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愛犬のお腹や背中に、見慣れない黒いシミや広範囲の黒ずみを見つけて、ドキッとしたことはありませんか?
犬の皮膚が黒くなる原因は多岐にわたります。加齢による自然なシミから、ホルモンバランスの乱れ、アレルギー性皮膚炎、そして稀に悪性腫瘍まで様々です。中には単なる汚れや摩擦といった心配のいらないケースもありますが、一方で早期発見が必要な病気が隠れていることもあります。
本記事では、犬の皮膚が黒くなる主な原因や考えられる病気、対処法・予防法についてわかりやすく解説します。
犬の皮膚が黒い状態とは?
犬の皮膚が黒くなるのは、主にメラニン色素の沈着によるものです。
これは、紫外線や炎症、摩擦といった刺激から皮膚を守ろうとする防御反応として起こります。人間が日焼けで黒くなるのと同じ原理で、皮膚がダメージを受けると、メラノサイトが活性化し、過剰なメラニン色素が生成されるためです。
皮膚が黒いこと自体が病気なのではなく、何らかの原因(炎症、感染、ホルモン異常など)があって、その結果として皮膚が黒くなっているケースがほとんどです。
犬の皮膚が黒くなる原因
皮膚の黒ずみは加齢によるシミの場合もありますが、黒ずみが増えたり広がったりする場合は、体から異変を伝えるサインかもしれません。原因はひとつとは限らず、複数の要素が絡み合って起こります。
皮膚が急に黒くなる主な原因と考えられるのは、次の要素です。
- アレルギー・感染症
- ホルモン異常
- 摩擦・紫外線
- 遺伝・加齢
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
アレルギー・感染症
アレルギー性皮膚炎や膿皮症などの皮膚トラブルは、皮膚を黒くする大きな原因です。炎症が長期間続くと、皮膚はダメージから回復しようとする過程でメラニン色素を生成し、色素沈着を起こします。
また、犬が患部を舐めたり搔いたりすることで炎症が悪化し、さらに黒ずみが強くなる悪循環に陥ることも少なくありません。
ホルモン異常
ホルモンバランスの乱れも、皮膚の色に影響を与える要因です。特にクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や甲状腺機能低下症といった内分泌系の病気は、皮膚の代謝異常やメラニン色素の沈着を引き起こし、左右対称の脱毛とともに皮膚が黒くなることが特徴です。
これらは全身の健康に関わる病気であるため、皮膚の変化だけでなく、多飲多尿や元気消失などの全身症状にも注意が必要です。
摩擦・紫外線
首輪やハーネスの擦れ、床ずれなどの物理的な摩擦も、皮膚の黒ずみの原因にの一つです。また、サマーカットなどで皮膚が直接紫外線にさらされることも、メラニン色素の生成を促し、シミや黒ずみを引き起こすケースがあります。
遺伝・加齢
人間と同様に、犬も加齢とともに皮膚にシミができることがあります。また、遺伝的に色素沈着を起こしやすい犬種も存在しています。これらは病気ではありませんが、急激な変化や盛り上がりが見られる場合は、腫瘍などの可能性も否定できないため、注意深く観察しましょう。
犬の皮膚が黒くなる病気
皮膚の黒ずみには、様々なパターンがあります。ここでは、黒ずみ以外にどのような症状が出ているかによって、考えられる病気を解説します。
感染症による黒ずみ
1. 表在性膿皮症
犬の皮膚病の中で一般的で、ブドウ球菌などの細菌が異常増殖することで起こります。初期は赤い発疹や膿疱ができ、それが破れると中心が黒く、周りがめくれたような黒いかさぶたやかゆみを伴うのが特徴です。
慢性化すると炎症によって皮膚が厚くなり、広範囲に黒ずみが残ることがあります。高温多湿な時期や、基礎疾患がある場合に発症しやすいため注意が必要です。
2. 脂漏性皮膚炎(マセラチア皮膚炎)
皮膚の常在菌であるマラセチア酵母が、皮脂の過剰分泌などをきっかけに増殖して起こる皮膚炎です。独特の脂っぽい臭いとベタつき、激しいかゆみが特徴です。
脇の下や内股、指の間、耳などで炎症が続くと、皮膚が黒く変色し、象の肌のように分厚く硬くなる「苔癬化(たいせんか)」を引き起こします。シーズーやパグなど、脂っぽい肌質の犬種で多く見られます。
3. 疥癬
ヒゼンダニという肉眼では見えないダニが皮膚に寄生して起こる感染症です。最大の特徴は、夜も眠れないほどの激しいかゆみです。耳の縁、肘、かかと、お腹などに赤い発疹やフケが出て、犬が執拗に掻きむしることで皮膚が傷つき、炎症後の色素沈着として黒ずんでいきます。
非常に感染力が強く、他の犬や飼い主さんにもうつる可能性があるため、疑わしい場合は接触を避け、早急な受診が必要です。
4. 毛包虫症
毛穴に棲むニキビダニが、免疫力の低下などを機に異常増殖して起こります。主に目や口の周り、足先などに脱毛が見られ、その部分の皮膚が赤黒く変色するのが特徴です。かゆみは軽度なことが多いですが、細菌感染を併発すると激しくなり、皮膚がただれることもあります。
生後間もない子犬や、老犬、病気で免疫が落ちている犬に発症しやすいため、全身の健康状態のチェックも重要です。
アレルギーによる黒ずみ
5. アレルギー性皮膚炎
特定の食材や薬物などがアレルゲンとなり、免疫が過剰反応して起こる皮膚炎です。目の周りや口元、背中、肛門周囲などにかゆみや赤みが出ます。慢性化して皮膚を掻き続けると、防御反応としてメラニン色素が沈着し、患部が黒ずんでいきます。
季節に関係なく症状が続く場合や、食事を変えたタイミングで変化があった場合は、この病気を疑い、獣医師と相談して除去食試験などを検討しましょう。
6. アトピー性皮膚炎
ダニや花粉などの環境中のアレルゲンと、生まれつきの皮膚バリア機能の低下が関わるアレルギー疾患です。柴犬やフレンチブルドッグなどに多く、生後3歳までに発症するケースが大半です。顔、耳、脇、股、足先などの皮膚が薄い部分に強いかゆみが出ます。
長期間炎症を繰り返すことで、皮膚が黒く、厚く、ゴワゴワに変化してしまうのが典型的な症状です。
7. 接触性皮膚炎
首輪の金属、シャンプー、カーペット、散歩中の植物など、特定の物質が触れた部分だけに炎症が起こる病気です。接触した箇所(首回り、お腹、足裏など)が赤く腫れてかゆみを伴い、炎症が治まった後に黒ずみが残ることがあります。
原因物質を特定し、触れさせないようにすることで改善しますが、特定が難しい場合は生活環境を一つずつ見直す必要があります。
ホルモン異常・脱毛症による黒ずみ
8. クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
副腎からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。多飲多尿やお腹がぽっこり膨れる症状に加え、皮膚が薄くなる、左右対称に毛が抜けるといった変化が現れます。
特徴的なのは、お腹や背中の皮膚にシミのような黒ずみができたり、毛穴に皮脂が詰まって黒い角栓ができたりすることです。プードルやダックスフンドなどの中高齢犬に多く見られます。
9. 甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が減少し、全身の代謝が落ちる病気です。元気がなくなり寒がりになるほか、皮膚のターンオーバーが滞ることで、「ラットテイル」と呼ばれる尻尾の脱毛や、鼻筋の脱毛、そして皮膚の広範囲な黒ずみ(サッドフェイス)が見られます。
皮膚がベタつき、フケが増えることもあります。ゴールデンレトリバーや柴犬などの中高齢犬に多く、血液検査で診断します。
10. 毛周期停止(アロペシアX)
毛の生え変わるサイクルが止まってしまう病気です。原因が完全には解明されていないため「アロペシアX」と呼ばれ、ポメラニアンに特に多いため「ポメラニアン脱毛症」とも呼ばれます。
かゆみなどの不快感はありませんが、胴体の毛が左右対称に抜け落ち、露出した皮膚が黒く変色することから「偽クッシング」や「ブラックスキン病(黒色皮膚腫)」という別名も。
腫瘍による黒ずみ
11. 悪性黒色腫(メラノーマ)
メラニン色素を作る細胞ががん化した悪性腫瘍です。口の中、爪の根元、皮膚と粘膜の境目などに、黒いしこりやホクロのような斑点として現れます。良性のものと見分けがつきにくいですが、急速に大きくなる、出血する、周りが盛り上がっている場合は要注意です。転移が早く命に関わるため、見つけたらただのデキモノと思わず、直ちに受診してください。
12. 良性黒色腫(メラノサイトーマ)
メラニン色素を作る細胞の良性腫瘍です。皮膚の表面に、ポツンとした黒いドーム状のしこりやイボとして現れます。頭部や四肢などによく見られます。悪性黒色腫(メラノーマ)とは異なり転移は稀で、外科手術で切除すれば完治が期待できます。
ただし、見た目だけで悪性か良性かを判断するのは獣医師でも難しいため、病理検査を行って確定診断をすることが重要です。
犬の皮膚の黒ずみの予防法と改善法
皮膚の黒ずみは、原因によって対処法が異なりますが、日頃のケアで予防したり、悪化を防いだりすることが可能です。愛犬の皮膚を守るためにも、次の方法を紹介します。
- スキンケアと保湿を行う
- アレルゲンを除去し、食事管理を見直す
- 紫外線対策を行う
- 早期発見を心がけ、獣医師へ相談する
上記を試しても改善しない、または黒ずみが広がる場合は、動物病院での診断を受けましょう。
スキンケアと保湿を行う
皮膚の黒ずみ対策の要は、スキンケアと保湿です。 皮膚の汚れやアレルゲンを洗い流し、清潔に保つことが基本ですが、洗いすぎは禁物です。犬の皮膚は人間よりも薄くデリケートなため、過度な洗浄はバリア機能を壊してしまいます。低刺激のシャンプーを選び、洗った後は必ず保湿剤で水分を補いましょう。
アレルゲンを除去し、食事管理を見直す
アレルギーが原因の黒ずみには、アレルゲンの特定と除去が不可欠です。 ノミ・ダニの予防を徹底するとともに、食物アレルギーが疑われる場合は、獣医師と相談して除去食試験や低アレルゲンフードへの切り替えを検討しましょう。
また、腸内環境を整えることも皮膚の健康維持に役立ちます。良質なタンパク質やオメガ3脂肪酸を含む食事を選び、体の中から皮膚のバリア機能を高める食事管理を心がけることが重要です。
紫外線対策を行う
紫外線はメラニン色素の生成を促し、シミや黒ずみの原因になります。 特に、短毛種やサマーカットをした犬、毛色の薄い犬は、皮膚が直接日光にさらされやすいため注意が必要です。
日差しの強い時間帯の散歩を避けたり、UVカット機能のある犬用の服を着せたりして、皮膚を紫外線から守りましょう。
早期発見を心がけ、獣医師へ相談する
黒ずみの中には、悪性黒色腫(メラノーマ)などの腫瘍が含まれている可能性もあります。 「ただのシミだろう」と放置せず、大きさ、形、盛り上がりの有無などを日頃から観察しましょう。
もし、急に黒ずみが広がったり、しこりができたりした場合は、自己判断せずにすぐに獣医師に相談することが大切です。
皮膚の黒ずみの原因は、皮膚のトラブルだけではありません
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まとめ
本記事では、犬の皮膚が黒くなる原因や考えられる病気、適切な対処法について解説しました。皮膚が黒くなる症状は、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患から、クッシング症候群や悪性黒色腫といった深刻な疾患まで、多岐にわたります。
早期発見・治療が重要であり、愛犬の健康管理において見逃せないサインの1つです。
皮膚の黒ずみを発見した場合は、皮膚科を得意とする動物病院で診断を受け、適切な治療を受けましょう。また、愛犬の皮膚が黒くなる主な原因には感染症やホルモン異常、腫瘍などが含まれるため、皮膚だけでなく全身の健康状態を確認することも大切です。
皮膚は健康状態を映し出す重要な指標です。日頃から愛犬の体をよく観察し、異常を感じたらすぐに専門家に相談してください。この記事を参考に、愛犬の健康を守る行動を心がけましょう。

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