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うんちは、元気のバロメーターでもあり、愛犬の健康管理のために日々のチェックは欠かせません。
健康なうんちは、黄色~茶色もしくは、こげ茶色ですが、急に黒くなったら心配ですよね。今回は、黒いうんちが出る原因や病気、対処法についてまとめました。
黒いうんちはタール便と呼ばれる
タール便とは、コールタールのように黒くて粘り気のあるうんちのことを指します。タール便は、食道、胃、十二指腸など、肛門から遠い上部消化管での出血が疑われるサインです。
血液は赤い色ですが、出血してからうんちとして排出されるまでの時間が長いことで、血液が酸化して黒色になります。
このように黒いうんちは、血液が酸化した結果であり、胃腸炎、腫瘍、異物による出血など健康上のリスクが高い状態を示している可能性があります。
消化管内で大量の出血がある場合は、重度の貧血を引き起こすこともあります。このような症状は、重篤な病気や健康状態の悪化が疑われるため、早急な対処が必要です。
犬のうんちが黒くなる原因
タール便は、上記のように上部消化管からの出血が疑われる時に現れ、同時に食欲不振や嘔吐、下痢などの体調不良がある場合、体に深刻な変化が起こっている可能性が考えられます。
しかし、黒いうんちの原因は、以下のようにタール便以外のケースも考えられます。
1. 食べ物による原因
タンパク質(肉、魚)の摂取量が多い
肉や魚が多い高タンパクな食事を摂ると、その中に含まれるミネラル成分の影響で一時的にうんちが通常よりも黒っぽくなり、うんちの量が少なくなる傾向があります。
サプリメントや鉄分を多く摂取
日常的に飲んでいるサプリメントに鉄分が含まれていたり、腎臓病などで吸着炭を摂取している場合、うんちが黒くなることがあります。
食物繊維などが多いフードによるもの
食物繊維の多いフードは、デトックス作用が強く、使い始めの初期の段階で、うんちが黒くなることがあります。この場合、腸壁に付着しているもの、食べ物が原因で黒くなり、基本的に問題ありませんが、続く時は念のため動物病院に相談しておくことをおすすめします。
2. 犬の腸内環境による原因
腸内環境が悪化している場合も、うんちが黒くなる可能性があります。
健康な腸内環境では、腸内細菌は善玉菌が優勢となり、腸内pHは弱酸性となります。しかし、腸内環境が悪化し、悪玉菌が優勢になると、腸内pHはアルカリ性となり、うんちは黒っぽくなります。
悪玉菌が増えると腸内環境はさらに悪化する傾向にありますので、腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やす食生活や生活習慣の見直しをすることが効果的です。
3. ストレスによる原因
犬も人間と同様に、ストレスが原因で体調を崩すことがあります。特に環境の変化は犬にとって大きなストレス源となり、下痢や血便、黒いうんちの原因となることが珍しくありません。
遠出やペットホテルの利用、来客などでストレスを感じやすい犬は、そのような状況下でお腹の調子を崩し、血液混じりの便をすることがあります。
また、ストレスの原因は精神的なものだけではありません。急な気候の変化や寒暖差なども身体的なストレスになることがあります。これらの状況をできるだけ避け、普段と変わらない安定した環境を提供することが重要です。
さらに、ストレスは腸内細菌のバランスを崩し、胃腸炎や出血を引き起こす原因となることがあります。
犬のうんちが黒くなる病気
1. 胃腸炎
胃腸炎は、胃腸に炎症が起きる状態のことで、細菌・ウイルスの感染や、ストレス、中毒などが原因です。症状としては以下のものが見られ、免疫力が低下したシニア犬に多くみられます。
・嘔吐
・下痢
・食欲不振
・元気消失
・吐血(嘔吐に血が混じる)
・血便
・お腹がキュルキュル鳴る
・腹痛 など
2. 胃潰瘍
胃潰瘍は、胃の炎症の悪化により、胃の粘膜が深く傷付くことによって発症する病気です。
一般的な症状としては、腹痛、嘔吐、食欲不振がありますが、胃潰瘍による出血がある場合、吐血や黒い便がみられたり、嘔吐物に血やコーヒーのような黒い粒がみられることがあります。胃潰瘍が進行すると、多量の出血により貧血になることもあります。
3. 消化管内腫瘍
消化管内腫瘍は、胃や小腸などの消化管に腫瘍があることをいいます。
腫瘍がどこにできているかによって症状は異なりますが、主な症状は消化器系のものです。嘔吐や下痢、食欲不振、体重減少などが一般的で、腫瘍やポリープがある部位で出血すると、便が黒くなることもあります。このような症状は、シニア犬に多く起こります。
4. 慢性腎臓病
慢性腎臓病がある犬は、胃潰瘍を起こしやすいと言われています。これは、慢性腎臓病が進行すると体内の毒素が増え、胃腸の粘膜が傷つきやすくなるためです。
5. リンパ腫
リンパ腫は、犬にとって最も多い腫瘍のひとつで、白血球の一種であるリンパ球が、がん化することで起こる血液のがんです。血液中や全身のリンパ管、リンパ節、肝臓、脾臓など、さまざまな臓器で発生します。
特に、胃腸管にできたリンパ腫の場合、嘔吐や下痢などの症状に加えて、血便や黒色タール便が見られることもあります。
6. 消化管内異物
誤飲や誤食した異物が、胃や腸を傷つけることで出血し、うんちが黒くなることもあります。子犬や、なんでも口に入れてしまう癖のある犬などに多く見られます。
犬のうんちが黒い場合の対処法
1. 動物病院を受診する
黒いうんち以外に、下記のような症状がある場合には動物病院を受診しましょう。
・便の回数や量が以前より少ない、または多い
・赤い便が混ざっている
・軟便、または下痢である
・黒い便が2日以上続く
・便がだんだん黒くなる
・元気、食欲がない
・嘔吐する
・痩せてきている
・体を触ると嫌がる、震えている
・便から悪臭がする
・便の中に虫が混ざっている
病院を受診する際には、愛犬のうんち(写真でも可)を持参し、排便回数や経過を伝えましょう。
2. 食事や薬で治療する
食事療法
黒いうんちが出た場合は、まずは普段と違うものや鉄分の多いものを食べたかどうか、いつも摂っているサプリメントの成分などを確認してみましょう。
また、消化器症状や元気がない等、他の症状もチェックし、出来ればうんちを持参して、獣医師に相談し、原因を探ることが大切です。
食事はとりあえず3~6時間は絶食し、悪化していなければごく少量の消化のよい食事を与え、消化しにくい食べ物は避けて胃腸を休ませることが推奨されます。
薬
薬の治療は、症状や原因にあわせて行われます。
・寄生虫・・・・・・・・駆虫薬
・細菌感染・・・・・・・抗生物質
・腸の炎症・・・・・・・炎症を抑える薬
・体力が落ちている・・・点滴
・症状が重い・・・・・・入院
3. なるべくストレスを与えない
黒いうんちは、ストレスが原因の場合もありますので、愛犬にストレスを与えないように配慮しましょう。
<ストレス解消法>
・スキンシップを増やす
・散歩や運動の時間を増やす
・適度におやつを与える
・犬用のスペースをしっかり確保する
・噛むおもちゃを与える
まとめ
犬のうんちの色は、食べ物やサプリメントによって一時的に変わることがありますが、胃腸からの出血が原因で黒くなる場合は重大な警告サインです。そのような状況では、愛犬の命に関わる可能性があるため、速やかに動物病院を受診することが重要です。
犬のうんちは健康のバロメーターと考えられており、体調の変化が現れるため、色だけでなく形や臭い、回数なども日常的にチェックしておくと良いでしょう。
■黒いうんちはタール便と呼ばれる
■犬のうんちが黒くなる原因
1.食べ物による原因
2.犬の腸内環境による原因
3.ストレスによる原因■犬のうんちが黒くなる病気
1.胃腸炎
2.胃潰瘍
3.消化管内腫瘍
4.慢性腎臓病
5.リンパ腫
6.消化管内異物■犬のうんちが黒い場合の対処法
1.動物病院を受診する
2.食事や薬で治療する
3.なるべくストレスを与えない