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秋から冬にかけて旬を迎えるりんごは、手軽に手に入る果物として日本の家庭で親しまれています。美味しく、手軽なりんごを愛犬にも与えたいと考える飼い主さんも多いのではないでしょうか?しかし、りんごを愛犬に与える際には押さえておくべきポイントがあります。
本記事では、犬にリンゴを与えるメリットや注意点、具体的な与え方を解説していきます。
基本的に犬はりんごを食べても平気

りんごは基本的に犬に与えても問題ない果物です。りんごには健康に役立つ栄養素が豊富に含まれており、多くの犬がその甘みや香りを好みます。
しかし一方で、りんごに含まれる果糖は血糖値を上昇させる可能性があり、腎臓病など内臓疾患を抱える犬には注意が必要です。例えば、カリウムの排出が難しい場合、高カリウム血症のリスクを高める可能性があります。
このようなケースを避けるためには、りんごを適量与え、犬の健康状態を確認しながら調整することが重要です。愛犬にりんごを安心して与えるには、与える量と方法に気を配りましょう。
犬がりんごを食べ始めて良いタイミング

犬は生後1ヶ月から年齢を問わずりんごを食べることができます。これは、犬の消化器系がりんごに含まれる栄養素を処理できる能力を持っているためです。実際、りんごは胃への負担が少なく、自然な甘みで多くの犬が好む食材です。
与え方は年齢によって調整が必要です。生後1ヶ月の子犬にはすりおろして少量から、成犬には小さく切って適量を、シニア犬には消化しやすい大きさに調整して与えることができます。
ただし、特に子犬は消化器官が未熟なため、注意が必要です。最初は極少量から始め、血糖値上昇や軟便の様子を観察しながら徐々に増やしていきましょう。また、体格に合わせて適切な量を調整し、アレルギー反応がないか、与え始めは慎重に観察することが大切です。
犬にりんごを与えるメリット

愛犬にりんごを与えることには、以下のような様々な健康上のメリットがあります。
- 食物繊維(ペクチン)による腸内環境の改善
- リンゴ酸・クエン酸による疲労回復の促進
- カリウムによる体内バランスの調整
- ポリフェノールによる抗酸化作用
- ビタミンCによる免疫力強化
- 低カロリーで満足感のあるおやつになる
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
1. 食物繊維(ペクチン)による腸内環境の改善
りんごに含まれるペクチンは、愛犬の健康的な腸内環境を作り出す重要な栄養素です。
このペクチンという食物繊維は、腸内環境を整える3つの重要な働きを持っています。まず、腸内に溜まった不要物を効果的に排出します。次に、腸内の有害な細菌を減らし、善玉菌を増やすことで、バランスの良い腸内環境を作ります。さらに、腸の粘膜を保護し、栄養の吸収をサポートする働きもあります。
これらの働きにより、便秘や軟便といった消化器系のトラブルが改善されるだけでなく、腸内環境の改善を通じて免疫力も高まります。特に、ストレスで消化器系の調子を崩しやすい愛犬や、環境変化で腸内バランスが乱れがちな愛犬にとって、効果的な食材です。
2. リンゴ酸・クエン酸による疲労回復の促進
りんごに含まれるリンゴ酸とクエン酸は、愛犬の運動後の回復をサポートする天然の有機酸です。これらの有機酸は、体内での代謝を活性化し、運動によって蓄積された乳酸を効率的に分解します。
その結果、疲労回復が促進され、愛犬の活力維持につながります。また、体内の水分やミネラルバランスを整える作用も持ち合わせています。
特に活発な犬種や、アジリティなどのドッグスポーツを楽しむ愛犬には、運動後のおやつとして最適です。例えば、30分以上の運動後に適量のりんごを与えることで、自然な形での疲労回復が期待できます。また、暑い時期は水分補給と組み合わせることで、より効果的な回復をサポートできます。
3. カリウムによる体内バランスの調整
りんごに含まれるカリウムは、愛犬の体内バランスを整える重要なミネラルです。カリウムは体内で複数の重要な役割を果たします。
まず、体内の水分バランスと浸透圧を適切に保ち、余分な塩分を尿として排出する働きがあります。また、脳からの情報を体の各部位に正確に伝える神経伝達をスムーズにし、筋肉の動きもサポートします。
日常生活では、血圧の安定化や筋肉の疲労防止といった形で、その効果を実感できます。特に、活発に運動する若い犬や、暑い季節に汗をかきやすい愛犬にとって、りんごを通じたカリウム補給は効果的です。
ただし、シニア犬や腎臓病、心臓病のある愛犬の場合は注意が必要です。これらの状態では体内でのカリウム調整が難しくなっているため、与える際は必ず獣医師に相談しましょう。
4. ポリフェノールによる抗酸化作用
りんごに含まれるポリフェノールは、愛犬の体を酸化から守る天然の抗酸化物質です。ポリフェノールの主な働きは、体内で発生する有害な活性酸素を無害化することです。
これにより、細胞の早期老化や損傷を防ぎ、様々な病気の予防につながります。特に皮の部分に多く含まれる「ケルセチン」は、強力な抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。
最近の研究では、ポリフェノールには筋肉の維持や脂肪の代謝促進、さらには脳の健康維持にも良い影響があることがわかってきました。加齢とともに様々な体の変化を経験する愛犬にとって、心強い味方となる栄養素です。
効果を最大限に引き出すためには、新鮮なりんごを適量、継続的に与えることをお勧めします。皮ごと与えることで、より多くのポリフェノールを摂取できます。
5. ビタミンCによる免疫力強化
りんごのビタミンCは、愛犬の免疫力を高め、健康な体づくりをサポートする大切な栄養素です。ビタミンCは体の中で様々な働きをします。
白血球の働きを活発にして病気への抵抗力を高めたり、体内の炎症を抑えたりする効果があります。また、肌や関節の健康維持に欠かせないコラーゲンの生成も助けます。
- 環境の変化でストレスを感じている時
- 手術後の回復期
- 関節のケアが必要なシニア期
- アレルギー症状がある時
りんごを通じた自然なビタミンC摂取は、人工的なサプリメントと比べて体への負担が少なく、他の栄養素との相乗効果も期待できます。
6. 低カロリーで満足感のあるおやつになる
りんごは、体重管理中の愛犬でも安心して与えられる、理想的な低カロリーおやつでもあります。りんごは水分を多く含み(約85%)、100グラムあたり約52キロカロリーと、通常のドッグフードや市販のおやつと比べてカロリーが低いのが特徴です。
それでいて、自然な甘みとシャキシャキした食感で、愛犬に十分な満足感を与えることができます。
また、食物繊維が豊富なため、少量でも腹持ちが良く、満足感が持続します。そのため、ダイエット中の愛犬のストレス軽減にも効果的です。
犬にりんごを与える際の注意点

りんごは基本的に安全な食べ物ですが、与え方を誤ると思わぬリスクが潜んでいます。以下の7つの重要な注意点について、それぞれ詳しく解説していきます。
- 加工品の糖質には要注意
- アレルギーに注意する
加工品の糖質に注意する
市販のりんごジュースやりんごジャムには、愛犬の健康に影響を及ぼす過剰な糖質が含まれています。これらの加工品が危険な理由は、濃縮された糖質にあります。
通常のりんごと比べて何倍もの糖質が含まれており、それらは体内でブドウ糖に分解されます。過剰な糖質摂取は、肥満だけでなく、がん細胞の増殖を促進する可能性も指摘されています。
特にシニア犬や病気を抱える愛犬には、これらの加工品は避けるべきです。どうしても与える場合は、以下のような工夫をしましょう
- 水で薄めて糖質を調整する
- 茹でた野菜と組み合わせる
- 一回の量を極少量に抑える
アレルギーに注意する
りんごアレルギーは珍しいものの、愛犬の命に関わる重大な問題となる可能性があります。
アレルギーは、りんごに含まれるタンパク質に対して体の免疫システムが過剰に反応することで起こります。主な症状として、消化器系の問題である嘔吐や下痢、皮膚のかゆみや発疹、さらには呼吸器系の症状としてくしゃみや咳などが現れることがあります。
初めてりんごを与える際は、ごく少量から始め、その日は他の新しい食材は控えめにしましょう。24時間は注意深く様子を観察し、異常が見られた場合は即座に中止し、獣医師に相談することが賢明です。
りんごの種や芯に含まれる「シアン化合物」に注意する
りんごの種や芯、葉、茎にはアミグダリンと呼ばれるシアン化合物が含まれています。アミグダリンは無毒ですが、大量に摂取すると消化する過程で有毒なシアン化水素が生成されるため、中毒のリスクがあります。そのため、りんごの実以外の部分は犬に与えないようにしましょう。
中毒の症状には、りんご摂取後3時間以内に呼吸困難やけいれん・嘔吐・下痢などを引き起こす可能性があるため、りんごの与え方には充分な注意が必要です。りんごを与える際は、種や芯、葉、茎を取り除いて安全に提供してください。
特定の持病がある犬には与えない
特定の疾患を抱える愛犬には、りんごが逆効果となる可能性があります。特に心臓病、腎臓病、糖尿病、消化器系の慢性疾患がある場合は注意が必要です。これらの病気がある場合、カリウムの過剰摂取リスクや血糖値への影響、消化への負担が懸念されます。
特に療法食を摂取している愛犬の場合は、必ず事前に獣医師に相談することが重要です。専門家のアドバイスを受けることで、愛犬の状態に合わせた適切な判断ができます。
皮を剥く必要はないがよく洗ってからあげる
市販のりんごには農薬が使用されている可能性が高く、特に小型犬は影響を受けやすいため、適切な対策が必要です。
安全に与えるためには、食べる前に流水で30秒以上かけてしっかり洗い、必要に応じてやわらかいブラシでこすり洗いすることをお勧めします。皮ごと与える場合は特に丁寧に洗いましょう。
また、無農薬や有機栽培のりんごを選ぶことも一つの対策です。どうしても心配な場合は、皮を剥いて与えることも検討しましょう。ただし、皮にも栄養が含まれているため、十分に洗えていれば、皮ごと与えることをお勧めします。
りんごの鮮度を確認する
りんごの鮮度や保存方法は、愛犬の健康に直結します。与える前には、傷んでいないか、腐りやカビがないか、また硬さが適切かを確認しましょう。
保存時には清潔な容器を使い、適切な温度で保管することが重要です。特にカットしたりんごは変質が早いため、できるだけ早めに与えるように心がけてください。
これらのポイントを守ることで、愛犬に安全にりんごを与えられます。気になる点があれば、獣医師に相談することをお勧めします。
犬への適切なりんごの与え方

りんごを愛犬に安全に与えるためには、適切な量と与え方を知ることが大切です。ここでは、愛犬の体格や健康状態に応じた具体的な与え方について解説していきます。
量
りんごは食事の代わりにはなりません。おやつとして与える分には良いでしょう。ただし、りんご単独で与えるより、水や茹で野菜とミックスした状態であげるのが理想的です。
また、おやつとして与えた場合は、1日に必要なカロリーの10%程度に留めるべきと言われています。このカロリーから計算すると、与えて良い目安量は以下のようになります。
・小型(2~5kg) 34g~67g(中1/6個~中1/3個)
・中型(6~15kg) 77g~153g(中1/3~中5/6個)
・大型(20~50kg) 189g~376g(小1個~中1.5個)
上記は健康な犬の場合の目安であり、腎臓や肝臓病など、内臓疾患の場合には、もっと少なくした方が良いでしょう。
与え方
犬にリンゴを与える際は、皮に汚れや農薬が残っている可能性があるため、よく洗ってから与えましょう。皮は細かく切って構いませんが、種と芯は取り除いてください。また、大きな塊で提供すると、食道に詰まる恐れや消化不良のリスクがあるため、小さく切って与えましょう。
りんごの果糖の害を軽減させるために
りんごはGI値の低い果物ではありますが、果糖が含まれています。そのため血糖値が上がる可能性、ブドウ糖に変換されるデメリットがあります。少量であれば、 あげても大丈夫です。
【基準】
高GI値:61以下
低GI値:60以下
リンゴのGI値:36
ダイエットが必要な場合や、糖尿病の愛犬ちゃんには、りんご単独ではなく茹でた野菜と一緒に与えることをおすすめします。
食物繊維で果糖を薄めることができますし、余分な果糖を絡みとり、排出する働きがあるため、より果糖のデメリットを排除できるという点で有効です。ゆでた野菜で食物繊維を作るレシピは以下の通りです。
◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)
さつまいも・きのこ・人参・小松菜・ブロッコリー
いずれも必ず細かくみじん切りし、3~10分茹でて、ゆで汁は捨てましょう。
※焼く、蒸す、レンジはNG
糖分や不要な栄養成分が流れ出ているゆで汁を捨てる事が大切です。
■フード:ゆで野菜:りんごの割合=1:1:1 または 2:1:1
特にシニア期や内臓疾患のある犬猫ちゃんにはこの様な工夫をしてあげると無難でしょう。
りんごの与え方のまとめ
与える場合には、種・芯・葉・茎は取り除き、皮はよく洗って小さくカットしましょう。
初めて与える時は少量にとどめ、愛犬の様子をよく観察して、体質・状態に合わない場合には与えるのを控えましょう。また、果糖のデメリットを薄める場合には、ゆで野菜を1:1で混ぜて与えるのがお勧めです。
りんご以外の果物について
りんごは犬にとって安全な果物ですが、ほかにも犬が食べられる果物があります。果物には健康に良い栄養素が豊富に含まれており、適量を守ればおやつとして最適です。以下で果物をいくつかピックアップしてご紹介します。
いちご
犬は適量であればいちごを食べても大丈夫です。いちごにはビタミンCやポリフェノールが含まれており、抗酸化作用や目の健康維持に役立つとされています。
ただし、いちごには「シュウ酸」や酸味成分が含まれ、摂りすぎると下痢を引き起こす場合があります。特に幼犬や老犬に与える際は、細かくカットし、少量から始めてください。
また、アレルギーのリスクがあるため、初めて与える際は一口ずつ様子を見ながら与えましょう。市販のいちごジャムや加工品は糖分が多いため避けるようにしてください。

バナナ
バナナは、犬にとって栄養価が高く、適量であれば安全な果物です。バナナにはカリウムやビタミンB6が含まれ、整腸作用や免疫力の向上をサポートします。
しかし、糖質が多いため与えすぎには注意が必要です。小型犬の場合は1/4本、中型犬では1/2本が1日の適量とされています。必ず皮を剥き、細かく切ったり潰して与えることで、喉に詰まるリスクを減らせます。
高齢犬や消化機能が弱い犬には、茹でた野菜と一緒に与えることで消化を助けることができます。

ブルーベリー
ブルーベリーは、犬に与えても安全で、特に目の健康や免疫力の向上に役立つとされています。アントシアニンやルテインといった成分が含まれており、抗酸化作用や視力維持をサポートします。
しかし、シュウ酸が含まれているため、結石になりやすい犬には注意が必要です。1日に与える量は体重に応じて数粒から10粒程度が適切です。与える際は汚れを洗い流し、細かく刻んで与えるかペースト状にすることで、消化を助けることができます。
加工品には糖質が多く含まれるため、生のブルーベリーを与えるようにしましょう。

糖質が気になる愛犬ちゃんにも安心なおやつ
和漢のおやつシリーズは低糖質で、甘味料として血糖値を上げにくい羅漢果を使用しています。内臓に負担をかけずに美味しく食べられるサプリ感覚で身体の健康維持をサポートし、食感の違いで飽きさせません。
まとめ

手軽に手に入り、犬にとって栄養価も高いりんごは、甘い香りとシャリシャリとした食感で多くの愛犬が喜びます。これらの特性から、おやつとして与えるのに適した果物です。
生で与える場合には少量にとどめる。
果糖(糖質)の害を中和させるために同量のゆで野菜と一緒に摂る。
おやつとしての適量を守って、与え過ぎには注意しましょう。