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愛犬が腎臓病のとき、「食事に野菜を加えてもいいの?」と迷いますよね。犬が腎臓病の時は腎臓に負担をかけるタンパク質やナトリウム、カリウムなどの栄養制限が必要です。生野菜には「カリウム」が含まれているので食事に取り入れる場合には、選び方や調理法に気をつける必要があります。
この記事では、腎臓病の犬が控えるべき野菜や与えても良い野菜、与え方について解説していきます。腎臓病の犬に野菜を与えようと思っている飼い主の方は、ぜひ参考にしてみてください。
腎臓病の犬に野菜を与えても大丈夫?
腎臓病の犬に野菜を与える際は、選び方と与え方に注意が必要です。腎臓の機能が低下していると、野菜に含まれるカリウムやリンがうまく排出できず、体内に蓄積して、病気が悪化してしまうことがあります。そのため、愛犬の状態にあった野菜を選び、調理法を工夫することが大切です。
以降では、腎臓病の犬に与えて良い野菜や控えるべき野菜、さらに具体的な与え方について詳しく解説します。日々の食事管理に取り入れて、愛犬の健康維持にお役立てください。
腎臓病の犬が控えるべき野菜
腎臓病の犬の食事で、野菜を選ぶときに気をつけたいのがカリウムの量です。腎臓の機能が低下すると、体内のミネラルバランスを調整する力が弱まり、特にカリウムをうまく体の外に出せなくなります。その結果、血液中のカリウム濃度が高くなる高カリウム血症を引き起こすことがあり、これは不整脈など心臓に深刻な影響を及ぼす危険な状態です。
カリウムが多い野菜かどうかを判断する基準として、100gあたりのカリウム含有量を見る必要があります。具体的には、100gあたり300mg以上のカリウムを含む野菜は注意が必要です。
以下に、腎臓病の犬が控えるべき野菜を具体的に挙げます。
ほうれん草
ほうれん草には100gあたり690mgものカリウムが含まれています。この数値は野菜の中でも特に高く、腎臓病の犬にとっては負担が大きい成分量です。生で与えるのは避け、茹でることでカリウムを減らす工夫が必要です。
かぼちゃ
かぼちゃには100gあたり430mgのカリウムが含まれています。甘みがあり犬が好むことも多いですが、腎臓病の犬には控えるか、適量を調理して与えるようにしましょう。
じゃがいも
じゃがいもは100gあたり410mgのカリウムを含みます。日常的に利用しやすい野菜ですが、そのまま与えるのは腎臓に負担をかける可能性があります。茹でることでカリウムを減らしてから与えるのが良いでしょう。
さつまいも
さつまいもには100gあたり470mgのカリウムが含まれています。食物繊維が豊富で消化を助ける一方、カリウム量の高さが懸念されるため、与え方に注意が必要です。
さといも
さといもには100gあたり640mgのカリウムが含まれており、ほうれん草に次いで高い数値です。腎臓病の犬にとっては負担となるため、生や蒸した状態での使用は避けましょう。
カリフラワー
カリフラワーには100gあたり410mgのカリウムが含まれています。白い見た目からカリウムが少ないと思われがちですが、実際には注意が必要な量を含んでいます。腎臓病の犬に与える場合は、十分に茹でて水にさらすなどの工夫をしましょう。
タケノコ
タケノコには100gあたり520mgのカリウムが含まれています。春の季節に出回ることが多い食材ですが、腎臓病の犬に与える際は量を制限することが大切です。市販の水煮タケノコは一度ゆでられているため生のものよりカリウム含有量が少なくなっています。
ブロッコリー
ブロッコリーは、生の状態で100gあたり460mgと、多くのカリウムを含んでいます。健康的なイメージですが、腎臓病の子にはそのカリウム量が大負担となるため、生のまま与えるのは絶対に避けるべきです。
ただし、カリウムは水に溶けやすいため、細かく刻んでから茹でると、含有量を210mg程度まで減らすことができます。もし与える場合は、下処理を徹底し、ごく少量に留めましょう。
腎臓病の犬に与えても良い野菜
腎臓病の犬には、カリウム含有量が比較的少ない野菜を選ぶことが大切です。これらの野菜は腎臓に負担をかけにくく、適切に調理することで、愛犬の食事に安全に取り入れることができます。以下に、腎臓病の犬に与えても良い野菜を具体的にご紹介します。
キャベツ
キャベツはカリウム含有量が低く、腎臓病の犬にも比較的安心して与えられる野菜です。食物繊維が豊富で消化を助ける働きも期待できます。生ではなく、茹でたり蒸したりして与えると、さらに安全です。
大根
大根は水分が多く、カリウム量が控えめな野菜です。腎臓への負担を軽減しながら、消化を助ける効果もあります。薄くスライスして茹でると、愛犬も食べやすくなります。
きゅうり
きゅうりは水分が豊富でカロリーが低いのが特徴です。カリウムの含有量も少ないため、腎臓病の犬にも適しています。皮を剥いて薄切りにすると消化しやすくなります。
レタス
レタスは軽く茹でて与えることで、腎臓病の犬に安心して与えられる野菜です。水分を多く含み、カリウム量も低めなので、ちょっとしたトッピングとしても活用できます。
もやし
もやしはカリウムが少なく、腎臓病の犬におすすめの野菜です。茹でることでさらに安全に与えられます。また、価格も手頃で手に入りやすいのも利点です。
腎臓病の犬への野菜の与え方
腎臓病の犬に与えても良い野菜が分かったら、次はその与え方に注意することが大切です。適切な調理法を取り入れることで、野菜の栄養を活かしつつ腎臓への負担を軽減できます。
以下では、腎臓病の犬に野菜を与える際の手順を説明します。
1. 野菜を細かくみじん切りにする
まず、野菜を細かく刻みましょう。みじん切りにすることで茹でる際にカリウムが水に溶け出しやすくなります。また、消化機能が落ちている子にとっても、細かく刻んであげることで、消化の助けとなります。腎臓病の犬に野菜を与える際は、細かく刻むことを心がけてください。
2. 切った野菜を茹でる
次に、細かく切った野菜を茹でましょう。茹でることで野菜に含まれるカリウムを減らすことができます。カリウムは水に溶けやすい性質を持っているので、茹でることで、大部分を茹で汁に移すことができるのです。
茹で時間は5〜10分が目安です。茹ですぎは他の栄養素を損なう可能性があるので、この時間を目安に、しっかりとカリウムを減らしてあげましょう。
3. 茹で汁を捨てる
茹でた後の茹で汁にはカリウムが多く溶け出しているため、必ず捨ててください。この茹で汁をそのまま使ってしまうと、カリウムを再び食事に戻してしまうことになり、意味がなくなります。茹でた野菜だけを取り出して、使うようにしましょう。
4. 他のフードと混ぜて与える
調理した野菜は、肉やドッグフードと混ぜて与えるとよいでしょう。腎臓病の犬にはタンパク質の量にも注意が必要なため、腎臓病対応の低タンパク質ドッグフードを選ぶことが重要です。これにより、栄養バランスが整った食事を与えることができます。
愛犬が腎臓病になった際の対策
腎臓病や腎不全と診断されてしまった場合、腎臓への負担を軽減し、病気の進行を遅らせるために栄養制限が必要です。一般的に、腎臓疾患がある場合には、タンパク質を20%以下に抑えた低タンパク質の食事が推奨されています。
ただし、ドッグフードの中にはカロリー源でもあるタンパク質を減らす代わりにカロリーの補填として高脂肪食(10%以上)になるものもあり、高脂質のものを摂取することで肝臓や膵臓など他の内臓疾患を引き起こす可能性があります。
さらに、リンやナトリウムなどのミネラル成分を必要以上に制限することは、腎臓の負担を軽減するという意味ではメリットがありますが、毛並みが悪くなる、筋肉がやせ細るといったデメリットも生じるため、バランスを考えた制限が必要です。
タンパク質を控える
<タンパク質は20%以下に抑える>
タンパク質が体内で分解されると、老廃物である尿素窒素(BUN)が発生します。この尿素窒素は腎臓でろ過されて体外に排出される仕組みです。要するに、タンパク質を摂取した分だけ血液中のBUNも増加し、それに伴い腎臓の処理量も増えるため、腎臓に負担がかかります。
そのため、慢性腎不全で腎臓のろ過機能が低下してくると、血液検査で尿素窒素(BUN)が高くなるのです。
タンパク質を適度に制限して腎臓への負担を軽くすることが大切です。
リンとカリウムの摂取を控える
<リンやカリウムも過度な制限はデメリットもあり、低いほど良いというものではない>
リンはミネラルのひとつで、骨や歯の成分となったり、細胞で体の調整をしたりと身体に必要な栄養素です。
通常は腎臓がろ過や再吸収を行い、血中のリンの濃度を調節しています。しかし腎臓の機能が低下するとこの調整がうまくいかず、体内に蓄積した結果、腎臓病を悪化させてしまいます。
リンはタンパク質と関連する栄養素であるため、タンパク質を適度に制限することで、リンの摂取量も自然に制限されます。
また、野菜に多く含まれるカリウムは主に腎臓でろ過される電解質です。そのため、腎機能が低下している場合に過剰に摂取すると、むくみや高血圧、心臓への影響などが現れる可能性があります。
市販の腎臓病用のドッグフードであれば過剰摂取の心配はあまりないですが、手作り食で野菜を使用する場合は、茹でるなど調理法に工夫が必要です。
オメガ3脂肪酸を摂取する
オメガ3脂肪酸は、血液の流れを作り、抗炎症作用があると言われている成分です。
植物性では「エゴマ油」「アマニ油」、動物性では「クリルオイル」「サーモンオイル」等のDHA、EPAなどがオメガ3脂肪酸を多く含みます。
脂質と聞くと体に悪いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、オメガ3脂肪酸を積極的に摂ることにはメリットがあります。
高品質の脂質を摂取する
脂には大きく分けて2種類あります。
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「良い脂(=固まらない)」と「悪い脂(=固まる)」
一般的に乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる「飽和脂肪酸」は体の中で固まりやすい脂です。一方、常温では液体の「不飽和脂肪酸」は体の中で固まらず、むしろ血液の流れを良くする働きがあります。
中でもオメガ3脂肪酸は抗炎症作用があり、体内の炎症と闘ってくれる有能な脂です。オメガ3脂肪酸は体の中では作れないため、食べ物から摂らなければなりません。
普段の食事ではオメガ6が多くなりがちなので、意識的にオメガ3を摂るように心がけましょう。
腎臓病で控えるべき食材
腎臓病や腎不全などと診断された場合、腎臓への負担を軽減し、病気の進行を遅らせるための栄養制限が必要です。
慢性腎臓病は進行性の病気であるため治すことはできませんが、食事に気をつけることで進行を緩やかにし、QOL(生活の質)の維持が期待できます。
カリウムの多い野菜
腎臓に負担をかけるカリウムを多く含む野菜の代表的な物には、ほうれん草、かぼちゃ、カリフラワー、じゃがいも、さといも等があります。
これらの野菜はカリウムを多く含んでいますが、細かく切って茹で、煮汁も捨てることでカリウムの含有量を減らせます。腎臓病の犬には、しっかり処理してから与えましょう。
乾燥ジャーキー
乾燥したお肉=ジャーキーは、高タンパク質
無添加であっても凝縮されたタンパク質は、機能が低下した腎臓に負担を与えます。パッケージ裏の成分表示で「粗たんぱく質」が40%以上のものは要注意です。
タンパク質の多いペットフード
良質なタンパク質であっても、過剰に摂取した場合は代謝する際に犬の腎臓に負担をかけることになります。
また、多量のタンパク質だけでなく、ナトリウムやリン等も多く含まれています。ナトリウムやリンは腎臓や肝臓で処理されるため、腎臓病の犬にはタンパク質が多いフードは大きな負担となるでしょう。
カリウムの多いフルーツ
バナナ・キウイフルーツ・干し柿・メロンなどの果物はカリウムを多く含んでいます。
腎機能が低下するとカリウムを体外に排出しづらくなっているので、これらのフルーツは単独で食べさせるのではなく、茹でた野菜と一緒に与えるのがおすすめです。
食物繊維は果糖を絡め取り、カリウムを薄める働きがあることから、果糖やカリウムのデメリットを軽減する効果があります。
茹でた野菜で食物繊維を作るレシピは以下の通りです。
◆サキニコブ(血糖値を上げにくい野菜)◆
さつまいも・きのこ・人参・小松菜・ブロッコリー
いずれも必ず細かくみじん切りし、3分以上茹でて、ゆで汁は捨てましょう。
※焼く、蒸す、レンジはNG
・糖分や不要な栄養成分が流れ出ているゆで汁を捨てる事が大切です。
・フルーツとゆで野菜の割合は1:1が目安になります。
特にシニア期や内臓疾患のある愛犬にはこのような工夫をしてあげると無難でしょう。
腎臓病の犬におすすめのドッグフード
腎臓に負担をかけない栄養制限と体全体に供給したい栄養のバランスが、腎臓のケアには大切です。
《制限しすぎない低タンパク・低リン・低ナトリウム》
・適度な低タンパク
AAFCO基準をクリアしているので、過度な制限をしておらず長期使用が可能。
・適度な低リン・低ナトリウム
リンやナトリウムは、生命維持に必要な栄養素であり制限のし過ぎはデメリット。
・低脂質
腎臓用のフードは概ね低タンパクな反面、高脂質で他の疾患の要因にも!みらいのドッグフードは低脂質、かつ質の良い脂、180℃でも破壊されない耐熱性オメガ3脂肪酸を配合。
・難消化性炭水化物
胃で消化されにくく、食物繊維として腸に届くので、血糖値をあげにくいのが特徴。食物繊維が腸内の善玉菌を増やし、余分な物を絡めとり、排出してくれます。89種類の和漢植物がピンポイント+体全体をサポートし、体質改善に導きます。
愛犬の腎臓病を予防する方法
愛犬の腎臓病は早期発見がなにより大切です。また、日々の生活習慣が予防につながるため、飼い主が注意すべきポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、特に効果的な3つの予防方法を紹介します。
- 定期的な健康診断
- 適度な運動
- 口腔ケア(歯磨き)
それぞれの予防法について詳しく見ていきましょう。
1. 定期的な健康診断
1つ目の予防法は、半年に1回を基準に、定期的に健康診断を受けることです。
腎臓病は初期段階では症状が現れにくいため、健康診断で早期に異常を発見することが予防につながります。特に高齢犬や腎臓病のリスクが高い犬種(例:柴犬、シーズーなど)では、血液検査や尿検査を通じて腎臓の状態を定期的に確認することが欠かせません。
例えば、健康診断で腎機能の低下が見つかった場合、早期治療や食事管理を始めることで、病気の進行を抑えられる可能性が高まります。腎臓病を防ぐために、年齢や体調に応じた健康診断を計画的に行いましょう。
2. 適度な運動
腎臓病の予防には、毎日の適度な運動も欠かせません。目安としては、1日2回、1回あたり15分〜30分程度の散歩を基本としましょう。運動は全身の血行を促進し、腎臓の働きを助けるだけでなく、肥満を防ぐことで、腎臓への直接的な負担を軽減します。
ただし、すでにシニア期に入っている子や、関節に不安がある子に、長時間の散歩は逆効果です。その場合は、1回の時間を10分程度に短縮し、回数を3回に増やすなど、愛犬の体力に合わせて調整してください。日々の運動が愛犬の健康全体を支える重要な予防となります。
3. 口腔ケア(歯磨き)
口腔ケアも腎臓病を予防する方法の一つです。歯周病菌が血液中に入り込み、腎臓にダメージを与えることが分かっています。特に歯石が蓄積すると、腎臓病だけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼします。
具体的には、犬専用の歯ブラシやデンタルジェルを使用して1日1回の歯磨きを行うほか、デンタルケア用のおもちゃやガムを取り入れることも効果的です。歯磨きが難しい場合でも、他のケア方法を活用して口腔内を清潔に保ちましょう。
口腔ケアは腎臓病の予防だけでなく、愛犬の健康寿命を延ばすためにも重要です。
まとめ
腎臓病の犬に良いものは、「野菜の食物繊維」
野菜に含まれる食物繊維を摂取することは、体内の余分な物質の排出を促すため、腎臓病の犬にとってメリットがあります。
ただし、野菜を選ぶときはカリウムの少ないものを選び、茹でてカリウムの含有量を減らしてから使うと良いでしょう。
バランスの良い食事
犬が腎臓病の時は、腎臓の負担になるタンパク質やナトリウム、カリウムなどの栄養素を制限する必要があります。
したがって、タンパク質やミネラル成分の高い食材を単独で取り続けることは、それらの過剰摂取につながるので、おすすめではありません。適度なタンパク質、適度なミネラル、適度な食物繊維が必要ですので、お肉やお野菜をバランスよく摂ることも大切です。

