Contents
前回は、
どんな場合にタンパク質がデメリットになるのか?
をお話しました。今回はとくにシニアや、腎臓、肝臓などの内臓疾患のある犬猫ちゃんにとって、デメリットをおさえながら、理想的な比率のタンパク質を摂る方法についてお話します。ポイントは、タンパク質の量ではなく、タンパク質の比率(濃度)が大切です。
理想のタンパク質比率(濃度)とは?
タンパク質が負担になりやすいシニア世代や、内臓疾患を抱えた犬猫ちゃんにとって、理想のタンパク質比率(濃度)というのがあります。実は臨床栄養学的にこの数字は決まっています。
※みらいのドッグフード、キャットフードはこのデータに基づいて設計されています。
タンパク質 | からだや臓器の状態 | 犬 | 猫 |
---|---|---|---|
低濃度 | 内臓疾患(腎臓・肝臓・膵臓・心臓など)がある場合
※過剰なタンパク質で内臓負担をかけないことが大切です |
20% 前後 |
30%前後 |
中濃度 | シニア期や胃腸の不具合、ダイエットが必要な場合
消化のために、胃や腸に負担をかけないことが大切です |
25%前後 | 35%前後 |
高濃度 | 健康な若い犬猫・栄養回復が必要な場合
しっかりと栄養補給をすることが必要です |
30%以上 | 40% 以上 |
ジャーキーやお肉のタンパク質ってどのくらい?
では、ふだん食べさせているジャーキーやお肉は、どのくらいのタンパク質比率(濃度)なのでしょうか?
おやつやジャーキーについては、簡単に調べる方法があります。
市販されている商品のパッケージには、たいてい栄養成分が表示されています。
その中の「粗タンパク質」(粗蛋白質・たんぱく質)という項目の数字が、タンパク質の比率になります。
一般的に乾燥したジャーキー類は60%~80%程度のタンパク質比率になっています。
また、ゆでたお肉類は、ほとんどが約30%前後のタンパク質比率となります。
こうやって見ると、ジャーキーだけ、お肉だけだと、病気やシニアの子には濃すぎることがわかりますね。ですので、
お肉やお魚は単独であげるのはNGです。
ここで「ゆで野菜」の出番です!
といっても、ただのゆで野菜ではありません。
ある特殊な(と言っても簡単な)手順で作ったゆで野菜となり、「ほぼ食物繊維」という特長があります。
この「ゆで野菜=食物繊維」を、タンパク質濃度(比率)の高いジャーキーやお肉、フードなどに混ぜることで、
タンパク質濃度を薄め、体の負担を減らすことができます。
■ゆで野菜の作り方■
<材料>
おすすめはこちら!いずれも血糖値をあげにくいお野菜です。
・サツマイモ
・キノコ類
・ニンジン
・小松菜
・ブロッコリー
サキニコブ と覚えてね
<作り方>
- それぞれの野菜を細かくみじん切りにする。
- みじん切りにした野菜を、沸騰した水で10分以上ゆでる。
- ざるなどで濾し、ゆで汁を捨てる。
ポイント
長時間ゆでることで、野菜に含まれるシュウ酸(結石のもとになります)を抜き、食物繊維のみにしますので
みじん切りにして、かつ、ゆでる
ことが大切です。茹で汁も使ってはいけません。焼く、レンジで加熱する、といった調理方法はNGです。なぜ、焼いたり、レンジで加熱するだけ、茹で汁も使ってはいけないのか?は、こちら(野菜のメリット・デメリットで説明しております。
ゆで野菜でタンパク質濃度を薄めましょう
では、実際にゆで野菜をどのくらい入れたらいいのでしょうか。
具体例をあげて説明します。
- ゆでたお肉(タンパク質約30%)をタンパク質20%にしたい
→ お肉2に対してゆで野菜1の割合で混ぜる
タンパク質が2/3になります
↓
タンパク質濃度30%が20%に薄まったイメージ
- おやつ(タンパク質約60%)を20%にしたい
→ おやつ1に対してゆで野菜2の割合でまぜる
タンパク質が1/3になります
タンパク質濃度60%が20%に薄まったイメージ
- 高タンパクフード(タンパク質約40%)を20%にしたい
→ フード1に対してゆで野菜1の割合でまぜる
タンパク質が1/2になります
タンパク質濃度40%が20%に薄まったイメージ
上記のように、タンパク質は茹で野菜によって、薄まります。タンパク質の高いジャーキーやお肉も、このように茹でた野菜を混ぜることで、タンパク質濃度を低くし、内臓にやさしい食べ物に変化させることができるのです。
タンパク質濃度を薄めて内臓負担を少なくする
濃いタンパク質の比率は
ゆで野菜で薄めることが可能
ということがおわかりいただけましたか?
体に必要な栄養素であるタンパク質も、その質(比率)やあげ方によってメリットにもデメリットにもなります。
高タンパクのジャーキーやお肉は、単独であげてしまうとデメリットですが、適切な量のゆで野菜と混ぜ、タンパク質を薄めてあげることで、デメリットをおさえ、本来のメリットを生かすことができます。
大好きなジャーキー、大好きなお肉。
食べさせてあげたい…けれどタンパク質が負担になりそうで怖い。
そんな時は、「ゆで野菜で薄める」と覚えておいてください。
ちなみに、もっと手軽に負担とならないおやつをあげたい場合は
「和漢おやつシリーズ」がおすすめです。
「和漢おやつシリーズ」は、すべてタンパク質を10%前後におさえ、さらに低糖質、低脂質で、体にやさしいつくりになっています。
シニア犬や腎臓、肝臓などの内臓疾患のある犬猫ちゃんでも安心して、おいしいおやつが食べられますので、ぜひお試しください。
「タンパク質の低すぎ」もデメリットで注意
タンパク質は、ペプチド、アミノ酸という成分に分解され、エネルギーに変換されるのと同時に、毛髪、細胞、皮膚、骨などを作る大切な必須栄養素です。
ですので、野菜をたくさんあげて「タンパク質を制限すればするほど良い」というものでもありませんので、ご注意ください。
犬や猫の体質は「弱酸性が正常」であり、人間は「弱アルカリ性が正常」という違いがあります。人間のように野菜過多の場合は、アルカリに偏り、ストラバイト結石を誘発しやすくなるなどデメリットが多くなります。(詳しくはこちら 野菜のメリットとデメリット )
何事もほどほどに食べるということを意識されますといいでしょう。