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ふと気づくと愛犬が震えている。
犬が震える原因としては、寒さなどによる生理的なものと、病気によるものがあります。
ここでは犬の震えで考えられる原因や病気、対処法などについて解説していきます。
犬が震える6つの原因
1. 寒い
犬は寒さを感じると震えることがあります。寒い環境下では、脳が筋肉へ指令を送り、全身の筋肉が細かく震え始めます。これは熱を産生し、体温を維持するための反応のひとつ「シバリング」という正常な行動です。私たち人間が寒くて小刻みにブルブル震えるのとまったく同じです。犬は毛に覆われていることから寒さに強そうに見えますが、特に小型犬、シングルコートの犬種、子犬や高齢犬は寒さに弱いです。寒さによる震えは、体温が上がると止まるので、寒いときに震えている犬を十分に温めてあげてください。また、冬のお散歩は比較的暖かい時間を選び、服を着せることを検討しましょう。
2. 怖い(警戒している)
恐怖や緊張を感じると、自律神経のバランスが変化して震えが生じることがあります。
例えば初めての場所、初対面の人や嫌いな人に会った時などに緊張して震える場合があります。動物病院に入るだけで震える犬もいれば、診察台に乗ったときに震え始める犬もいます。さらに、近所での工事や地震、雷、花火の音によって震える犬もいます。この場合は音や振動による恐怖感や警戒心で、高い所に逃げようとすることがあります。
まずは、犬が安心できるように、飼い主や家族は落ち着いた行動を心がけてください。そして、可能であれば、恐怖の原因から犬の注意をそらし、距離を取るように努力しましょう。
例えば、雷が怖くて震えてしまう犬の場合は、愛犬が好きなおもちゃを与えたり、雷の音が聞こえない工夫をしてあげることで、落ち着かせる手助けをしましょう。
3. ストレスが溜まっている
恐怖心や警戒心と区別するのが難しいこともありますが、犬はストレスを感じると震えることがあります。
引越し、旅行、ホテルへの宿泊、新しい家族が増えたりなど、環境の変化は犬にとって大きなストレス源となり得ます。
犬のストレスの原因、解消法についてはこちらをご覧ください。
4. 興奮している
飼い主が帰宅したときなど、喜びや興奮から震える犬もいます。このような震えは、強い感情が外に表れるものであり、通常は危険な状態ではありません。感情が落ち着けば震えもほとんど収まります。もし過度に興奮してしまう場合は、おすわりをさせて一時的に落ち着かせる練習をしておくことで、興奮をコントロールしやすくなります。
5. 筋力が落ちた
シニア期に入ったり、運動不足が続いているなどで、徐々に筋肉が衰える事があります。その影響で踏ん張りが効かなくなり、小刻みに震えるようになります。
この場合、排便時のときなど力を入れるタイミングで震えが目立つようになります。
6. 痛い(病気にかかっている)
震えは、犬が痛みを感じているか、病気で体調が悪いときの兆候であることもあります。
多くの病気やほぼ全てのケガに共通していますが、強い痛みによって震えが生じることがあり、体のどこかにケガをしていたり、関節などに炎症を起こしていたりすると、痛みから犬が震えることがあります。
犬の震えで考えられる5つ病気
1. てんかん(癲癇)
てんかん発作のひとつの症状として、震えがあります。
てんかんの判りやすい症状としては、倒れて手足が突っ張るなどの全身性の痙攣があります。また、体の一部のみに現れる発作、手足や顔面などの一部の震えや、口をくちゃくちゃする、よだれが大量に出る、落ち着きがないなどの部分的な症状のみが見られることもあります。てんかん発作が頻繁になる場合は、抗てんかん薬の服用によるコントロールが必要になります。
2. 水頭症
水頭症は、脳脊髄液が過剰になることで、脳の圧迫による障害や、萎縮を起こす病気です。さまざまな神経症状が生じますが、そのひとつとして、震えがでることもあります。
3. 中毒症状
犬の震えが見られる原因として考えられる5つの病気の中の1つが中毒です。体に有害な物質を摂取することや、犬が食べてはいけないものを食べた結果として発生する中毒は、震えなどの症状を引き起こすことがあります。
中毒症状には震えの他に衰弱、よだれ、嘔吐、下痢、痙攣など様々な症状が現れることがあり、時間が経つにつれて症状が悪化することが多いです。誤食による震えが疑われる場合は、すぐに病院を受診する必要があります。
〈過剰摂取した場合、犬に中毒を起こす可能性のある物質〉
・チョコレート
・キシリトール
・カフェイン
・ニコチン
・マカデミアナッツ
・消炎鎮痛薬(人の痛み止めや解熱剤など)
・殺虫剤
このように、犬にはさまざまな危険な食べ物が存在するのです。
4. 低血糖症
低血糖症は血液中の糖分濃度が著しく低下している状態です。血糖値が下がることで発作などの神経症状が現れます。震えの他に、ふらつき、ぐったりすること、嘔吐などの症状が見られることがあります。子犬の場合、1回で食べられるご飯の量が少なく、空腹の時間が長く続くことで低血糖を起こすことがありますので、食事の間隔に注意が必要です。
5. 椎間板ヘルニア
犬が痛みを感じると動かなくなり、震えることがあります。その一例として椎間板ヘルニアが挙げられます。この病気の一番軽度な状態では足の麻痺は起こらずに、背中や腰の痛みだけが症状として出ます。そのため、犬が動いた時に「キャン」と鳴くことや、痛みのために動けなかったり、体がブルブルと震えたりすることがあります。
犬の震えへの対処法
過ごしやすい環境を用意する
寒くて震えている場合には、室温を上げたり服を着せたりして、温かく過ごさせてあげましょう。ストレスや緊張、警戒心から震えている場合には、生活環境を整え、リラックスできる場所や時間を作りましょう。病院など特定の場所が怖くて震える場合は、何も予定がない時にその場所へ行き、好きなおやつを与えることで、その場所に良い印象を持たせるのも効果的な方法です。大きな音や振動が怖い場合には、聞こえないようにする、普段から大きな音を聞かせて慣れてもらう、などの方法もあります。
椎間板ヘルニアやその他の骨関節の病気による痛みは、フローリングでの滑りやソファーなどの段差から飛び降りることによってしばしば起きることがあります。段差をなるべく減らす、床には滑り止めを敷く、爪や足裏の毛をカットする、などの滑らない工夫をしてあげましょう。
適度な運動を心がける
犬の震えに対処する1つの方法として適度な運動を心がけましょう。犬の筋肉量は年齢とともに減少しますが、運動することで筋肉量を維持できます。まずは無理のない範囲でお散歩をさせることが良いでしょう。特に高齢の犬にとって階段や坂道は負担が大きいので、平坦な道をゆっくり歩くことを心がけましょう。
病院で診てもらう
犬が震えている場合、様々な原因が考えられます。
震えだけでなく、ぐったりする、食欲不振、下痢や嘔吐、触られるのを嫌がる、発熱など他の症状が現れる場合、また震えの原因が病気によるものか判断が難しい場合は、獣医師の診察を受けることをおすすめします。
その場合、震えの症状を動画撮影して獣医に見せると、診断の参考になることがあります。
震えの原因が足腰の痛みや筋力低下、脳疾患からくる場合の栄養補給
炎症を抑える効果が期待できるオメガ3脂肪酸は体内でDPA,EPAに変換され、脳機能に有効といわれています。また、炎症からくる関節などの痛みにも効果が期待できます。 また、タンパク質不足による筋力低下が気になる場合に、分解された低分子アミノ酸で栄養補給ができます。
まとめ
犬が震えていたら、飼い主さんはとても心配になるかと思います。
まず、気温が適切か、何か怖がっていることがないかを確認し、問題があると思われる場合は対応しましょう。
愛犬ちゃんの生活環境をしっかり整え、ストレスを減らすように日頃から心掛けましょう。
震えには様々な原因があり、瞬時に見分けるのはなかなか難しい場合も多いかと思います。愛犬が震えている様子を注意深く観察し、気になる点があればかかりつけの獣医師に相談するとよいでしょう。その際、震えている様子を動画に撮っておくことをお勧めします。これにより獣医師が状況をより正確に把握するのに役立ちます。