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いちじくは栄養価が高い果物として知られていますが、犬にとっては中毒症状を引き起こす危険な食べ物です。
この記事では、犬がいちじくを食べてはいけない理由と、中毒の具体的な症状を解説します。併せて、万が一食べてしまった場合の緊急対処法や、ドライフルーツなど加工品の危険性についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
犬にいちじくはNG。少量でも危険な可能性あり
いちじくは、葉、茎、果実、ドライフルーツやジャムなどの加工品も含め、犬に与えてはいけない危険な食べ物です。いちじくに含まれる「フィシン」「ソラレン」などの中毒成分が、嘔吐や下痢、皮膚炎などを引き起こす可能性があります。「少量だから」「舐めただけだから」と自己判断せず、食べた場合は動物病院に相談しましょう。
犬がいちじくを食べた・舐めた場合の緊急対処法
犬にいちじくを与えないように気をつけていても、誤っていちじくを食べてしまう可能性があります。愛犬がいちじくを食べてしまったら、慌てず、以下に従って行動してください。
状況を確認・記録する
まずは現状を正確に確認しましょう。口の中にいちじくが残っている場合は、指で優しく取り除いてあげてください。ただし、すでに飲み込んでしまったものを、無理に指を突っ込んで吐かせるのは絶対にやめましょう。食道を傷つけたり、誤嚥(ごえん)を引き起こす危険があります。
そして、「いつ」「何を(生の果実、葉、ドライフルーツなど)」「どれくらいの量」を食べたかを、わかる範囲でメモしてください。可能であれば写真や動画で記録しておくと、次に獣医師へ連絡する際に、より的確な状況を伝えることができます。
すぐに病院に連絡する
たとえ症状が出ていなくても、かかりつけの動物病院に電話で連絡しましょう。記録した食べた時間と量を正確に伝え、獣医師の指示を仰いでください。「夜間なので朝まで待とう」と判断せず、夜間救急病院に連絡することも重要です。
獣医師の指示に従い、様子を観察・または受診する
電話での指示に従い、行動します。「すぐに来てください」と言われれば、すぐに病院へ向かいます。「しばらく様子を見てください」と言われた場合は、以下の症状に注意しながら、注意深く愛犬の状態を観察しましょう。
- 注意すべき症状の例
- 嘔吐、下痢が続く
- 大量のよだれ
- 元気がない、ぐったりしている
- 痙攣(けいれん)
- 呼吸が苦しそう
少しでも普段と違う様子が見られた場合は、すぐに再度動物病院に連絡してください。
いちじくの危険性|中毒症状や犬への影響
いちじくに含まれる成分は、犬の体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、具体的にどのような中毒症状が現れるのか、そしてその原因となる有毒成分について詳しく解説します。
注意すべき中毒症状チェックリスト
愛犬がいちじくを食べてしまった後、以下のような症状が見られないか、注意深く観察してください。症状は、食べた直後から数時間後、場合によっては半日以上経ってから現れることもあります。
- 口の中を痛がる、大量のよだれ
- 口の周りや口内の赤み、ただれ(口腔内の炎症)
- 嘔吐
- 下痢
- ぐったりして元気がない
- 皮膚の赤み、かゆみ(特にいちじくの汁に触れた場合)
- 呼吸が速い、ぐったりする(稀なアレルギー反応)
なぜ危険?いちじくに含まれる3つの有毒成分
犬がいちじくで中毒を起こす原因は、主に以下の3つの成分によるものです。これらは犬の消化器や皮膚、粘膜に対して強い刺激を与えます。
フィシン
フィシンとは、いちじくの実や葉、茎に含まれるタンパク質分解酵素であり、人間の消化機能においてはタンパク質の分解をサポートし、消化をスムーズにする働きを持っています。ただし、犬にとって刺激が強く、摂取することで口腔内や食道粘膜の炎症をもたらすとされており、具体的な症状として、大量のよだれ、口内炎の発症などが挙げられます。
ソラレン
ソラレンは、特定の野菜やフルーツに含まれる光毒性物質と呼ばれる成分です。犬の皮膚にソラレンが付着した後、紫外線の影響を受けると、炎症や色素沈着が起こり、最悪やけどのような状態になることもあります。
また、犬がソラレンを多く含むいちじくを摂取した場合、嘔吐や下痢、元気消失などの症状が出ることがあります。
ラテックス
ラテックスは、天然ゴムに含まれる成分で、アレルギーの原因になることがあります。そして、実はいちじくにもこれに類似したタンパク質の構造が存在します。
そのため、ラテックスアレルギーがある犬はいちじくでもアレルギーが出やすいといわれており、注意が必要です。
犬の致死量や安全な量は?
犬におけるいちじくの明確な致死量は報告されていません。これは、犬の体重、年齢、犬種、そして個々の体質によって、中毒症状の出方が大きく異なるためです。
逆に言えば、「これくらいなら大丈夫」という安全な量も存在しません。 ほんの一舐めしただけで口内が荒れてしまう子もいれば、少量食べても全く無症状の子もいますが、そのリスクは常に同じです。「少量だから」「舐めただけだから」という油断はせず、食べてしまった場合はまず動物病院に相談するという意識が大切です。
ドライフルーツや加工品、葉や茎の危険性
いちじくは、果実以外にも注意が必要です。愛犬がこれらの食品を誤って摂取しないように、飼い主さんは、いちじくやその加工品を犬の手の届かない場所に保管することを徹底しましょう。
ドライフルーツ(乾燥いちじく)の場合
乾燥させても、有毒成分であるフィシンやソラレンは残存、むしろ凝縮されています。甘い香りで犬が好んで食べてしまうことも多いため、保管には十分注意してください。
ジャムやヨーグルト、パンなどの加工品
ジャムやヨーグルト、パンなどに加工されていても、有毒成分がなくなるわけではありません。さらに、人間用に加工された食品は、犬にとって過剰な糖分や、キシリトールなど他の中毒物質が含まれている可能性もあり、二重に危険です。
いちじくの葉・皮・茎の場合
いちじくは、果実よりも葉や茎、皮の部分に有毒成分が多く含まれています。 庭にいちじくの木があるご家庭では、愛犬が落ち葉や枝を口にしないよう、特に厳重な注意が必要です。
いちじくはNG。犬が食べでも大丈夫なフルーツは?
いちじくは危険ですが、犬の健康維持に役立つ、与えても安全な果物もたくさんあります。ただし、どの果物も必ず種や皮、芯などを取り除き、喉に詰まらせないように小さくカットして、おやつとして少量与えるのが基本です。与えすぎは糖分の過剰摂取となり、肥満や下痢の原因になるため注意しましょう。
りんご
シャキシャキとした食感が楽しいりんごは、多くの犬が好む果物です。水溶性の食物繊維「ペクチン」が豊富で、腸内環境を整え、便通をサポートします。また、ポリフェノールによる抗酸化作用も期待できます。
与える際は、中毒の原因となるアミグダリンを含む種と芯を、必ず完全に取り除いてください。皮には栄養がありますが、消化しにくい場合は剥いてあげましょう。
いちご
甘い香りが魅力のいちごは、犬にとって安全で、ビタミンCの優れた供給源です。ビタミンCは、免疫力の維持や、コラーゲンの生成を助け、皮膚や関節の健康をサポートします。
また、キシリトールを含まないため、甘みのある果物の中でも安心して与えることができます。ヘタを必ず取り、大きい粒は4等分にするなど、小さくして与えてください。
バナナ
バナナは、カリウムやビタミンB群、そしてエネルギー源となる糖質を豊富に含んでおり、運動後などのエネルギー補給に役立ちます。柔らかく、甘みも強いため、食欲が落ちているシニア犬などにも喜ばれます。
ただし、果物の中では特に糖質とカロリーが高めなので、与えすぎは肥満に直結します。おやつとして、ごく少量に留めることが大切です。
ブルーベリー
ブルーベリーは、強力な抗酸化物質である「アントシアニン」を豊富に含むことで知られています。この成分は、特に目の健康維持や、老化の予防(アンチエイジング)をサポートする働きが期待されています。
粒が小さく、喉に詰まらせる心配も少ないため、そのままご褒美として数粒与えやすいのもメリットです。与える前に軽く水で洗いましょう。
犬のいちじくに関するよくある質問
ここでは、犬のいちじくに関する質問をお答えします。
ほんの少し舐めただけでも病院に行くべき?
たとえ少量でも、フィシンによる口内の炎症や、アレルギー反応が起こる可能性はゼロではありません。特に、もともとアレルギー体質の犬や、過去に何かを食べて体調を崩したことがある犬の場合は、念のため、かかりつけの動物病院に電話で連絡し、「いつ、何を、どれくらい舐めたか」を伝えて指示を仰ぐのが最も安全です。
いちじくとヨーグルトを混ぜたものを食べてしまいました。大丈夫?
ヨーグルト自体は犬にとって安全な食材ですが、いちじくの有毒成分(フィシンやソラレン)を中和したり、無害化したりする効果はありません。通常のいちじくと同じく、誤植したら動物病院に連絡して指示を仰いでください。
いちじく以外に、犬に危険な果物はありませんか?
特にぶどう(レーズン)は非常に危険です。 ぶどうやレーズンは、急性腎不全を引き起こす可能性があり、少量でも命に関わるため、絶対に与えてはいけません。その他、アボカド(ペルシンという成分が中毒の原因)、レモンやライムなどの柑橘類の皮(ソラレンを含む)なども、犬に与えない方がよいでしょう。
まとめ
犬にとって、いちじくは葉、茎、果実、加工品のすべてが危険な食べ物です。万が一、愛犬が食べてしまった場合は、「少量だから」と様子を見るのではなく、すぐに動物病院へ連絡することが重要です。自己判断で吐かせようとするのは絶対にやめてください。日頃から、犬の手の届く場所にいちじくを置かない、庭の木の管理を徹底するなど、誤食させないための予防策を講じましょう。


