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犬も人間と同じようにあくびをします。これは単に眠いからだけでなく、時には深刻な理由であくびをしていることもあります。そのため、犬のあくびの意味を見極めることが重要です。本記事では、犬があくびをする理由やその意味、そして対処法について解説します。
犬があくびをする5つの理由・原因
理由1. 眠いから
犬も人間と同様に、眠い時に生理的なあくびをします。脳に酸素を送るためという説や、あくびによって体温調節をして脳のオーバーヒートを防ぐためなど、さまざまな説があります。しかし、どうして眠いときにあくびが出るのかという理由は、まだはっきりとはわかっていません。
理由2. 他の犬や人間のあくびが伝染したから
人間同士で、なぜか友人があくびをしたら、つられて自分もあくびが出た、という経験はありませんか?この共感あくびは、見知らぬ人よりも親しい飼い主から伝染することが多いという研究結果があります。これは、犬と飼い主の間に信頼関係があることを示すサインとも言えるでしょう。特に、人と犬の絆が強いほど伝染しやすいようです。
理由3. リラックスしたいから
緊張を和らげて、リラックスしたいというサインです。
緊張したときやストレスを感じたときなどに、気持ちを落ち着かせるための「カーミングシグナル」(犬同士のコミュニケーション方法)として、あくびをすることがあります。カーミングシグナルとは、「カーミング=落ち着かせる」「シグナル=合図」という意味で、自分や相手を落ち着かせるために犬が見せる行動のことです。犬が初めての場所や動物病院に行ったとき、いたずらをして叱られているときなどによく見られます。
もともと集団行動をしていた犬は、平和的な動物であると言われています。犬はあくびを通して自分の気持ちを落ち着かせるだけでなく、相手に対して敵意や争う意志がないことを示し、無用な争いを避けようとしています。
理由4. ストレスを感じているから
犬は不快感を抱き、強いストレスを感じている時もあくびをします。病院など苦手な場所に行った時や知らない人に触られている時、あくびをしている愛犬を見た事はありませんか?これは、相手に「止めて欲しい」と訴えている場合もあるので、愛犬の表情を見極めつつ、対処してあげましょう。
理由5. 病気・体調不良だから
急にあくびが増えたり、体調が悪いような素振りを見せたりしたら、それは体調不良や病気のサインである可能性があります。
あくびをする際に次のような症状や行動が愛犬に見られる場合、病気や体調不良の可能性があります。こういったケースにおいては獣医師に相談しましょう。
・あくびの回数が極端に多い
・あくびの後に顎を「ガクガク」「カタカタ」と震わせる
・口を大きく開けてあくびができない
・舌や歯茎の色が普段の色とは違う
・口の中がいつもより臭う など
犬のあくびで考えられる5つの病気
以前と比べて明らかにあくびの回数が増えた、見るたびにあくびをしているなどの変化があらわれた場合は、注意が必要です。
1. うつ病
犬は言葉を話せないので実際の心の内はわかりませんが、人間と同じように、強いストレスを長期間にわたって感じると、うつ病を発症することがあります。うつ病になると食欲不振になる、元気がなくなる、自傷行為を繰り返すなどに加え、あくびが多くなります。
2. 低血糖症
低血糖症は血液中の糖分濃度が低くなった状態です。低血糖によって脳の働きが低下するため、脳へより多く酸素を送り込もうと、あくびの回数が増えることがあります。低血糖症は子犬や小型犬に多いと言われています。
3. 貧血症
貧血になると身体の中に酸素を運ぶ機能が低下するため、酸欠状態になり、酸素をより多く取り入れようとしてあくびの回数が増えることがあります。あくびだけでなく、舌や歯茎の色が白っぽく見える場合は、貧血になっている恐れがあるので、すぐに動物病院を受診しましょう。
4. てんかん
てんかんは、脳神経に異常な電気信号が発生し、発作をくりかえす脳の病気です。
てんかんの発作の症状として、主に以下のようなものがあります。
- 全身が突っ張る
- 手足をバタバタさせる
- 落ち着きなくなる
- たくさんのヨダレが出る
- 遠吠えをする
- 顎をガクガクさせる
- あくびをよくする
また、てんかんの発作の予兆としても、あくびが見られる場合があります。
5. 歯のトラブル
歯周病や歯肉炎など、口腔内の痛みや歯の不快感で、口の開け方がいつもと違うようなあくびが見られます。痛みを伴うので、あくびの途中で鳴いたりすることもあります。
あくびだけではなく、口元を気にする仕草や食事のしにくさといった症状があるかどうかも注意しましょう。
犬のあくびで病気かどうか見分ける4つの方法
1. 食欲をチェックする
ごはんをいつも通り食べて、食後に出るあくびは、眠気からくる生理的なあくびであることが多いため、基本的には心配いりません。今まで食べていたごはんを残すようになる、食欲がなくなる、今まで大好きだったものを急に食べなくなる、などの変化がある場合はその他の症状もあわせてチェックして、心配であれば動物病院を受診しましょう。
2. 排泄物をチェックする
ウンチやオシッコの状態もチェックしましょう。1日の回数や量、色・臭いなどによって健康状態を確認することができます。普段と比べて回数や状態が極端に変わる、下痢が続く、などの症状があくびと一緒に出ているときには、動物病院を受診しましょう。
3. 口臭をチェックする
口腔(口内)環境は、腎臓、肝臓、膵臓、心臓、皮膚、骨、肥満、アレルギーなどの健康状態と密接な関係があり、口腔環境の衛生状態は「臓器への菌の転移」や「ウィルス感染」に繋がる可能性のあることが分かっています。
・「生臭い」「魚臭い」
口腔内の乾燥が考えられます。犬の口の中は通常、唾液で水分が多い状態ですが、口腔内の水分が足りないと、唾液が濃縮されてねばっこくなり、これが口臭の原因となります。
・「腐敗臭」のような口臭
犬の口臭原因として最も多いのは、歯周病が原因の口腔内腫瘍の可能性もあります。
・「酸っぱい」臭い
胃腸の不調が隠れている場合があります。特に胃炎を患うと、胃酸の分泌が過剰になり、嘔吐や胃酸の逆流が生じることがあります。それが原因で胃酸由来のすっぱい臭いが口臭として感じられます。
・アンモニア臭
腎臓や肝臓が正常に働かないことで、通常は体の外に排泄される物質が体内に溜まり、それによって口臭になることがあります。
・便の臭い
口腔内の問題やひどい便秘が影響している場合がある一方、腸閉塞や腸のねじれといった重篤な症状の可能性もあります。
4. 歩き方をチェックする
足を引きずる、ふらつく、運動をしたがらないのは、パテラやヘルニアなど骨や関節のトラブルに起因する事が多いですが、うつ病や貧血や低血糖、てんかんなどでも同じような症状が出ることがあります。あくびと一緒にこのような症状がある場合には、注意が必要です。
その他にもふらつく、歩きたがらない場合には、中毒症状、白内障、水頭症、脳腫瘍、認知症、内耳炎、などさまざまな病気が考えられますので、いつもと違うと感じた場合には、動物病院の受診をお勧めします。
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まとめ
言葉を話せない犬にとって、あくびは犬の気持ちや状態を伝える重要なサインです。普段から、あくびの回数が増えていないか、いつもと違ったあくびをしていないかなど、愛犬の様子を注意深く観察することが重要です。
病気や体調不良が疑われるあくびを放置すると、他の病気を併発したり、完治が遅れたりする可能性があります。命にかかわる病気の早期発見につながることもありますので、普段のあくびと少しでも違う様子が見られた場合は、なるべく早く動物病院を受診しましょう。