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犬にとって吠えるという行為は、意思表示の手段のひとつであり、必ず理由があります。
では、どんな理由が考えられるでしょうか?
ここでは犬が吠える理由と対策についてご紹介します。
犬が吠えるのは意思表示・意思疎通のため
犬の「吠え」は、時として、飼い主さんの頭を悩ませる行動のひとつです。
ただ、犬にとって吠えるという行為は、意思表示の手段のひとつで、必ず理由があります。
私たち人間が言葉やジェスチャーを使うように、犬は吠えることで私たちとコミュニケーションを取ろうとしています。
そのため、吠える理由を理解し、対処してあげることで、お互いが快適に暮らせることに繋がります。
犬が吠える5つの理由
1. 要求吠え
人間に何かしてほしいときに吠えるのは「要求吠え」といいます。
吠えたときにおやつをあげたり、散歩に連れて行ったり、犬のお願いをついつい聞いてしまっていませんか?
このような状況が続くと「吠えれば要求が通る」と学習し、要求吠えがクセになってしまいます。
2. 警戒吠え
チャイムが鳴ったときや散歩で人とすれ違ったときの吠えは「警戒吠え」といいます。
犬が身の危険を感じて相手に対して注意を促すため、または、犬自身が不安や恐怖を感じた時に出る吠えです。
一見私たち人間からするとなんでもないことも、感覚の優れている犬からすると警戒すべき十分な理由になることもあります。
3. 興奮吠え
「興奮吠え」は嬉しい時にも、怒っている時にもする吠えです。
「尻尾を振っているから喜んでいると思っていたのに、触ろうとしたら噛まれた」という経験がある人もいるかもしれません。
犬が尻尾を振るのは、嬉しいからだけではなく、「興奮している時」もありますので、見極めが必要です。
4. 不安(ストレス)吠え
犬は運動不足や飼い主に構ってもらえないことに大きなストレスを感じる動物です。
「ストレス吠え」は、その名の通りストレスを感じて吠えてしまうことです。
モヤモヤが溜まると、犬も人間と同じように大声を出してストレス発散をします。
5. 遠吠え
遠吠えには、下記のようないくつかの理由があります。
・不安や寂しさを感じている・
犬は、不安や寂しさを感じたときに遠吠えをすることがあります。
そのため、飼い主にかまってほしくて、遠吠えをする犬もいるでしょう。
・サイレンなどの騒音に対する反応・
救急車のサイレンは、770Hz~960Hzという周波数と90㏈~120㏈という大きな音を鳴らします。
このサイレンの周波数が犬の遠吠えに近く、聞いた犬の本能を呼び起こすのではないかと推測されています。
・体調不良・
身体的に苦痛を感じていたり、不快感がある犬も、世話をしてくれる人に注意を向けてもらおうとして遠吠えすることがあります。
遠吠えの理由が分からないときは、犬の痛みのサインが現れていないか等も確認してみましょう。
・敵の撃退となわばりの主張・
犬は、ライバル犬になわばりを主張する為、または、なわばりに脅威をもたらして、そのようなものを遠ざける為に遠吠えをします。
犬が吠えた時にやってはいけないNG行動
大きな声で怒鳴る
犬が人の声の大きさに驚いてしまい、怒られた意味を理解しづらくなったり、ただ怯えて縮こまってしまったりすることがあります。
怯えて吠えている場合に大きな声で叱ることは逆効果ですし、認知症にかかっている犬の場合には、叱ること自体が無意味になります。
また、興奮から吠えている場合には、大きな声で叱ることで、ますます興奮を助長させてしまうことがあります。
暴力を振るう
暴力を振るってしつける行為は、犬に怪我を負わせる可能性もあり、痛みによる苦痛などの身体的負荷を与えることになります。
肉体的苦痛を与えることは心理的なストレスを高めるため、人に対する不信感や警戒心が過剰になり、さらに恐怖心を植え付けてしまう事になります。
おやつを与える
犬が吠えているときに、落ち着かせようとおやつを与えるのは止めましょう。
「吠えたらおやつがもらえる!」と間違った学習をして、要求を通すために頻繁に吠えるようになってしまう恐れがあります。
犬が夜に吠える原因として考えられる病気
老犬になると、痴呆(認知症)などが主な原因で、夜に吠えるようになってしまうことが多くあります。
認知症の時の吠え声は少し特徴があり、抑揚のないような遠吠えに似た鳴き声が特徴です。
もちろん吠え方に差は出てきますので一概にはいえませんが、もし心当たりがある場合は獣医師に相談しましょう。
犬は8歳を超えるとシニア期に入ります。
徐々に筋力や免疫力が衰え、認知症などの症状がみられることがあります。
認知症は部屋の中を歩き回ることや、昼夜問わず吠え続けるなどの症状がみられます。
シニア犬の場合は、認知症が吠えの原因となっていることがほとんどです。
今まで認識出来ていた「物」や「人」が認識できない、昼夜逆転してウロウロと徘徊するなどの症状がある場合は、既に認知症にかかっている可能性があるので、獣医師に相談してみるのも一つの方法です。
犬の無駄吠えを治す方法
怒らずに、静かになったら褒めてあげる
「吠えている時は怒らない、静かになったら褒める」がポイントです。
犬が吠えている時は無視をし、「吠えても無駄」と思わせます。
やがて吠え疲れて、息継ぎなどで、大人しくなる瞬間があります。
まずは、5秒大人しくなったら、思いっきり褒めてください。この様に、「吠えないほうが良いことが起こる!」と繰り返し教えると必ず理解できるようになります。
ストレスフリーな環境を用意する
「犬の吠えの何が問題なのか」を改めて考えてみましょう。
・家の前を通る人に吠える場合・
家に近づく人を危険人物と警戒して吠えているので、犬に「大丈夫だよ」と優しく声がけして安心させ、カーテンを締める、窓の下半分に目隠しをして通行人を見えなくする。
・散歩中に他の犬や通行人に吠える場合・
動物は、他の個体とある一定の距離を取りたがる習性があり、お互いの距離が近くなってしまう場所では警戒心が強まる傾向があります。
他の犬や人が怖くて吠えている場合、人通りの少ない散歩コースに変更しましょう。
・インターホンで吠える場合・
「音」、「飼い主さんの動き」、「来客」等に警戒し、吠えることがあります。
音に反応する場合は、インターホンの音量を下げたり、音を変えたりしましょう。
飼い主さんの動きに対して吠える場合は、声を掛けない、触らない、目も合わせないという、徹底した無視をすることで、吠えるよりも大人しくしていた方が注目され、褒められるということを学習します。
「マテ」、「フセ」などのコマンド(命令)を出したり、クレート(屋根がついた箱型のハウス)に入れる事も有効です。
・ハウスに入れると吠える場合・
閉じ込められるのが怖くて、吠えているのかもしれません。
はじめのうちは、短時間ずつハウスに入れて慣らしていくと良いでしょう。また、遊びを中断されてハウスに連れていかれたことが不満で吠えている場合もあります。
・留守番中に吠える場合・
少しずつひとりでいられる練習をする、ハウストレーニングをする、知り合いやペットシッターに預かりを頼むなどもお勧めです。
大切なのは、犬に「留守番=寂しい時間」と思わせないことです。
日頃から、留守にしても飼い主は必ず帰ってくるという安心感を与えながら、留守番は楽しい時間だということを教えていきましょう。
その他、
・長いお留守番は避ける
・積極的にスキンシップを図る
・犬がひとりになれるスペースを確保する
・飼育環境を整える
・散歩を増やす …など、
犬にとってストレスフリーな環境を用意することで、気持ちも安定します。
まとめ
犬の吠え声は「楽しい・怖い・寂しい・構って」など、様々な思いが込められています。
犬の立場からすると、吠える理由があるため表現しています。
うるさいと頭ごなしに叱るのではなく、まずは吠える理由を知り、原因が明らかであればそれを取り除くことが最も有効なしつけや状況の改善につながります。
また、愛犬がまだ幼犬であれば、外出の機会をできるだけ多くし、ほかの人や犬との触れ合い、いろいろな音などの刺激に慣れさせ、社会化トレーニングを行う事が、将来起こりうる無駄吠えの予防につながります。
吠えということを通して、さらに愛犬と素晴らしい絆ができるといいですね。
1.犬が吠えるのは意思表示・意思疎通のため
2.犬が吠える5つの理由
・要求吠え
・警戒吠え
・興奮吠え
・不安(ストレス)吠え
・遠吠え3.犬が吠えた時にやってはいけないNG行動
・大きな声で怒鳴る
・暴力を振るう
・おやつを与える4.犬が夜に吠える原因として考えられる病気
・痴呆(認知症)5.犬の無駄吠えを治す方法
・怒らずに、静かになったら褒めてあげる
・ストレスフリーな環境を用意する