「最近、愛犬の便の状況が違う」
「犬も人間同様に下痢を引き起こすことがあるの?」
愛犬がいる人は、このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
実は、犬も人間同様に下痢の症状を引き起こします。犬の下痢は、食生活の変化、心理的ストレス、異物誤飲、ウイルス感染、虫の侵入、または他の潜在的疾患によって起こる複合的な症状です。
愛犬に下痢の症状が出ると、心配になる飼い主さんもいるでしょう。そこで本記事では、犬が下痢をする主な原因と、対処法や事前の予防方法について解説していきます。愛犬の下痢に悩んでいる方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
犬の下痢について
犬の下痢とは、私たち人間と同様で、消化器系に異常が発生した際に見られる症状で、便が通常よりも柔らかくなる、または液状化する状態を指します。
下痢は一時的な消化不良やストレスが原因で起こることもあれば、深刻な病気の兆候であることもあります。下痢の原因は多岐にわたり、食事の変更、感染症、異物誤飲、寄生虫、または内臓の病気などが考えられます。
愛犬が下痢をしている場合、便の状態を観察すると、原因を特定し、適切な対応を取るための手がかりとなります。
下痢は軽度であれば自宅で対応できる場合もありますが、重症化することもあるため、早めの対応が大切です。日常的に愛犬の便の状態を確認し、異常があれば獣医師に相談することが重要です。
犬の下痢の種類
犬の下痢にはさまざまな種類があります。それぞれの種類によって原因や対処法が異なるため、どのタイプの下痢かを見極めることが重要です。以下は、代表的な7種類の下痢の一覧です。
- 軽度軟便
- 重度軟便
- 水溶性下痢
- 赤い血便
- 黒い血便
- 粘膜便
- 白色便
それぞれの種類について、以降で詳しく解説します。
1. 軽度軟便
1つ目は軽度軟便です。軽度軟便とは、形を保ちながらも通常より柔らかい便です。食事の変更や軽いストレスが原因で発生することが多く、一時的なものであることがほとんどです。軽度の下痢の場合は、通常は自然に回復することも多いです。
2. 重度軟便
2つ目は重度軟便です。重度軟便とは、便の形が失われ、泥状に柔らかくなった便を指します。消化不良や寄生虫の感染が原因で発生することが多く、便に未消化の食べ物が含まれないことが特徴です。
3. 水様性下痢
3つ目は水様性下痢です。水様性下痢とは、液体状の便が頻繁に排出される状態です。腸の消化吸収機能が低下していることを示しており、ウイルス感染や寄生虫が原因で発生することが多いです。便に未消化の食べ物が混ざることもあります。
4. 赤い血便
4つ目は赤い血便です。赤い血便は、大腸や直腸など消化器の下部で出血が起きた際に見られる便です。血液が消化液と混ざらず、鮮やかな赤色のまま便に混ざることが特徴です。
5. 黒い血便
5つ目は黒い血便です。黒い血便は、胃や十二指腸など消化器の上部で出血が起きた際に見られる便です。血液が消化液で変質し、便が黒っぽくなることが特徴です。
6. 粘膜便
6つ目は粘膜便です。粘膜便とは、大腸に異常がある際に見られるゼリー状の粘膜が便に混ざった状態です。出血が伴う場合、イチゴゼリーのような見た目になることもあります。
7. 白色便
7つ目は白色便です。白色便とは、胆汁の分泌不全や慢性膵炎が原因で、消化不良を示す白っぽい脂肪を含んだ便です。
犬の下痢の主な原因
愛犬に下痢の症状がある場合、原因や日常的なものや突飛的なものと様々ですが、主な原因は以下の通りです。
- 食事
- ストレス
- 異物誤飲
- ウイルス
- 寄生虫
- 病気
それぞれの原因について、詳しく解説していきます。
1. 食事
1つ目の原因は食事が挙げられます。
特に、食品の鮮度や質が犬の下痢に大きく関わります。古いフードは微生物が繁殖しやすく、その結果、犬が微生物や毒素によって下痢を起こすことがあります。さらに、フードが酸化したり栄養価が劣化すると、消化器官への刺激が強くなり、下痢を引き起こすリスクが高まります。
はじめてのフードを与える際には、犬の胃腸がその食事に適応できず、脂肪分が高い食品や過食によっても下痢が発生する可能性があります。また、犬に食物アレルギーがある場合、特定の食材が下痢や他の胃腸症状を引き起こすことがあります。
さらに、私たち人間の食べ物が犬の消化器に合わない場合もあるため、愛犬と食べ物を共有する際には十分な注意が必要です。
2. ストレス
2つ目の原因はストレスです。
犬も人間と同じく、ストレスが胃腸に影響を与え、下痢を引き起こすことがあります。
犬がストレスを感じる原因としては、引っ越しや長時間の留守番、家族構成の変化、近所での工事、雷や台風などの自然現象、さらには季節の変わり目や気温の急激な変化などが挙げられます。
これらの環境変化は犬にとって大きなストレスとなり、結果として下痢が発生します。もしこれらのストレス要因に心当たりがある場合、できる限り原因を取り除いてあげることで、犬の体調を改善させる手助けができるでしょう。
3. 異物誤飲
3つ目の原因は異物誤飲です。
犬が食べ物以外のものを誤って飲み込んでしまった場合、消化器官が影響を受け、下痢が引き起こされることがあります。特に、人間用の薬やサプリメント、ゴミ箱から拾った腐った食べ物などを誤食した場合は注意が必要です。
これに加え、異物を飲み込んだ際には、しばしば下痢とともに嘔吐が見られることがあります。場合によっては緊急の治療が必要となることもあるため、異物を誤って飲み込んだ際には早急に動物病院に連れて行くことが大切です。
4. ウイルス
4つ目の原因はウイルス感染です。
犬がパルボウイルス、コロナウイルス、犬ジステンパーウイルスなどのウイルスに感染すると、下痢を引き起こす可能性があります。特に免疫力が弱い子犬や高齢犬は、これらのウイルス感染によって重篤な症状や合併症が発生しやすいです。
これらのウイルス感染を防ぐためには、定期的なワクチン接種が有効です。犬をウイルス感染から守るために、適切な時期にワクチンを接種し、健康管理を徹底することが重要です。
5. 寄生虫
5つ目の原因は寄生虫です。
回虫やコクシジウム、トリコモナスなどの寄生虫が犬に感染すると、腸内での寄生によって下痢が引き起こされます。これらの寄生虫は、土壌や汚染された食べ物、または母乳を通じて子犬に感染することもあります。
寄生虫による感染は、下痢以外にも毛艶の悪化や腹部の膨満、体重減少などの症状を引き起こすことがあり、症状が悪化する前に適切な対処が求められます。
6. 病気
6つ目の原因は病気です。
犬の下痢は、慢性膵炎、炎症性腸疾患(IBD)、消化管腫瘍(リンパ腫など)といった病気によって引き起こされることがあります。
これらの病気は、消化器官に悪影響を与え、しばしば下痢が続く原因となります。病気が原因で下痢が発生している場合、適切な診断と治療が不可欠です。犬が頻繁に下痢を繰り返す場合は、早めに獣医師に診断を依頼し、必要な治療を受けることが大切です。
犬が下痢になってしまった時の対処法
犬が下痢を引き起こしてしまった場合、適切な対処を早急に行うことが重要です。放置しておくと、体調の悪化を招く可能性があります。
ここでは、犬が下痢をしてしまった際に飼い主がとるべき対処法を3つ紹介します。
- 運動を控えて家で安静にする
- 食事や飲み物の量を減らす
- 動物病院を受診する
それぞれの対処法について、詳しくみていきましょう。
1. 運動を控えて家で安静にする
まず、愛犬が下痢をしている場合は、過度な運動を避けて家で安静にさせることが大切です。元気があるように見える場合でも、下痢の原因が体調不良やストレスである可能性があるため、無理をさせることは控えましょう。
軽い散歩程度であれば問題ありませんが、無理をしていないか注意し、疲れさせないように気をつけてください。特にお散歩中は、誤飲や拾い食いが下痢を悪化させる原因となることがあるため、細心の注意を払いましょう。
運動を控えて安静にさせることで、体が回復に向かうための余力を確保することができます。
2. 食事の習慣を変更する
次に、下痢をしている犬には思い切って半日から1日程度、食事を抜くことが効果的です。食事を抜くことで腸を休ませ、炎症や刺激を軽減することができます。
また、食物繊維を含む食べ物を与えることも便を固める助けとなります。サツマイモやキャベツなど、食物繊維が豊富で犬が食べられる食品は、腸内環境を整え、便の水分を吸収して固める効果があります。
ただし、食物繊維の与えすぎは腸への負担となるため、適量を守りながら少しずつ与えることが大切です。
また、絶食や絶水はすべての犬に適しているわけではなく、特に子犬や基礎疾患がある犬に対しては慎重に行う必要があります。流動食を少量与えることで、栄養不足や低血糖を防ぎつつ、腸への負担を軽減することも選択肢の1つです。
3. 動物病院を受診する
愛犬の下痢が続いたり、他の異常が見られる場合には、速やかに動物病院を受診することが推奨されます。下痢自体は一時的なものかもしれませんが、以下のような症状が伴う場合は、より深刻な健康問題の兆候である可能性があります。
- 下痢の回数が多い
- 水様、ゼリー状の下痢
- 数日続いている
- 食欲や元気がない
- 嘔吐している ・・・etc
これらの症状が見られた場合は、すぐに獣医師に相談することで、適切な治療を受けることができます。特に誤飲や誤食が疑われる場合には、迅速な対応が求められます。
病院では、状況に応じて催吐処置や外科的手術が必要となることもありますので、自己判断で処置を行わず、専門家に任せることが重要です。
すぐに病院に行く必要がある危険な下痢とは?
下痢をしていて、特に以下のような症状が見られるときは、ただちに獣医師の診察を受けることが重要です。
- 水のような下痢を頻繁に繰り返す
- 便に血が混ざる(血便)
- 便が黒い(黒色便)
- ゼリー状の下痢
- 食欲や元気がない
- 体重が減っている
- 3日以上下痢が続いている
これらの症状は、感染症、寄生虫、消化器系の障害、あるいは他の深刻な健康問題の可能性があります。
迅速な対応によって、病気の早期発見と治療ができ、愛犬の回復を早めることができるでしょう。
犬の下痢を予防する方法
犬が下痢をしないためには、日頃から適切なケアを行うことが大切です。特に、食事や散歩中の行動、定期的な健康チェックが有効です。中でも代表的な予防方法は以下の通りです。
- 愛犬に合った適切な食事を与える
- 散歩中の拾い食いに注意する
- 定期検診を受ける
それぞれの予防法について詳しくみていきましょう。
1. 愛犬に合った適切な食事を与える
まず、1つ目の予防法は、愛犬に合った適切な食事を与えることです。食事は犬の健康を支える基本的な要素であり、食事の質や新しい食材を取り入れることが下痢の予防に直接関わります。特に、新しいフードを導入する際には、以下のステップを踏むことが推奨されます。
■ステップ1:まずは少量から与え始める
新しいフードを突然大量に与えると、犬の消化器系に負担をかけ、下痢の原因となる可能性があります。初めてのフードは少量だけ愛犬の食事に混ぜ、消化器系への影響を慎重に観察しましょう。
■ステップ2:段階的に増量する
新しいフードに愛犬が慣れるまで、数日間をかけて徐々にその量を増やしていきます。古いフードの割合を減らしながら新しいフードを増やすことで、消化器系がゆっくりと適応します。
■ステップ3:愛犬の様子を観察する
フードを変更している間は、愛犬の体調や便の状態を観察し、下痢や嘔吐などの消化不良の兆候がないか確認してください。異常が見られた場合は、フードの変更を中断し、獣医師に相談するのが良いでしょう。
■ステップ4:ストレスの管理をする
犬は環境の変化やストレスに敏感で、消化不良や下痢を引き起こすことがあります。食事の変更だけでなく、日常生活の中で愛犬がストレスを感じないように穏やかな環境を提供することも重要です。これにより、消化不良を予防し、総合的な健康を保つことができます。
これらのステップを実践することで、食事の面においては下痢を予防できる可能性が高まります。
2. 散歩中の拾い食いに注意する
2つ目の予防法は、散歩中の拾い食いを防ぐことです。散歩中に犬が異物を誤って食べることは少なくなく、これが原因で下痢を引き起こすケースもあります。拾い食いを防ぐためには、次の対策が有効です。
<拾い食い対策>
■リードの管理
犬が地面にあるものを簡単に食べられないように、リードをしっかりと短く持ち、犬が拾い食いしやすい状況を未然に防ぎましょう。
■訓練
「落ちているものを食べない」というコマンドを教え、拾い食いを避ける訓練を行います。こうした訓練は、愛犬の安全を守るだけでなく、健康を維持するために重要です。
■注意をそらす
散歩中に犬が拾い食いしそうになったら、おもちゃ又はおやつで注意をそらすのも効果的です。犬が拾い食いをする前に別のものに集中させることで、事故を未然に防ぎます。
■定期的な健康チェック
散歩後には、犬の口の中や体をチェックし、異物を食べていないか確認します。もし異常が見られた場合は、早めに対処することが重要です。
3. 定期検診を受ける
3つ目の予防法は、定期的な健康検診を受けることです。定期検診は、犬の健康状態を把握し、早期に異常を発見するための大切な機会です。特に、予防接種や健康チェックを通じて、下痢の原因となる病気を予防することが可能です。
<予防接種>
ウイルス感染などが原因で下痢が引き起こされることがあるため、定期的な予防接種を欠かさず行うことが重要です。予防接種は、犬の免疫力を高め、重篤な病気を防ぐ効果があります。
<病気の早期発見>
定期検診では、消化器系に関する異常や潜在的な病気を早期に発見できる可能性があります。早めの治療によって、病気が悪化する前に適切な対処が可能になります。
<継続的な健康管理>
定期的に獣医師に相談することで、愛犬の健康状態を常に把握し、必要に応じたケアを受けることができます。健康を維持し、下痢などの症状を未然に防ぐためには、継続的なケアが不可欠です。
4. 愛犬の生活環境を整える
4つ目の予防法は、愛犬の環境を整えることです。犬がストレスを感じにくい環境づくりは、下痢の原因を減らすために非常に重要です。
日頃からスキンシップを大切にし、ストレスを与えないよう配慮しましょう。飼い主に体を撫でられたり声をかけられたりすることで、安心感を覚える犬は多く、これがストレス軽減につながります。
運動不足もストレスの一因となるため、散歩の頻度を見直すことや、おもちゃを与えて遊ばせることで、適度な運動機会を提供してあげましょう。
また、誤飲・誤食を防ぐためにも、部屋の中の危険な物は犬の手が届かない場所に置き、おもちゃも飲み込めないサイズを選ぶことが大切です。環境を整えることで、犬が安全で快適に過ごせる状態を維持し、結果として下痢を予防することができます。
まとめ
今回は、犬が下痢をする主な原因と、対処法や事前の予防方法について解説しました。
下痢は犬に多い症状で、原因は様々です。軽度であれば自宅で対応可能ですが、嘔吐や食欲不振を伴う重度の場合は、症状が進行し根気強い治療が必要になることもあります。
日頃から愛犬の様子を観察し、異変を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。
■犬の下痢について
■犬の下痢の種類
1.軽度軟便
2.重度軟便
3.水溶性下痢
4.赤い血便
5.黒い血便
6.粘膜便
7.白色便■犬の下痢の主な原因
1.食事
2.ストレス
3.異物誤飲
4.ウイルス
5.寄生虫
6.病気■犬が下痢になってしまった時の対処法
1.運動を控えて家で安静にする
2.食事の習慣を変更する
3.動物病院を受診する■すぐに病院に行く必要がある危険な下痢とは?
■犬の下痢を予防する方法
1.愛犬に合った適切な食事を与える
2.散歩中の拾い食いに注意する
3.定期検診を受ける
4.愛犬の生活環境を整える