロリを与えることは基本的に問題ありませんが、少し注意が必要です。セロリは栄養が豊富で、犬の健康にプラスになることが多いですが、与え過ぎると消化不良を起こす可能性があります。
とくに小型犬や初めてセロリを与える場合は、少量から始めて、犬の反応を見ながら量を調整しましょう。また、セロリはあくまでおやつやトッピングとして与えるのがベストで、主食として与えることは避けるべきです。
セロリは犬にとってどんな栄養素が含まれていますか?
セロリに含まれている栄養素は以下のとおりです。
- 食物繊維:腸内環境を整えるのに役立つ、便秘予防
- カリウム:血圧の調整にも貢献し、腎臓の健康をサポート
- βカロテン:ビタミンAに変換され、皮膚や被毛の健康を守る
- ビタミンB1:エネルギー代謝をサポートし、神経や筋肉の働きを正常に保つ
- ビタミンB2:細胞の修復や新陳代謝を助け、健康な皮膚や被毛を保つ
- ビタミンC:抗酸化作用が強く、免疫力を高める
- ビタミンE:皮膚や被毛の健康をサポートし、細胞の老化を防ぐ
セロリの葉と茎、どちらを犬に与えるべきですか?
栄養の面でいえば、茎よりも葉のほうがビタミン類や食物繊維が多いとされています。とはいえ、茎にも茎にもカリウムや水分が豊富に含まれており、栄養をまんべんなく摂取するなら一緒に与えるのがよいでしょう。
ただし、葉は香りが強いため、細かく刻んで少量与えるのが適切です。香りや味に敏感な犬には、葉をあまり多く与えない方が良いかもしれません。茎は硬いため、茹でて柔らかくしてから細かく刻み、消化しやすくして与えることをおすすめします。
セロリを犬に与える方法として、加熱した方が良いですか、それとも生で与える方が良いですか?
セロリは少量であれば生でも与えられますが、加熱した方が犬には優しいです。
生のセロリは繊維が硬く、消化に負担をかけることがありますが、加熱することで繊維が柔らかくなり、消化がスムーズになります。セロリを与える際は、茹でるか蒸すなどしてから与えましょう。
セロリにアレルギー反応を示す犬はいますか?その場合、どうすればいいですか?
セロリはまれにアレルギー反応を引き起こすことがあります。アレルギー症状として、皮膚のかゆみや発疹、嘔吐、下痢などが見られることがあります。もし初めてセロリを与えて、症状が出た場合はすぐに与えるのをやめ、獣医師に相談することが大切です。
アレルギー反応が確認された場合、セロリを今後与えるのは避けるべきです。愛犬がアレルギー反応を示さないかどうか、少量から慎重に与えながら確認していきましょう。
セロリは犬が食べても安全な食材
セロリは安心して犬に与えることができる食材の一つです。豊富な水分と栄養素(ビタミンやミネラル)、そして食物繊維が健康維持をサポートするでしょう。しかし、セロリを与える際にはいくつか注意が必要です。与える量や茹でるなどの工夫をしながら、愛犬とともに健康な食事を楽しみましょう。










