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愛犬と毎日生活をしていると「最近太ってきた?」と感じる飼い主さんもいるのではないでしょうか?人間と同様、犬にとっても肥満は万病のもと。肥満によって、内臓だけでなく足腰にも負担がかかってしまいます。適正な体重を保つことが、健康を守ることに繋がります。
本記事では、ダイエットの方法、肥満のリスク、そして愛犬がリバウンドしないための秘訣についてご紹介します。
あなたの愛犬が本当にダイエットが必要か確認しよう!
ダイエットを始める前に、まずは愛犬の体型を客観的にチェックしましょう。肋骨やくびれの状態で判断する「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」という指標が一般的です。
- BCS3(理想体型): 肋骨が、脂肪に覆われすぎず、触ると確認できる。上から見て、腰にくびれがある。
- BCS4(やや肥満): 肋骨を触るのが難しい。腰のくびれが分かりにくい。
- BCS5(肥満): 肋骨が厚い脂肪に覆われて触れない。腰のくびれがなく、お腹が垂れ下がっている。
BCSが4または5に該当する場合は、健康のためにダイエットを始めることをおすすめします。
犬のダイエット方法【食事編】7選
愛犬のダイエットで最も有効なのが、カロリーコントロールです。犬は自分でおやつや食事の量を決めることができません。また、中には出されたものは本能的に食べてしまう子もいます。
そのため、食べるものは飼い主さんがコントロールする必要があります。特に運動量が少ない犬は、摂取しているカロリーが消費カロリーをオーバーしていることが多いので、食事を適切な量に調整することが大切です。
1. 摂取カロリーを適切にする
犬のダイエットで大切なのは、「消費カロリー > 摂取カロリー」を健康的に作ることです。日常生活や運動でカロリーを増やし、食事で摂取するカロリーを適切に管理する必要があります。
生活の中で必要なエネルギーよりも、食べるエネルギーの量が多ければ、体に蓄積され、体重は増えていきます。フードの袋から適当な量をあげてはいないでしょうか?まずは与えているフードの量をきちんと計ってみましょう。
次に、フードのパッケージに書いてある、体重あたりの推奨量から、1日のフード量を計算し、比較してみます。この時、ダイエットが必要な場合は、現在の体重ではなく、理想の体重を想定して計算してください。
1日に与えている量が、目標体重の推奨量よりも多い場合には、まずはこの量までフードを減らしてみましょう。
2. 低脂肪・高タンパクなダイエットフードに切り替える
食事の量を減らすだけでは、必要な栄養素まで不足し、筋肉が落ちてしまいます。健康的なダイエットには、低脂肪でカロリーを抑え、高タンパクで筋肉の維持をサポートする専用フードへの切り替えが効果的です。
また、食物繊維が豊富なフードを選べば、食事量が減っても満足感を得やすくなります。ただ痩せるのではなく、健康な体を保つために、フードの質を見直しましょう。
3. 低カロリーな野菜でかさ増しする
食事量を減らした際の満足感を補うには、低カロリーな野菜でかさ増しするのがおすすめです。茹でて細かく刻んだキャベツやブロッコリーなどをフードに混ぜてあげましょう。さつまいもやかぼちゃは糖質が多いので、与えるならごく少量に留めます。
【かさ増しにおすすめの低カロリー野菜】
- キャベツ
- ブロッコリー
- きゅうり
- 大根
- 人参
4. 食事回数を増やして空腹時間をなくす
食事の間隔が空きすぎると、血糖値が下がるため、どうしても愛犬が空腹を感じやすくなります。愛犬のおねだりが増え、それについ負けてしまうのが、ダイエットが失敗するよくあるパターンです。
1日の食事の総量を変えずに、食事の回数を2回から3〜4回に細かく分けてあげましょう。一度に食べる量は減りますが、食事の回数が増えることで犬が満足感を得やすくなり、空腹によるストレスが軽減されます。
また、血糖値の急激な変動を抑えられるため、脂肪が体に蓄積されにくくなり、より効率的なダイエットにつながります。
5.早食い防止食器を活用して、食事時間を長くする
あっという間に食べ終わると、愛犬は物足りなそうにしますよね。早食いは満腹感を得にくく、食べ過ぎの原因になります。早食い防止食器は、食事の時間を物理的に長くすることで、少ない量でも満腹感を得やすくさせられるアイテム。
ゆっくり時間をかけて食べることで、脳が満腹だと感じるのを助け、ダイエット中の「もっと欲しい!」という催促を和らげる効果が期待できます。
6 .人間の食事を与えない
少しだけならという気持ちで、食卓から人間の食べ物をおすそ分けするのは、ダイエットを失敗させる原因の一つです。
なお、人間の食べ物は、犬にとってカロリーや脂肪、塩分が過剰であるだけでなく、玉ねぎチョコレート、キシリトールなど、命に関わる中毒成分が含まれている可能性もあります。その一口が、愛犬の健康を大きく損なうことになりかねません。
また、一度与えてしまうと、おねだりすればもらえると学習し、要求がエスカレートしてしまいます。可愛い顔で見つめられると心が痛みますが、与えないという強い意志を持ちましょう。
7. おやつの量・頻度を減らす
ダイエットを進めていく上で、おやつは最大の敵です。可愛いからとつい与えがちですが、その一粒がカロリーオーバーの原因に。とはいえ、与えないと愛犬の楽しみを完全に奪ってしまい、かえってストレスの原因にもなりかねません。
1日に与えるおやつの量は、総摂取カロリーの10%以内とルールを決めましょう。ジャーキーの代わりに茹でた野菜を与えたり、1日のフードから数粒取り分けてご褒美にするのがおすすめです。
犬のダイエット方法【運動編】5選
食事管理だけでなく、運動することでダイエット効果を高め、リバウンドしにくい体を作れます。ここでは、愛犬のダイエットをサポートする、効果的な運動のポイントをいくつか見ていきましょう。
1. 毎日適度に散歩する
ダイエットのための運動は、やはり毎日の散歩です。1日2回、1回あたり30分以上を目標に、まずは歩く習慣をつけましょう。もちろん、これはあくまで目安なので、愛犬が楽しく、程よく疲れたと感じられる時間とペースを見つけてあげることが大切です。
散歩から帰って、満足そうに水を飲み、ぐっすり眠るようなら、良い運動ができているといえるでしょう。
ただし、肥満の犬は関節に負担がかかっています。急に長距離を歩かせるのではなく、まずは短い時間から始め、徐々に鳴らしていきましょう。
2. 散歩のタイミングを見直す
ダイエット運動の効果を高めるなら、散歩のタイミングは食後がおすすめです。食事によって上昇した血糖値を、エネルギーとして効率よく消費することができるためです。
ただし、食後すぐの運動は厳禁です。特に、胸の深い大型犬などは、食後すぐに運動すると、命に関わる胃拡張・胃捻転症候群を引き起こす危険があります。
食事が終わったら、最低でも2時間はゆっくりと休息させ、胃が落ち着いてから散歩に連れて行く、という習慣をつけましょう。
3. 散歩コースに坂道や階段を取り入れてみる
いつもの散歩コースに坂道や階段を取り入れると、平坦な道では使わないお尻や後ろ足の筋肉を効率よく刺激できます。筋肉量が増えることで基礎代謝がアップし、消費カロリーも自然と増加。痩せやすく、太りにくい体づくりに繋がります。
また、アスファルトだけでなく、芝生や砂の上を歩かせることも、良い刺激になります。いつもと違う道順を歩くだけでも、新しい匂いが犬の知的好奇心を満たし、散歩がより楽しい時間になるでしょう。無理のない範囲で、日々の散歩に少しだけ変化を加えてみましょう。
4. 散歩のスピードを速くする
ダイエット効果を高めるには、飼い主さんが主導して歩くスピードを上げ、キビキビと歩く時間を設けるのが有効です。
心拍数が上がることで脂肪燃焼が促進され、同じ時間でも消費カロリーがアップします。ゆっくり匂いを嗅ぐ時間と、早歩きの時間を上手に組み合わせましょう。
5. 水泳を取り入れる
水泳は、ダイエットに最適な運動の一つです。水の浮力が体を支えるため、足腰の関節にほとんど負担をかけません。肥満気味の犬やシニア犬でも、怪我のリスクを抑えながら、水の抵抗で効率よくカロリーを消費できます。犬用のライフジャケットを着用させ、安全な場所で楽しむことから始めてみましょう。
犬のダイエット方法【室内運動編】5選
雨の日や、夏の暑い日など、思うように散歩に行けない時でも、愛犬の運動量を確保することは大切です。以下、室内でできる運動を5つ紹介します。
1. ノーズワーク(宝探しゲーム)
犬が最も得意とする嗅覚を使った、頭脳系の運動です。家の中におやつやフードを隠し、犬に匂いを頼りに探させます。
犬は嗅覚を使うことで、身体的な運動と同じくらい脳が疲労し、満足感を得られます。シニア犬や足腰に不安がある犬でも、無理なく楽しめるのが魅力です。
2. 引っ張り合いこ
ロープ状のおもちゃなどを使った、定番の遊びです。犬は顎や首、全身の筋肉を使って力いっぱい引っ張るため、短時間でもかなりの運動量になります。飼い主様とのコミュニケーションにもなり、信頼関係を深める効果も。
安全に楽しむためにも、「ちょうだい」や「放せ」のコマンドを教え、遊びのルールを明確にしておきましょう。
3. かくれんぼ
飼い主様が家の中に隠れ、愛犬に探してもらうシンプルな遊びです。愛犬は「大好き飼い主さんはどこ?」と、家の中を一生懸命に動き回り、嗅覚や聴覚をフル活用します。
4. 知育トイ
知育トイは、フードやおやつを簡単には取り出せないように工夫された、パズルようなおもちゃです。犬は「どうすれば食べられるか」を考え、鼻先や前足を使って試行錯誤します。
これにより、食事の時間が長くなり、早食いを防止できるだけでなく、退屈な時間を減らし、知的な満足感を与えることができます。
5. 廊下で「持ってこい」遊び
家の中に長い廊下や、家具の少ないスペースがあれば、「持ってこい」遊びも可能です。ボールを投げ、愛犬に持ってきてもらう動作は、短距離ダッシュの繰り返しになり、良い有酸素運動になります。
床が滑らないようにマットを敷き、柔らかいボールを使うなど、安全性に配慮して行いましょう。
犬のダイエットを成功させるためのコツや注意点
最後に、犬がダイエットをする際の注意点をご紹介します。
- 過度な食事制限や運動は避ける
- 家族全員でルールを共有する
- リバウンドを防ぐ
それぞれの注意点を詳しく見ていきます。
過度な食事制限や運動は避ける
早く痩せさせてあげたいからといって焦るのは、ときに危険なダイエットにつながることがあります。
たとえば、食事の量を急にかつ極端に減らすことは、必要な栄養素を不足させ、脂肪だけでなく、筋肉まで落としてしまう原因に。かえって基礎代謝を下げ、痩せにくい体質を作ることになりかねません。
また、運動も同様です。太っている犬が急に走り回ると、体重で負担がかかっている関節や心臓をさらに痛めてしまう危険があります。ダイエットは、1ヶ月で現在の体重の4〜6%を減らすくらいの、ゆるやかなペースで、数ヶ月かけて行いましょう。
家族全員でルールを共有する
愛犬のダイエットを成功させるためには、家族全員の協力が不可欠です。ダイエットする原因の一つは、飼い主さんの見ていないところで、他の家族が「可愛そうだから」とおやつを与えてしまうことにあります。
まずは、「なぜダイエットが必要なのか」という、肥満の健康リスクを家族みんなで理解しましょう。その上で、「1日に与えて良いおやつの種類と数」や「絶対に与えてはいけない人間の食べ物」といった具体的なルールを決め、全員で守ることが大切です。
ダイエット日記をつけて可視化する
ダイエット中は、週に1回、同じ時間・同じ条件で体重を測定し、記録する習慣をつけましょう。小さな変化でもグラフなどにして見える化することで、飼い主さんのモチベーション維持につながります。
また、月に一度、愛犬の体を真上と真横から写真を撮っておくと、大重慶の数字だけではわからない、くびれなどの体型変化を実感できるのでおすすめです。
焦らず、長期的な視点を持つ
急激なダイエットは、犬の体に負担をかけ、リバウンドの原因にもなります。1週間に現在の体重の1〜2%を減らすのが、健康的で理想的なペースです。「なかなか痩せない」と焦らず、数ヶ月単位の長期的な計画で取り組みましょう。
目標達成後も、体重管理を続ける
犬のダイエットで難しく、重要なのが、目標達成後の体重維持です。せっかく頑張って手に入れた健康な体型が元に戻ってしまっては意味がありません。
目標体重に達したからといって、すぐに元の食事量に戻すのは、リバウンドの大きな原因です。ダイエット後の体は少ないカロリーに慣れているため、急に食事量を増やすと、あっという間に体重が増えてしまいます。
目標達成後も1〜2ヶ月は、ダイエット中の食事と運動を続け、体重が安定することを確認しましょう。
犬が肥満になる3つの原因
犬が肥満になるよくある原因は以下の3つです。
- おやつの与えすぎ
- 運動不足
- 去勢・避妊手術を受けた
それぞれの原因について解説していきます。
原因1. おやつの与えすぎ
食事の量はきちんと計っているのに、なぜか太ってしまう場合は、おやつを与え過ぎているかもしれません。
人間にとっての一口が、体の小さい犬にとっては一杯のご飯にも相当することがあります。良かれと思って与えるおやつや、食卓からのお裾分けが知らず知らずのうちに肥満を招いているのです。
家族の誰かがこっそりあげていたら、せっかくのダイエットも失敗してしまいます。家族内であやつはあげすぎないというルールを共有し、徹底しましょう。
原因2. 運動不足
散歩の時間が短かったり、室内で遊ぶことが少なかったりといった運動不足は、単に消費カロリーが減るだけでの問題ではありません。
本当に怖いのは、運動不足によって筋肉量が落ち、基礎代謝が低下してしまうことです。基礎代謝が下がると、同じ量を食べていても脂肪がつきやすい、いわゆる太りやすく、痩せにくい体質になってしまいます。
さらに、太ると体を動かすのが億劫になり、ますます運動不足になるという悪循環に陥ってしまいます。とくに運動量が減りがちなシニア犬は、注意が必要です。
原因3. 去勢・避妊手術を受けた
犬は避妊や去勢手術後に体重が増えることがあります。これは、手術によって性ホルモンの分泌が少なくなることで、体の基礎代謝が低下するために起こります。一般的に手術前に比べて必要なカロリーが8割前後まで下がります。
そのため、手術前と同じ感覚で与えていると、あっという間にカロリーオーバーになってしまいます。手術を終えたら食事を見直すなどを検討してみてください。
犬の肥満による4つのリスク
愛犬が肥満になると、以下の4つのリスクがあります。
- 心臓病のリスク
- 関節炎や椎間板ヘルニアのリスク
- 呼吸器トラブルのリスク
- 膵炎のリスク
それぞれのリスクについて、詳
1. 心臓病のリスク
体が大きくなると、より多くの血液が必要です。この血液の循環を担うのは心臓です。したがって、過度に心臓を労働させることは、心臓に負担をかける原因となります。
太るとすぐに心臓が悪くなるわけではありませんが、長期間にわたって過体重が続くと、心臓への負担も持続し、心臓病などのリスクが高まる可能性があります。増加した脂肪に対応するため、心臓は余分な努力を強いられ、心機能障害や高血圧などの症状が発生しやすくなります。
2. 関節炎や椎間板ヘルニアのリスク
常に体重の20〜30%もの重りを背負って生活していると想像してみてください。肥満とは、まさにそのような状態です。
過剰な体重は、四六時中、足腰の関節や背骨(椎間板)に重くのしかかります。この負担が関節炎や椎間板ヘルニアといった病気の引き金となるのです。大好きだった散歩を嫌がるようになったり、段差を登れなくなったりと、生活の質を著しく低下させてしまいます。
3. 呼吸器トラブルのリスク
贅肉はお腹周りだけでなく、胸や首周りにも蓄積します。胸についた脂肪は肺が膨らむのを物理的に邪魔し、首についた脂肪は空気の通り道である気管を圧迫します。
その結果、常に少し息がしづらい状態となり、いびきがひどくなったり、少し動いただけでも「ゼーゼー」「ガーガー」と苦しそうな呼吸をするようになります。これは、体温調節が苦手な犬にとって、熱中症のリスクを著しく高める要因となってしまいます。
4. 膵炎のリスク
犬の肥満は、膵炎(すいえん)」という、激しい腹痛と嘔吐を伴う病気の原因にもなります。
膵炎は、脂肪を分解する消化酵素を分解するすい臓に過度な負担がかかることで発症します。高脂質の食生活が、すい臓を疲弊させ、膵炎を誘発してしまうのです。一度発症すると、生涯にわたる食事管理が必要になることも少なくありません。
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まとめ
愛犬の肥満は、そのほとんどが病気ではなく、日々の生活習慣から生まれます。
そのため、犬のダイエットは、日々の食事と運動のバランスを見直すことで改善が可能です。無理な食事制限や運動は、かえって愛犬の健康を損なう危険があるため、正しい知識で望むことが大切です。
本記事で紹介した方法や注意点を参考に、焦らず、根気強く続けて愛犬のダイエットを成功させましょう。

