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愛犬が突然吐いてしまうと、「何か大変な病気かも…」「今すぐ病院に連れて行くべき?」と、パニックになってしまいますよね。
犬は人間よりも吐きやすい動物ですが、中には胃捻転や中毒といった、命に関わる「危険な嘔吐」もあります。その重要なサインを見極めるポイントが、愛犬の様子と「吐いたもの」の色や内容物です。
この記事では、すぐに病院へ行くべき危険な嘔吐の症状から、吐いたものの種類でわかる原因と家庭での対処法まで解説します。
すぐに連れて行くべき危険な嘔吐とは?
愛犬が吐いた時、まず確認すべきは緊急性の有無です。以下の症状が一つでも見られる場合は、様子を見ずに、できるだけ早く動物病院を受診してください。
- 1日に何度も繰り返し吐き続けている
- 嘔吐だけでなく、下痢や発熱、震え、ぐったりしているなど他の症状も見られる
- 吐いたものに鮮やかな赤い血や、コーヒーかすのような茶色い血が混じっている
- お腹がパンパンに張っている、吐こうとしているのに何も出ない
- 吐きたそうで吐けない
- 異物を飲み込んだ可能性がある
これらのサインは、胃捻転や腸閉塞、中毒、内臓からの出血といった、命に関わる病気の可能性を示しています。夜間や休日であっても、救急対応している動物病院に連絡を取り、指示を仰ぎましょう。
【嘔吐の種類】犬が吐いたものの色や内容物を確認する
吐いたものを観察することで、その原因をある程度推測できます。吐いたものはすぐに片付けず、色や内容物、においなどを確認し、可能であれば写真に撮っておくと、診察の際に役立ちます。代表的なものは以下の通りです。
- 透明の液体・白い泡
- 黄色い液体
- 消化されていないフード
- 赤い・茶色い液体
- 異物・毛玉
それぞれについて、以降で詳しく解説いたします。
1. 透明の液体・白い泡
透明な液体は主に胃液、白い泡は胃液と唾液が混ざったものです。空腹時間が長くなることで、分泌された胃液が胃を刺激して吐いてしまう「空腹時嘔吐」が主な原因です。特に朝方に吐くことが多く見られます。
元気や食欲があれば、緊急性は低いことが多いです。食事の回数を1日2回から3〜4回に増やし、空腹の時間を作らないように工夫してみましょう。寝る前に少量のおやつを与えるのも効果的です。
2. 黄色い液体
黄色い液体の正体は、十二指腸から逆流してきた「胆汁」です。これも空腹時間が長くなることで起こりやすく、胃が空っぽの状態で胆汁が胃を刺激するために嘔吐します。
空腹時嘔吐の一種なので、食事の回数を増やして空腹時間を短くすることが基本の対策となります。続く場合は、膵炎など他の病気の可能性もあるため、一度獣医師に相談しましょう。
3. 消化されていないフード
食べてからあまり時間を置かずに、フードがほぼそのままの形で出てくる場合、早食いや食べ過ぎが主な原因です。勢いよく食べることで、胃がびっくりして中身を押し戻してしまいます。
緊急性は低いですが、繰り返す場合は工夫が必要です。一回の食事量を減らして回数を増やす、早食い防止用の食器を使う、フードをふやかして消化しやすくする、といった対策を試してみてください。
4. 赤色・茶色い液体
吐いたものに血が混じっている場合は、体のどこかから出血しているサインであり、危険な状態です。鮮やかな赤い血であれば口の中や食道から、コーヒーかすのような黒〜茶色い血であれば胃や十二指腸からの出血が疑われます。
色や量に関わらず、血が混じっていた場合はすぐに動物病院を受診してください。
5. 異物・毛玉
おもちゃの破片や布、ビニールなどを吐き出した場合は、異物誤飲です。吐き出せたからと安心せず、他にも飲み込んでいないか、体を傷つけていないかを確認するため、必ず動物病院を受診してください。
また、換毛期などに毛玉を吐くこともあります。元気であれば一時的なものが多いですが、頻繁に吐く場合は、こまめなブラッシングで抜け毛を取り除いてあげましょう。
嘔吐と吐出の違いは?
犬が口から食べ物を出す行為には、「嘔吐」の他に「吐出」があります。原因や対処法が異なるため、見分けることが重要です。
| 項目 | 嘔吐(おうと) | 吐出(としゅつ) |
| タイミング | 食後しばらく経ってから | 食後すぐ、または無関係に突然 |
| 前兆 | よだれ、そわそわする、お腹が波打つ | なし |
| 行為 | 「おえっ」という強い腹筋運動を伴う | 「カハッ」と、力を入れずに吐き出す |
| 吐いたもの | 消化されたフード、胃液や胆汁が混じる | 未消化のフードがそのまま、粘液で覆われている |
| 主な原因 | 胃腸の問題、病気、乗り物酔いなど | 食道の病気(巨大食道症など)、早食い |
「嘔吐」と「吐出」は似たような行為に見えますが、実際には異なる現象です。
嘔吐は、胃に到達した食べ物や液体を体外に排出する行為であり、脳の嘔吐中枢によって引き起こされます。これに対し、吐出は、食べ物や液体が胃に到達する前に、食道の段階で排出される現象です。
吐出は、主に食道に何らかの異常がある場合や、犬が急いで食べ物を飲み込む際に発生することが多いです。嘔吐は、消化された食べ物や胃の内容物が関与するのに対し、吐出は未消化のままの食べ物を吐き出すことが特徴です。
また、吐出は、食べた直後に起こることが多く、犬があまり前兆なく急に吐き出すことが多いです。これらの違いを理解しておくことで、愛犬が嘔吐や吐出をした場合の適切な対処が可能になります。嘔吐や吐出が頻繁に起こる場合には、早めに獣医師に相談するようにしましょう。
そもそも犬が吐くのはなぜ?原因と対策
犬の嘔吐は、体にとって不要なものや有害なものを外に出そうとする、大切な防御反応の一つです。そのため、一過性で心配のないケースも多いですが、中には病気のサインが隠れていることも。ここでは、犬が吐く背景にある様々な原因を解説します。
原因①:食事や食べ方
吐いた後にケロッとしていて、元気や食欲がある場合の多くは、食事に関連する生理的な嘔吐です。
早食い・食べ過ぎ
勢いよくフードを食べ過ぎることで、胃が膨らみ、その刺激で吐いてしまうことがあります。特に多頭飼育で、他の犬のご飯を奪われないように焦って食べる子によく見られます。
空腹
空腹の時間が長くなりすぎると、胃酸や胆汁が胃を刺激して、黄色や白の泡立った液体を吐くことがあります。これは「空腹時嘔吐」と呼ばれ、特に朝方に多く見られます。
フードが合わない・急な変更
フードに含まれる特定の原材料が体に合わなかったり、急に新しいフードに切り替えたりした際に、消化器が対応できずに吐いてしまうことがあります。
原因②:病気や中毒
嘔吐が続いたり、元気や食欲の低下、下痢など他の症状を伴ったりする場合は、以下のような病気が原因となっている可能性があります。
ウイルス・細菌感染症
パルボウイルスなどのウイルスや、細菌による胃腸炎は、激しい嘔吐や下痢を引き起こします。
内臓の病気
膵炎、腎不全、肝不全、子宮蓄膿症、消化器の腫瘍など、様々な内臓の病気が、その症状の一つとして嘔吐を引き起こします。
異物の誤飲・中毒
おもちゃの破片や布、石などを飲み込んでしまい、それが胃や腸に詰まる(腸閉塞)と、食べたものを何度も吐くようになります。また、ネギ類やチョコレート、人間用の薬といった中毒性物質の摂取も、嘔吐の原因となります。
原因③:その他
上記以外にも、以下のような理由で嘔吐することがあります。
乗り物酔い
人間と同じように、車や船などの揺れによって三半規管が刺激され、乗り物酔いで吐いてしまうことがあります。
ストレス
引っ越しやペットホテル、長時間の留守番といった環境の変化による精神的なストレスが、自律神経を乱し、嘔吐に繋がることもあります。
犬が嘔吐した後の対処法
犬が嘔吐してしまった際の対処法は以下の通りです。
- 嘔吐後は食事を控える
- 水分を少しずつ与える
- 病院に伝えるべき情報を記録しておく
- 一度吐いたものは食べさせない
それぞれについて、以降で詳しく解説いたします。
1. 嘔吐後は食事を控える
犬が嘔吐した直後は、胃や腸がまだ敏感な状態にあります。嘔吐直後に食事を与えると、再び嘔吐を繰り返す可能性が高く、状態が悪化することもあります。
まずは、半日程度食事を控え、胃腸を休めてあげましょう。愛犬が欲しがっても、無理に食事を与えないようにしてください。吐き気が収まり、犬の様子が落ち着いてきたら、少しずつ食事を再開しますが、最初は少量から与えることがポイントです。
2. 水分を少しずつ与える
嘔吐後は脱水のリスクがあるため、水分を少量ずつ与えることが重要です。
ただし、一度に大量の水を与えると再び嘔吐を引き起こす可能性があるため、少しずつ数回に分けて飲ませるようにしましょう。特に暑い季節や運動後は、水分補給が大切ですが、勢いよく飲ませないよう注意が必要です。
3. 病院に伝えるべき情報を記録しておく
嘔吐の原因を特定するため、獣医師にとって「いつ、何を、どのように吐いたか」という情報は非常に重要です。可能であれば、吐いたものを写真に撮っておくと共に、以下の点をメモしておきましょう。
- いつ、何回吐いたか
- 吐いたものの色、内容物、臭い
- 嘔吐以外の症状(下痢、元気、食欲など)の有無
直前に食べたもの(フード、おやつ、拾い食いの可能性など)
4. 一度吐いたものは食べさせない
嘔吐後、犬が吐いたものを再び食べたがることがありますが、これは避けるべきです。
嘔吐した原因が胃腸のトラブルや異物の摂取である可能性があるため、再度食べさせることでさらに悪化することがあります。吐いたものはすぐに片付け、犬が触れないようにしましょう。
犬の嘔吐を予防するために日常でできること
ここでは、犬の嘔吐を予防するために日常でできることを紹介します。
食事の与え方を見直す
早食いや食べ過ぎで吐きやすい子には、一度にたくさんのフードが口に入らない早食い防止用の食器が効果的です。
また、空腹で胃液を吐きやすい子には、1日の食事量は変えずに食事の回数を2回から3〜4回に増やし、胃が空になる時間を短くしてあげましょう。寝る前の少量のおやつも有効です。
ドッグフードを変える場合は徐々に慣らす
新しいフードに切り替える際は、胃腸がびっくりしないよう、時間をかけてゆっくり慣らしていくことが大切です。
最低でも1週間から10日ほどかけ、今までのフードに新しいフードを少量ずつ混ぜ、その割合を徐々に増やしていくようにしましょう。
拾い食いをさせない
犬の届く範囲に、おもちゃの破片やビニール、人間の薬、中毒を引き起こす植物などを置かないよう、室内の環境を徹底的に管理しましょう。
また、散歩中は地面の臭いを嗅ぐのに夢中になって、タバコの吸い殻などを口にしてしまうことも。拾い食いの癖がある子は、特に注意が必要です。
こまめにブラッシングを行う
特に長毛種の場合、自分で毛づくろいをして飲み込んだ毛が、胃の中で毛玉となり、嘔吐の原因になることがあります。
こまめなブラッシングは、この抜け毛を物理的に取り除き、毛玉の形成を防ぐ最も有効な予防策です。それだけでなく、全身に触れるブラッシングは、皮膚の異常などを早期発見に役立ちます。
適度な運動と愛犬が安心して過ごせる環境を意識する
犬のストレスは、運動不足だけでなく、退屈からも生まれます。毎日の散歩はもちろん、時にはボール遊びで思い切り走らせたり、フードを隠して探させる「ノーズワーク」のような頭を使う遊びを取り入れたりして、心と体の両方を満たしてあげることが大切です。
また、愛犬が過ごす場所は、衛生面、日当たり、風通しにも気を配りましょう。不快な環境はそれ自体がストレスになってしまうため、愛犬が一番リラックスできる空間づくりを意識してみてください。
犬が吐いてしまう際の食事療法
愛犬が頻繁に吐いてしまう場合、サプリメントやおやつを利用した食事療法が有効な対策の1つです。消化が良い中程度のタンパク質を使用し、アレルギー源を排除した原料を採用することで、内臓を優しくケアします。
また、過剰な脂質を控えつつ、耐熱性の高いオメガ3脂肪酸を含む食品も腸の活動を助けます。
さらに、空腹感を和らげるために適度に与えられるサプリメントやおやつも役立ちます。
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まとめ
今回は、愛犬が吐いてしまう原因や対策、おすすめの食事療法などについてご紹介しました。改めて、愛犬が吐いてしまう原因には以下のようなものがあります。
・空腹によるエネルギー不足
・エネルギー過多による好転反応
・早食い・食べ過ぎ
・病気、体調不良など
・ストレスや不安
・ドッグフードが合わない
・アレルギー
・異物の誤飲
・ウイルス性感染症
・薬物や中毒
愛犬が吐く原因はさまざまですが、愛犬や愛猫が吐いた際には、吐いたものの色や種類、吐く回数や頻度を確認することが大切です。吐いた内容物の色によって、その状態を判断する手がかりとなります。
状態が深刻な場合は、獣医に相談しましょう。

