Contents
飼い主としては、いつまでも愛犬に健康で長生きしてほしいですよね。人間と同様、犬にとっても肥満は万病のもと。肥満によって、内臓だけでなく足腰にも負担がかかってしまいます。適正な体重を保つことが、健康を守ることに繋がります。
愛犬にダイエットが必要かどうかを判断する目安のひとつに、「ボディ・コンディション・スコア」(BCS)というものがあります。BCSとは、体形を評価する指標で、5段階で評価されることが多く、3を理想として、数字が小さくなるほど痩せていて、大きくなるほど太っていることを表します。
もし、愛犬のBCSが4~5になってしまった場合はダイエットを意識しましょう。犬のダイエットの基本は、日々の食事や運動を見直すことです。ここではダイエットの方法や肥満のリスク、愛犬がリバウンドをしない秘訣などをお伝えしていきます。
犬のダイエット方法【食事編】5選
愛犬のダイエットで最も有効なのが、カロリーコントロールです。犬は自分でおやつや食事の量を決めることができません。また、中には出されたものは本能的に食べてしまう子もいます。そのため、食べるものは飼い主さんがコントロールする必要があります。特に運動量が少ない犬は、摂取しているカロリーが消費カロリーをオーバーしていることが多いので、食事を適切な量に調整することが大切です。
1.摂取カロリーを適切にする
生活の中で必要なエネルギーよりも、食べるエネルギーの量が多ければ、体に蓄積され、体重は増えていきます。フードの袋から適当な量をあげてはいないでしょうか?まずは与えているフードの量をきちんと計ってみましょう。
次に、フードのパッケージに書いてある、体重あたりの推奨量から、1日のフード量を計算し、比較してみます。この時、ダイエットが必要な場合は、現在の体重ではなく、理想の体重を想定して計算してください。1日に与えている量が、目標体重の推奨量よりも多い場合には、まずはこの量までフードを減らしてみましょう。
ただし、同じ体重でも運動量の多い少ない、不妊去勢手術の有無などで食事の適正量は異なります。適正なフード量を与えているのに太ってしまった場合には、さらに
・通常の80%くらいの食事量にしてみる
・野菜などで食事にかさ増しをする
・水分を足してスープ状にしてあげてみる
などの工夫をしてみましょう。
※ちなみに、一般的に市販されている総合栄養食は100g中「380~450kcal」です。これ以上のものは高カロリーの部類に入ります。
※おやつのあげ過ぎも要注意です。フードが適正な量だったとしても、おやつを食べすぎることでカロリーオーバーになってしまう場合もあります。
2.タンパク質比率にも注意
また、気をつけるべきは、カロリーだけでなく、タンパク質です。特に乾燥ジャーキーは、タンパク質が多く、腎臓や肝臓に負担をかけます。腎臓や肝臓の働きが低下すると肥満の原因になることもあります。目安として「タンパク質30%以下」、病気の犬の場合には「タンパク質20%以下」のものがおすすめです。
3.食事回数を細かくする
犬のダイエットは空腹感を紛らわせることが大切です。空腹感が続くと、内臓の活動が低下する上、基礎代謝も下がってしまい痩せにくくなります。多くの飼い主さんは愛犬の食事を1日2回にしていると思います。 これは犬の消化スピードに合わせた回数ですが、与える量を変えずに回数を増やすことはダイエットに有効です。
一気食いをしてしまう犬は特に「食事」という行為そのものに満足感を得る場合がありますので、1日3〜4回に分けてあげることを試してみてください。満腹とまではいかないにしても、犬に空腹だと感じさせないようにコントロールしましょう。「少量をゆっくり何回も食べる」のがダイエット成功のコツです。
4.人間の食事を与えない
食事をしていると、愛犬がそばに寄ってきておねだりすることがあります。人間の食べ物は嗜好性が高いので欲しがることが多いですが、人間から見ると少ない量だと思っていても、犬にとってはカロリーが高いものが多く、約9 kgの体重の犬にとって30g弱のチェダーチーズは、人間で言えば、なんとハンバーガー1.5個分のカロリーに相当します。
典型的な人間の食べ物(食事)は、脂肪分が多すぎて犬にはそれを適切に消化することができません。それを食べてしまうと、嘔吐や下痢、場合によっては膵炎のような、もっと深刻な病態につながってしまうこともあります。さらに人間の食べ物の多くは、犬の健康にとっては良くない量のナトリウム(塩分)も含んでいます。
5.ドッグフードを見直す
安価なダイエット用のドッグフードに変えたり、今まで与えていた量を極端に減らすことでカロリーの管理をしがちですが、このようなフードの管理は望ましくありません。健康的なダイエットは、体に必要な栄養素が十分に摂れる事が大切です。ドッグフードを見直す際は、以下のようなポイントを抑えると良いでしょう。
◆主原料が良質なタンパク質のもの
→良質なタンパク質は消化されやすく、筋肉を作り、基礎代謝を上げるので、太りにくくなります。ダイエット中の皮膚、毛並みの健康も保ちます。ただし、タンパク質は、年齢、健康状態によって、理想的なタンパク質量、比率が異なってきます。以下を参考にしてください。
【年齢や疾患別の理想的なタンパク質(犬の場合)】
・0~7歳…タンパク質30~40%
・8歳以上…タンパク質20~30%
・腎臓や肝臓等内臓疾患がある場合…18~23%(各臓器、疾患によって理想値は異なります)
◆低脂質で良質な脂肪分である事
→脂質も健康に必要な栄養素であり、食いつきにも関係するので、少なければ少ないほど良いというものではありません。脂質は10%程度のものがお勧めです。また、オメガ3脂肪酸などの不飽和脂肪酸(体内で固まらない脂)は減量のサポートをする事が判っています。この様に脂質は量だけでなく、品質も大切な判断基準です。
◆食物繊維が豊富な事
→食物繊維は老廃物を排泄させるので、体に余分なものが溜まり難くなります。また、満腹感を与えるので、食べ過ぎを防ぐことが出来ます。
◆炭水化物が低GI値のもの
→炭水化物は糖質を多く含み、体に蓄積されると肥満の原因となります。GI値とは食後の血糖値の上がりやすさを示したもので、この数値が低いと糖がゆっくり吸収されます。例えば、白米よりも玄米の方が、食物繊維が多く、糖質に変換されにくく、血糖値が上がりにくいというメリットがあります。その他、食物繊維の多い食材は全般的にGI値が低く、消化に時間がかかる分、むしろ腹持ちがよく、食べ過ぎを防げるというメリットもあります。
犬のダイエット方法【運動編】3選
運動により消費エネルギーが増えれば、ダイエット効果が期待できます。足腰や心臓・呼吸器にトラブルの無い犬では、軽度な20分以上の運動を、1日2回行うことが有効とされています。
散歩やボール遊びなどは、犬の本能的な探求心を満たし、また飼い主さんとのコミュニケーションにもつながる、一石二鳥の習慣です。特に小型犬などは、室内で動いているからいいかな、と思いがちですが、家の外を歩くことはかなりの刺激となり、その緊張感だけでも消費エネルギーのアップにつながるので、ぜひ散歩に出かけるようにしましょう。
1.毎日に適度に散歩する
散歩量は小型犬が30〜60分を1日2回、中〜大型犬は60分以上を1日2回が一応の目安ですが、犬種や年齢、体格によっても違いますし、走る・歩くなどの状況によっても変わります。1回の散歩で疲れている様子が見られれば、運動量は確保できています。
どうしても散歩の時間が取れない場合は、週末のドッグランやお出かけなどでカバーしてあげましょう。関節疾患のある犬やシニア犬の場合は無理をすると関節に負担がかかりますので、1回の散歩時間を短くして回数を多くする工夫や、可能であれば犬用プールの活用がお勧めです。
2.散歩のタイミングを見直す
ダイエットをする場合のお散歩のタイミングは、食後が良いでしょう。空腹時は運動をしても、身体がエネルギー消費を抑えてしまうので、効率が悪くなってしまいます。
一番エネルギー消費が高まるのは、血糖値が上がる食後1時間後くらいで、このタイミングでお散歩をすると、よりエネルギーを消費しやすくなります。
ただし注意しなくてはならないのは、胃捻転や胃拡張です。どちらも食後に運動することで、胃に異常が起こる病気で、とくに胃捻転は重症化すると命を落とすこともあるので、リスクの高い犬種は、よりしっかりと食休みをとってからお散歩しましょう。
3.散歩のコースを見直す
・ずっと平坦なコースよりも、軽く坂道のあるコースを選ぶ
・無理せず徐々に運動量の多いコースにする
激しい坂道は足腰に負担になり、ダイエットのつもりが関節を痛めてしまう原因にもなります。緩やかな坂道だと大きな負担もなく、エネルギーの消費ができます。
犬が肥満になる3つの原因
愛犬かわいさに、おやつをついつい与え、食べ過ぎで太らせてしまうことがあるかもしれません。性別や年齢で太る原因もさまざまですし、あるいは何らかの病気が原因で、太ることもあります。病気以外の原因としてどのようなパターンがあるかを知り、あらかじめ気を付けることで、肥満を防止することができます。
原因1. おやつの与えすぎ
ごはんは適切な量でも、おやつを与え過ぎているケースもよくあります。ご家族の中にこっそりあげている人がいる場合もありますので、家族全員がしっかり肥満のリスクを理解する必要があります。
原因2. 運動不足
犬は運動不足になると、肥満や筋肉量の低下を引き起こします。 肥満になると、体を動かすことが億劫になるだけでなく、関節や骨に負担をかけてしまいます。 筋肉量の低下により、体を支えることが難しくなり、さらに運動量が減っていくという、悪い連鎖に陥ってしまう可能性が考えられます。
とくにシニアになり、運動量が落ちているなと感じたら、食事の量を調節する、負担にならない運動をさせてあげる、などの工夫が必要です。
原因3. 去勢・避妊手術を受けた
犬が避妊・去勢後に太る原因は、ホルモンバランスの変化です。繁殖のために必要な性ホルモンが少なくなるので、避妊・去勢前と比べると1日に必要なカロリーが8割前後に下がります。つまり、避妊・去勢後も手術前と同じ食事量を与えているとカロリー過多となり、太ってしまうワンちゃんが多いのです。
犬の肥満による4つのリスク

リスク1. 心臓病になる
体が大きくなればなるほど、多くの血液を必要とします。そして、血液を全身に循環させているのは、心臓です。そのため、過剰に心臓を働かせることになってしまい、心臓に負担がかかってしまうのです。太ったらすぐに心臓が悪くなる!ということではありません。ですが、その状態が続くと心臓への負担も続くことになり、心臓病などの原因になってしまうことが考えられます。増加した脂肪分に血液を送るため、心臓の負担が増え、心機能障害や高血圧が起こりやすくなります。
リスク2. 関節炎や椎間板ヘルニアに罹る
増えた体重分を支えるために、特に関節や靭帯への負担が強くなり、骨関節炎や椎間板ヘルニアなどの病気を発症しやすくなります。関節炎は、特に太った小型犬で痛みを起こし、問題になることが多いです。関節が腫れ、痛みを起こし、定期的な散歩でさえ不快感、痛みを起こすことがあります。
サプリメントは関節炎の痛みを最小限にするのと、関節の炎症を取り除くのに役立ちます。しかし、関節炎の痛みを軽減し、発症を防ぐ根本的な方法は犬の体重を減らすことです。
リスク3. 呼吸器トラブルにつながる
胸部の余分な脂肪は犬の肺が拡張するのを妨げる可能性があります。つまり、呼吸がしにくくなり、必要な酸素を得られないかもしれません。また、頚部に脂肪が付くと、気管を圧迫してしまい、肺で酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる「換気障害」を引き起こすことがあります。
リスク4. 膵炎の原因となる
脂肪が多く含まれている食事は膵炎を引き起こしやすいとされています。高脂質の食べものを食べ続けることで肥満になり、膵炎の原因となることも多いです。
犬のダイエットを成功させるコツ
愛犬のダイエットに取り組んでいても成功しない理由のひとつには、食事療法ばかりに気を配り、運動が足りないケースが挙げられます。ダイエット中の散歩は、獣医師と相談しながら無理のない範囲で、坂道を上がったり少し走らせたりと、筋肉に多少の負荷をかけるほうが良いでしょう。
もちろん、筋トレは室内でも行えます。愛犬が楽しみながら行えそうなメニューをYouTubeなどで探して、運動療法にも力を注いでください。筋肉質な身体を持っている人間や犬のほうが、脂肪を燃焼しやすく太りにくいことが知られています。筋トレ後はマッサージをしてあげると、スキンシップによって幸せホルモンとよばれるオキシトシンも分泌されて、愛犬と飼い主さん双方の健康促進にもつながるでしょう。
犬のダイエットに関する注意点

過度な食事制限や運動は避ける
ダイエットが必要だとしても、過度な食事制限や急激な運動は危険です。皮膚や心臓にトラブルを抱えている場合は、健康な犬と比べて、普通に生活しているだけでも、より多くのエネルギーを必要とします。そのため、過度な食事制限は、症状の悪化を招くこともあります。運動に関しても同様で、関節など足腰にトラブルを抱えている場合は、過度な運動は避けるようにしましょう。
また、急激な減量も危険です。数か月単位の長期的なダイエット計画を立てましょう。
リバウンドを防ぐ
リバウンドとは、ダイエットで一度は減った体重が元に戻ってしまう、元の体重よりも増えてしまう、などの状態をいいます。せっかくダイエットに成功しても、リバウンドしてしまうとがっかりですよね。
よくあるのは、ダイエットに成功したからといって、ダイエット前の食事量に戻してしまう、ご褒美と称しておやつを増やしてしまうことです。
体重が減っても、しばらくはダイエット時の食生活を続けましょう。軽い運動も引き続き行うことで、リバウンドを防ぎ、健康維持につながります。
まとめ
病気が原因の場合をのぞき、愛犬の肥満の原因は飼い主さんの管理不足がほとんどです。愛犬の肥満は、逆に病気のリスクを高めます。現在、愛犬が肥満である場合は、身体に負担をかけるような急激なダイエットは避け、長期的な計画で適正体重を目指しましょう。
ただし例外的には、過度な肥満でなく、少しだけぽっちゃり体型程度の場合、あまり気にしすぎない方がいい場合もあります。適度に体重があることで、エネルギーを体内に蓄え、免疫力が安定するという側面もあり、体重よりも体型が過度に崩れていないか?を注意すると良い場合もあります。
■和漢みらいのドッグフード 特別療法食(ダイエット用)
■和漢みらいの療法食ペットサプリ (燃焼プラス)