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愛犬に、とうもろこしを与えても良いのでしょうか?
甘い香りと食感で、多くの犬が喜んで食べるため、ついおすそ分けしたくなりますよね。実際に、SNSなどでも、とうもろこしを食べる犬の姿をよく見かけます。
しかし、与え方を間違えると、消化不良や時には命に関わる事故につながることも。この記事では、とうもろこしに含まれる栄養素や健康への効果、与える際の注意点などを解説します。
犬にとうもろこしを与えても問題ない
とうもろこしは、加熱した実の部分だけを少量であれば、犬が食べても問題ありません。
とうもろこしの実には、犬にとって有毒な成分は含まれておらず、エネルギー源となる炭水化物や、お腹の調子を整える食物繊維などが含まれています。芯は消化できず、腸閉塞を引き起こす危険があるため、絶対に与えてはいけません。
とうもろこしに含まれる主な栄養素
とうもろこしは、甘くて美味しいだけでなく、犬の健康に役立ついくつかの栄養素も含まれています。以下、とうもろこしに含まれる主な栄養素を詳しく見ていきましょう。
1. 炭水化物
とうもろこしの主成分は、三大栄養素のひとつである炭水化物です。炭水化物は、犬の体や脳にとって重要なエネルギー源となり、生命活動を支える役割を果たします。また、エネルギーを効率よく供給することで、疲労回復にも効果が期待できます。
2. 食物繊維
とうもろこしには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方が含まれていますが、特に不溶性食物繊維が豊富です。
不溶性食物繊維は水に溶けにくく、腸内で水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やして腸を刺激し排便を促すため便秘解消に効果が期待できます。ただし、過剰摂取は下痢を引き起こす可能性があるため、与える量には注意しましょう。
3. ビタミン類
とうもろこしには、ビタミンB群(ビタミンB1、B6、ナイアシン、葉酸)が豊富に含まれており、これらは炭水化物・タンパク質・糖の代謝を助け、エネルギー生成に役立ちます。
通常、総合栄養食のドッグフードを主食にしていれば、必要なビタミンB群が不足することはありませんが、食欲がない場合や妊娠中、成長期の幼犬には、とうもろこしを栄養補助的に与えてもよいでしょう。
4. ミネラル
とうもろこしにはカリウムが含まれており、体内の塩分を尿と一緒に体外に排出し、血液の濃度や水分量を調節して血圧の上昇を防ぎます。
しかし、加齢や腎臓病などで腎臓機能が低下している場合や心臓機能が低下している場合、余分なカリウムが体外に排出できず、血液中のカリウム濃度が上昇する「高カリウム血症」を引き起こす危険があるため、こうした場合は、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
犬にとうもろこしを与える効果
とうもろこしに含まれる炭水化物や食物繊維といった栄養素は、犬の健康にいくつかの良い効果をもたらします。以下、具体的な効果について紹介します。
1. 腸内環境の改善
とうもろこしに含まれる食物繊維は、愛犬の腸内環境を整えるのに役立ちます。粒皮に豊富な不溶性食物繊維が、便のカサを増やして腸を刺激し、排便を促すため、便秘の解消が期待できるのです。
さらに、食物繊維は腸内の善玉菌のエサにもなります。善玉菌が増えることで、腸内フローラのバランスが整い、お腹全体の健康維持にもつながります。
2. エネルギー補給
とうもろこしを与えることで、愛犬の活動に必要なエネルギーを効率よく補給できます。主成分である炭水化物は、体と脳の両方にとって重要なエネルギー源となり、元気な毎日を支えてくれるのです。
特に、ドッグランでたくさん走った後や、疲れが見えるシニア犬の食事に少量加えることで、失われたエネルギーを補い、体力の回復を助ける効果が期待できます。
3. 皮膚や毛の健康維持
とうもろこしは、愛犬の皮膚や毛並みを健康に保つ栄養素も摂れる食材です。皮膚の潤いを保つリノール酸をはじめ、被毛の材料となるタンパク質や、皮膚の代謝を助けるビタミンB群も含まれています。
これらの栄養素が、乾燥から愛犬を守り、つややかな毛並みを育む手助けとなります。
とうもろこしのヒゲの意外な効果
「とうもろこしのヒゲ(南蛮毛)」は、古くから漢方薬としても重用されてきた植物素材であり、犬の体にも穏やかに働きかけてくれる可能性があります。
1. とうもろこしのヒゲ(南蛮毛)の働きと漢方的視点
とうもろこしのヒゲ(めしべ)は、漢方では「南蛮毛(なんばんもう)」と呼ばれ、利水作用(余分な水分を排出する働き)を目的に用いられてきました。
犬への期待される作用は
・利尿作用のサポート:むくみや排尿トラブルがある
・ 膀胱・尿道の浄化補助:膀胱炎など泌尿器系のトラブル予防に
・緩やかな抗炎症作用:体内の“湿熱(しつねつ)”を取り除く目的
特に、尿の濁りやニオイが気になる犬、シニア犬の泌尿器ケアとして、サポート食材に用いられることがあります。
犬にとうもろこしを与える際の注意点
とうもろこしは、正しく与えれば犬にとって良いおやつになりますが、与え方を間違えると、かえって愛犬を危険に晒すことにもなりかねません。犬にとうもろこしを安全に与えるためにも、以下の点に注意しましょう。
1. アレルギーに注意する
どんな食べ物でも、特に初めて与える場合は、アレルギーや消化不良を避けるために少量から始め、様子を見るのが良いでしょう。
主なアレルギー症状として、口や目の周りのかゆみ、皮膚の赤み、下痢、嘔吐などがあります。このような症状が現れた場合は、すぐに与えるのを中止し、獣医師の診察を受けてください。
2. 適量を与える
1日あたりの摂取量〈目安〉
小型犬(体重10kg以下):60g(1/4本)
中型犬(体重25kg未満):120g(1/2本)
大型犬(体重25kg以上):240g(1本)
※上記は、あくまで目安であり、実際の体格や運動量に応じて異なります。
犬に必要な栄養素は、総合栄養食と記載のあるドッグフードに十分含まれています。そのため、とうもろこしは主食ではなく、おやつやご褒美として適量を与えるのがおすすめです。おやつとして与える場合は、一日の必要カロリーの10%以内に抑えるようにしましょう。
3. 加熱して与える
生のとうもろこしは、犬の胃腸に大きな負担をかけます。生のままで与えられる品種もありますが、消化不良を避けるためにも、与える際は必ず加熱してください。
茹でたり蒸したりすることで、硬い皮が柔らかくなり、栄養も吸収しやすくなります。与える際は、細かく刻んでから加熱し、十分に冷ましてあげましょう。
特に、消化機能がまだ未熟な子犬や、衰えてきているシニア犬には、さらに潰してペースト状にしてあげると、より安心して与えられます。
4. 芯を与えない
犬にとうもろこしを与える際は、芯を絶対に与えないでください。芯は消化されず、食道や腸に詰まる危険性があります。特に、丸ごと与えると芯を飲み込む恐れがあり、腸閉塞を引き起こすリスクがあります。必ず芯を取り除いて与え、万が一、飲み込んでしまった場合は、速やかに動物病院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
とうもろこし以外の与えても良い野菜・果物
とうもろこし以外にも、栄養豊富な野菜や果物はたくさんあります。ここでは、とうもろこし以外の与えても良い野菜・果物を紹介します。
きゅうり
きゅうりは、約95%が水分で構成されているため、水分補給にぴったりな野菜です。体を内側から冷やす効果が期待でき、シャキシャキとした食感も楽しめます。低カロリーなので、体重が気になる子のおやつとしても安心して与える事ができます。
ただし、体を冷やしすぎる可能性もあるため、与えすぎには注意しましょう。皮は消化しにくいため、剥いてから、小さくカットして与えるのがおすすめです。
スイカ
スイカは水分が非常に豊富で、自然な甘みで喜んで食べる子が多い夏の果物です。水分補給に役立ちますが、与える際には、消化不良や中毒の原因となる種と皮は必ず取り除き、果肉の部分だけを少量にするよう注意しましょう。
また、利尿作用があるため、与えすぎるとおしっこの回数が増えることもあります。
キャベツ
キャベツは食物繊維が豊富で、お腹の調子を整える手助けをします。
ただし、生のまま大量に与えると、消化不良や甲状腺に影響を与える可能性があるため、必ず加熱して、細かく刻んでから与えるようにしてください。芯の部分は硬く、消化しにくいため、取り除くのが安全です。スープの具材などにするのも良いでしょう。
さつまいも
さつまいもは、食物繊維が多く自然な甘みもあるため、多くの犬が好む食材です。便秘気味の子には特におすすめですが、カロリーが高めなので、与えすぎは肥満の原因になります。
与える際は、必ず加熱して、皮を剥き、喉に詰まらせないように小さくカットするか、潰してペースト状にしてあげましょう。
りんご
りんごは、食物繊維やビタミンが豊富で、シャキシャキとした食感も楽しめます。一方芯や種には、犬にとって有毒な成分が含まれているため、絶対に与えてはいけません。
与える際は、必ず芯と種を完全に取り除き、皮を剥いてから、小さくカットしてあげてください。与えすぎは下痢の原因になるため、少量に留めましょう。
犬のとうもろこしに関してよくある質問
ここでは、犬のとうもろこしに関してよくある質問に回答します。
アレルギーの心配はありますか?
とうもろこしは、犬にとってアレルギーの原因となることがある食材の一つです。初めて与える際は、必ずごく少量から始め、食後に皮膚を痒がったり、下痢や嘔吐をしたりしないか、様子をよく観察してください。
もし、何か異常が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、獣医師に相談しましょう。
犬はとうもろこしの芯を消化できませんか?
犬はとうもろこしの芯を消化できません。芯は、犬の消化酵素では分解できない、硬い繊維でできています。
もし飲み込んでしまうと、食道や腸に詰まって腸閉塞を引き起こします。命に関わることもあるため、芯ごと与えるのは絶対にやめてください。
缶詰や冷凍のとうもろこしは大丈夫ですか?
缶詰の場合は、人間用に食塩や砂糖、添加物が使われているものが多いため、必ず成分表を確認し、とうもろこしのみで加工された、無添加のものを選んでください。与える前によく水で洗い流すと安心です。
冷凍のとうもろこしも、味付けされていないプレーンなものであれば問題ありませんが、必ず加熱してから与えるようにしましょう。
ポップコーンやとうもろこし茶は与えてもいい?
ポップコーンは、塩やバター、油を一切使わずに空気だけで弾けさせたプレーンなものであれば、少量なら与えても大丈夫です。
とうもろこし茶も、カフェインや砂糖が含まれていないものであれば、犬が飲んでも問題ありません。どちらも、人間用に味付けされたものは与えないようにしましょう。
消化されずに、粒がそのままうんちに出てきました。大丈夫ですか?
特に心配する必要はありません。とうもろこしの粒の皮は、消化しにくい不溶性食物繊維でできているため、そのままの形で出てきやすいのです。ただし、皮以外の栄養は吸収されています。
消化を助けるためにも潰したり、ペースト状にしたりして与えることをおすすめします。
まとめ
とうもろこしは、犬が食べても大丈夫な食材です。正しく与えれば、炭水化物やビタミン、ミネラルなどのエネルギー補給や、お腹の調子を整える効果も期待できます。しかし、次のような与え方は危険です。
- 芯を丸ごと与える
- 生のまま与える
- 与えすぎる
特に、芯は消化できず、腸閉塞という命に関わる状態を引き起こす可能性があります。与える際は、必ず加熱した実の部分だけを、おやつ程度の少量に留めましょう。また、アレルギーの可能性も考慮し、最初はごく少量から試すようにしてください。

