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「うちの子、最近元気がない…もしかして夏バテ?」
「ご飯を食べないけど、大丈夫かな?」
夏の厳しい暑さが続くと、人間だけでなく、大切な愛犬も「夏バテ」になってしまうことがあります。放置すると、命に関わる熱中症に進行する危険性もあるため、正しい知識で対処することが重要です。
本記事では、犬の夏バテのサインの見分け方や食事などの具体的な対処法を解説していきます。
犬の夏バテとは
犬の夏バテとは、人間と同じように暑さで自律神経が乱れ、体調を崩してしまう状態です。これに対し、熱中症は体温が異常に上昇し、激しいパンティングやふらつき、嘔吐など、急激で明らかに危険な症状が見られる状態です。
犬は汗をかけず、呼吸でしか体温を下げられないため、暑さに非常に弱い動物です。夏バテは、犬が熱中症になる一歩手前の危険なサインと理解しておきましょう。
犬の夏バテの見分け方
ここでは、犬が夏バテになったのかを判断するための見分け方を紹介します。
1. 食欲が低下している
いつもは「ごはん」の一言で大喜びする子が、フードボウルを前にして、匂いを嗅ぐだけで食べてくれない…。そんな食欲の低下は、夏バテの代表的なサインです。
大好きなおやつにも興味を示さない場合は、暑さで胃腸が疲れているのかもしれません。
2. 元気がない
夏バテのサインは、元気のなさにも現れます。
暑さの影響で、大好きだった散歩に行きたがらなくなったり、涼しい場所でぐったりと寝てばかりいるようになったり。食欲の低下も相まって、体力が落ちているのかもしれません。日中の活動量が、普段より減っていないか見てあげましょう。
3. 嘔吐・下痢をする
夏バテで胃腸の働きが弱まると、嘔吐や下痢をすることがあります。胃が空っぽの状態が続くことで、黄色い胃液を吐いてしまったり、暑さで弱った胃腸がうまく働かずに、下痢をしてしまったりするのです。これらの症状が続く場合は、脱水症状にも繋がるため注意が必要です。
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4. 大量の水を飲む
犬は汗をかけないため、呼吸(パディング)で体温を調節します。舌を出して「ハァハァ」と呼吸することで、体内の水分を蒸発させて熱を逃がしているのです。
そのため、夏場は水分消費量が自然と増え、水をたくさん飲むようになります。これは正常な反応ですが、ぐったりしているのに水を飲まない、あるいは異常なほど飲み続ける場合は注意が必要です。
5. 落ち着きがない
夏バテによる体の不快感から、落ち着きがなくなることもあります。だるさや寝苦しさからリラックスできず、涼しい場所を探してウロウロしたり、不安な気持ちから、そわそわと落ち着きなく動き回ったりするのです。
普段よりもリラックスできていないと感じたら、注意して見てあげましょう。
犬が夏バテになる原因
犬が人間よりも暑さに弱く、夏バテしやすいのには、いくつかの理由があります。以下で詳しく見ていきましょう。
汗をかけない体の構造
犬の汗腺は、肉球と鼻の先にしかありません。人間のように、全身から汗をかいて効率的に体温を下げることができないため、体に熱がこもりやすくなっています。
パディングによる体温調節の限界
犬は、舌を出して「ハァハァ」と浅く速い呼吸(パンティング)をすることで、唾液を蒸発させて体を冷やします。しかし、湿度が高い日本の夏では、このパンティングによる体温調節がうまく機能せず、体力を消耗してしまいます。
地面からの照り返し
人間よりも地面に近い位置を歩く犬は、夏の熱いアスファルトからの強い照り返しの影響を直接受けてしまいます。飼い主さんが感じている以上に、愛犬は暑い環境にいるのです。
水分不足
パンティングでは、体内の水分が多く失われます。そのため、こまめな水分補給ができないと、脱水症状に陥りやすく、それが夏バテの直接的な原因となります。
自立神経の乱れ
人間と同じように、暑さが続くことで自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きが弱まったり、体がだるくなったりします。これが、食欲不振や元気消失といった、夏バテの症状につながるのです。
愛犬を夏バテから守る対処法
愛犬に夏バテの症状が見られたら、以下のような対処法を行い、ケアしてあげましょう。
1. 水分補給をこまめに行う
水分補給は夏バテ対策に限らず、愛犬の健康管理で重要なポイントです。
特に、夏バテで動きたがらなくなり、食事量が減ると、飲水量も減少し、脱水症状を起こすリスクが高まります。食事だけでなく水分摂取量を確認し、また、飲みすぎで胃腸に負担がかからないよう注意しながら、こまめな水分補給を心がけましょう。
2. 涼しい環境を作る
夏バテは、室内でも、温度や湿度が高ければ起こる可能性があります。冷房で温度を管理するだけでなく、温度・湿度計を利用して室内環境を一定に保つことが大切です。
また、気温が高くなくても、晴天時には窓からの太陽光で室温が上がることがあるため、カーテンで日差しを遮り、犬が休む場所にクールマットを敷くなどして快適な環境を整えましょう。犬にとっての快適な温度は25℃前後、湿度は50%前後とされています。
また、ブラッシングで抜け毛や毛玉をこまめに取ってあげると通気性がよくなり、快適に過ごせるようになるでしょう。
3. 食事の種類や頻度を見直す
水をあまり飲まない場合は、ウェットフードや、ふやかしたドライフード、肉のスープや出し汁を加えるなど、食事から水分を摂れるようにする工夫がおすすめです。
また、体力が落ちている時や胃腸の調子が悪い場合は。一回の食事量を減らし、数回に分けて与え、消化の負担を軽減してあげましょう。
4. 散歩の時間や方法を見直す
夏の散歩は時間と場所を工夫することが大切です。日中のアスファルトは熱く肉球のやけどや夏バテ、熱中症の原因になります。散歩は気温が下がる早朝や、日が完全に落ちた夜の涼しい時間帯を選び、愛犬の負担を減らしてあげましょう。
犬の夏バテ対策におすすめ食べ物
夏バテで食欲が落ちている犬には、水分と栄養を無理なく補給できる、消化に優しい食材がおすすめです。いつものフードに少量トッピングするなど、工夫して与えてみてください。
きゅうり
きゅうりは、その約95%が水分で構成されているため、水分補給に最適な野菜です。体を内側から冷やす効果も期待でき、シャキシャキとした食感も楽しめます。低カロリーなので、体重が気になる子のおやつとしても安心して与えることができます。
トマト
トマトも水分が豊富で、夏バテ気味の犬の水分補給に役立ちます。また、抗酸化作用のあるリコピンも摂取できます。与える際は、犬にとって有毒なヘタや葉、茎は必ず取り除き、赤く完熟した部分だけを少量あげるようにしてください。
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スイカ
夏の果物の代表であるスイカは、水分が非常に豊富で、自然な甘みで喜んで食べる子が多いです。ただし、与える際には、消化不良や中毒の原因となる種と皮は必ず取り除き、果肉の部分だけを少量にするよう注意しましょう。
かぼちゃ
かぼちゃの自然な甘みは、夏バテで落ちた食欲を刺激するのに役立ちます。また、食物繊維が豊富で、胃腸の働きを優しくサポートします。与える際は、必ず柔らかく茹でるか蒸して、ペースト状に潰してあげると、消化しやすくなります。
とうもろこし
とうもろこしは、エネルギー源となる炭水化物が豊富で、夏バテで体力が落ちている犬の栄養補給に役立ちます。その自然な甘みは、食欲を刺激する効果も期待できます。
ただし、与える際は必ず芯を取り除き、加熱した実の部分だけを少量にしてください。芯は消化できず、腸に詰まると命に関わる危険があります。
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豚肉
豚肉には、疲労回復を助けるビタミンB1が豊富に含まれており、夏バテで消耗した体力を補うのに適しています。与える際は、脂肪の多いバラ肉などは避け、脂身の少ない赤身の部分を選び、必ずしっかりと茹でてから与えるようにしてください。
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犬の夏バテにおすすめの食事
夏バテで食欲がなくても水を飲んでくれる場合は、ヤギミルクやジュレを水で溶かして与えるのがおすすめです。また、いつものフードにかけて出汁のようにしたり、リゾット風に調理することで嗜好性を高め、食事を楽しめる工夫をするのも効果的です。
犬の夏バテに関してよくある質問
最後に、犬の夏バテに関してよくある質問に回答します。
夏バテと熱中症の具体的な違いは何ですか?
夏バテは、暑さによる慢性的な体調不良で、元気や食欲がじわじわと低下します。
一方、熱中症は、体温が急激に上昇する急性的な命に関わる緊急事態です。激しいパンティングやふらつき、ぐったりして意識が朦朧とするといった、明らかに異常な症状が見られます。
犬の夏バテのサインは?
以下のような「いつもと違う」様子が見られたら、夏バテや熱中症の疑いがあります。注意深く観察してあげてください。
- 食欲がない
- 元気がない
- 嘔吐や下痢
- 水を飲む量の変化
- 落ち着きがない
短頭種やシニア犬は特に夏バテしやすいですか?
フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、鼻が短く気道が狭いため、呼吸による体温調節が苦手です。
また、シニア犬や子犬は、体温を調節する機能が成犬に比べて弱いため、特に注意が必要です。これらの犬種やライフステージの子は、より一層の暑さ対策を心がけてあげてください。
まとめ
愛犬の夏バテのサインに気づいたら、それは体からのSOSかもしれません。犬は暑さに弱く、夏の暑さは犬の食欲や元気を奪ってしまいます。しかし、日々の食事や環境を少し工夫してあげるだけで、愛犬の負担は大きく軽減されます。正しいケアで夏バテを乗り切り、愛犬と楽しい夏を送りましょう!

