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豆腐の原料である大豆は、低カロリーで「畑の肉」といわれるほど豊富なたんぱく質を含みます。その他にも善玉コレステロールを増やす脂質のリノール酸や、腸内環境を整えるオリゴ糖など体に良い機能性成分を多く含んでいます。常に冷蔵庫にストックされている方も多いのではないでしょうか。そんな身近で栄養たっぷりの豆腐ですが、犬に与えてもいいのでしょうか。
犬に豆腐を与える際は注意が必要
豆腐は植物性タンパク質が豊富で様々な栄養を補給できますが、食べれば食べるほど健康になるとは限らず、過剰摂取はかえって栄養が偏ることに繋がります。
また、人間が食べる時のような薬味や調味料を加えてはいけません。
犬は何歳(いつ)から豆腐を食べられる?年齢による注意点は?
豆腐は1才未満の幼犬期から与えても大丈夫です。ただし、子犬は消化不良を起こすことがあるので、少しずつ分けて与えるようにしましょう。
老犬・高齢犬は、腎臓や肝臓の機能が少しずつ低下している可能性があります。豆腐は意外と高タンパクな食品ですので、摂りすぎることで栄養バランスが崩れ、肝臓や腎臓に負担をかけることがあります。高齢になってきたら、豆腐が好きな愛犬でも与えすぎないように注意しましょう。特に腎臓病、肝臓疾患の疑いがある犬には、豆腐単体ではなく、茹で野菜と一緒にあげる工夫をしてあげると良いでしょう。
犬に豆腐を与える5つのメリット
1. 植物性タンパク質を摂取できる
豆腐は良質な植物性タンパク質が豊富な食べ物です。たんぱく質は皮膚や筋肉など体を作るうえで必須といえるエネルギー源であり、特に成長期の犬にはメリットになります。また、肉や魚の動物性たんぱく質と比べてカロリーが低いので、肥満が心配な犬にも比較的与えやすい食品です。
2. ミネラルを摂取できる
骨や歯を丈夫にする、神経や筋肉の活動をサポートするための、カルシウム、リン、マグネシウムなど必須ミネラルが豊富に含まれています。これらはすべて犬の健康維持に必要なものです。
だだし、ミネラルは多く摂れば良いというものではなく、バランスがとても大切です。持病があり、特定の栄養素の制限が必要な場合には、豆腐単独で与えると持病が悪化するリスクがあるので与えすぎには注意しましょう。
3. オリゴ糖を摂取できる
オリゴ糖は、腸のなかで乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサとなることで、腸内環境を改善する働きがあります。腸内環境がよくなると、便通がよくなるだけでなく、免疫力のアップにつながるといわれているため、整腸作用に加え、病気の予防にもつながります。
4. 大豆イソフラボンを摂取できる
女性ホルモンのエストロゲンと同じような作用をするポリフェノールの一種です。このイソフラボンには活性酸素を除去する抗酸化作用のほかに、骨を強化し血行を促進する作用が期待できます。
5. リノール酸を摂取できる
豆腐には脂質が意外と多く含まれています。脂質のなかでもとくに注目したいのが、不飽和脂肪酸のリノール酸です。リノール酸は不飽和脂肪酸の一種で、コレステロール値を下げる作用があります。
犬に豆腐をあげる際に気をつけておきたいこと
大豆アレルギー
犬の食物アレルギーは、牛肉や乳製品など動物性タンパク質に対して生じることが多いのですが、大豆がアレルギー源になることがあります。
豆腐は大豆が原料なので、大豆アレルギーがある犬には食べさせてはいけません。食べ物によるアレルギーは子犬期に発症することが多いのですが、成犬になってから発症する場合もあります。大豆アレルギーがあるかどうかわからない場合は、まず少し与えてみて、下痢や嘔吐、皮膚を痒がるなどのアレルギー症状が出ないかどうか確認してから、その後も与えてよいかを判断しましょう。
サポニン
大豆からできている豆腐には、サポニンという成分が多く含まれています。サポニンには、体にとって有害な作用を示す活性酸素を除去する抗酸化作用や免疫力の向上、血流の改善などの作用が期待できますが、犬の体質によっては腸に炎症を引き起こし、一時的な嘔吐や下痢を起こす場合もあるといわれています。
カリウム
豆腐の原料である大豆には、カリウムが多く含まれています。カリウムの過剰摂取は、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」を引き起こす恐れがあります。高カリウム血症になると、四肢のしびれや筋力の低下、嘔吐、不整脈、頻脈などが起こり、重篤な場合は命を落とすこともあります。
腎臓病を患っている犬やシニア犬で腎機能が衰えている場合には、カリウムの排出がうまくできない可能性があるので注意が必要です。また、心機能が低下している、心臓の治療などを行っているなど、心臓疾患がある場合も要注意です。
カルシウム
カルシウムはシュウ酸と結びつくと、シュウ酸カルシウム結石を作る可能性があります。カルシウムはバランスが大切で、不足することも、過剰摂取も、結石症のリスクを高めます。尿路結石症の既往がある犬には、カルシウムの過剰摂取を防ぐために、豆腐は与えないほうがよいでしょう。
マグネシウム
マグネシウムは多量に摂取するとストルバイト結石を形成しやすくなるといわれています。豆腐に含まれるマグネシウムはそれほど多い量ではありませんが、尿石症の既往がある犬や現在治療中の犬、腎臓や肝臓などに問題がある場合には、豆腐を与えないほうが無難でしょう。
脂質
豆腐は、栄養成分を見ると意外と多くの脂質を含んでいます。
その量は、鶏のささ身と同量比で比べても約5倍。肉や魚などの動物性食品に比べれば低カロリーですし、不飽和脂肪酸が多いとはいえ、食べ過ぎはカロリーオーバーになりかねません。与える量には気を付けましょう。
油揚げなど油を多く含む豆腐の加工品
豆腐の加工品として、油揚げや厚揚げ、また豆腐ハンバーグなどもあります。
豆腐そのものを調理したものであれば、基本的には与えても問題ありませんが、調味をしたものや、玉葱など犬に禁忌な食べ物が入っているものは与えてはいけません。
また、油で揚げたものはカロリーが高く、油の質によっては犬の身体に悪影響を与えますので、あえて与える必要はありません。どうしても与える場合には、しっかりと湯通しし、油を切ってあげるようにしてください。
卵豆腐やごま豆腐など、「豆腐」と名前のついた加工品もありますが、これらは豆腐とは違うものです。さまざまな材料が添加されているので、与えないほうがいいでしょう。
犬への適切な豆腐の与え方
量
犬に豆腐を与える際は、おやつやドッグフードにトッピングする程度の量にするのが目安です。 おやつの量とは、ドッグフードをベースとした一日における必要カロリー量の1割程度です。 豆腐1丁が350g~400gとすると、犬に与えても問題のない体格別の適正量は次のようになります。
小型犬(体重10kg以下) | 30~40g 豆腐1丁の1/10程度 |
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中型犬(体重25kg未満) | 50g 程度 豆腐1丁の1/6から1/8程度 |
大型犬(体重25kg以上) | 150g程度 豆腐半丁程度 |
※上記の量はおおよその目安であり、実際の犬の体格や運動量によって異なります。
栄養価の高い豆腐ですが、豆腐ばかり与えると栄養バランスが悪くなり、体調を崩しかねません。あくまでドッグフードを主食として、豆腐はトッピングやおやつ程度の量にとどめておきましょう。
大きさ
豆腐は水分を多く含んでいるので喉に詰まりにくい食品です。また、犬は口に収まるサイズであれば噛まずに丸のみをする習性があるので、食べ物を喉に詰まらせる事自体、稀な事と言えるでしょう。ただし、早食いや高齢で嚥下の力が弱い場合など突発的に詰まらせてしまう事も無いとは言えないので、小さく切っておくと無難です。
食べ方
犬に豆腐を与える時に、薬味や調味料を加えてはいけません。薬味によく使われるネギ類は犬にとって禁忌の食べものですし、調味料によって塩分過多になり、体調を崩す原因となる事もあります。そのため、味付けは一切せずに与えてください。
また、冷たいままだと胃腸に負担がかかるため、常温に戻したものを与えるといいでしょう。
シニア犬や、心臓、肝臓、腎臓などの内臓疾患がある犬の場合、豆腐の豊富な栄養素がデメリットとなることもあります。
その場合には豆腐単独ではなく、茹でた野菜と一緒に与えることをお勧めします。豆腐に含まれるタンパク質やミネラル、脂質などを薄めるという意味で、茹でた野菜の食物繊維は有効です。
ゆで野菜と豆腐の割合は1:1
ゆでた野菜で食物繊維を作るレシピは以下の通りです。
◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)
サツマイモ・キノコ類・ニンジン・コマツナ・ブロッコリー
いずれも必ず細かくみじん切りし、3~10分茹でて、茹で汁は捨てましょう。
※焼く、蒸す、レンジはNG
野菜に含まれる不要な成分が流れ出ているゆで汁を捨てることが大切です。
絹豆腐と木綿豆腐の違い
健康な犬に与えてもよい豆腐の種類は、豆乳を凝固剤(にがり)で固めて作られる木綿豆腐か絹ごし豆腐です。木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いは製造方法で、木綿豆腐は圧力をかけて水分を絞るのに対して、絹ごし豆腐はそのまま凝固剤を加えています。そのため、木綿豆腐は絹ごし豆腐より、カロリーやタンパク質、脂質、カルシウム、リンが多く、絹ごし豆腐はにがり(塩化マグネシウム)の成分であるマグネシウムや、ビタミンB群、カリウムが多く含まれるとされています。
豆腐の栄養価を効率よく摂取するなら、木綿豆腐がお勧めですが、肥満気味な犬や老犬、腎臓・肝臓の機能が落ちている犬の場合には、より内臓への負担が少ない絹ごし豆腐のほうが良いでしょう。
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まとめ
豆腐は植物性タンパク質やイソフラボンなど、犬の身体にとってメリットになる栄養素を含んだ食品です。また、水分が多く口当たりがよいため、好んで食べる犬も多いでしょう。
ただし、過剰に摂取すれば逆効果になることもあるため、豆腐の栄養価を愛犬の健康維持に役立てるなら、適量を守ることが大切です。たまにフードのトッピングに加えてみるなど摂取量は少量に留めておきましょう。また、腎臓、肝臓、心臓、結石などの内臓疾患がある場合にはタンパク質やミネラルの豊富なことが、デメリットとなる事もあります。
つまり
・与える場合には少量で留める
・タンパク質やミネラル成分を中和させるために同量のゆで野菜と一緒に摂る
などの工夫をして、愛犬の疾患や体調を考慮しながら与える事が大切です。