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愛犬がじっとこちらを見つめながら、切っている大根に興味津々。そんな光景に「これ、あげても大丈夫かな…?」と戸惑ったことはありませんか?「栄養があるなら良さそう」「でも与え方を間違えると危険かも…」と悩む飼い主さんも多いでしょう。
本記事では、犬に大根を与えるメリットや適切な与え方、気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。愛犬の健康を守りながら、大根を安心して取り入れるための参考にしてください。
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愛犬に大根を与えても平気
犬にとって、大根は安全な食材です。
大根は多くの水分を含んでいるため、水分補給にもなることから、愛犬の健康維持に役立ちます。また、ビタミンC・カリウム・食物繊維など、犬の健康に寄与する栄養素が豊富に含まれています。これらの要素は犬の健康維持に役立ちます。
愛犬に大根を与えられる時期
犬は離乳後の幼犬から大根を摂取できますが、1歳未満の未発達な子犬には控えめに与えましょう。体力のない子犬が大量摂取すると、嘔吐や下痢、脱水症状を引き起こすリスクがあり、最悪の場合、命にかかわることもあります。
犬に与えて良い大根の量は体重に応じて変わってきます。犬の体重ごとの目安摂取量を以下で紹介しますが、愛犬の反応を見ながら少しずつ与えるのが良いでしょう。
大根に含まれる主な栄養素・成分
大根に含まれる主な栄養素は以下の通りです。
- ビタミンC
- 食物繊維
- アミラーゼ
- イソチオシアネート
それぞれの栄養素について、詳しく解説します。
ビタミンC
大根といえば、ビタミンCが豊富というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。実は、大根100gあたりに含まれるビタミンCは約12mgと、愛犬の体重1kgあたり10mg〜20mgという1日の推奨摂取量を手軽に補うことができます。
ビタミンCは、抗酸化作用を持つ栄養素であり、愛犬の免疫力を高め、病気の予防や治癒をサポートします。
食物繊維
大根には、水溶性と不溶性の両方の食物繊維が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維は、腸内環境を整え、便秘解消や毛玉予防効果があります。一方、不溶性食物繊維は、腸内を刺激し、便の量を増やすことで便秘解消効果があります。
アミラーゼ
デンプンを糖に分解する消化酵素「アミラーゼ」が豊富に含まれています。アミラーゼは、犬の胃腸の働きを助け、消化を促進する効果があります。その他にも、大根にはカルシウムやビタミンEなどのミネラルやビタミンも含まれています。
イソチオシアネート
イソチオシアネートは、大根の辛みのもとになる成分で、抗酸化作用や抗菌作用があるとされています。人間にとってはがん予防などの健康効果が期待されますが、犬にとっては刺激が強すぎることもあるため注意が必要です。加熱することで辛みがやわらぎ、犬にも与えやすくなります。
愛犬に大根を与えるメリット
愛犬に大根を与えるメリットは以下の通りです。
- カリウムを摂取できる
- 食物繊維を摂取できる
- アミラーゼを摂取できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
1. カリウムを摂取できる
1つ目のメリットは、カリウムを補給できることです。カリウムは体内で水分バランスを調整し、過剰なナトリウムの排泄を助け、心臓と筋肉の調節に寄与します。
ただし、高齢の犬や腎臓病に罹患している場合は注意が必要です。腎臓機能が低下していると、カリウムの摂取過多が高カリウム血症を招く可能性があります。
高カリウム血症はけいれんや頻脈、不整脈などの問題を引き起こし、命に関わることもあるため、シニア犬や腎臓病、心機能低下の犬に大根を与える際は慎重に考えるべきです。
2. 食物繊維を摂取できる
大根は「食物繊維」を多く含んでいます。
食物繊維には腸内環境を整える作用があり、食後の血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を低下させたりと、さまざまな働きがあります。また、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌や毒素を排出してくれます。
3. アミラーゼを摂取できる
大根はでんぷんを糖に分解する消化酵素である「アミラーゼ」を多く含んでいます。アミラーゼは消化を支援し、胃腸に負担をかけずに食事を効率的に消化する役割があります。そのため、消化機能が低下している犬にとって有益です。
愛犬への大根の与え方
愛犬へ大根を与える際は、以下の与え方に注意しましょう。
- 与える量
- 大きさ
- 与え方
以下で詳細を解説していきます。
与える量
犬に大根を与える場合の目安量は次の通りですが、安全な摂取量には個体差があります。ミネラル成分が過剰になり腎臓に悪影響を及ぼしたり、下痢になる等のデメリットがありますので、与え過ぎないようにしましょう。
◆大根 摂取量の目安◆
・小型犬(10kg以下) 約30~60g
・中型犬(25kg未満) 約80~100g
・大型犬(25kg以上) 約140g
大きさ
大根は、白い根部分、緑の茎部分、そして葉部分に分かれます。通常、葉に近い部分は柔らかくて甘みがあり、それに対して細くなるにつれて辛味が増します。
したがって、犬に大根を与える時は、真ん中から茎に向かう部分がおすすめです。大根を与える際は、必ず食べやすい大きさに切ったり、細かく刻んだり、すりおろしたりしてください。大きな塊を与えると、犬の消化に問題を引き起こすリスクがあります。
与え方
大根の白い根の部分、緑色の茎、葉の部分、どれも犬に与えて大丈夫です。葉や茎の部分は、食物繊維が多く固いので、加熱調理して与えましょう。白い根の部分は生でも食べられますが、やはり加熱調理がおすすめです。
大根には犬にとって多くのメリットのある栄養素が含まれていますが、一方でシュウ酸も含まれています。シュウ酸は過剰に摂取することで結石のもとになることがありますので、結石になりやすい犬や腎臓に疾患のある犬は注意が必要です。
大根のシュウ酸による害を軽減させるためには、食べ方を工夫すると良いでしょう。「大根をみじん切りにして3分以上茹でる」ことで、含まれているシュウ酸を茹で汁の方に出すことができます。※茹で汁にはシュウ酸が含まれているので、必ず捨てましょう。
茹でることで、消化酵素である「アミラーゼ」は壊れてしまいますが、実際はアミラーゼのメリットよりも、シュウ酸のデメリットの方が大きいため、加熱して与えましょう。
愛犬に大根を与える際の注意点
愛犬に大根を与える際の注意点は以下の通りです。
- 大根の辛み成分が苦手な犬もいる
- 漬物やレトルト食品は塩分を多く含むため注意する
- 食物アレルギーの症状が出る場合もある
それぞれの注意点を詳しく解説します。
大根の辛み成分が苦手な犬もいる
大根は先端部が辛く、一方で葉付近の根元は甘い特徴があります。また、先端部には抗酸化作用や抗菌作用を持つイソチオシアネートという辛み成分が豊富に含まれています。
また、イソチオシアネートは、人間にはがん予防の効果があります。加熱することでイソチオシアネートは減りますが、辛みがなくなり、繊維も柔らかくなり、食べやすくなります。また、犬は辛みを嫌う傾向にあるため、柔らかく茹でてから与えるとよいでしょう。
漬物やレトルト食品は塩分を多く含むため注意する
漬物、缶詰、レトルト食品などは通常、多くの塩や調味料が含まれており、これらを犬に与えるのは避けるべきです。特に腎臓や心臓の持病がある犬にとって、過剰な塩分は大きな負担となり、体調を悪化させる原因にもなりかねません。
また、保存料や香料などの添加物にも注意が必要です。できるだけ「素の状態」で、茹でたものなど自然なかたちで与えるよう心がけましょう。
食物アレルギーの症状が出る場合もある
大根は通常、アレルギーの症状が出にくい食材ですが、まれにアブラナ科に対して反応を示す犬もいます。犬に初めて大根を与える際は、ごく少量にとどめて体調をしっかり観察しましょう。
犬が大根を摂取後、かゆがる行動、口や目の周りの腫れ、下痢、嘔吐などの異常な症状が見られたら、すぐに食事を中止してください。症状が続く場合や重い場合には、速やかに獣医師の診察を受けましょう。食材は合う・合わないがあるので、慎重に試すことが大切です。
大根以外の根菜は大丈夫?
大根は犬に与えても安全な食材のひとつですが、「他の根菜も与えていいの?」と気になる方も多いでしょう。ここでは、大根以外の代表的な根菜について、それぞれの特徴や注意点を紹介します。
にんじん
にんじんは、犬に安心して与えられる根菜のひとつです。βカロテンを豊富に含み、体内でビタミンAに変換されることで、視力の維持や免疫力の向上に役立ちます。
生のままでも与えられますが、加熱することで甘みが増し、消化もしやすくなります。細かく刻んだり、すりおろしたりしてフードに混ぜると取り入れやすいでしょう。ただし、食物繊維が多いため、一度に大量に与えるとお腹を壊すことがあるので、量には注意が必要です。
ごぼう
ごぼうは食物繊維が非常に多く、腸の働きを活発にしてくれる野菜ですが、犬にとってはやや消化が難しい食材でもあります。人間と違って消化酵素が少ないため、繊維の多いごぼうをそのまま与えると、消化不良や下痢を引き起こすおそれがあります。
どうしても取り入れたい場合は、しっかり加熱してから細かく刻んで、ほんの少量ずつ与えるようにしましょう。
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れんこん
れんこんはビタミンCや食物繊維を含む栄養価の高い根菜ですが、犬に与える際には十分に加熱して柔らかくしてから与える必要があります。シャキシャキした食感のままだと噛みきれなかったり、消化しきれなかったりすることがあるからです。
また、れんこんはまれにアレルギー反応を引き起こすことが報告されているため、初めて与える場合はごく少量にとどめ、様子をしっかり観察しましょう。
じゃがいも
じゃがいもは炭水化物が豊富で、エネルギー補給源として優れた食材ですが、与える際には注意すべき点もあります。特に芽や皮には「ソラニン」という毒素が含まれており、下痢や嘔吐、神経症状を引き起こすことがあります。
犬に与える際は、必ず皮をむき、芽を完全に取り除いたうえで、しっかり加熱して柔らかくしてから与えましょう。また、フライドポテトや味付けされたじゃがいも料理は塩分や油分が多いため絶対にNGです。
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さつまいも
さつまいもは自然な甘みがあり、犬にとっても食べやすく人気の高い根菜です。ビタミンCや食物繊維、カリウムなどが豊富で、栄養補給にもぴったり。
ただし、糖質が多いため、食べ過ぎると肥満や血糖値の急上昇につながることがあります。おやつ代わりに少量ずつ与えるのがおすすめです。蒸す・焼くなどして皮を取り除いたあと、小さく切って与えると安心です。ダイエット中や糖尿病の犬には控えめにしましょう。
犬と大根についてよくある質問
ここでは、飼い主さんからよく寄せられる大根に関する疑問に答えていきます。
犬に大根を毎日あげても大丈夫?
基本的に大根は健康な犬にとって問題のない食材ですが、毎日与える必要はありません。水分や食物繊維が多いため、頻繁に与えるとお腹がゆるくなることもあります。大根はときどき楽しむ程度にとどめ、主食や主菜の代わりにしないことが大切です。
犬に大根おろしをそのままあげてもいいですか?
大根おろしは消化酵素が豊富で、体に良いイメージもありますが、犬には少し刺激が強いこともあります。特に辛味が残っている場合は胃に負担がかかる可能性があるため、そのまま与えるのではなく、加熱するかごく少量にとどめましょう。
大根の葉や皮も犬に与えていいですか?
大根の葉や皮にも栄養が含まれていますが、皮は繊維質が多く硬いため消化に負担がかかることがあります。葉の部分もえぐみがあるため、必ず加熱してから細かく刻んで与えるようにしましょう。どちらも無理に与える必要はありませんが、工夫次第で使える食材です。
犬に与えてはいけない大根料理はある?
人間向けの大根料理には注意が必要です。特に煮物や漬物、味噌汁などは塩分や調味料が多く含まれており、犬には不向きです。加工品や味付けされた料理は避け、味のついていない茹でた大根を少量与えましょう。シンプルが一番安全です。
犬が大根を食べて下痢をしました。どうすればいい?
大根の摂取をやめ、様子を見守ってください。軽い下痢で元気がある場合は、食事を半日程度控えることで落ち着くこともあります。
ただし、水分補給はしっかりと行いましょう。症状が続く、元気がない、血便が出るなどの異変があれば、すぐに動物病院を受診してください。
まとめ
本記事では、犬に大根を与える際のメリットや注意点について解説しました。大根は水分やビタミンC、食物繊維、アミラーゼなど健康に良い栄養素が豊富で、適切に与えれば愛犬の健康維持に役立つ食材です。ただし、シュウ酸や辛み成分が含まれるため、加熱したり量を調整することが大切です。
また、初めて与える際にはアレルギー反応がないか確認し、漬物などの加工品は避けましょう。本記事を参考に、愛犬の食事管理を工夫してみてください。



