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古くから馴染みの深い食材のひとつであり、食材としての活用以外にも漢方薬や健康づくりと密接に関わっている「生姜」。
生姜は、消化促進、免疫力向上、血行改善、発汗、冷え性改善など、様々な健康効果が期待され漢方薬の約7割に用いられています。
今回は、生姜の栄養素や与える際の調理法や注意点について解説します。
犬に生姜を与えても問題ない。けれど…
犬に禁忌と言われているネギ類同様、薬味として用いられることが多い生姜ですが、注意点を守れば犬が生姜を食べても大丈夫です。
ただし、生姜特有の風味が犬には合わない場合もありますので、嫌がる場合には無理に与えないようにしましょう。
生姜に含まれる栄養素
■生姜の根茎可食部100g当たりの栄養素■
・タンパク質 0.9g
・脂質 0.3g
・カリウム 270mg
・カルシウム 12mg
・マグネシウム 27mg
・リン 25mg
・鉄 0.5mg
・亜鉛 0.1mg
・銅 0.06mg
・水分91.4g
・β‐カロテン 5㎍
・ビタミンB1 0.03mg
・ビタミンB2 0.02mg
・ビタミンC 2mg
・総食物繊維 2.1g(水溶性0.2g、不溶性1.9g)
(文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補』)
生姜の辛味成分は「ジンゲロール」と「ショウガオール」です。
生の生姜に多く含まれる「ジンゲロール」は殺菌作用を持っており、消臭や食中毒予防として活用されています。
生姜を加熱・乾燥させると増える「ショウガオール」は、内部からポカポカと温めることができる成分で、巡りを改善や活性力の向上が期待できます。
また、生姜の香り成分には「シネオール」、「シトロネラール」、「ジンギベロール」、「ジンギベレン」などの精油成分と、抗菌性があると言われている「ジンゲロン」が含まれています。
これら生姜の辛味と香り成分は、防腐、強壮、利尿の作用があり、熱を冷まし、食欲を促し、消化を高め、風邪、咳、リウマチの痛みにも効くと考えられており、漢方では健胃、嘔吐、咳、むかつきなどの症状に用いられます。
このように生姜は健康的な身体を作るのに役立つ食材と言えるでしょう。
犬に生姜を与えるメリット
免疫力向上
辛み成分の「ジンゲロール」は、免疫細胞のひとつである白血球を増やし、免疫機能を活性化することで、ウィルスなどに負けない強い身体を作ります。
また、免疫反応を整える効果もあり、過剰な免疫反応で引き起こされるアレルギーや炎症を抑えてくれます。
血行促進
辛み成分の「ショウガオール」は血管を拡張させ血行を促進し、体を全身から温めてくれる働きがあります。この血行促進作用は、筋肉の血行不良が原因で起こる症状の改善、冷えや代謝の低下、細胞の栄養不足を解消にも効果が期待できます。
血行がよくなると細胞が活性化し、代謝が改善されるのでエネルギー消費が増えます。太りにくく痩せやすい身体になることで肥満を防ぎ生活習慣病予防にもつながるでしょう。
疲労回復
辛み成分の「ジンゲロン」や「ショウガオール」には抗酸化作用があり、細胞の老化を抑える効果があります。健康な細胞を保つことで疲労回復がスムーズに進むことが期待できます。また香り成分の「シネオール」も食欲増進や疲労回復に効果があります。
犬に生姜を与える際の注意点
アレルギーがないか確認する
生姜にもわずかですがタンパク質が含まれており、アレルギーで体調不良を引き起こす場合もあります。
生姜によるアレルギーは食後数時間〜数日後に現れるうえに、症状が分かりづらく気づかないことが多いので、愛犬に初めて生姜を与えるときは、少ない量からあげるようにしましょう。
もしも愛犬に生姜を与えた後にアレルギーが疑われる症状が出た場合には、すぐに獣医師に見てもらうようにしましょう。
一度に量を与えすぎない
生姜は健康にいいからと一度にたくさん与えるとアレルギーを起こす犬もいることから、与える際は少量ずつ与え、体調に変化がないか観察するとよいでしょう。
また、生姜には独特の香りと辛み成分が含まれているため、愛犬にとって刺激が強かったり、香りを警戒して食べない場合は、お水やお湯で薄めてあげるとよいでしょう。
生姜の加工品、生の生姜は与えない
市販の手軽に使える生姜チューブがありますが、食品添加物や防腐剤、生姜以外の含有物が含まれており、生姜自体の分量が少ないので、生姜本来の効能を得るには適切ではありません。
また、生姜の加工品も多く出回っていますが、チューブと同様、塩分や糖分、着色料など犬には必要のない添加物が含まれています。
また、生のすりおろしは少量なら問題ないものの、苦味や刺激を考えると加熱して与える方がリスクは低いと言えます。
犬に生姜を与える際のおすすめレシピ
生姜スープ
食前に低糖質の野菜を入れた生姜スープを摂ると、血糖値が上がりにくくなり、脂肪をため込みにくくなるメリットがあります。スープにすることで、生姜を取り入れやすくなる上、寒い季節には体の芯から温まるのでおすすめです。
<材料>
・茹で野菜(サツマイモ、キノコ類、人参、小松菜、ブロッコリー)・・・約10g
・鶏ささみ ・・・約10g
・生姜のすりおろし ・・・適量
・水
※分量は、愛犬の体重により適宜調整してください。
<作り方>
1)野菜はみじん切りにして、予め3分以上茹で、茹で汁は捨てる
2)1)と食べやすい大きさに切った鶏ささみ、水を鍋にかける
3)すりおろした生姜を加える
4)鶏ささみに火が通ったら、完成
※野菜のゆで汁には、結石の原因の可能性のあるシュウ酸などのミネラルが溶け出しているため、できれば茹で汁は捨てたほうがよいでしょう。
生姜焼き
豚肉に含まれるビタミンB1と、生姜に含まれるジンゲロンとショウガオールは、体の疲れを回復し、元気な体へと導きます。
<材料>
・豚肉 ・・・適量
・生姜のすりおろし ・・・適量
<作り方>
1)豚肉は愛犬の食べやすい大きさに切ります
2)すりおろした生姜に豚肉を加え、生姜の味が染み込むようにもみ込みます
3)2)をフライパンで炒めます
※テフロンのフライパンを使用すると脂質を抑えられます。油を使う場合には、菜種油、紅花油などの不飽和脂肪酸のものを使うとよいでしょう。
※疾患があり、タンパク質制限が必要な場合には、「生姜スープ」で使用した「茹でた野菜」を豚肉と同量、混ぜて与えるとタンパク質比率を制限することができます。
すりおろしてフードに混ぜる
すりおろした生姜をフードに混ぜる場合は、辛みを感じない程度の少量を与えるようにしましょう。
まとめ
生姜は、消化促進、免疫力向上、血行改善、発汗、冷え性改善など、様々な健康効果が期待できる食材です。食物繊維が豊富に含まれ、低カロリー食材なので、腸内での糖分や脂肪の吸収を抑える働きもあるのでダイエットが必要な愛犬にもお勧めです。
ただし、大量に与えるのは好ましくないので、与える量やアレルギーなどに注意して、愛犬の健康に上手に役立てましょう。
■犬に生姜を与えても問題ない
生姜は健康的な身体を作るのに役立ち、犬に与えても大丈夫な食材です。
ただし量としては少量、加熱した状態で与えるのが良いでしょう。■生姜に含まれる栄養素
【辛み成分】・「ジンゲロール」・「ショウガオール」・「ジンゲロン」
【香り成分】・「シネオール」・「シトロネラール」・「ジンギベロール」・「ジンギベレン」■犬に生姜を与えるメリット
・免疫力向上
・血行促進
・疲労回復■犬に生姜を与える際の注意点
・アレルギーがないか確認する
・一度に量を与えすぎない
・加熱した状態で与える■犬に生姜を与える際のおすすめレシピ
・生姜スープ
・生姜焼き
・すりおろしてフードに混ぜる