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「愛犬にイボができてしまったけど、これって大丈夫なのかな?」と不安になったことはありませんか?犬にできるイボには、良性のものと悪性のものがあり、イボが見つかった際は適切な対処が必要です。
本記事では、犬にできるイボの種類や原因、対処法、予防策について詳しく解説します。小さなイボでも放置すると大きくなったり、悪化したりする可能性があるため、早めの対応が重要です。また、イボの種類によって治療方法も異なってきます。愛犬の健康を守るため、イボを見つけた際にどう対応すべきか、ぜひ参考にしてください。
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犬にできるイボとは
犬にできるイボやしこりは医学用語ではありませんが、一般的に「イボ」とは皮膚の一部が盛り上がってできるできものを指します。また、皮膚の下にできる「しこり」を総称して「皮下腫瘤」といいます。
犬にみられるイボは「乳頭腫」(パピローマ)が多く、これは良性の腫瘤です。
大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、成長速度も個体によって異なります。
犬のイボは、顔、首、体、足など、どの部位にも発生しますが、特に口のまわりや口腔内、目の周りなどに発生することが多く、色は白~ピンク色、質感はザラザラしており、カリフラワーのような形状をしているのが特徴です。若い犬や免疫力が低下している犬に多く見られます。
イボが乳頭腫であれば、ほとんどは1~2ヶ月で自然治癒し、健康に影響はありません。
しかし、イボには乳頭腫以外にもいくつか種類があり、中には注意が必要なものもあります。
犬のイボの種類
犬のイボには良性・悪性の2種類がありますが、専門家でなければ正確に判断するのは困難なため、素人判断で見極めるのは危険です。悪性腫瘍の可能性も考え、自己判断はせず、信頼できる動物病院で獣医師から正確な判断を受けましょう。
良性のイボ
皮脂腺腫
皮脂を分泌する皮脂腺が詰まってできるイボです。ドーム状に盛り上がり、カリフラワーのような粒々した見た目が特徴です。体のあちこちにできますが、特にまぶたや肛門周りに発生しやすい傾向があります。
比較的高齢の犬に多く見られ、数週間から数か月で自然に小さくなることもあります。大きさが変わらない場合は経過観察でよいですが、出血や化膿した場合は切除などの処置が必要です。
皮膚乳頭腫(パピローマ)
パピローマウイルスの感染によって起こる良性のイボです。カリフラワーのような形状で、ピンクや黒色の「モコモコ」とした見た目が特徴です。
主に幼犬やシニア犬など、免疫力が低下している犬に発生しやすく、他の犬との接触で感染することがあります。多くの場合、数ヶ月で自然に消失しますが、犬が気にして掻いたり噛んだりすることで出血や化膿することもあります。
表皮嚢胞
皮脂や老廃物が溜まってできる袋状のイボで、人間でいう「粉瘤」に似ています。小さく痛みもない場合が多いですが、内容物が増えると数センチまで大きくなることも。
基本的には良性ですが、犬が引っ掻いたり、飼い主が触ったりすることで破裂して中身が出ることがあります。感染や炎症を起こすリスクもあるため、大きくなったり炎症を起こしたりした場合は切除を検討します。
脂肪腫
皮下脂肪が塊となってできる柔らかいイボです。体のさまざまな部位に発生し、数ミリの小さなものから30センチを超える大きなものまであります。成長がゆっくりで柔らかく、転移する心配もない良性の腫瘍です。多くの場合は経過観察で問題ありませんが、大きくなりすぎて歩行などの日常動作に支障をきたす場合は切除を検討します。
悪性のイボ
肥満細胞腫
皮膚にできる悪性腫瘍の一つです。見た目は良性のイボに似ていますが、急激に大きくなったり、赤みを帯びたり、出血したりする特徴があります。触ると硬く、刺激すると大きくなることも。
早期発見・早期治療が重要で、放置すると他の臓器に転移するリスクがあります。治療は主に外科的切除ですが、場合によって化学療法や放射線療法を併用することもあります。
扁平上皮癌
皮膚の表面から発生する悪性腫瘍です。主に日光の当たる部分(鼻や耳など)に発生しやすく、初期は良性のイボのように見えることもあります。表面が潰瘍化したり出血したりする特徴があり、放置すると周囲の組織に浸潤していきます。早期発見が重要で、主に外科的切除による治療を行います。
犬のイボの良性と悪性の見分け方
犬のイボは、見た目や触った感触から良性か悪性かの特徴をつかむことができます。ただし、素人判断は危険なため、必ず獣医師による診断を受けましょう。以下に、それぞれの特徴を見ていきます。
良性のイボの特徴
<良性のイボの特徴>
- 比較的小さく1㎝に満たない
- 柔らかいことが多く、色は白や肌色など、明るい色味である
- 時間がたてば自然治癒する
良性のイボは、通常、犬の健康に直接的な害を及ぼすことはありません。犬がイボを気にしていない時、多くの場合は特別な治療は必要なく、経過観察を選択するのが一般的です。
ただし、イボが大きくなり犬が気にするようになると、噛んだりこすりつけたりして出血することもあります。また、大きくなったイボが犬の動きを制限してしまうこともあるため、日常生活に困るようなら切除した方が良いこともあります。
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悪性のイボの特徴
<悪性のイボの特徴>
- 大きさが1㎝を越える(ただし、小さいものもある)
- 感触は硬めで、色は黒・赤黒・紫など暗い色味である
- 小さいイボがどんどん大きくなる場合、悪性の可能性が高い
悪性のイボを放置すると転移のリスクがあり、その結果、大きな手術や特殊な治療が必要になることがありますので、見つけたらすぐに動物病院を受診しましょう。
犬にイボができる原因
愛犬にイボができる主な原因は以下の3つです。
- ウイルス感染
- 免疫の低下
- 遺伝
それぞれの原因について、掘り下げて解説します。
ウイルス感染
パピローマウイルスへの感染が原因で発生する乳頭種は、良性のイボです。皮膚にできた小さなキズからウイルスが侵入・感染することで発症します。また、型は異なりますが、人間においてもイボの一因となるものです。
パピローマウイルスは、動物間の直接的な接触、またはウイルスに汚染された物質を介して移ります。 特に犬は社交的な動物のため、他の犬との接触を完全になくすことは非常に難しく、このウイルスの感染を避けることは困難でしょう。
ただし、パピローマウイルスによるイボは、免疫システムが成熟している犬であれば、自然に消失することが多いといわれています。
また、若い犬や免疫系が弱いシニア犬の場合イボが発生しやすいですが、基本的に良性なので過度に心配する必要はありません。しかし、異常に気づいた場合は獣医師の診断を受けることが重要です。
免疫の低下
犬のイボの原因の多くはウイルス感染によるものです。犬の免疫力が低下すると、皮膚や粘膜の傷からウイルスが侵入しやすくなります。特に生後間もない幼犬、病気で衰弱している犬、そして免疫機能が低下しているシニア犬は、ウイルス感染のリスクが高いため、注意が必要です。
免疫力が低下する要因としては、加齢によるもののほか、ストレス、食生活の乱れ、慢性的な疾患、ステロイド剤などの薬物投与などが挙げられます。また、アレルギー性皮膚炎や他の皮膚疾患がある場合も、皮膚のバリア機能が低下してイボができやすくなります。
シニア犬の場合、1年で人の5年分の加齢に相当するため、免疫力の低下が急速に進むことがあります。
遺伝
犬のイボの多くはウイルスが原因ですが、中には遺伝性のものもあります。
肥満細胞腫などは遺伝性が高いと考えられ、好発犬種としてゴールデンレトリーバーやパグが挙げられます。他にも良性ですが、黒い乳頭腫が多く発生する「色素性乳頭腫症」は、パグやミニチュア・シュナウザーに多く見られ、遺伝的要因があるとされています。
犬のイボの取り方・治療方法
犬のイボの治療方法は、イボの種類や大きさ、場所によって異なります。ここでは、犬のイボの取り方・治療方法を見ていきましょう。
経過観察
良性のイボと診断された場合、すぐに治療を行わず、様子を見ていくことも選択肢の一つです。ただし、これは獣医師による定期的な観察と判断が必要です。イボの大きさ、色、形状の変化を記録し、急激な変化や炎症がないかチェックします。愛犬の様子に変化があれば、治療に移行することもあるため、自己判断は避けましょう。
外科手術による切除
全身麻酔下で行われる外科手術は、大きなイボや悪性の可能性があるイボの治療に用いられます。手術では周囲の健康な組織も含めてイボを完全に切除し、必要に応じて病理検査を行います。
局所麻酔による切除
小さな良性イボの場合に選択される治療法です。局所麻酔を施して短時間で切除するため、日帰り処置が可能です。全身麻酔のリスクを避けられるため、高齢犬や持病のある犬にも比較的安全に実施しやすいメリットがあります。
レーザー治療
レーザーでイボを焼灼する治療法で、出血が少なく、痛みも比較的軽度です。小さなイボに効果的で、短時間での処置が可能です。局所麻酔を使用することもありますが、治療後の回復が早く、傷跡も最小限に抑えられます。
凍結療法
液体窒素を使用してイボを凍結し、壊死させる治療法です。体への負担が少なく、小さな良性イボに適しています。処置は短時間で済みますが、完全な治療には複数回の施術が必要になることもあります。治療後、イボは自然に脱落していきます。
犬にイボができた時の対処法
犬にイボができた時の対処法は以下の3つです。
- イボに触らない
- 放置せずに病院に行く
- 他の犬と接触させない
それぞれの対処法について詳しく解説します。
イボに触らない
犬のイボに関してはあまり触らないことが重要です。犬のイボを発見したとき、心配のあまり触ってしまいたくなりますが、触りすぎは避けましょう。
イボを直接触り続けると、それが刺激となりイボが肥大化したり、新たな場所にイボができる原因となることがあります。また、傷つけてしまうと、そこから雑菌が入って症状が悪化してしまいかねません。
愛犬がイボに気づいていなければ、痛みやかゆみがない可能性が高いため、飼い主さんも気にしすぎないようにしましょう。
放置せずに病院に行く
良性のイボであれば、しばらく経過を見守れますが、イボにはさまざまな種類があり、中には治療が必要な悪性のものも含まれています。したがって、愛犬にイボがある際は放置せずに専門の動物病院で診察を受けることが重要です。
動物病院では、イボの視覚的検査や必要に応じて細胞診や生検などの検査を行います。また、悪性の可能性がある場合や、日常生活に支障をきたす場合には、適切な治療を提案してもらえるでしょう。
他の犬と接触させない
イボの発生は、主にウイルス感染が多く、犬同士での感染の可能性があります。パピローマウイルスによる乳頭腫は、直接的な接触だけでなく、共有する食器やおもちゃを介して広がることもあるため注意が必要です。
そのため、イボが見つかった場合は、完治するまでドッグランの利用は控えめにしましょう。特に免疫力の低下している犬や治療中の犬との接触は避ける必要があります。散歩コースも、他の犬との接触が少ないルートを選ぶなど、工夫をしてあげてください。
犬のイボの予防方法
犬がイボにならないための予防方法は以下の3つです。
- マッサージをしてあげる
- 環境を清潔に保つ
- 免疫力を高める
それぞれの予防方法について詳しく解説します。
マッサージをしてあげる
おすすめの予防法はマッサージです。優しくマッサージすることで血行が良くなり、体内の栄養素や酸素が全身にいきわたりやすくなります。その結果、体の健康状態が改善され、免疫力の向上も期待できるでしょう。
さらに、マッサージを行うことで、小さなイボのような皮膚の異常を早期に発見することができます。普段からスキンシップとして行えば、体の変化にもすぐ気づけるようになります。定期的にマッサージしてあげる習慣をつけると良いでしょう。
環境を清潔に保つ
イボの予防には、犬の体と生活環境を清潔に保つことが非常に重要です。 散歩から帰った後はブラッシングを行い、犬の毛や皮膚についた汚れを丁寧に取りましょう。足回りや腹部は汚れがつきやすいので、念入りにケアすることが大切です。
また、月に1~2回ほど、犬用の肌に優しいシャンプーで洗ってあげると効果的です。定期的なケアは、皮膚のターンオーバーを促進し、健康な皮膚を維持するのに役立ちます。さらに、愛犬の寝床やトイレ周り、食事スペースなど、生活環境の清潔さにも気を配りましょう。周りの環境を清潔に保つことも皮膚の健康を維持し、イボの発生を防ぐのに役立ちます。
免疫力を高める
免疫力を高めることは、イボの予防に重要な役割を果たします。まずは、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく含んだドッグフードを選びましょう。獣医師に相談して、愛犬の年齢や体格に合った適切な量を与えることが大切です。
また、過度なストレスは免疫力を低下させる原因になります。適度な運動や十分な休息、快適な睡眠環境の確保など、愛犬がリラックスできる生活環境を整えましょう。急激な環境変化や長時間の留守番は避け、規則正しい生活リズムを心がけてください。
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犬のイボに関するよくある質問
最後に、犬のイボについて飼い主さんからよく寄せられる疑問に回答していきます。
犬のイボ取りにかかる費用はどれくらい?
かかる費用は、イボの種類や施術方法によって異なります。大まかな目安は以下のとおりです。
- レーザー治療:1万円〜
- 局所麻酔: 2,000円〜6,000円
- 凍結療法: 3,000円〜
- 内服薬: 1,000円〜
ただし、複数個所の治療や、術後の投薬、経過観察の費用なども考慮が必要です。また、動物病院によって料金は異なるので、事前に動物病院に確認しましょう。
イボは他の犬や人に感染する?
パピローマウイルスが原因の乳頭腫は、犬同士の接触で感染することがあります。幼犬やシニア犬、免疫力が低下している犬は感染しやすいため、注意が必要です。とはいえ、犬のイボは人間には感染しないので、飼い主さんが過度に心配する必要はありません。
乳頭腫が見つかったら、治療が終わるまではお散歩コースの変更やドッグランの利用を控えるなど、他の犬との接触を避けるようにしましょう。
再発の可能性はある?
イボの種類や治療法によって再発のリスクは変わってきます。ウイルス性の乳頭腫は免疫力が回復すれば再発は少ないものの、免疫力が低下したままだと新たなイボができやすい傾向があります。
また、手術で完全に切除できた場合でも、体の別の場所に新しいイボができることはあるでしょう。そのため、定期的な健康診断を受けながら、日々の観察で早期発見を心がけることが大切です。
予防法は?
イボの予防で最も重要なのは、免疫力の維持です。良質なフードの給餌と適度な運動を心がけ、体調管理をしっかりと行いましょう。定期的なシャンプーとブラッシングで皮膚を清潔に保つことで、傷口からの感染リスクも軽減できるでしょう。
特にシニア犬は免疫力が低下しやすいため、毎日のスキンシップで体の変化を見逃さないよう注意が必要です。
まとめ
本記事では、犬にできるイボの種類や原因、対処法、予防策について詳しく解説しました。イボには良性と悪性のものがあり、外見だけでは判断が難しいため、見つけた際には放置せず、早めに獣医師に相談することが重要です。
普段からマッサージや清潔な環境を保ち、免疫力を高めることで、イボの予防にもつながります。愛犬の健康を守るために、日常的なケアを心がけましょう。
■犬にできるイボとは?
「イボ」とは皮膚の一部が盛り上がってできる「できもの」のこと■犬のイボには良性・悪性の2種類ある
・良性のイボ(皮脂腺腫、皮膚乳頭腫(パピローマ)、表皮嚢胞、脂肪腫)
・悪性のイボ(肥満細胞腫、扁平上皮癌)■犬のイボの良性と悪性の見分け方
素人判断は危険なため、必ず獣医師による診断を受ける
■犬にイボができる原因
・ウイルス感染
・免疫の低下
・遺伝■犬のイボの取り方・治療方法
・経過観察
・外科手術による切除
・局所麻酔による切除
・レーザー治療
・凍結療法■犬にイボができた時の対処法
・イボに触らない
・放置せずに病院に行く
・他の犬と接触させない■犬のイボの予防方法
・マッサージをしてあげる
・環境を清潔に保つ
・免疫力を高める■犬のイボに関するよくある質問
・犬のイボ取りにかかる費用はどれくらい?
・イボは他の犬や人に感染する?
・再発の可能性はある?
・予防法は?









