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前回は
「タンパク質は大事!」
とはいえメリットもデメリットもあるというお話をしました。
今回はこのデメリットの部分を詳しくお話したいと思います。
★からだは生きた工場
体に入ったタンパク質は、おおまかに「消化→吸収→代謝→排泄」という経路をたどって、体から出ていきます。これを工場で例えると、下記のような感じになります。
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タンパク質というものは、脂質や糖質ほど、体の中にためておくことができません。日々、食べ物から摂取して、日々体の中で利用され、不要になったものは代謝され、排泄されていきます。
まさに体は生きた工場なのです。
★ 過剰なタンパク質は臓器に負担をかける
このようにお肉やお魚を食べると、体のさまざまな部分が働きます。
内臓の機能に対して、適切な濃度のタンパク質を摂取した場合は、体という工場もスムーズにまわすことができます。
でも、内臓の機能を上回るほどの、過剰な濃度のタンパク質を摂取した場合はどうでしょう?
スムーズにまわっていた工場は、無理やりフル回転させられることになり、過剰に働くことで臓器がどんどん疲れてしまうのです。
例えば肝臓は、たくさんのアミノ酸を選別し、送り出すだけではなく、分解されたときに発生するアンモニアを尿素に変換しなければなりません。
また、腎臓は分解されたタンパク質の老廃物をフル回転で濾し続け、尿に排泄しなければなりません。
このように、快適に働いていた臓器たちは、過剰に働くことによって負担がかかり、どんどん疲れてしまいます。
★タンパク質と臓器のはたらき
では体という工場の「機能」とは具体的にどんなものでしょう?
たとえば、タンパク質の消化や吸収を担当しているのは「胃」や「小腸」や「肝臓」、「膵臓」などです。
どんどん消化して吸収するよー!
消化酵素を分泌して、タンパク質を細かくしたり、吸収して分別したあと、体中に送り出したりしています。
また、不要になったタンパク質の解毒や排泄を担当しているのは「肝臓」や「腎臓」などです。
解毒と排泄ならまかせとけ!
分解されたタンパク質の毒素を無毒化したり、濾しとって尿へと排泄しています。実はこのほかにも、タンパク質を利用するためにはたくさんの工程が存在していて、それぞれに対応した臓器が働いているのです。
★ 腎臓病、肝臓病、心臓病など内臓疾患を抱えている犬や猫ちゃんは要注意
とくに気をつけたほうがよいのが
シニア期(高齢)、内臓疾患の犬や猫です。
シニア期に入ると、人間でもお肉をもりもり食べられていたのに、同じ量を食べてしまうと翌日調子がよくないといったことが起きてきます。
これは、内臓の機能が加齢によって落ちてきたということを示しています。この状態で高濃度のタンパク質を与えてしまうと、ますます内臓に負担をかけてしまうことになります。
また、内臓疾患がある場合は、高濃度のタンパク質を与えることにより、本来労わらなければならない臓器に過剰な労働をさせることになります。その結果、数値が悪化してしまう可能性があるのです。
内臓に疾患がある場合、タンパク質制限をしましょうと言われる訳は、このような負担を減らすためなんですね。
★ 肉やお魚やジャーキーなどは要注意
気をつけるべき、
ありがちなNG食品は
ささみ
ジャーキー
かつお節
小魚などの乾物系食品
です。
これらは嗜好性が高いことから、ご飯のトッピングやおやつとして、毎日のように食べているワンちゃん、猫ちゃんが多いと思います。
ところが、このようなお肉・お魚はタンパク質濃度(比率)が高く、しかも乾物であれば、水分が抜けているぶんさらにタンパク質が濃くなっています。
★ 食品を単独で食べると危険
また、食べかたも大切です。
お肉だけ
お魚だけ
ジャーキーだけは×
お肉やお魚、ジャーキー類は、どうしても単独でご飯にトッピングしたり、おやつとして与えることが多いですね。
この与え方はNGとなります。
濃いタンパク質を単独で食べた結果、体の工場は急稼働をはじめます。もともと持っている機能を超えて、過剰に働かなければなりません。
したがって知らず知らずのうちに内臓に負担がかかってしまうのです。
★ 過剰なタンパク質を調整して内臓負担を軽減する方法
うちの子お肉が大好きなのにどうすればいいの?
では、シニア世代や疾患のある犬猫ちゃんには、タンパク質を絶対に食べさせてはいけないのでしょうか?
そんなことはありません。
そもそもタンパク質は生命維持には欠かせない栄養成分であり、適切な量は摂らなければならないもの。
よくないのは、「臓器」の「機能」を超えた過剰なタンパク質の濃度(比率)です。
からだの状態に合わせた濃度(比率)のタンパク質を摂ることで、デメリットをおさえつつ、本来のメリットを活かすことができるのです!
では、その調節はどのようにしたらよいのでしょう?
実は、タンパク質の濃度を薄めてくれるものがあります。
それが「ゆでた野菜」です。
次回はこの「ゆでた野菜」を使った、タンパク質の濃度調節についてお話します。
※関連記事 タンパク質のメリットとデメリット