キャベツ

犬の肝臓数値を下げる食べ物|肝臓に良い食事・悪い食事とは?

愛犬の健康診断で「肝臓の数値が高い」と指摘され、不安な気持ちで情報を探している飼い主様も多いのではないでしょうか。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、症状が出にくい分、日々の食事が重要になります。幸い、食事内容を適切に見直すことで、肝臓の数値をケアすることは可能です。

今回は、犬の肝臓機能維持のために良い食べ物、悪い食べ物、肝臓を守るためにできることについて解説していきます。

犬の肝臓の主な機能

肝臓はとても重要な臓器のひとつで、体の中でエネルギーの代謝や、毒素の解毒胆汁生成などを担っています。

沈黙の臓器と呼ばれる肝臓は、病気になってもすぐに症状が現れないことも多いため、日頃から食事に気を付けて肝臓を守っていくことが大切です。

なぜ犬の肝臓数値が高くなるのか?

肝臓の数値(ALT、AST、ALPなど)が上昇するのは、肝臓の細胞が何らかの原因でダメージを受けているサインです。原因は、食事内容、加齢、ストレス、薬の副作用、肝炎や肝硬変といった病気まで様々です。

原因によって食事管理のアプローチも変わるため、動物病院でしっかりと原因を特定する必要があります。

犬の肝臓数値を下げる食べ物

愛犬の肝臓数値を下げるためには、日々の食事で肝臓の負担を減らし、再生をサポートしてくれる肝臓に良い食べ物を積極的に取り入れることが大切です。

1. ブロッコリー・キャベツ

ブロッコリーやキャベツといったアブラナ科の野菜は、肝臓が体内の毒素を解毒する働きをサポートします。

特に、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンや、キャベツに含まれるビタミンUは、肝臓の機能を助ける成分として知られています。消化しやすくするため、必ず柔らかく茹でてから、細かく刻んで与えてください。

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2. かぼちゃ・にんじん

肝機能が低下している犬の体内では、細胞を傷つける「活性酸素」が増えやすくなっています。かぼちゃやにんじんに豊富に含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変わり、この活性酸素から肝臓の細胞を守る強力な抗酸化作用を発揮します。

自然な甘みがあり犬も好むため、手作り食のかさ増しにもおすすめです。

3. 豆腐・納豆

大豆製品である豆腐や納豆は、植物性の良質なタンパク質源です。肉類に比べて脂肪分が少なく、消化が穏やかなため、肝臓に負担をかけにくいというメリットがあります。

特に納豆は、発酵過程で栄養の吸収率が高まっています。与える際は、味付けのされていないプレーンなものを選び、少量から試してみてください。

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4. ウコン

ウコンには、肝機能向上と胆汁分泌促進効果があり、肝機能が低下している愛犬に有効な食材です。

しかし、肝臓がすでに疲れていたり、ダメージが蓄積されている場合にはウコンの摂取が逆に疲労をためてしまう可能性があるため、使用する際は注意が必要です。

5. 鶏ささみ・白身魚(タラなど)

肝臓の細胞が再生するためには、良質なタンパク質が不可欠です。

特に、鶏のささみやタラ・カレイといった白身魚は、脂肪が少なく消化しやすいため、肝臓に余計な負担をかけずにタンパク質を補給できる食材です。白身魚は他の肉類に比べ、タンパク質の分解時に発生するアンモニアが少ないという利点もあります。

そのほか、赤身魚でもカツオやマグロはアンモニアの代謝に関わるビタミンB6が豊富なのでおすすめです。与える際は、必ず加熱し、皮や骨は完全に取り除きましょう。

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6. レバー

レバーは良質なタンパク質、ビタミンA、ビタミンB群、鉄分、亜鉛などを豊富に含んでおり、これらの栄養素が免疫力向上、細胞の再生、肝臓のエネルギー代謝を助けるなど多くの健康効果をもたらします。

ただし、タンパク質の制限が必要な肝疾患の場合は摂取を控えるべきです。制限がない場合は、レバーは良質なタンパク源として、また肝臓の細胞再生を支援する栄養源としておすすめです。

犬の肝臓維持に良くない食べ物

肝臓に負担をかける以下の食べ物や成分は、日々の食事から徹底的に排除しましょう。

1. 高脂質の食べ物

体内に吸収された脂質はいったん肝臓や脂肪細胞に蓄えられ、エネルギーが必要な時にその蓄えを使用するため、普段から過剰に脂質を摂取しているとそのバランスが崩れます。
また、脂肪肝になっているなど、肝臓に悪い影響を与えている場合は低脂肪食が推奨されます。

ただし、脂質の中でもオメガ3脂肪酸は有用であり、不足しがちな油ですので、オメガ3脂肪酸が含まれているフードを積極的に取り入れることは肝臓にはメリットとなります。

2. 糖質の多い食べ物

糖質は、小麦や米、トウモロコシなどの穀物に多く含まれています。

糖質を摂り過ぎると、肝臓は過剰に増えたブドウ糖を取り込みきれなくなり、中性脂肪として体に蓄えていきます。肝臓に中性脂肪が蓄積すると、脂肪肝が悪化してしまいます。

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3. アルコール

犬の体にはアルコールを分解する酵素がなく、摂取したアルコールが長期間体内を循環し、呼吸器や心臓、肝臓、腎臓に悪影響を及ぼします。

犬がアルコールに自発的に興味を示すことは少ないですが、飼い主の飲み物からアルコールを舐める可能性はあるため、家でお酒を飲む際は特に注意が必要です。また、アルコールの刺激臭は犬にストレスを与える可能性があるため、飲酒後は犬との接触も慎むべきです。

犬の肝臓を守るために飼い主ができること

愛犬の肝臓の健康を守るためには、日々の食事管理が重要です。食事の基本を見直すことで、肝臓への負担を大きく減らすことができます。ここでは、今日から実践できる5つのポイントを見ていきましょう。

1. 高品質なタンパク質を適量与える

肝臓の細胞が再生するためには、タンパク質が必要です。しかし、タンパク質を分解する過程で生まれるアンモニアは、肝臓で解毒されるため、量と質を間違えると逆に肝臓の負担を増やしてしまいます。

そのため、鶏のささみやタラといった消化しやすく良質なタンパク質を、過剰にならないよう、適量与えることが重要です。脂身の多い肉や加工肉は避け、愛犬の健康状態に合ったタンパク質源を選びましょう。

ただし、すでに肝機能が著しく低下している場合は、獣医師の指導のもとでタンパク質を制限した食事が必要になるため、自己判断は禁物です。

2. 野菜や果物で栄養バランスを整える

良質なタンパク質であっても、過剰に摂取すれば代謝する際に犬の肝臓に負担をかけることになります。

肉・魚・乾燥ジャーキーなどの高タンパクな食材を与える場合には単体で与えるのではなく、茹でた野菜をプラスして、食事全体の栄養バランスを調整するのがおすすめです。野菜を加えることで、タンパク質の比率を下げつつ、ビタミンや食物繊維を補うことができます。

◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)
さつまいも・きのこ・人参・小松菜・ブロッコリー

◆作り方
1.野菜を消化しやすいように、細かくみじん切りにする。
2.たっぷりの湯で3分以上、柔らかくなるまでしっかりと茹でる。
3.茹で汁にはカリウムなども溶け出すため、肝臓に配慮する場合は捨てる。

肝臓や腎臓に配慮する場合、野菜に含まれるカリウムやシュウ酸といったミネラル成分を制限する必要があります。これらの成分は水に溶けやすいため、野菜を茹でてその茹で汁を捨てる(茹でこぼす)ことで、余分なミネラルを取り除くことができます。

蒸したり焼いたりする方法では、これらの成分が野菜の中に残ってしまうため、この目的に限り「茹でこぼし」が最適な調理法となります。特にシニア期や内臓疾患のある愛犬ちゃんにはこのような工夫をしてあげるのが有効です。

3. 添加物をなるべく摂取しない

私たちが食べる加工食品と同じように、市販のペットフードやおやつには、品質を安定させたり、見た目を良くしたりするための添加物が使われていることがあります。しかし、犬の体はこれらの化学合成物質を分解・解毒するために、肝臓をフル稼働させなければならず、負担がかかってしまいます。

注意したい添加物の例
・保湿剤・湿潤剤:プロピレングリコール、石油系グリセリンなど(フードやおやつの柔らかさを保つ)
・着色料、発色剤:亜硝酸ナトリウムなど(見栄えを良くする)
・合成酸化防止剤:エトキシキン、BHT、BHAなどの保存料など(フードの長期保存を可能にする)

これらの添加物は、犬の健康にとって本来は不要なだけでなく、長期的な摂取による安全性も懸念されています。

愛犬の肝臓を守るためには、フードやおやつの原材料表示を今一度確認し、こうした不要な添加物が含まれていない、シンプルで安全なものを選びましょう。

4. 水分の多い食事を心がける

肝臓や腎臓が体内の老廃物をスムーズ排出するためには、十分な水分が不可欠です。水分が不足すると血液が濃縮され、解毒を行う肝臓に大きな負担がかかります。

特にドライフードが主食の場合は水分が不足しがちなので、ぬるま湯でふやかしたり、味付けをしていない野菜スープを加えたりして、食事から自然に水分を補給できる「スープご飯」「おじや」などがおすすめです。食事と一緒に、無理なく水分摂取量を増やすことができます。

5. 低脂肪を心がける

脂肪の分解・代謝は肝臓の重要な仕事です。そのため、脂質の多い食事は肝臓に絶えず負担をかけ続け、肝機能の低下や脂肪肝を招く原因となります。

日々の食事では、鶏皮や脂身の多い肉、人間用の揚げ物やおやつは避け、主食には鶏のささみやタラといった、低脂肪で消化しやすい食材を選んであげましょう。肝臓をいたわる、優しい食事を心がけることが大切です。

6. 療法食を与える

肝臓疾患がある場合には、栄養制限が必要です。

手作り食をされていらっしゃる方も多いですが、時間や手間を考えると「手作り食は大変」と思われる方もいらっしゃいます。療法食を与えていくこともおすすめです。

【おすすめの肝臓用療法食】
★和漢みらいのドッグフード(肝臓用)

和漢みらいのドッグフード パウダータイプ(低たんぱく)

和漢みらいのドッグフード パウダータイプ(低たんぱく)

和漢みらいのドッグフードパウダータイプは、みらいのドッグフードに含まれる栄養素はそのままで、粒子の細かいパウダータイプへと加工したものです。

従来の粒タイプでは、ふやかしても残りがちだった細かな和漢植物のかたまりや、筋などを丁寧に取り除いてありますので、水分を加えた時になめらかで、より消化しやすいフードになっています。

■こんなお悩みがある愛犬におすすめ!
・カリカリフードが大きくて食べにくい
・毎回ふやかすのに時間がかかって面倒
・手作りご飯に混ぜてみたい
・栄養バランスのとれたふりかけが欲しい

パウダーに、お肉や野菜と組み合わせれば、様々な手作りアレンジができます。以下のレシピを是非参考にしてみてください。

まとめ

肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれ、不調のサインが出にくいため、日々の食事でいたわることが何よりも大切です。低脂肪で消化しやすいタンパク質を選び、野菜などを加えてバランスを整えることで、肝臓への負担を減らすことができます。

定期的な健康診断で愛犬の状態を把握し、獣医師とも相談しながら、その子に合った食事を続けることを心がけましょう。