犬にはちみつを食べさせても大丈夫？適切な与え方や注意点を解説

健康や美容によいと注目が集まっている「はちみつ」

愛犬ちゃんの健康のために与えたいと考える飼い主さんも多いようですが、愛犬ちゃんに与えてもいいのでしょうか。

結論からいえば、はちみつには様々な注意点があり、必ずしも犬にとって良い作用ばかりではありません。はちみつの糖質を中心に、メリット、デメリットを理解し、適切に使用することが大切となります。

はちみつは与えても良いが注意が必要

はちみつには、血糖値を上げる性質があります。健康な状態のときには、多少の血糖値の乱高下は問題ありませんので、少量であればあげても問題ないです。ただし、8歳を超えるシニア期や腎臓、肝臓などの内臓疾患をかかえている犬に継続的にあげることは、注意しましょう。

血糖値の急上昇、急降下は、インスリンなどのホルモンの過剰分泌や細胞の炎症に繋がり、様々な病気の引き金となると言われています。天然の甘味料だからというヘルシーなイメージに惑わされずに、適材適所で活用することが求められます。

具体的には、以下の注意点を意識しましょう。

1. 糖尿病
2. ガン
3. 内臓疾患の引き金になる可能性が
4. その他の注意点　花粉症、肥満、ボツリヌス症

それぞれについて、以降で詳しく解説します。

1.糖尿病

はちみつと砂糖の糖質を比べると、

はちみつの糖質は砂糖より少なくなっています。

ですが、はちみつに主に含まれる糖質（果糖）は、吸収されるとすぐに肝臓でブドウ糖・中性脂肪に作り替えられ、血糖値を上昇させていきます。

「果糖」は砂糖の「ショ糖」よりも体内吸収が速いので、実は砂糖よりも血糖値を上げやすくなっています。このような注意点から、血糖値に注意が必要な糖尿病のある犬には、はちみつは与えない方が良いでしょう。

特に糖尿病でインスリン治療を受けている場合は、はちみつを食べさせてはいけません。

2. ガン

血糖値が高いと、なぜガンを発症しやすいのでしょうか。血糖値が上昇すると、インスリンの分泌に変化が生じ、これが細胞の炎症につながり、結果として細胞の本来の修復再生機能が低下すると考えられています。

血糖値が上昇すると、すい臓はさらに多くのインスリンを分泌し、結果的に血液中のインスリン濃度が長期間高い状態を維持します。また、インスリンと似ているIGF-1の分泌も盛んです。こうした成分の増加は、肝臓、腎臓、すい臓などの細胞に影響を与え、細胞のガン化や増殖を誘発する可能性が考えられています。高血糖の状態を長い間放置すると、リスクが増加する傾向があります。

ガン細胞は通常、速いスピードで増殖するため、多くのエネルギーを必要とします。つまり、ガン細胞はたくさんのブドウ糖を必要とします。ガン細胞は正常細胞の3～8倍ものブドウ糖を取り込まなければ、その生命活動を維持できないという事が判っています。

ブドウ糖に代謝されやすく体内吸収が速やかなはちみつの果糖は、ガンにとって格好の餌となります。既にガンに罹患している場合はもちろんの事、ガンを未然に防ぐ点においても、はちみつは積極的に与えない方が良いと言えるでしょう。

3.内臓疾患の引き金になる可能性が

はちみつはGI値が高く、血糖値を急激に上げる食品です。

なぜ血糖値を急激に上げることが良くないのかというと、ひとつは急激な血糖値の上昇にともなって、一気にインスリンが分泌されてしまうからです。インスリンは、血液中の糖を細胞に取り込み、エネルギーに変えたり、脂肪に変えて蓄えることで血糖値を下げます。したがって、一気にインスリンが分泌されることで脂肪の蓄積につながり、肥満の原因となります。

それでも処理しきれなかった過剰な血糖は、「糖化」（体のコゲ）という形で体に悪影響を及ぼします。人間では体の糖化がすすむと、細胞の劣化が進み、腎機能や目の病気、認知症を引き起こすと言われています。

また、短時間で血糖値の上昇と下降が起こることを「血糖値スパイク」と呼び、頻繁に繰り返されることで、血管の老化の原因となります。　これにより、免疫の低下や血管の損傷を招き、感染症にかかりやすくなる、腎臓病など疾患のリスクを上げることにつながります。

上記のような状態は、はちみつを1回摂取しただけでは起こりませんが、継続的に過剰摂取を繰り返した場合、そのリスクが上がることを理解しておきましょう。

4. その他の注意点　花粉症、肥満、ボツリヌス症

犬にはちみつを与える際に注意したい点は上記の他にもあります。はちみつを摂る事で花粉によるアレルギー症状がでることがあります。はちみつは、ミツバチが花の蜜を収集し、それを加工して作る製品です。そのため、製造過程で花粉が混入することがあります。

これまで花粉症の症状がなかった犬でも、はちみつを摂取した後に下痢、嘔吐、皮膚の発赤やかゆみなどの症状が現れる場合、花粉アレルギーの可能性があります。

また、はちみつは糖質が多く100gあたり329kcalと、カロリーも高い食品です。前述にもあるように、はちみつの糖質である「果糖」は非常に体内吸収が良いので、与えすぎると愛犬が肥満気味になってしまいます。

ボツリヌス菌による食中毒にも要注意です。腎不全など腎臓に疾患を抱えている犬や、腸の機能や免疫力が低下している犬には、ボツリヌス症を発症するリスクが高まるとされています。犬が健康で腸の状態も良い場合、中毒を起こす心配は少ないとされています。しかし、腸内環境が未熟な幼犬や、免疫力が低下しているシニア犬、また腎不全で毒素を排出しにくい犬には感染のリスクが高まるため、これらの犬種には与えない方が良いでしょう。

症状としては、便秘や体力の低下などが現れ、最悪の場合は死に至ることがあります。筋肉や神経に影響を及ぼすため、中毒になると歩けなくなることや呼吸困難になることがあります。

犬は何歳（いつ）からはちみつを食べられる？

犬がはちみつを食べ始めるのに適しているのは、1歳を過ぎてからです。1歳未満の子犬は腸内環境が未成熟で、ボツリヌス菌に対する免疫力が低いため、中毒のリスクがあります。このため、幼犬にははちみつを与えない方が安全です。1歳を過ぎた健康な成犬であれば、少量であればはちみつを与えても問題ないことが多いです。

ただし、免疫力が低下しているシニア犬や持病のある犬には注意が必要です。初めて与える際は少量から始め、体調に変化がないか観察してください。愛犬の健康状態に応じて、必要であれば獣医師に相談すると安心です。

犬にはちみつを与える3つのメリット

犬にはちみつを与えることには、いくつかのメリットがあります。以下に代表的なものを挙げました。

1. 食いつきUPにつながる
2. 多彩な糖質を摂取できる
3. ポリフェノールを摂取できる
4. ミネラルを摂取できる
5. 消化を助ける酵素を含む
6. 疲労回復効果が期待できる

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

1. 食いつきUPにつながる

はちみつは犬の食欲を引き出す強力な助けとなります。犬は甘いものが大好きで、はちみつの自然な甘さは食いつきを向上させる効果があります。食欲が低下している場合や、特に病中・病後で栄養が不足しがちな時に、はちみつは有効な選択肢です。

例えば、はちみつを少量ドッグフードやヨーグルトに加えるだけで、食べる意欲が湧く犬が多くいます。また、少量で高カロリーを補えるため、食べられる量が限られるときにも便利です。

このように、食いつきが良くなることで、必要な栄養をしっかり摂取させるサポートができます。ただし、食べすぎは肥満や糖尿病のリスクがあるため、適量を守りましょう。

2. 多彩な糖質を摂取できる

はちみつに含まれるブドウ糖と果糖は、体内で分解が不要な単糖類で、エネルギーとしてすぐに利用されます。特に疲れやすい犬や活動量の多い犬にとって、迅速なエネルギーチャージは非常にメリットが大きいです。

例えば、疲労した散歩後や運動量の多い日にはちみつを少量与えることで、エネルギー回復を促すことができます。

また、急激な疲労を防ぎ、犬の元気を保つのにも役立ちます。ただし、はちみつは高カロリーな食品なので、与えすぎに注意し、犬の体重や活動量に応じた量を調整してください。

3. ポリフェノールを摂取できる

はちみつに含まれるポリフェノールは、抗酸化作用や抗菌作用を持ち、犬の健康維持に役立ちます。これらの成分は細胞を酸化ストレスから守り、老化や病気の予防に貢献するとされています。

例えば、ポリフェノールの抗酸化作用により、体内の活性酸素を抑え、免疫力の向上や老化防止が期待できます。また、抗菌作用によって口腔内のケアにも効果を発揮します。特に口臭や歯周病の予防を目的に使用する飼い主も増えています。

このように、健康面でのサポートを考える場合、適量のはちみつは犬の体を内側からケアする助けとなるでしょう。

4. ミネラルを摂取できる

はちみつは、鉄分、マグネシウム、カリウムなどのミネラルを豊富に含んでおり、これらは犬の体内で多くの重要な働きを担っています。ミネラルは筋肉や骨を形成したり、神経伝達をサポートするなど、生体維持に欠かせない成分です。

例えば、鉄分は酸素を運ぶ役割を果たすため、貧血気味の犬に有効です。カリウムは筋肉や心臓の正常な機能を維持するのに役立ちます。これらのミネラルがバランスよく含まれるはちみつは、健康をトータルでサポートする食品と言えるでしょう。

5. 胃腸の働きをサポートしてくれる

結論として、はちみつには消化を助ける酵素が含まれており、胃腸の働きをサポートする効果があります。酵素は食べ物の分解を助け、栄養吸収を促進します。

例えば、胃腸の調子が優れない犬に少量のはちみつを与えることで、消化を助けたり、便秘の改善をサポートすることができます。また、ヨーグルトや水に混ぜることで摂取しやすくなるため、胃腸ケアが簡単に行えます。

消化不良気味の犬にとって、はちみつの酵素成分は穏やかに作用し、腸内環境を整える助けとなるでしょう。

6. 疲労回復効果が期待できる

はちみつは糖質が主成分であり、体内で即座にエネルギー源となるため、疲労回復に役立ちます。特に長時間の運動や散歩の後に与えることで、犬の疲れを和らげる効果が期待できます。

例えば、散歩後や運動量の多い日に水に溶かしたはちみつを与えることで、疲れを感じやすい犬が元気を取り戻すことがあります。これは、はちみつに含まれる糖質が素早くエネルギーに変わるためです。

エネルギー補給に優れたはちみつは、犬の活動的な生活をサポートする上で役立つ食品です。

犬への適切なはちみつの与え方

はちみつは愛犬にとってメリットがある一方で、与える量や方法を間違えると健康リスクにつながる可能性があります。適切な量と食べ方を知り、安全に与えることが大切です。それぞれのポイントについて詳しく解説します。

量

犬にはちみつを与える際の適量は、体重1kgあたり約1gが目安です。ただし、犬の体格や体調、個別のアレルギー反応の可能性を考慮して、初めて与える場合はこの量よりも少ないところから始めるのが安全です。

水に少量のはちみつを溶かして与える方法は、摂取量をコントロールしやすく、犬も飲みやすいでしょう。毎日はちみつを与えることは推奨されませんが、摂取しにくい薬を飲ませる際に少量のはちみつを使うことで、薬を飲みやすくする効果もあります。

注意点として、与えすぎると血糖値の急上昇や肥満につながるリスクがあるため、日々の摂取量は適切に管理しましょう。

食べ方

はちみつは、そのまま与えるよりも工夫して与えることでメリットを引き出せます。例えば、整腸作用があるヨーグルトに少量のはちみつを加えると、嗜好性が高まり、食欲が落ちている犬でも食べやすくなります。

腸内環境の改善やエネルギー補給を目的とする場合、胃腸の不調時や疲労時に与えるのがおすすめです。ただし、嗜好性が高い分、過剰摂取につながる可能性があるため、毎日ではなく、必要なときだけに限定して活用しましょう。

特に肥満傾向のある犬や甘いものを好む犬には、与える量や頻度を厳密に管理することが重要です。

犬にはちみつをあげる際に気をつけておきたいこと

はちみつは適切な量や方法で与えれば犬に多くのメリットをもたらしますが、いくつか注意すべき点があります。特に、与える種類や品質、そして体調に合わせた選択が重要です。ここでは、はちみつを安全に活用するために気をつけるべきポイントを解説します。

加工品は避け、純粋や精製はちみつをあげるようにする

結論として、犬には加工食品としてのはちみつではなく、純粋または精製されたはちみつを選ぶべきです。加工食品のはちみつには砂糖や添加物が含まれていることが多く、これが犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、はちみつ入りのクッキーやヨーグルトなどは、犬が好む嗜好性の高い商品ですが、砂糖や脂質が過剰に含まれているため、与えるべきではありません。これらは肥満や糖尿病を引き起こすリスクがあります。

犬に与えても良いはちみつの種類としては以下の通りです

マヌカハニーを代替商品として使用する

マヌカハニーは通常のはちみつの代わりに与える選択肢として非常に有効です。その優れた殺菌作用と低GI値（血糖値の上昇指数）が健康的な代替手段となります。

マヌカハニーは、ニュージーランドのマヌカの花から採取されたもので、特に抗菌作用が強いことが知られています。犬が口内トラブルを抱えている場合や、免疫力のサポートを必要とする時期に与えると効果的です。

また、通常のはちみつと比べて血糖値の上昇を緩やかにするため、シニア犬や肥満傾向のある犬にも適しています。マヌカハニーは高価なため、適量を守ることで経済的負担を軽減しつつ、安全に使用できます。

また、与える際は純粋なものを選び、添加物が含まれていないことを確認しましょう。

マヌカハニーは、主にニュージーランドで自生するマヌカの花から収穫されるはちみつであり、非常に強力な殺菌・消毒作用が認められています。マヌカハニーは一切の加工を行っていない純粋なはちみつで、血糖値の上昇指数（GI値55前後）と低い部類に入ります。

犬がはちみつが大好きという場合、その代替商品としてマヌカハニーを使用するのは、有効と言えそうです。

犬のはちみつに関するよくある質問

はちみつを愛犬に与える際には、多くの飼い主がさまざまな疑問を持っています。ここでは、犬にはちみつを与える際のよくある質問をご紹介します。

子犬にでもはちみつを与えてもいいの？

結論として、子犬（1歳未満）にははちみつを与えない方が安全です。

子犬の腸内環境はまだ成熟しておらず、ボツリヌス菌の芽胞に対する耐性が低い状態です。この菌が腸内で繁殖すると、中毒症状を引き起こし、最悪の場合命に関わる可能性があります。そのため、1歳を過ぎて腸内環境が整ってから与えるようにしましょう。

老犬や病気の犬にはちみつを与えても大丈夫？

老犬や病気の犬には健康状態を考慮して慎重に判断する必要があります。食欲が落ちている場合には、少量のはちみつがエネルギー補給の助けとなることがあります。また、口内炎などの軽い傷がある場合には、はちみつの抗菌作用が役立つ場合もあります。

ただし、糖尿病や肥満のある犬、あるいは腎臓や肝臓に疾患を抱えている犬には、はちみつを与えることはリスクを伴います。これらの場合には、必ず獣医師と相談してから与えるかどうかを決めるべきです。

はちみつを与えすぎるとどうなるの？

はちみつを与えすぎると、肥満や血糖値の急上昇、胃腸の不調などのリスクが考えられます。特に高カロリーであるため、過剰に与えると肥満につながりやすくなります。また、糖尿病のリスクがある犬の場合は、血糖値が急激に上昇し、健康を害する可能性があります。

さらに、一部の犬でははちみつが消化不良を引き起こし、下痢や嘔吐を招くこともあります。適量を守り、愛犬の体調をしっかり観察することが重要です。

どの種類のはちみつが犬に適しているの？

犬には純粋なはちみつが最も適しています。添加物が含まれていない純粋はちみつは、安全性が高く、栄養価も豊富です。抗菌作用のあるマヌカハニーも、はちみつの代替品として優れた選択肢です。

一方で、はちみつ入りの加工食品や、添加物が含まれている商品は避けるべきです。これらには砂糖や香料などが多く含まれていることがあり、犬の健康を害する恐れがあります。商品を選ぶ際には、ラベルを確認し、純粋なものを選ぶことが大切です。

愛犬がはちみつを嫌がる場合、どうしたらいい？

はちみつをそのまま与えることを嫌がる場合には、工夫して摂取させる方法を考えましょう。ドッグフードに少量を混ぜたり、ヨーグルトやお湯に溶かして与えると、愛犬が受け入れやすくなります。おやつやトッピングとして活用するのも一つの手です。

ただし、与えすぎないように注意し、適量を守りましょう。

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まとめ

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