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「愛犬が下痢をしたけど、元気はある…このまま様子を見てもいいの?」 「うんちに血やゼリー状のものが混じっている…これって緊急?」
突然の下痢は、飼い主様にとって非常に心配なものです。結論から言うと、「元気があって食欲もある成犬」であれば、半日〜1日ほど様子を見ても大丈夫なケースが多いです。しかし、「ぐったりしている」「子犬や老犬である」「嘔吐もしている」場合は、命に関わることもあるため早急な受診が必要です。
この記事では、病院へ行くべき危険なサインと、うんちの色や状態でわかる原因、お家でできる正しいケア方法について解説します。
犬の下痢、病院に行くべき?
下痢の症状は、一過性の軽いものから緊急手術が必要なものまで様々です。まずは愛犬の状態をチェックし、緊急度を判断しましょう。
すぐに病院へ行くべきケース
以下の症状が一つでも当てはまる場合は、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。
- 水のような下痢を何度も繰り返している(脱水の危険)
- 嘔吐を伴っている
- 便が黒い(タール便)、または鮮血が大量に混じっている
- ぐったりしていて元気がない、呼びかけへの反応が鈍い
- お腹を触ると痛がる、震えている
- 子犬(特にワクチン未接種)、または体力のないシニア犬である
- 誤飲・誤食の心当たりがある(おもちゃ、人の薬、ネギ類など)
自宅で様子を見てもいいケース
以下の条件が揃っている場合は、焦らずにお家で様子を見ても大丈夫な場合もあります。
- 下痢の回数が1〜2回程度で落ち着いている
- いつも通り元気があり、食欲もある
- 嘔吐はなく、水分もしっかり取れている
- 便の最後の方に少し粘液(ゼリー状)が混じる程度
ただし、2〜3日経っても便が固まらない場合や、少しでも状態が悪化した場合は受診してください。
【色・形別】うんちの状態でわかる原因と危険度
犬の下痢の状態は、体の中で何が起きているかを知る重要な手がかりです。スマホで写真を撮って獣医師に見せると、診断がスムーズになります。
犬の下痢の種類
犬の下痢には様々な種類があります。それぞれの種類によって原因や対処法が異なるため、どのタイプの下痢かを見極めることが重要です。以下は、代表的な7種類の下痢の一覧です。
茶色・軟便(危険度:低)
いつもより色が薄い茶色や黄色っぽく、形はあるけれど掴むと崩れてしまう程度の軟便、あるいは泥状の便です。これは食べ過ぎやフードの切り替え、軽いストレスなどによる一時的な消化不良であることがほとんどです。元気や食欲があるなら、食事量を減らして胃腸を休ませてあげることで、自然に回復するケースが多いでしょう。
ゼリー状の粘膜便(危険度:中)
便の表面に透明や白、ピンク色のドロッとした「ゼリー状の膜」がついていることがあります。これは腸の粘膜が剥がれ落ちたもので、「大腸炎」を起こしているサインです。一度きりで元気が良ければ一過性のことが多いですが、頻繁に出る場合や下痢が続く場合は、寄生虫やストレス、あるいは慢性的な炎症が隠れている可能性があります。
赤い血便(危険度:高)
鮮やかな赤い血が混じっている、またはイチゴゼリーのような便が出る場合は、肛門近くや大腸からの出血している可能性が高いです。硬い便で肛門が切れただけの軽症の場合もありますが、パルボウイルスなどの感染症や、鞭虫(べんちゅう)などの寄生虫、あるいは大腸ポリープなどの病気が原因であることも考えられます。感染症のリスクも考慮し、早めの受診をおすすめします。
黒いタール便(危険度:高)
海苔の佃煮やアスファルトのように黒くてドロッとしており、鉄臭い独特の臭いがするのが特徴です。これは胃や小腸など、消化管の上の方で大量出血していることを示しており、血液が消化されて黒く変色して出てきています。胃潰瘍や腫瘍、あるいは誤飲による内臓損傷など、命に関わる事態の可能性が高いため、昼夜を問わず直ちに動物病院へ急いでください。
白っぽい・灰色の便(危険度:中〜高)
便全体が白っぽかったり、灰色がかっていたりする場合、消化酵素や胆汁がうまく働いていない可能性があります。脂肪分が多い食事を摂りすぎて消化不良を起こしているケースや、胆泥症、膵外分泌不全といった内臓疾患の疑いがあります。酸っぱい臭いがすることもあり、続くようであれば検査が必要です。
水様便(危険度:高)
形が全くなく、水のようにシャーッと勢いよく出る便です。体内の水分が一気に失われるため、短時間で急激な脱水症状に陥るリスクがあります。ウイルス感染症や重度の中毒、激しい急性胃腸炎などが原因として考えられます。特に体の小さい小型犬や子犬の場合、脱水が命取りになることもあるため、躊躇せず急いで受診してください。
犬の下痢の原因6つ
愛犬に下痢の症状がある場合、原因や日常的なものや突飛的なものと様々ですが、主な原因は以下の6つです。
- 食事
- ストレス
- 異物誤飲
- ウイルス
- 寄生虫
- 病気
それぞれの原因について、詳しく解説していきます。
1. 食事
食事は下痢の最も一般的な原因です。単純な食べ過ぎによる消化不良や、開封から時間が経ったフードの酸化・劣化が胃腸を刺激して下痢を招きます。
また、新しいフードへ急に切り替えると、腸内環境が適応できずに調子を崩すことがあります。その他、特定の食材が体質に合わない「食物アレルギー」の可能性も考えられます。
フードを変える際は1週間かけて徐々に慣らし、常に新鮮なものを適量与えるよう心がけましょう。
2. ストレス
犬の腸は、第二の脳と呼ばれるほどデリケートで、精神的なストレスの影響を強く受け、下痢をしてしまうことがあります。引っ越しやペットホテルなどの環境変化、雷や工事の騒音、長時間の留守番などが主なきっかけとなります。
また、季節の変わり目の急激な寒暖差も体にとっては大きな負担です。自律神経が乱れると腸の動きが過敏になり下痢を引き起こすため、繊細な性格の子は特に心のケアと室温管理が大切です。
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3. 異物誤飲
散歩中の拾い食いや、家の中での誤飲も下痢の大きな原因です。タバコの吸い殻や腐った食べ物、おもちゃの破片などを飲み込むと、胃腸が刺激されたり中毒を起こしたりして下痢につながります。
特にネギ類やチョコレート、人の薬などは中毒症状が重く、命に関わることもあります。誤飲は腸閉塞などの緊急事態を招く恐れがあるため、散歩中は愛犬から目を離さず、室内の整理整頓を徹底して事故を防ぎましょう。
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4. ウイルス
パルボウイルス、コロナウイルス、犬ジステンパーウイルスなどの感染症が原因で、激しい下痢を起こすことがあります。これらは伝染力が強く、特に免疫力の低い子犬やシニア犬、ワクチン未接種の犬では重症化して命に関わる危険性があります。
多くのウイルス病は、定期的な混合ワクチン接種で予防が可能です。愛犬を感染のリスクから守るためにも、適切なタイミングでのワクチン接種を心がけましょう。
5. 寄生虫
お腹の中に回虫やコクシジウム、ジアルジアなどの寄生虫がいることで、下痢が続くことがあります。特に抵抗力の弱い子犬に多く見られ、母犬からうつっているケースや、不衛生な環境で感染するケースがあります。
元気があっても軟便やゼリー状の便が長引く場合は、寄生虫の可能性があります。一度の検査では見つからないこともあるため、気になる症状があれば動物病院で詳しい便検査を受けましょう。
6. 病気
単なる消化不良ではなく、内臓の病気が背景にあるケースです。例えば、膵炎や炎症性腸疾患(IBD)、リンパ腫などの腫瘍、腎不全や肝不全といった全身の病気が原因で下痢が起こることがあります。
特に高齢犬で下痢が長く続く場合や、体重が減ってきている場合は注意が必要です。一見ただの下痢に見えても、その裏に重大な疾患が隠れていることがあるため、自己判断せず早めに獣医師の診察を受けましょう。
犬が下痢になってしまった時の自宅ケアと食事のポイント
犬が下痢を引き起こしてしまった場合、適切な対処を早急に行うことが重要です。放置しておくと、体調の悪化を招く可能性があります。
ここでは、犬が下痢をしてしまった際に飼い主がとるべき対処法を3つ紹介します。
- 運動を控えて家で安静にする
- 食事や飲み物の量を減らす
- 動物病院を受診する
それぞれの対処法について、詳しくみていきましょう。
1. 成犬なら半日〜1日の絶食で胃腸を休ませる
胃腸の中に食べ物が入ってくると、消化のために腸は休むことなく動き続けなければなりません。成犬で体力がある場合は、思い切って半日(1食分)から1日ほど食事を抜くことで、腸の炎症が治まるのを待つのが効果的です。
ただし、生後6ヶ月未満の子犬や痩せている犬、持病がある犬の場合は、絶食すると低血糖で倒れてしまう危険があるため絶対に行わず、かかりつけ医の指示に従ってください。
2. 水分補給は常温を少しずつ与える
下痢で失われた水分を補うことは脱水予防のために必須ですが、冷たい水をガブ飲みさせると刺激になり、逆効果になってしまいます。冷蔵庫から出したばかりの水ではなく、常温の水やぬるま湯を、少量ずつ回数を分けて与えるようにしましょう。
もし自力で水を飲まない場合は、ササミを茹でた汁(脂肪分を取り除いたもの)を水で薄めて与えると、香りに誘われて喜んで飲むことが多いのでおすすめです。
3. 食事の再開は消化に良いものから始める
絶食やお休みをした後、いきなりいつもの量のドライフードをあげるのは避けてください。休んでいた胃腸がびっくりして、また下痢をしてしまうことがあります。
最初はいつものフードをお湯でふやかして指で潰れるくらい柔らかくしたものや、塩分なしで煮込んだうどんやお粥、皮を除いて茹でたササミなどを与えます。量はいつもの3分の1から半分程度に抑え、便の様子を見ながら2〜3日かけてゆっくり元の食事に戻していきましょう。
4. お腹を冷やさないようにして安静に過ごす
いくら元気があっても、体の中では炎症が起きています。散歩は排泄のためだけの短い時間にとどめ、家でゆっくり寝かせてあげましょう。また、お腹の冷えは下痢を悪化させる原因になります。夏場の冷房が効いた部屋や冬場の寒い時期は、腹巻きや毛布を活用してお腹周りを温めてあげることも大切なケアの一つです。
犬の下痢を予防する方法
下痢は愛犬にとっても辛いものです。日頃の生活習慣を見直すことで、お腹のトラブルを減らすことができます。以下、詳しい予防法を紹介します。
1. 愛犬に合った適切な食事を与える
1つ目の予防法は、愛犬に合った適切な食事を与えることです。食事は犬の健康を支える基本的な要素です。特に新しいフードを与える時は、愛犬のお腹に負担をかけないよう工夫が必要です。以下のステップで与えていきましょう。
■ステップ1:まずは少量から与え始める
新しいフードを突然大量に与えると、犬の消化器系に負担をかけ、下痢の原因になります。初めてのフードは少量だけ普段の食事に混ぜ、消化器系への影響を慎重に観察しましょう。
■ステップ2:段階的に増量する
新しいフードに愛犬が慣れるまで、3〜7日かけて徐々にその量を増やしていきます。古いフードの割合を減らしながら新しいフードを増やすことで、消化器系がゆっくりと適応できます。
■ステップ3:愛犬の様子を観察する
フードを変更している間は、愛犬の体調や便の状態を観察し、下痢や嘔吐などの消化不良の兆候がないか確認してください。異常が見られた場合は、フードの変更を中断し、獣医師に相談するのが良いでしょう。
■ステップ4:ストレスの管理をする
犬は環境の変化やストレスに敏感で、消化不良や下痢を引き起こすことがあります。食事の変更だけでなく、日常生活の中で愛犬がストレスを感じないように穏やかな環境を提供することも重要です。
これらのステップを実践することで、食事の面における下痢のリスクを減らせます。
2. 散歩中の拾い食いに注意する
2つ目の予防法は、散歩中の拾い食いを防ぐことです。散歩中に犬が異物を誤って食べることは少なくなく、これが原因で下痢を引き起こすケースもあります。拾い食いを防ぐためには、次の対策を試してみてください。
<拾い食い対策>
■リードを短く持つ
犬が地面にあるものを簡単に食べられないように、リードをしっかりと短く持ち、犬が気になるものを見つけて近づく素振りを見せたら、素早く対応できるようにしましょう。
■訓練・しつけを行う
「落ちているものを食べない」という基本的なしつけをしておくと安心です。根気よく教えることで、愛犬の安全を守れます。
■注意をそらす
散歩中に犬が拾い食いしそうになったら、おもちゃや、おやつで注意をそらすのも効果的です。犬が拾い食いをする前に別のものに集中させることで、事故を未然に防ぎます。
■散歩後の健康状態をチェックする
散歩後には、犬の口の中や体をチェックし、異物を食べていないか確認します。もし異常が見られた場合は、早めに対処することが重要です。
関連記事:犬が草を食べる理由とは?飼い主が気をつけるべき注意点も解説
3. 定期検診を受ける
3つ目の予防法は、定期的な健康検診を受けることです。定期検診は、犬の健康状態を把握し、早期に異常を発見するために欠かせません。特に、予防接種や健康チェックを通じて、下痢の原因となる病気を予防することが可能です。
<予防接種>
ウイルス感染などが原因で下痢が引き起こされることがあるため、定期的な予防接種を欠かさず行うことが重要です。予防接種は、犬の免疫力を高め、重篤な病気を防ぐ効果があります。
<病気の早期発見>
定期検診では、消化器系に関する異常や潜在的な病気を早期に発見できる可能性があります。早いうちに発見・治療ができれば、病気が悪化する前に適切な対処が可能になります。
<継続的な健康管理>
定期的に獣医師に相談することで、愛犬の健康状態を常に把握し、必要に応じたケアを受けることができます。「今は元気だから」と検診をサボらず、定期的に獣医さんに診てもらいましょう。健康を維持し、下痢などの症状を未然に防ぐためには、継続的なケアが不可欠です。
4. 愛犬の生活環境を整える
4つ目の予防法は、愛犬の環境を整えることです。犬がストレスを感じにくい環境づくりは、下痢の原因を減らすために非常に重要です。
日頃からスキンシップを大切にし、ストレスを与えないよう配慮しましょう。飼い主に体を撫でられたり声をかけられたりすることで、安心感を覚える犬は多く、これがストレス軽減につながります。
運動不足もストレスの一因となるため、散歩の頻度を見直すことや、おもちゃを与えて遊ばせることで、適度な運動を確保してあげましょう。
また、誤飲・誤食を防ぐためにも、部屋の中の危険な物は犬の手が届かない場所に置き、おもちゃも飲み込めないサイズを選ぶことが大切です。環境を整えることで、犬が安全で快適に過ごせる状態を維持し、結果として下痢を予防することができます。
まとめ
今回は、犬が下痢をする主な原因や対処法、事前の予防方法について解説しました。
下痢は犬に多い症状で、原因は様々です。軽度であれば自宅で対応可能ですが、嘔吐や食欲不振を伴う重度の場合は、症状が進行し根気強い治療が必要になることもあります。
日頃から愛犬の様子を観察し、異変を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。
■犬の下痢について
■犬の下痢の種類
1.軽度軟便
2.重度軟便
3.水溶性下痢
4.赤い血便
5.黒い血便
6.粘膜便
7.白色便■犬の下痢の主な原因
1.食事
2.ストレス
3.異物誤飲
4.ウイルス
5.寄生虫
6.病気■犬が下痢になってしまった時の対処法
1.運動を控えて家で安静にする
2.食事の習慣を見直す
3.動物病院を受診する■すぐに病院に行く必要がある危険な下痢とは?
1.水のような下痢を頻繁に繰り返す
2.便に血が混ざる(血便)
3.便が黒い(黒色便)
4.ゼリー状の下痢
5.食欲や元気がない
6.体重が減っている
7.3日以上下痢が続いている■犬の下痢を予防する方法
1.愛犬に合った適切な食事を与える
2.散歩中の拾い食いに注意する
3.定期検診を受ける
4.愛犬の生活環境を整える


