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犬でも人間と同じようにおならをします。おならは体の中を反映したサインのひとつ。
おならが臭い場合、どんな原因や病気が考えられるのか、また、その対処法を解説します。
犬がおならをするメカニズム
犬も人間と同じようにおならをします。腸にたまったガスが肛門から出てくるのがおならですが、その成分のほとんどは口から吸った空気です。基本的に呼吸で吸い込んだ空気は肺に運ばれますが、胃に入った空気のうち、げっぷとして出ない分は、そのまま腸の中を進んでいきます。そして、空気以外の成分は、腸内細菌が食べ物を分解したときに発生するガスです。これらが腸の中で混ざって、お尻から出てくるのがおならです。
ブルドッグやパグのように鼻が潰れている短頭種は呼吸が激しくなりやすく、飲み込む空気の量が多くなります。そのため、短頭種はおならが出やすい犬種として知られています。また、短頭種でなくてもテンションの高い犬やご飯を早食いする犬も飲み込む空気の量が多くなるため、おならが出やすくなるのです。
おならの原因となる「腸内環境を乱す」5つの原因
1. 食べ物
基本的には犬が食べ物を食べれば、おならが出る可能性があります。とくに食物繊維が多い食べ物を食べると腸内細菌の活動が活発になり、ガスが発生する結果、おならが出やすくなります。
消化の悪いものや、消化しきれない量を食べた時は、腸内に留まる時間が長くなり、異常発酵が起こることがあります。この場合、腸内環境が乱れ、悪臭が発生することもあります。
2. ストレス
「ストレス」も原因のひとつとして考えられます。
犬がストレスを受けることで腸の働きが低下したり、腸内環境のバランスを崩した場合、おならの回数が多くなる、臭いが強くなることがあります。
3. 興奮
「興奮しやすい」ことが原因の可能性もあります。
犬が興奮している最中は空気を吸い込みやすくなるからだと考えられます。また、興奮からご飯を早食いする犬は、一緒に飲み込んでしまう空気の量も多くなります。これにより、おならの成分が多くなるため、おならの回数も多くなると考えられます。
4. 老化
犬も加齢によって、腸の消化吸収能力がだんだんと弱くなります。
そうなると同じフードでも消化吸収しにくくなり、その結果、腸内細菌によるガスの産生量が増え、おならの回数が増えることがあります。
5. 病気
消化器の病気や食物アレルギーなどで腸内環境が悪化している場合は、おならが発生しやすいです。
それ以外では例えば、肺炎や気管支炎のような呼吸器系の病気や、心臓病のような循環器の病気、膵炎や関節炎などのように体のどこかに痛みが出るような病気でもおならが出やすくなることがあります。
これらの病気では、呼吸が苦しかったり痛みがあったりするため、呼吸数が多くなり、飲み込む空気の量が増えます。その結果として、おならの頻度が高くなることがあるのです。
犬のおならが臭い時に考えられる病気
犬のおならが臭い時に考えられる消化器の病気をいくつかご紹介いたします。
胃腸炎
下痢や嘔吐など、胃腸炎の症状がある時は、腸内環境が乱れ、悪玉菌が優勢になっていることでおならも臭くなることがあります。
この場合、おなかの中でガスが発生するため、お腹が張った感じや腸からゴロゴロ、キュルキュルといった音が聞こえることもあります。
腸閉塞
腸閉塞は、何らかの原因により腸が塞がっている状態のことです。閉塞の程度によっては重症化し、短期間で危機的な状況に陥ることもありますので、注意が必要です。
腸閉塞の症状としては、おなら以外に食欲不振や嘔吐、便秘、下痢があります。
とくに何か異物を飲み込んでしまったかもしれないという時に、これらの症状が見られた場合にはすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
膵外分泌不全
膵臓からは、さまざまな栄養素を分解する消化酵素が分泌されています。この消化酵素がほとんど分泌されなくなってしまう病気が、膵外分泌不全です。消化がうまく行われず、小腸による栄養吸収ができないことで、おならが臭くなります。
膵外分泌不全の症状としては、他にも白っぽい脂肪便や軟便、食欲はあるが体重が増えない、などがあります。
犬のおならが臭い時の対処法
体調や食欲が問題なさそうであれば様子をみる
下痢や軟便、嘔吐などの消化器症状がなく、「元気があって食欲もあるのにおならが臭い」といった場合は、以下の方法を試しつつ、様子をみるのも良いでしょう。
●フードの銘柄を変える
腸内の未消化物が醗酵することで悪臭のガスが発生しますので、良質で消化の良いフードに変えてあげると良いでしょう。
高タンパク質なご飯が消化不良の原因となる場合もありますので、注意が必要です。
●早食いを防止する
早食いをすることで、空気も一緒に食べてしまう犬の場合は、早食い防止用のフードボウルを使うなど、ゆっくり食べてもらうように工夫しましょう。
●水分を多く摂る
便が腸内に長時間滞留することで、悪臭のガスが発生することもありますので、便秘を予防することはおならの臭いを抑えるためにも重要です。
便秘予防のひとつとして水分摂取が有効です。
ヤギミルクや出汁などで香りづけをする、フードをふやかしてみる、茹で野菜を足す等、是非試してみてください。
●ストレスを軽減する
ストレスが溜まってしまうと、消化管の動きが低下して、腸内細菌のバランスが崩れ、悪臭のガスが発生することもあります。
ストレス解消のためにも定期的な散歩や運動、飼い主さんとのスキンシップを行うようにしましょう。
異常が見られればすぐに動物病院を受診する
おならの中には、病気が関わっているものもあります。
おならの回数が急に増えた、臭いが強くなった時には、あわせて食欲不振になっていないか、下痢や軟便が起きていないか、便の色に変化がないかも確認しましょう。
また、腸閉塞や重度の腸炎では、お腹の痛みがあり、動かなくなる、触れられるのを嫌がるといったことがあります。
このような場合には病気が関わっている可能性がありますので、様子を見ず、早めに動物病院を受診することが望ましいでしょう。
まとめ
犬のおならは腸内の状態を反映するひとつのサインですが、基本的には生理現象ですので、あまり気にしなくても良い場合がほとんどです。
ただし、においが臭くなる、回数が多くなるといった場合には、病気のひとつの症状として現れていることがあります。おなら以外にも、食欲や排便に変化が出ていたり、気になる症状がある場合には、動物病院に相談してみましょう。
<おならの原因となる腸内環境を乱す5つの原因>
①食べ物 ②ストレス ③興奮 ④老化 ⑤病気
<おならが臭い時に考えられる病気>
・胃腸炎 ・腸閉塞 ・膵外分泌不全
<対処法>
■様子を見る
・フードの銘柄を変える ・早食い防止 ・水分を多くとる ・ストレス軽減
■病院受診
・急な変化、食欲不振、下痢や軟便などがあったら病院を受診する










