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犬の皮膚に、「白い塊」が!?
シャンプーしても数日後にはベタベタしてしまい、においも気になるし、カサカサしてフケっぽい!愛犬がこんな肌トラブルを抱えている方もいるのではないでしょうか。
今回は「脂漏症」のお話です。
「脂漏症」とは、どんな症状なのか?また対策や予防方法をご紹介します。
犬の皮膚に白い塊があったら脂漏症の可能性あり
犬の皮膚には、外部の刺激から体を守り、内側の潤いを保つためのバリア機能が備わっています。このバリア機能は、皮膚が正常に代謝することで保たれていますが、代謝サイクルが通常よりも短くなることで、皮膚状態が悪化することがあります。
例えば、犬の皮膚には人と同じく脂を出す分泌腺がありますが、そこから過剰に皮脂が分泌されると、皮膚が脂っぽくなり、白や黄色い脂の塊が見えることもあります。
また、逆に皮膚が乾燥してフケが多く出たりすることもあり、この状態を「脂漏症」と言います。
脂漏症は、ホルモンの分泌異常、食事中の脂肪のバランス、ビタミンAや亜鉛の不足、ノミダニなどの寄生虫や細菌感染、アレルギーなどが原因として挙げられますが、特定は困難で、ほかの皮膚炎が慢性化した結果、起こることもあります。
脂漏症に見られる症状
犬の脂漏症は、主に「油性脂漏症」「乾性脂漏症」「脂漏症皮膚炎」に分類することができ、それぞれ症状が異なります。
体や毛がベタつく
「油性脂漏症」は、犬の皮脂の分泌が過剰になった状態で、皮膚や被毛はベタベタと脂っぽくなります。白や黄色っぽい脂の塊が、被毛と皮膚に付着していることもあり、体臭(脂漏臭)もきつくなります。
フケが出る
「乾性脂漏症」は、通常サイクルよりも早く細胞が剥がれ落ちることで、犬の皮膚が乾燥する、フケがたくさん出るといった症状が出ます。
かゆみが出る
「脂漏症皮膚炎」は油性脂漏症が重篤化したものを指します。
皮膚の炎症や赤みなどが見られるようになり、かゆみも強く出ます。また、皮膚の色素沈着や苔癬化※などが見られます。かゆみにより犬自身が掻いたり、噛んでしまったりして、傷を作ってしまうこともあります。
※苔癬化:皮膚が厚くなり、表面にしわや溝が深くくっきりと現れた状態のこと。
脂漏症にかかる主な原因
皮膚のターンオーバーとは、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組みのことです。
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つが重なってできていますが、ターンオーバーは肌の一番外側にある「表皮」で起こっています。
犬の皮膚はおおよそ3週間で新しい細胞に置き換わりますが、皮膚のターンオーバーが乱れると、表皮の保護作用が衰えて、皮膚が乾燥しやすくなります。皮膚が乾燥すると、乾燥から守るために皮脂が過剰に分泌されます。これが、皮脂でベタベタする状態です。
また、ターンオーバーが乱れ、皮膚の細胞が剥がれ落ちる周期が早まることで、多量のフケにつながります。
■遺伝
1歳以内の若い年齢で脂漏症を発症した場合は、遺伝が関係していると考えられます。親から受け継いだ体質として皮脂の分泌が多い犬種も存在します。
脂漏症を起こしやすい犬種としては、アメリカン・コッカー・スパニエル、ウエストハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズーが挙げられます。他にもビーグル、ダックスフンド、プードル、バセット・ハウンドなどでも脂漏症を認めます。
これらの犬では正常な犬に比べて脂腺の数が多い可能性があると言われています。
■ホルモンのバランスの乱れ
甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモン、性ホルモンなどの分泌異常により、犬の皮脂が異常に分泌されたり、二次的に皮膚の角化亢進が起こったりすることで脂漏症の原因となってしまうことがあります。
■食事
年齢や疾患に合っていないドッグフードや、食事で過剰なタンパク質、糖質、脂質を多く摂取すると脂漏症を招く可能性があります。
タンパク質もバランス調整が大切です。
また、脂質の不足や質により、皮脂の量が減ってしまったり、ミネラルやビタミンの不足により角化が進んだりすることでも、脂漏性が発症することがあります。
質の悪いドッグフードや、ドッグフードの酸化にも注意しましょう。
■間違ったスキンケア
シャンプーの種類や頻度、洗い方、乾かし方など、ケアの方法が適切でないと、皮膚が乾燥しやすくなります。
そのために過剰に皮脂が分泌され、脂漏症の原因となることがあります。
■寄生虫・真菌感染
ヒセンダニ(疥癬虫)やツメダニ、ノミなどの皮膚の寄生虫、糸状菌の一種で、犬の皮膚に常在するマラセチア真菌の異常な増殖などが原因となって、二次的に犬の脂漏性皮膚炎を起こしてしまうことがあります。
■環境
高温・多湿の環境では脂腺からの分泌が亢進します。日本では5~9月に脂漏症の症例が増える傾向にあります。
脂漏症の治療方法
シャンプーによるスキンケア
一般的な脂漏症の治療はシャンプーなどのスキンケアとなります。
皮膚の表面に付着したフケ、余分な脂分を除去し、皮膚症状の改善が期待できます。皮膚の状態にもよりますが、皮脂をしっかり落とす成分を主に、細菌やカビの繁殖を抑える成分が含まれる、薬用シャンプーによる洗浄が望ましいです。
シャンプー後は必ず保湿をしましょう。脂分が取れ、一時的に皮膚が乾燥すると、皮膚を守るためにかえって皮脂の分泌が増えてしまいます。
保湿ローションやスプレーあるいは、保湿性の高いシャンプーを使用するなど、適度なうるおいを保つようにしてあげてください。
薬浴処置
皮脂、フケを減らすことを目的に、脂漏症用のシャンプーを使用した薬浴をします。
頻度は犬の症状や状態などによっても異なりますが、最初は週2回程度から始めて、べたつきが抑えられてきたら、徐々に間隔を空けたり、シャンプー剤の変更を検討しましょう。
硫化セレン、コールタール、硫化サリチル酸、過酸化ベンゾイル等や抗真菌剤の含まれたシャンプーなどを用います。
薬浴処置は動物病院併設のトリミングサロンで行われることも多く、シャンプー料金にプラスして薬浴代が別途かかることが一般的です。動物病院で薬浴用のシャンプー剤を処方してもらい、自宅や、行きつけのサロンでいつものトリマーさんに洗ってもらうのも良いでしょう。
抗生物質の服用
かゆみが出ている場合は、細菌やカビの増殖が疑われるので、抗生物質や抗真菌薬の服用が検討されます。かゆみや皮膚炎の強さによっては、抗ヒスタミン薬やステロイド剤、免疫抑制剤が使用されることもあります。
脂漏症を予防する方法
保湿などスキンケアを徹底する
・正しいスキンケアを行う
適切なシャンプーと、保湿を心がけましょう。シャンプー剤は、かかりつけの動物病院に相談してみるとよいでしょう。
・ブラッシングを定期的に行う
ブラッシング時に皮膚の状態をチェックすることで、異変が起きたときに気がつきやすく、皮膚病の早期発見に繋がります。
バランスの取れた食事を用意する
栄養バランスの良い食事を与えることが重要です。
おやつなどによって、糖質や脂質の摂取が過剰にならないようにしてあげてください。
亜鉛・銅などのミネラル、ビタミンA、ビタミンCなどは、皮膚の再生やバリア機能の保持にとって重要な働きをします。
高温多湿の環境を避ける
高温多湿の環境は症状を悪化するといわれているので、夏場は室温と湿度には気をつけましょう。室温の目安は25~28℃、湿度は60%~70%を維持するように意識しましょう。
皮膚のべたつき、乾燥、赤みには栄養バランスのとれた食事が重要
良質な脂質(耐熱性オメガ3脂肪酸)と高すぎないタンパク質、89種以上の和漢&マクロビ食材で栄養補給とデトックスを促すお食事
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まとめ
脂漏症になると、皮膚が乾燥したり、ベタベタと脂っぽくなったりします。体質が原因となる場合もありますが、別の病気が根本にある場合もあります。
とりわけ、好発犬種と言われている犬たちは、日頃より皮膚を清潔に保つこと、良質な食事を摂ることなどが重要なポイントとなります。
シャンプーなどのお手入れは楽しい事と思わせるように、シャンプー後はご褒美をあげたり、コミュニケーションを取りながら進めてあげるのが良いでしょう。
■犬の皮膚に白い塊があったら脂漏症の可能性あり
■脂漏症に見られる症状
・体や被毛がベタつく
・フケが出る
・かゆみが出る■脂漏症にかかる主な原因
・遺伝
・ホルモンのバランスの乱れ
・食事
・間違ったスキンケア
・寄生虫、真菌感染
・環境■脂漏症の治療方法
・シャンプーによるスキンケア
・薬浴処置
・抗生物質の服用■脂漏症を予防する方法
・保湿など、適切なスキンケアを徹底する
・バランスの取れた食事を与える
・高温多湿の環境を避ける