一般食材・栄養学の豆知識

犬はナスを食べても大丈夫?適切な与え方や注意したいポイントを紹介

夏の食卓によく並ぶナス。料理中に愛犬が足元でキラキラした目で見つめてくると、「少しだけおすそ分けしても大丈夫かな?」と気になりますよね。ナスは犬に与えても良い野菜ですが、与え方を間違えると体調を崩す原因にもなります。

この記事では、ナスを与えるメリットから注意点、安全な与え方までを詳しく解説します。愛犬の食事にナスを取り入れたい方は、本記事の内容を参考にしてみてください。

犬はナスを食べても大丈夫

ナスは犬が食べても大丈夫な野菜です。ごく少量であれば生で与えても直ちに問題はありませんが、消化への負担を考えると、茹でるなど加熱した方がより安全です。

安全に栄養を摂るためには、葉と茎を避け、細かく刻んだものを少量だけ与えるようにしましょう。

また、なすは食事のメインとして与える食材ではありません。主食はドッグフードなど、栄養バランスの整った総合栄養食を中心に、あくまで補助食品として少量にしてください。

犬は何歳(いつ)からナスを食べられる?

犬は生後間もない幼犬期からナスを食べられます。しかし、シュウ酸などの成分が結石形成のリスクを高める可能性があるため、ナスを積極的に与えることは避けるべきです。特に、幼犬の消化能力は未熟で、ナスの皮が固いため、丸呑みしてしまう危険性があります。

そのため、ナスを与える際には、細かく切る、十分に茹でるなど、消化しやすい形に加工することが重要です。常に犬の健康と安全を最優先に考え、適量を守り、与えた後はその反応を注意深く観察しましょう。

犬にナスを与える3つのメリット

犬にナスを与えるメリットは以下の3つです。

  • カリウムを摂取できる
  • ナスニン(ポリフェノール)を摂取できる
  • 食物繊維を摂取できる

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

1. カリウムを摂取できる

ナスに含まれるカリウムは、体内の余分な塩分や老廃物の排出を助ける働きがあります。また、体の熱を逃がす効果も期待できるため、特に夏バテ気味の犬には嬉しい成分です。

ただし、腎臓病を患っている犬や、腎機能が低下しがちなシニア犬には注意が必要です。カリウムをうまく排出できず、体調を崩す危険があるため、与える前に必ず獣医師に相談してください。

2. ナスニン(ポリフェノール)を摂取できる

ナスの紫色の皮には、「ナスニン」というポリフェノールの一種が豊富に含まれています。ナスニンは強力な抗酸化作用を持ち、老化の原因となる活性酸素から体を守る働きが期待できます。

細胞の健康を維持し、免疫機能のサポートにも繋がるため、特に抗酸化力が低下しがちなシニア犬のエイジングケアに役立つ成分です。また、目の健康維持にも効果が期待できるため、愛犬の長期的な健康を願う飼い主様には嬉しい栄養素と言えるでしょう。

3. 食物繊維を摂取できる

3つ目のメリットは食物繊維を摂取できる点です。ナスのやわらかな食感とは裏腹に、食物繊維が豊富です。食物繊維は腸内環境を整え、便秘の予防や改善に寄与します。また、血糖値の急激な上昇を抑え、血中コレステロールを低下させる役割もあり、心筋梗塞や糖尿病といった生活習慣病の予防にもなります。

犬への適切なナスの与え方

続いて、愛犬にナスを与える際の適切な与え方を紹介します。

与える量

ナスは栄養価の高い野菜で、脂質や炭水化物が少なくカロリーも低いため、健康的な食事に取り入れやすいです。また、高水分含有量により水分補給にもなります。しかしながら、ナスに含まれる「アルカロイド」という成分には注意が必要です。

アルカロイドには苦味と毒性があり、通常の摂取量では健康への影響は少ないものの、過剰に摂取することで関節の炎症などの問題が起こるリスクがあります。

したがって、ナスを犬に与える際は、適量を守ることが重要です。毎日与えるよりも、週に一度のおやつ程度にするなど、適度に摂取量を抑えるようにしましょう。

■摂取目安量/1日■

体重  5kgの小型犬・・・15g
体重10kgの中型犬・・・30g
体重20kgの大型犬・・・50g

食べ方

ナスの皮にはナスニンが豊富に含まれていますが、ナスの皮は比較的固く、消化しにくい性質があります。犬は人間に比べて消化器官が発達していないため、固い食材は消化に負担をかけることがあります。

与える時は必ず一口サイズ(1cm角程度)に細かくカットしましょう。さらに、皮と身の両方をより消化しやすくするために、生ではなく加熱処理することが望ましいです。

茹でることで、固い皮も柔らかくなり、シュウ酸やアルカロイドなど犬にとって害のある毒素も軽減できます。

また、皮を細かく刻むかミキサーでペースト状にしてから与えると、食べやすくなるためおすすめです。さらにナスニンは水溶性であるため、スープなどの液体に溶かして与えると、栄養素をさらに効率良く摂取できます。

犬にナスをあげる際の注意点

犬にナスを与える際の注意点は以下の通りです。

  • 油は使わない
  • 葉・茎にはアルカロイドが含まれているため注意する
  • アレルギーの症状が見られる場合もある
  • アク抜きは不要

それぞれの注意点を見てきましょう。

1. 油は使わない

ナスを調理する際は、油を一切使わないようにしましょう。ナスは油をスポンジのように吸収するため、炒めたり揚げたりすると犬にとっては高脂肪な食事になり、嘔吐や下痢の原因になります。

特に、膵炎を患っている犬やそのリスクがある犬にとって、高脂肪食は激しい痛みを引き起こす非常に危険なものです。ナスを与える際は、油を使わずに茹でるか蒸すなど、ヘルシーな調理法を徹底してください。

2. 葉・茎にはアルカロイドが含まれているため注意する

ナスを与える際は、葉と茎は与えないでください。葉・茎にはアルカロイドという自然毒が多く含まれており、犬が食べると嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こす危険があります。家庭菜園でナスを栽培している場合は、愛犬が誤って口にしないよう特に注意が必要です。

ナスの実の部分にもアルカロイドは少量含まれますが、適量であれば問題ありません。ただし、だからといって与えすぎは禁物です。

3. アレルギーの症状が見られる場合もある

ナスを与える際は、アレルギーの可能性も心に留めておきましょう。稀ですが、ナス科の植物(トマト、ピーマンなど)や、スギ花粉にアレルギーがある犬は、ナスにも反応を示すことがあります。

どんな食材もアレルギーの原因となり得るため、初めて与える際は、必ずごく少量から試してください。食後に皮膚を痒がったり、嘔吐や下痢をしたりといった症状が見られた場合は、すぐに与えるのをやめ、必要であれば獣医師に相談しましょう。

4. アク抜きは不要

犬にナスを与える際に、私たち人間が行うようなアク抜きは必要ありません。長時間アク抜きをすると、栄養素が水に溶け出してしまう懸念があります。どうしてもアク抜きをしたいという飼い主さんは、短時間で留めるようにしましょう。ナスは切ってすぐに加熱調理すれば、アクの心配もありません。

ナス以外の夏野菜は大丈夫?

ナスが与えられると知ると、「他の夏野菜はどうなんだろう?」と気になりますよね。多くの夏野菜は犬に与えても大丈夫ですが、それぞれに与え方のルールや注意点が存在します。ここでは、代表的な夏野菜について、犬に与える際のポイントを解説します。

ピーマン

ピーマンは、βカロテンやビタミンCが豊富ですが、犬にとっては消化しにくい野菜です。与える際は、苦味の原因となるヘタや種を必ず取り除き、細かく刻んでから加熱してください。生のままではお腹を壊す原因になるため、必ず調理したものを少量だけ与えるようにしましょう。

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トマト

赤く熟したトマトの果肉部分は、犬に与えても大丈夫です。リコピンが豊富で、水分補給にも役立ちます。ただし、ヘタや葉、茎、そして未熟な青い部分には、中毒の原因となる有毒な成分が含まれているため、絶対に与えないでください。与える際は、完熟した果肉部分のみを少量にしましょう。

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ズッキーニ

ズッキーニは、犬に与えても大丈夫な野菜です。低カロリーで、カリウムやビタミン類も摂取できます。ただし、生のままでは消化に悪いため、必ず茹でるなど加熱して柔らかくしてから与えてください。水分も多いので、与えすぎるとお腹が緩くなることがあります。細かく刻んで少量だけ与えましょう。

きゅうり

きゅうりは、犬に与えても大丈夫です。約95%が水分でできており、低カロリーなため、夏の水分補給やおやつに最適です。ただし、丸呑みして喉に詰まらせる危険があるため、必ず小さくカットするか、薄切りにして与えてください。体を冷やす作用もあるため、お腹が弱い子への与えすぎには注意しましょう。

とうもろこし

とうもろこしは、加熱した「粒」の部分のみ、少量であれば与えても大丈夫です。エネルギー源となる炭水化物が豊富です。ただし、芯は消化できず、腸閉塞を引き起こす非常に危険な部分なので、絶対に与えないでください。与える際は、必ず芯から外した粒のみを、数粒程度に留めましょう。

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犬とナスに関するよくある質問

最後に、犬とナスに関して、飼い主様から特に多く寄せられる質問にお答えします。

ナスは毎日与えても大丈夫ですか?

毎日与えるのはおすすめできません。ナスはあくまでおやつや食事のアクセントとして、週に1〜2回、ごく少量に留めるのが理想です。

毎日与えてしまうと、主食であるドッグフードの栄養バランスを崩したり、食物繊維の過剰摂取でお腹の調子を崩したりする原因になります。愛犬の健康は、栄養バランスの取れた主食によって支えられています。ナスは、その食事をより豊かにするための、特別なトッピングとお考えください。

子犬や老犬(シニア犬)に与えても大丈夫ですか?

ナスを与えるのは、消化器官が十分に発達した成犬になってからが理想です。

子犬は消化機能が未熟で、シニア犬は機能が衰えがちなため、食物繊維が多いナスは下痢や嘔吐の原因になる可能性があります。特にシニア犬は、腎臓や心臓に持病を抱えていることも多く、カリウムが豊富なナスが体に負担をかけることも。与える際は、まず獣医師に相談しましょう。

犬はナスの皮を食べられますか?

ナスの紫色の皮には、「ナスニン」という抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれているため、むしろ与えたい部分です。ただし、皮は消化しにくいため、そのまま与えるのは避けるべきです。愛犬に与える際は、必ず皮ごと細かく刻んだり、ペースト状にしたりしてから加熱し、消化しやすいようにしてあげてください。

人間用のナスの料理(焼きナス、煮びたしなど)をおすそ分けしても良いですか?

人間用に調理されたナスの料理には、犬にとって有害なものが多く含まれています。例えば、焼きナスや揚げ浸しは油を大量に使っており、高脂肪で膵炎の原因になります。また、煮びたしには過剰な塩分(醤油やだし)が含まれています。麻婆茄子などに使われる玉ねぎやにんにくは、犬にとって中毒を引き起こす危険な食材です。

ナスの栄養素を摂取するならドッグフードもおすすめ

ナスに含まれる成分の1つにアントシアニンがありますが、和漢みらいのドッグフードが取り扱っている食事にも、同等の成分が含まれています。

無添加で食事のトッピングとしても使うことができるため、気になる方は以下の詳細ページをチェックしてみてください。

まとめ

ナスは、正しい与え方をすれば、愛犬の健康に役立つ栄養を補給できる野菜です。特に皮に含まれる「ナスニン」という成分は、シニア犬の健康維持にも役立ちます。

ただし、与える際にはいくつかの重要なルールがあります。必ず葉と茎は取り除き、油を使わずに加熱し、細かく刻んでから、おやつ程度の少量に留めてください。生のままや、人間用に調理されたものは、愛犬の体調を崩す原因となります。

ナスが持つメリットを安全に活かすためにも、この記事で解説した注意点を守り、愛犬との食生活を豊かにしてあげましょう。