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秋から冬に旬を迎えるりんご。今では一年中スーパーなどで手軽に手に入るので、日本の家庭でもっとも親しまれている果物のひとつといえるでしょう。美味しくて手軽なりんごを、愛犬にも与えたいと考える飼い主さんは多いようです。
では、りんごは愛犬に与えても大丈夫な果物なのでしょうか?ここではりんごを与えるメリット・デメリットや与える際の注意点についてご説明します。
基本的に犬はりんごを食べても大丈夫

基本的に犬にりんごを与えても問題ありません。しかし、りんごに含まれている果糖の糖質で血糖値が上がる可能性や腎臓病など内臓疾患によっては、カリウム制限をした方が良いケースもあり、時と場合によってはデメリットになるケースもあります。与える量やあげ方に注意が必要です。
犬は何歳(いつ)からりんごを食べられる?

りんごの甘みは犬は大好きです。ほんのり甘く、お腹にやさしいりんご。すりおろしたものは、人間の赤ちゃんの離乳食としてはもちろん、生後1カ月くらいの子犬の離乳食としても活用することが可能です。
ただし、消化器の機能が未熟な子犬に一度に大量に与えると、果糖による血糖値の上昇、または食物繊維過多による軟便でお腹を壊してしまう場合があります。ですので、まずは少量から与えるようにしてください。
犬にりんごを与える4つのメリット

メリット① 食物繊維(ペクチン)を摂取できる
りんごには「ペクチン」という水溶性食物繊維が含まれています。ペクチンは、腸内に溜まった不要物を体外に排出する働きがあり、整腸作用が期待されます。また、ペクチンには腸内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やす働きがあるので、腸内環境を改善することで、便秘や軟便の解消が期待できるでしょう。さらに、腸内環境がよくなれば、免疫力もアップすると考えられます。
メリット② リンゴ酸・クエン酸を摂取できる
りんごに含まれている「リンゴ酸」や「クエン酸」には、体内の代謝を促し、体に溜まった疲労物質の乳酸を分解する作用があります。運動後のおやつにりんごを与えることで、疲労回復に役立つと考えられます。
メリット③ カリウムを摂取できる
りんごにはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。カリウムには、浸透圧を調整する作用があり、体内に溜まった塩分を尿と一緒に体外に排出することで、血圧が高くなるのを防ぎ、神経の伝達や筋肉の収縮にも役立ちます。
ただし、加齢や腎臓病で腎臓の機能が低下していると、余分なカリウムを上手に体外に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」になる心配があります。高カリウム血症は、痙攣や頻脈、不整脈などを引き起こす原因になり、重篤になると命に関わることも。シニア犬や腎臓病のある犬、心機能が低下している犬にりんごを与えるときは注意が必要です。
メリット④ ポリフェノールを摂取できる
ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、病気の予防や老化防止に役立つと考えられます。りんごの皮にはポリフェノールが多く含まれているので、皮のまま犬に与えることで、より多くのポリフェノールを摂取することができます。
ちなみに最近の研究では、ポリフェノールが筋肉の強化や脂肪の減少にも効果がある結果が得られているそうですが、犬への効能は明らかになっていません。
犬にりんごを与える際の注意点

市販のりんごジュースやりんごジャムは糖質を多く含むので注意する
りんごジュースなどの加工品は、愛犬ちゃんにとって多すぎる糖質が含まれています。糖質の摂りすぎは肥満の原因になりますし、糖質はブドウ糖に分解され、継続的な使用は腫瘍の餌にもなる可能性があるため、シニア期、または病気の愛犬には、あげない方が無難です。与える場合には、お水や茹でた野菜等をミックスし、りんごの糖質を薄めてあげるといいでしょう。
りんごの種や芯に含まれる「シアン化合物」に注意する
りんごの種や芯、葉や茎にはアミグダリンというシアン化合物が含まれています。アミグダリン自体に毒性はないのですが、大量に摂ると消化の途中で有毒なシアン化水素が発生し、中毒を引き起こす可能性があります。ですので、実以外は与えないようにしましょう。中毒になった場合、りんごを食べてから3時間以内に呼吸困難、けいれん、嘔吐、下痢などの症状が現れるおそれがあります。
皮を剥く必要はないがよく洗ってからあげる
りんごの果皮には、農薬が付着している場合があります。微量であっても小さな犬にとっては有害となる可能性がありますので、無農薬や有機栽培以外のりんごは皮をむいて与えるか、もしくはよく洗ってから与えるようにしましょう。
犬への適切なりんごの与え方

量
りんごは食事の代わりにはなりません。おやつとして与える分には良いでしょう。ただし、りんご単独で与えるより、水や茹で野菜とミックスした状態であげるのが理想的です。
また、おやつとして与えた場合は、1日に必要なカロリーの10%程度に留めるべきと言われています。このカロリーから計算すると、与えて良い目安量は以下のようになります。
・小型(2~5kg) 34g~67g(中1/6個~中1/3個)
・中型(6~15kg) 77g~153g(中1/3~中5/6個)
・大型(20~50kg) 189g~376g(小1個~中1.5個)
上記は健康な犬の場合の目安であり、腎臓や肝臓病など、内臓疾患の場合には、もっと少なくした方が良いでしょう。
与え方
皮には汚れだけでなく、農薬が残っている場合があるので、よく洗ってからあげましょう。皮は一緒に小さく刻んであげれば問題ありませんが、種と芯は取り除いてください。また、大きなブロックであげてしまうと、丸呑みして食道に詰まったり、消化が追いつかずに嘔吐や下痢を起こす場合がありますので、小さく切って与えるようにしてください。
りんごの果糖の害を軽減させるために
りんごはGI値の低い果物ではありますが、果糖が含まれています。そのため血糖値が上がる可能性、ブドウ糖に変換されるデメリットがあります。少量であれば、 あげても大丈夫です。
【基準】
高GI値:61以下
低GI値:60以下
リンゴのGI値:36
ダイエットが必要な場合や、糖尿病の愛犬ちゃんには、りんご単独ではなく茹でた野菜と一緒に与えることをおすすめします。
食物繊維で果糖を薄めることができますし、余分な果糖を絡みとり、排出する働きがあるため、より果糖のデメリットを排除できるという点で有効です。ゆでた野菜で食物繊維を作るレシピは以下の通りです。
◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)
さつまいも・きのこ・人参・小松菜・ブロッコリー
いずれも必ず細かくみじん切りし、3~10分茹でて、ゆで汁は捨てましょう。※焼く、蒸す、レンジはNG
糖分や不要な栄養成分が流れ出ているゆで汁を捨てる事が大切です。
・フード:ゆで野菜:りんごの割合=1:1:1 または 2:1:1
特にシニア期や内臓疾患のある犬猫ちゃんにはこの様な工夫をしてあげると無難でしょう。
りんごの与え方のまとめ
与える場合には、種・芯・葉・茎は取り除き、皮はよく洗って小さくカットしましょう。
初めて与える時は少量にとどめ、愛犬の様子をよく観察して、体質・状態に合わない場合には与えるのを控えましょう。また、果糖のデメリットを薄める場合には、ゆで野菜を1:1で混ぜて与えるのがお勧めです。
まとめ

手に入りやすく、栄養的にも犬にメリットのあるりんご。甘い香りとシャリシャリとした食感が大好きな愛犬も多く、おやつとして与えることができる果物です。
しかし、どんなものでも与え過ぎるとデメリットが生じます。
生で与える場合には少量で留める。
果糖(糖質)の害を中和させるために同量のゆで野菜と一緒に摂る
おやつとしての適量を守って、与え過ぎには注意しましょう。