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犬の皮膚にできた白いイボ・できものは何?原因や受診の目安、治療法を紹介

「愛犬の体に、白いイボのようなものができている…」
「これって何かの病気?もしかして癌だったらどうしよう…」

愛犬の体にこれまでなかった「できもの」を見つけると、飼い主様は大変不安になることでしょう。特に白いイボや塊は、良性のものから注意が必要なものまで様々です。

この記事では、犬の皮膚にできる白いイボについて、考えられる病気や危険な悪性腫瘍(癌)との見分け方、動物病院での治療法や、ご家庭でできる日常ケアまで解説します。

犬の皮膚にできる白いイボやできものの原因

犬の皮膚にできる白いイボや塊の原因として、以下の4つの可能性が考えられます。

1. ウイルス性乳頭腫(イボ)

通称「イボ」として一般的なのが、パピローマウイルスへの感染が原因でできる良性の腫瘍です。特に免疫力が未熟な若い犬や、免疫力が低下した高齢犬に見られます。カリフラワーのような形状で、口の中や目の周りに多発することが多いのが特徴です。多くは自然に消えることもありますが、数が多い場合や、生活に支障が出る場合は切除することもあります。

2. 皮脂腺の腫瘍(皮脂腺腫、皮脂腺上皮腫など)

皮脂を分泌する「皮脂腺」が異常に増殖してできる腫瘍で、高齢犬に非常によく見られます。白〜ピンク色のドーム状で、表面が少しデコボコしていることが多いです。ほとんどが良性ですが、大きくなると表面が崩れて出血したり、細菌感染を起こしたりすることがあります。

3. 脂漏症(しろうしょう)

皮膚の新陳代謝が乱れ、皮脂が過剰に分泌されることで起こる皮膚疾患です。腫瘍ではありませんが、毛穴に皮脂や角質が詰まり、白いニキビのような塊として現れることがあります。同時に、体全体のベタつき、フケ、独特の脂っぽい臭いなどを伴うのが特徴です。

4. 悪性腫瘍(癌)の可能性

頻度は低いですが、悪性腫瘍(癌)の可能性もゼロではありません。特に注意が必要なのが「扁平上皮癌」や「肥満細胞腫」などです。これらは初期には良性のイボと見分けがつきにくいことがありますが、急に大きくなる、形が崩れる、出血するなどの特徴が見られます。

犬の白いイボは大丈夫?放置は危険?
病院の受診を考えるべきサイン

愛犬に見られる小さな白いイボは、多くの場合、加齢などに伴う良性のもので、急いで治療が必要ないことも多いでしょう。

しかし、その見た目が似ていても、中には悪性腫瘍(癌)の可能性もゼロではなく、早期に動物病院を受診すべきケースもあります。ここでは、具体的にどのようなサインが見られたら注意が必要なのか、詳しく確認していきましょう。

成長スピードが早い

良性イボの成長はゆっくりですが、悪性腫瘍は急速に大きくなることがあります。1ヶ月前と比べて明らかに大きい」など、変化が速い場合は注意が必要です。定期的に写真を撮って大きさを比較するのもおすすめです。

形がいびつで、境界が不明瞭

良性イボはきれいな円形やドーム状に近いことが多いです。形が左右非対称だったり、周囲の正常な皮膚との境目がはっきりしなかったりする場合は、悪性の可能性があります。

表面が崩れて出血・化膿している

良性のイボでも、犬が気にして舐めたり掻いたりして出血することはあります。しかし、悪性腫瘍は組織がもろく、自ら崩れやすい(自壊する)という特徴があります。

特別な刺激がないのに常にジクジクしていたり、治りにくい潰瘍(かいよう)になっていたり、出血を繰り返したりする場合は注意が必要です。

犬がしきりに気にしている(痛みや痒みがある)

多くの良性イボは、犬自身が気にしていない無症状のケースがほとんどです。

もし愛犬が、その白いできものを執拗に舐めたり、噛んだり、触られるのを嫌がったりする場合、それは痛みや強い痒みを伴っているサインかもしれません。炎症が強いか、悪性の腫瘍である可能性が考えられます。

犬の白いイボ|動物病院での検査から治療までの流れ

ここでは、一般的な検査から治療までの流れを見ていきましょう。

1. 問診と視診・触診

飼い主様から詳しいお話を聞く「問診」から始まります。「いつからあるか」「大きさや色に変化はあるか」「犬が気にしているか」といった、ご自宅での観察内容を獣医師に伝えましょう。事前に撮っておいた写真も役立ちます。その後、獣医師が実際にイボを見て、触って大きさや硬さ、形状、場所などを詳しく確認します。

2. 細胞診(針を刺す簡単な検査)

イボの正体を探るための検査を行います。一般的に行われるのが「細胞診」です。これは、イボに注射針のような細い針を刺して、中の細胞を少しだけ採取し、顕微鏡で観察する検査です。

ほとんどの場合、麻酔も不要で、痛みも少ないため、犬への負担は最小限で済みます。この検査によって、その場で良性か悪性か、ある程度の当たりをつけることができます。

3. 診断と治療方針の相談

診察と検査の結果をもとに、獣医師が考えられる病名を説明し、今後の治療方針を提案します。

例えば、「良性の皮脂腺腫の可能性が高いので、急いで取る必要はありません。大きくなるか、経過を観察しましょう」あるいは「悪性の可能性も否定できないため、切除して詳しく調べましょう」といったように、いくつかの選択肢が提示されます。

飼い主様の希望や犬の年齢、健康状態などを考慮しながら、獣医師と相談して最適な治療法を決めていきます。

4. 治療の実施

治療が必要と判断された場合、イボの種類や大きさ、場所に応じて、以下のような方法が選ばれます。

  • 外科的切除:最も確実な方法。悪性の場合は、再発を防ぐために周囲の組織も広く切除します。
  • レーザー治療:ウイルス性のイボや小さな良性腫瘍に。出血が少なく、体への負担を抑えられます。
  • 凍結療法:液体窒素でイボを凍らせて壊死させる方法。小さなイボに適しています。

多くの場合、これらの治療は日帰りか、一泊程度の入院で完了します。

犬の白いイボ、
自宅でできるケアと絶対にやってはいけないこと

愛犬にイボを見つけた時、飼い主様が自宅でできること、絶対にやってはいけないことがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

【絶対にNG】飼い主がやってはいけないこと

良かれと思った行動が、かえって症状を悪化させる危険があります。

自分で取ろうとする・潰す

イボを無理やり取ろうとしたり、ニキビのように潰したりするのは絶対にやめてください。皮膚の深い部分まで傷つけて細菌感染を起こしたり、ウイルス性のイボの場合はウイルスを周囲に広げてしまい、イボが増える原因にもなります。

人間用の市販薬を塗る

人間用のイボ取りクリームや軟膏は、犬にとっては刺激が強すぎたり、舐めてしまうと中毒を起こす成分が含まれていたりすることがあります。自己判断で薬を塗るのは危険です。

自宅でできる正しいケアと予防のポイント

ご家庭では、イボを「治す」のではなく、「悪化させない」「できにくい体づくりを目指す」という視点が重要です。

イボを刺激せず、清潔に保つ

ブラッシングやシャンプーの際は、イボを強くこすって傷つけないよう注意しましょう。犬がイボを気にして舐めたり掻いたりする場合は、エリザベスカラーや犬用の服を着せて、物理的に患部を保護することが、悪化を防ぐ上で非常に効果的です。

スキンケアで皮膚のバリア機能を保つ

脂漏症など、皮膚の新陳代謝の乱れが原因の場合、適切なシャンプーと保湿が重要です。洗いすぎは禁物。獣医師に相談し、愛犬の肌質に合った薬用シャンプーや保湿剤を選びましょう。

免疫力を正常に保つ生活を心がける

ウイルス性乳頭腫は、免疫力の低下が発症の引き金になります。愛犬がウイルスに負けない体を維持するために、以下の3つの生活習慣を意識してみましょう。

  • ストレスの少ない環境:安心できる寝床を用意し、大きな物音などを避ける。
  • 適度な運動:血行を促進し、新陳代謝を活発にする。
  • 質の良い食事:皮膚と免疫の健康を支える、バランスの取れた食事を与える。
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犬の白いイボに関してよくある質問

最後に、犬の白いイボに関してよくある質問に答えていきます。

高齢犬にできた白いイボは、取ったほうがいいですか?

多くは良性の皮脂腺腫ですが、大きくなって犬が気にしたり、出血したりする場合は、生活の質(QOL)を上げるために切除した方が良いでしょう。麻酔のリスクもあるため、獣医師とよく相談してください。

白いイボは、他の犬や人にうつりますか?

ウイルス性乳頭腫(パピローマ)は、犬から犬へうつる可能性があります。イボがある犬との濃厚な接触は避けましょう。ただし、犬のパピローマウイルスは人にはうつりません。

白いイボが、だんだん黒くなってきました。大丈夫ですか?

イボの内部で微小な出血が起きたり、メラニン色素が沈着したりして、色が変化することがあります。多くは心配いりませんが、悪性腫瘍(メラノーマなど)の可能性もゼロではありません。色の変化に気づいたら、一度獣医師に診てもらうと安心です。

まとめ

愛犬の皮膚にできた白いイボや塊は、多くの場合、加齢に伴う皮脂腺腫や、ウイルス性乳頭腫といった良性のものです。

しかし、中には悪性腫瘍(癌)の可能性もゼロではありません。飼い主様にとって重要なのは、自己判断で「ただのイボだろう」と放置しないことです。特に、イボが「急に大きくなる」「出血する」「形が変わる」といった変化を見せた場合は、迷わず動物病院を受診してください。

日頃から愛犬の体をよく触り、小さな変化に気づいてあげることが、大きな病気の早期発見に繋がります。この記事が、飼い主様の不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。